SSスレ(萌え)8 (188レス)
SSスレ(萌え)8 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/
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142: 竜神様の中の人 [] ある時、メイドのリールと英独メイドが派手に揉めた。 「だから、何でも一人で片付けようとしないでください!」 「仮にも上の人間はちゃんと下に仕事を振るのも仕事なんです!」 「じゃあ何をしろと言うんですか! 愛国丸一隻の掃除ぐらい、一人でできなくてどうするんですか!」 不老も視野に入り長寿前提ゆえの固体万能主義を貫いているこの世界、すべて一人でできてはじめて一人前と言われる訳で。 そのアイデンティティの危機に、尻尾をぴんと立てて抗議するリールに英独メイドはため息をつくばかり。 「リール様一人で、万の兵を相手にできますか?」 「できるとも!」 たとえが悪かったと頭を抱える独逸メイドに対し、英国メイドは面積で攻めた。 「リールさま一人で国を消す事ができますか? 文明を滅ぼすことができますか? 人には限界というものがあるのです。 だから人を使ってその限界を・・・・・・」 「ぐぬぬ」と聞いていたリールの後ろから馬鹿竜が飛び出した。 「わらわならできるぞ! 万の人を殺し、国を消し、文明を滅ぼして見せるぞ!!! どうじゃ! わらわはすごいじゃろう!!!」 「はいはい。 博之様が勉学中なので暇なのはわかりましたから・・・・・・」 「ま、待つのじゃ! わらわの出番これだけか!?」 ドヤ顔を決める馬鹿竜をなれた手つきで引っ張ってゆくその眷族。 ぱたんとドアが閉まった後に、英独メイドが声を合わせて一言。 「「ああなりたいですか?」」 「・・・・・・考えさせてください」 帝国の竜神様 小ネタ 多分これがあって、この犬耳メイドはバイオな話に繋がるのかなと。 思いついたので投下。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/142
143: 名無し三等陸士@F世界 [sage] ・・・夜叉の眼ってこんな感じなんかな・・・(男キャラですが) ttp://blog.livedoor.jp/ikesanfromfr/archives/7759838.html#more http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/143
144: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/144
145: taka [sage] 馬鹿龍俺だー、この花粉をどうにかしてくれー。 人の限界以前の俺の鼻腔の限界が来ているー。 久しぶりに投下。黒ウサギの過去と厨二病発症。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/145
146: 陸士長 [sage] 少女にとって始まりは唐突だった。 大恐慌の煽りで家族が離散し、孤児院へと放り込まれた。 自閉症で人との繋がりが作れず、やせ細った体は小さいままだった。 祖国で極右が台頭し、再び欧州をかき回す存在へと変貌を続ける間も同じだった。 隣国を次々と吸収し、忌まわしい東方の国を一ヶ月足らずで落とし、英仏を西欧から駆逐してもそうだった。 十代後半になった彼女が、文字通り『変貌』したのはあの日だった。 極東で龍が出現し暴れても、少女の居る田舎町にとっては関係の無いことでしかなかった。 彼女、以外にとってはだったが。 孤児院のシスター、そして神父は子供たちの泣き声に慌てふためいた。 子供たちが逃げ出した部屋を覗き、同じように悲鳴を上げた。 少女の髪は銀色に変貌していた。 少女の肌は不自然なほどに白く透き通っていた。 見開かれた目は右目は赤色で左目は金色。 彼女は唖然としたまま、『自分に降りかかる筈だった食器棚が横倒しに吹き飛んでいる』のを見つめ続けていた。 少女は反省室へと閉じ込められた。 少女へ行われていた陰湿ないじめについても棚上げにされた。 それが、食器棚をぶつけようとするなどといった悪質なものであっても。 