SSスレ(萌え)8 (188レス)
SSスレ(萌え)8 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/
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49: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 辰馬達が拠点として使っている館は元が貴族の別邸だった事もあって、この屋敷は壁に囲まれた正門から入って中央の庭には噴水があり、水音が雰囲気を醸し出している。 その庭の先に館があり、右には馬などの家畜小屋、左には使用人の家があり、壁と一体になっている使用人の家には裏口がついている。 館は三階建てで、中央に吹き抜けの広間があり、一階は浴室に食堂など生活空間以外は娼館として使用された名残で個室が並び、二階は高級娼婦用の生活空間兼仕事場となっていた。 で、館の主人兼娼館主人の空間は三階に作られ、辰馬達の司令部はその三階におかれている。 「で、第二便も来て物資の搬入が終った今夜が一番狙われるという事なんだが、準備はどうなっている?」 辰馬の言葉にリールが即座に答える。 「今日やってきた第二分隊は女達と遊んでいる最中。 同じく今日やってきた第三分隊は警戒に入る代わりにここに残らせて予備とする予定」 このあたりのさじ加減はさすがメイドと言った所。 とはいえ、なんで盗賊が来るのがわかっているのに男達が女と遊んでいるかというと、その盗賊達の狙いが遊んでいる女達に他ならないからである。 何しろ数少ない娯楽である女だけに、遊ばせないと士気が下がるという理由もあったり。 話がそれた。 リールの報告を補う形でアンナが口を挟む。 「今日の捕り物に使えるのはメイド隊および第一と第三分隊に冒険者達です。 リール様のメイド隊は本部つきで控え、第一分隊と第三分隊は私とナタリーが率います」 指揮系統から壮絶にまずい一言が飛び出るが、この二人の能力は間違いないのでリールも含めて野戦任官の形でこの訓練時に限り特務曹長にしていた。 それもこれも、今回のピクニック……もとい盗賊討伐の実務を取り仕切っていた二人の影響力がでか過ぎた結果である。 手配に準備に兵の選抜、あげくにその選抜時に体を使った面接という形できっちり兵のほとんどを穴兄弟にしているあたり、抜かりはないというかそこまでするか君達はというか。 なお、メイド二人は表に出たら『戦死』か『行方不明』という事で話がちゃんとついている。 何しろ、彼女達を狙っていたのは海軍も同じであり、竜神様とその眷属のメイヴと竿姉妹の契りで結ばれている彼女達は人を辞めて人権が無いくせにその地位は高かったからである。 色々駄目な理由以外にも兵達がこの二人の英独メイドを認めたのが、この二人が欧州大戦の実戦経験者というのもある。 兵にとって上官が馬鹿だと己の生死に関わる。 だからこそ、この選抜に来た兵は実務を掌握するこの二人