子供たちはおびえきり、彼女を執拗に苛めていたグループにいたってはまだ泣き続けていた。 神父たちも少女を閉じ込める以上のことはできず困り果てていた。 青白い光と共に、かなりの重さの食器棚が少女と接触する直前に弾かれ横倒しに吹き飛んだ。 そんな芸当が出来る少女を子供を閉じ込める程度の頑強さしかない部屋で閉じ込めたところでどれ程の意味があるのだろうか。 神父たちの苦悩は、数日後にやってきた親衛隊の将校たちによって解決された。 『悪魔憑き』の少女の姿は、孤児院から消えたのだった。 少女は笑顔を浮かべていた。 ニーベルングの指環の間奏を鼻歌で楽しみながら愛機で宙を切り裂いて飛んでいく。 「君はまるでブリュンヒルデのようだな」 「ブリュンヒルデ?」 「ああ、ワルキューレの一人だ。死んだ戦士たちの魂をヴァルハラへと送る。空を駆け敵を落としその魂を刈り取る。まさに女神じゃないか」 親衛隊将校の戯れの言葉が、何故かハーゼⅠと呼ばれる少女の気持ちを高揚させる。 敵機の、アブロ・ランカスター爆撃機の背後へ悠々と着く。 必死に放たれる機銃弾の嵐は遠い。見る間に迫る敵機に濃厚な四連の20mm機関砲弾を浴びせて離脱する。 間奏が切れた。再び歌いなおす。 燃料の警告灯が着いたのでそのまま高度を下げて離脱する。今日は3機落とした。まずまずだ。 ドーンという音と共に、ハーゼⅠの遥か後ろで機体から黒煙を大量に噴出した爆撃機が錐揉み状態で墜落していく。 後10機落としたらご褒美に『ニーベルングの指環』の演奏会に連れて行って貰える。 レコードで暇さえあれば聴いているが、実際の演奏も是非観てみたと思っていた。 「でも、その前に……」 滑空するように飛んでいた機体を素早く横に流す。 大量の7.7mm弾と20mm機関砲弾が横を通り抜けていく。 高度を下げて戦場から離脱し始めてから、首の後ろに嫌な違和感を与えていた存在が通り過ぎた。 双発の大型戦闘機。最近になって偵察や強襲爆撃に運用され始めたモスキート。 どうやら損害に耐えかねて、刺客を送り込んできたようだ。 「お前を刈らないと」 一気に加速する。 相手が驚愕したような気配を感じる。 戦闘機は楽だ。チョロチョロ逃げ回るけど、後ろ向きに銃弾が飛んでこないから。 相手が回避行動を取ろうとする。フォッケか普通のメッサーなら何とかなったかもしれないが…遅い。 モスキートの主翼が吹き飛び、勝負はついた。 血塗れの風防が開かないまま、機体は地上から数百メートルまで落ちて爆散した。 少女は勝利と陶酔に満ちた笑みを、その色素の薄い唇でゆがめてみせた。 彼女はもはや孤独な少女でも、悪魔憑きの少女でもない。 「恐れることを知らないしか、私を倒せない。なぜなら、私はブリュンヒルデなのだから」 何者にも討てぬ空駆ける女神の嘲笑が、欧州の空に響き渡った。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/146
147: 陸士長 [sage] 投下完了。別の場所の名前で打っちゃった(・ω<) テヘペロ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/147
148: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 物語は唐突に氏、そろそろ・・・ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/148
149: パトラッシュ(旧41です) [] 「帝国の龍神様」サイドストーリー2(政治編) 大日本帝国の中枢たる帝都の霞が関一帯は、うなりをあげて全力で回転していた。つい数箇月前までは陸海軍省のみ元気よく他の官庁はついていくだけの状態であったが、いまや神祇院を抱える内務省を筆頭に異世界貿易で得た金貨が積み上がる大蔵省、ダークエルフたちを使った国土再開発計画を推進する商工省、戦争が回避されたことで出番再びと張り切る外務省などが若手官僚を先頭に活況を呈している。米内光政元首相につながる懐疑派もいるにはいたが完全な少数派で、大多数は「やりたいことをやれるうちにやってしまえ」とイケイケドンドンで走りながら政策を考え、実行している有様だった。 特に東京竜会議の開催に加えて英米首脳の来日という歴史始まって以来の事態が確定した外務省は、後に「陸軍省より戦争状態だ」と回想されるほどの多忙さにあった。ほとんどの官員が連日泊り込みで各国との連絡や大使館との協議、代表団の宿泊地設定まで途切れることのない仕事に取り組み、過労で倒れる者も続出していた。それでも外務官僚は、事務局長役を担う吉田茂竜担当大使の「いまや戦争から外交の時代だ」という激励を受けて頑張っていた――もっとも同じ時期、在外公館は竜州行きを求める現地人男性の勢いが一向に衰えず、仕事もできない状況が続いていた。インドとブラジルでは日本の外交官が拉致され、犯人側から「竜州行きを認めるなら解放する」という脅迫状が届く事件が発生し、現地警察が大慌てしていたが。 ある夜、ようやく仕事に一段落ついて葉巻を吸っていた吉田は、首相官邸に行っている重光葵外相から至急の呼び出しを受けて駆けつけた。 「吉田さん、中国の汪兆銘政権および蒋介石の国民政府、それにイタリアからも東京竜会議に正式参加したいとの要請がありました。また、オーストラリアとニュージーランドも、マリアナに引き続いて今回も出席する権利があると言ってきたのだが、撫子様はどう思われるか意見を聞かせてください」 官邸執務室で小磯国昭首相と重光に問われて、吉田は腕を組んだ。政治レベルの問題を実務担当者の自分に聞くとは異例だが、何しろ相手は竜である。現在、海軍を除けば日本政府内で最も竜と親しいとされている自分から判断材料が欲しいわけか。 「マリアナの会合に英米のほかオーストラリアとニュージーランドが参加を求めた際も、撫子様は拒みませんでした。今回、人間側の参加国が増えても同じでしょう。最終的に竜側が決めたことに人間が異議を唱えようとも無駄ですから」 「しかし、それでは帝国の国益も脅かされるのではないかね?」 小磯が大きな目玉をぐるぐるさせながら尋ねる。ずっと朝鮮総督を務めて外地にあり、首相就任まで撫子や竜州について詳細を知らなかったので、まだピンとこないようだ。 「撫子様は海軍の真田博之少佐と事実上の夫婦関係にありますので、その点は心配ありません。また、帝国は撫子様の要請により、その眷属多数を竜州で奴隷状態から解放しており、彼女らは揃って帝国に忠誠を誓っています。従って各国の参加問題については、帝国の外交面で判断して問題はないかと。私見を申し上げるのならオーストラリアとニュージーランドはマリアナの前例もあるので正式参加を認める一方、イタリアと汪兆銘政権はオブザーバー扱いとし、国民政府の参加は認めないというあたりですか」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/149
150: パトラッシュ(旧41です) [] 困惑したような視線を交わす小磯と重光に、吉田は新たな厄介ごとが起こったのを察した。やがて外交官としては吉田の後輩に当たる重光は、言いにくそうに言葉を探した。 「吉田さん、私もその意見に賛成なのだが、簡単にいかない事情が出てきたのです。実は汪兆銘だけでなく蒋介石までもが、来日してもかまわないと言ってきまして」 「それはまた……確かに蒋訪日が実現すれば、今後の中国情勢は日本の意向が大きく反映できてしまう。あっさり断るには惜しい話です。いきなり切り札を出してくるとは、国民政府も相当追い詰められていますね」 「撫子様が日本の味方をして三峡を塞ぐほどの力を示したため、新たな中国の竜を目指す蒋介石にすれば立場がありませんから。しかもベルリンからの情報によれば、ムッソリーニがヒトラーに泣きついてイタリアが正式参加できるよう外交工作しているとのことで、三国同盟絡みもあって断るのは難しい。どう線引きしても、不満が残るのは確実ですよ」 「なるほど、シチリアの竜を抱えるイタリアとしては、ここは何としても他国に先駆けて誼を結びたいところでしょう。というか、ドイツがフランスに続きイタリア参加も容認するのは、自国の影響下にある国が竜と友好関係を結べればとの思惑があるようです。そうなれば、自分たちにも竜州への道が開かれるのではと期待して」 「吉田さん、それはつまり……?」 「英米独仏も、また中国やその他の国々も、最も恐れているのは撫子様以外の地球にやってきた竜すべてが日本に味方する事態です。そうなればどの国も日本に膝を屈せざるを得なくなるし、今後も日本が竜州を独占する形で開発を進めればあらゆる利権から締め出される。しかし、満州と違って竜州への道は最初から日本が独占している。各国としては何とか竜に接触し、自分たちの味方となるか少なくとも中立を保つよう説得できないか、また竜州開拓に自国も参加するために撫子様以外の竜を使えないかと考えている。戦時中にもかかわらず最高首脳が訪日する理由は、まさにそれなのです」 総理執務室は、痛いほどの沈黙に包まれた。存在それ自体が強大な兵器である竜は、これまでの軍事バランスを完全に崩したのみならず、広大な未開拓のフロンティアである竜州の存在は各国の領土占領欲を強烈に刺激した。もし欧州大戦が始まっていなかったら、全世界が日本に向けて戦争を仕掛けてくる事態もあり得たのだ。 (そうなっても撫子様や「歌妃」アニスの力で日本が勝つだろうが、数千万単位の死者が出ていたかもしれない。いくら戦争でも、そんな事態は避けたいしな) http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/150
151: パトラッシュ(旧41です) [] 考え込んでいた重光は、やがて小磯を振り返った。 「総理、吉田大使の予測が正しいなら、各国は総力をあげて竜と接触し竜州での利権を得ようとするでしょう。英米独仏だけでも利害調整がややこしいのに、中小国まで面倒は見切れません。ここは会議を紛糾させないためにも、参加国を絞るべきだと思います」 「同感だな。各国に厳しい条件をつけて、参加を断念するよう仕向ければ……」 「そうですね。国民政府には汪兆銘政権と満州国の承認を、オーストラリアには白豪主義政策の撤回を要求すればいい。豪州が不参加ならニュージーランドも取りやめます。イタリアとフランスは参加を認めても傍聴者的な扱いにとどめておき、また、英米独仏の代表団にも厳重な行動制限をつけて――」 「お待ちください」吉田は重光を遮った。「それは非常にまずいと思います。公然たる内政干渉で日本だけが各国の恨みを買うことになり、今後の外交に影響が出るでしょう。会議が多少もめても、要は竜が日本側の希望を最大限に取り入れた決定を下せばよいのです。そうすれば最初に申し上げた通り、どの国も異議を唱えられませんから」 「つまり吉田さんは、参加希望国すべてを受け入れるべきだと?」 「その代わり日本も、満州国代表を参加させればいい。そうなれば英米首脳と蒋介石は竜と接触する機会を得るためにも、日本の傀儡政権と非難してきた満州国と同じ会議のテーブルにつかざるを得なくなる。これは事実上、三国による満州国承認となり、リットン調査団報告は無効化されてしまいます」 小磯と重光も、ようやく吉田の言いたいことを理解した。リットン報告をきっかけに国際連盟を脱退した日本が、再び国際世界に復帰する最高の舞台として東京竜会議を使えと。 「英米が進んで満州国を事実上承認するとなれば、ハルノートも撤回されたに等しくなる。日米戦争の前提条件が消滅するというわけになります」 「な、なるほど……」 「総理は先の施政方針演説で、竜州の開発を国策とする旨を世界に宣言されました。そのためにも、本土が戦争状態にならないことが保証されるのは結構ではありませんか」 ようやく小磯の表情に明るさが戻った。 「今回、日本は竜会議と並行して、列強を含む世界十カ国との首脳会議を主催することになります。過去の外国首脳の訪日はハワイ女王と満州国皇帝だけで、これほどの数の首脳が東京に集結した例はありません。彼らが陛下を表敬すれば皇室の国際的立場もいや増しに高まり、歴史に残る外交成果と申せましょう。現内閣に反感を抱く者も、この点に反対できません」 重光の進言に、小磯は強く頷いた。両者とも皇室崇敬の念は誰にも負けないとの自負があり、自分たちがそれに立ち会えると思うだけで心が躍る。しかし、吉田としては一言釘を刺しておかねばならなかった。 「もっとも総理や外相には、大変な苦労が待っていますが」 「わかっています。外交の大舞台を取り仕切るのは簡単な仕事ではありませんから」 キャリア外交官出身の重光は歴史に残る国際会議の主催者となるのは望むところとあって、苦笑しながらも目を輝かせていた。一方、外交経験皆無の小磯は日本代表として海千山千の各国首脳と渡り合わねばならない立場を想像し、憂鬱そうだった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/151
152: パトラッシュ(旧41です) [] 「無論、英米独仏以外の各国にはすぐに参加を認める必要はありません。散々じらして、相手の忍耐の限界を超えない程度まで日本に有利な条件を引き出してからにすべきです。そのあたりの交渉は外相にお任せすればよいかと。私は撫子様側と協議して、日本側の考えを認めてもらいます。その線でいかがでしょうか、総理」 「わかった……あと吉田君、撫子様以外の竜を味方につけ、竜州への新たな道を開くのが各国の狙いだと言っておったが、阻止する方法はあるのかね?」 「ご懸念はもっともですが、撫子様とマリアナのセドナ殿以外の竜がどんな要求を出してくるか見当もつかないので、日本が他国に先んじて残る竜と接触できるよう撫子様に頼もうと思っています。特にアメリカに敵対しているハワイの竜は相当きつい性格のようで、本気で怒らせたら単独でアジア大陸ほどの面積を単独で焼き尽くすほどの力を持つとか」 「アジアを焼き尽くす力だと――」 小磯が蒼白になってあえぎ、重光も唇を震わせた。グルー米大使らと同様の反応だが、意味するところは逆だ。米英の大使は本国や植民地が焼かれてしまう可能性に恐怖しての震えであったが、首相らは今さらながら撫子が自分たちの味方であることのありがたさを思い知らされたようであった。 「しかし今回、すでにハワイの竜と軍事衝突している米国の大統領が竜会議で同席するのだろう。ルーズベルト大統領は祖国を焼く覚悟で竜と対決するかな?」 「この会議で最も苦しい決断を迫られるのはルーズベルトでしょう。ハワイの竜の機嫌をとるような真似をすれば全国民の激烈な非難を浴びるが、逆なら国家が消滅しかねない。最悪の場合、その決断から逃れるため非常手段を取る可能性もなしとは申せません」 「非常手段とは……」 「帝都に集まった竜を皆殺しにするのです。どんな卑怯なやり方を使ってでも」 「何だと? だ、だが最高度の警戒態勢を敷く予定の帝都で、そんな真似ができるのか。下手をすれば自らの命も失いかねないのに」 「いえ、間違いなくルーズベルトは万が一に備えた準備をしています。彼は露骨ではないが、明らかな人種差別主義者です。神に認められて世界を支配している白人種が、竜などというキリスト教からすれば異端そのものの存在を背景にした黄色人種の日本に敗北するなど、許せるわけがありません。不愉快極まりないですが、それが普通の白人の思考というものです。あるいはルーズベルトが国家のために竜との和解を決断しても、それに反発する米国人が同じ行動に走るかもしれません。自国の大統領もろとも竜を皆殺しにしろと」 「まさか、そこまでやるか……」 「総理、申し上げにくいのですが満州国建国の際、当時の内閣が不拡大方針を決めたのに関東軍が暴走して既成事実を作り上げたではありませんか。米政府や軍内部にいる竜への反対勢力が、関東軍と同じ思考をしたらどうします? 東京でルーズベルトもろとも竜を皆殺しにし、責任をすべて日本政府に押し付けて一気に攻撃をかけてわが国を占領し、ついでに竜州をも奪えればなどと安易に考える輩が米軍にいないと、誰が断言できましょう。帝都と政府が壊滅した日本は反抗できず、蹂躙されるがままになってしまいます」 最悪の予想を提示されて、小磯もたじろいだ。一兵卒から陸軍大将にまで上りつめた軍人として戦場に立つことは厭わなくとも、テロに等しい攻撃を仕掛けられたら反撃の手段が思いつかない。 「そう、だな。今回の竜会議と列国首脳会議を無事に成功させることに、文字通り帝国の生死がかかっている。内外のいかなる反対派の暴走を押さえ込まなければ、皇室に累を及ぼしかねない……吉田君、直ちに陸海相と内相を加えた五相会議を開き、帝都の安全保障について協議する。君も参加して、先ほどの件について説明するように」 今夜は徹夜だな……と内心ぼやきながら吉田は頷いた。三人中で最年長の彼もまた、大きな活躍の場を与えられて血をたぎらせる外交官のひとりであった。 吉田の推理は正しかった。世界には東京竜会議開催に反感を抱き、公然とではないが妨害や中止に追い込むべく策動する勢力がいくつも存在しており、すでに吉田はメイヴや東条英機内相、石原莞爾竜州軍参謀長とひそかに協議を重ね、帝都圏治安警察機構の創設や「歌妃」アニスによる絶対防空体制の構築などを進めていたのだ。ただ、神ならぬ身に思いもかけぬところで動きはじめた陰謀を見通す力まではなく、やがて「東京の暗黒決戦」と国際外交の裏面史で語られる大事件に発展しようとは想像もできなかった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/152
153: 名無し三等陸士@F世界 [sage] これはまた、実にありそうな展開が。 政治家も役人も軍警察関係者もみながみな倒れてしまいそうですね(汗 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/153
154: 竜神様の中の人 [] バイオの方投稿。 泥沼式に増援を送り込むの図。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/154
155: 竜神様の中の人 [] 「九七式飛行艇が落ちたって?」 「はい。 ナブレスに駐留している部隊より緊急伝です。 どうも、事故ではなく撃墜された可能性があり、海軍の方も確認しています」 来るべきものが来たといやでも思うと同時に、まさかの思いもあった。 とはいえ、この異世界の魔法技術が飛行機を落とせるのはこちらに来た勇者が実証して見せたではないか。 竜州軍石原参謀長はしばらく目をつぶって意を決すると、副官である瀬島少佐に声をかけた。 「上海でたしか似た様な事やっていただろ。 あれで増援を送ろう。 瀬島。お前が指揮をとれ。 部隊の選定は任せる」 「了解しました。 臨時編成の独立大隊の指揮をとります」 この時瀬島少佐が用意したのは、竜州軍で数少ない信頼ができる挺進連隊だった。 空飛ぶメイドと高級娼婦に降下中に全滅させられたが、それが兵のしての能力が劣っている証拠ではない。 そして、掃き溜めである竜州軍において彼らは信頼できる連度と士気を持っていた。 更に、撫子三角州に襲ってきた蟲の教訓から、八九式戦車中隊を借りて独立大隊を編成する。 そこまでの仕事をし終え石原に報告すると、石原は指で外を指して言った。 「ちょっと海軍さんの所に顔を出してくる。 お前もついてこい」 海軍の方も撃墜報告にてんやわんやになっていた。 何しろ、状況は竜州から千数百キロの果てとはいえ、この程度の距離でうろたえる海軍では本来は無い。 蟲相手に無双していた驕りがこの醜態と言っていいだろう。 もっとも、上になればなるほど落ち着いているので、いずれば収まると石原は思いつつ竜州艦隊司令長官の大川内中将の執務室のドアを叩いた。 「邪魔をする。 九七式大艇が落ちた事は聞いている。 で、こっちは増援を送る事にしたんだが、そっちはどうするのか?」 「現状、陸戦隊が展開しているがこれ以上の増援を送ると、向こうで飢えるという話は言っていると思うが?」 上海の日本租界の警備にあたる上海海軍特別陸戦隊の司令官として第二次上海事変を経験していただけあって、彼もまた腹はすわっている男だった。 現状の増援の問題点を指摘した大川内に対して石原はにやりと笑う。 「承知の上だ。 こいつを使う」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/155
156: 竜神様の中の人 [] 瀬島少佐が用意していた資料と写真を差し出す。 それを大川内が確認するのを見て石原は言葉を重ねる。 「秘蔵で向こうでの貨物輸送にも使えないんで、こっちに送ってもらうつもりだった。 海岸線近くの拠点作りに使うつもりだったが、こういう時に役に立つ。 本土から呼んで、竜州で編成した独立大隊を積んで向こうに着くのはおよそ一週間後。 後は、一週間の間持ちこたえる事ができるかという所か。 九七式大艇の輸送は継続できるのか?」 「一週間? ここからイッソスまで四日かかるはず。 それを考えたらナブレスに着くのは下手したら十日はかかるはず」 戦場はここからはるか離れた地である。 増援を送るのはいいが着いた時には全て手遅れなんて事態はさけないといけない。 「撫子様のお力をお借りする。 転移呪文で送ってもらうのだ」 その手があったかと大川内が手を叩こうとしてその手を止める。 万能転移呪文にも制限がある事を思い出しだのだ。 「たしか、転移呪文は術者がその場所を知っている事が条件のはず」 「だから、撫子様が行った事があるイッソスに飛ばす。 イッソスからナブレスまで早ければ三日だ。」 ちゃんと対処手があったかと大川内が思いつつ石原の質問に答えた。 「九七式が落とされた以上、安全の確保が再開の条件になります」 常時飛ばせるだけの数がある訳でもない。 即応で現地部隊に補給や増援が遅れる九七式はか細い命綱であるだけに、慎重を期さないといけないと考えての発言である。 それを理解した石原は安全の確保について即座に手を打った。 「そいつは落ちた九七式の探索と同時に向こうの部隊に任せよう。 大淀にはどれぐらい武器や弾薬、食料の余裕がある?」 「半月程度は。 一週間で着くのでしたら、十分そちらの船が間に合うまで持つと推測します」 石原は満足そうに頷く。 「戦争は数だ。 で、向こうで飛行機が落とされたという事は、こっちに敵対的な輩がいるという事だ。 向こうからの報告だと、敵勢力の見積もりは中隊規模。 こっちは小隊規模で、海軍は大淀に中隊規模の陸戦隊を乗せている。 城攻め三倍じゃないが、何かあったときの為に大隊規模の増援を送りたい」 「こちらからすればありがたいのですが、東京には何と?」 「何、100人規模の黒長耳族と獣耳族の救出作戦だ。 大蔵の試算だと、こちらが全滅してもおつりが来るという保障つき。 止めやしないよ」 (そうやって満州事変起こしたんだろうなぁ) という大川内のつっこみに気づいていながら気づかないふりをする。 それに気づいても気づかないふりをした石原にあわせてその話題をスルーした大川内も話の続きを優先した。 「決まりだ。 こいつ、神州丸で大隊をナブレスに送り込むぞ」 竜神様バイオハザード11 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/156
157: 竜神様の中の人 [] 投下終了。 ゾンビに襲われるねたをテーマにしたのに、近代軍強すぎがこの醜態。 やっぱり、クローズド・サークルにしないと駄目だね。 という訳でレス返し。 >>軽巡大井 大淀の間違いorz ちなみに、とある赤城さんが慢心してドックから出てこなかったりするゲームをゃっているのですが、出てこないのです。こいつorz。 無課金だとリアル日本海軍オンラインが楽しめてお勧め。 なお課金だと米帝プレイ。 >>タ○コマの原型 スタート時から完成している訳ではなくて、試行錯誤や戦訓なんて取り入れられたらと。 今回の神州丸もいろいろ戦訓を得て次の船に生かすのでしょう。陸軍が。あれ? >>陸士長さま 投下乙なのです。 次の本編投稿は状況整理の為にクレタ戦のまとめと今後の地中海情勢の予測をする予定。 とりあえず、決まっている事は、 枢軸 クレタ奪還もしくは砲撃 連合 北アフリカからの枢軸勢力駆逐。起点はエジプトから >>パトラッシュ(旧41)さん 投下乙です。 そうか。このタイミングで国民党が満州国を承認すればいいのか。 ちなみに、今の国民党南京や上海が守りきれないと危惧するぐらいやばいです。 共産党への寝返りによって。 これが結構史実路線だからあの国は・・・・・・ では。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/157
158: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/158
159: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/159
160: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 基本的に日本が不利な世界観ですが、果たして救援は間に合うのでしょうか。 と色々考えさせられながら続きを待ちます。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/160
161: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/161
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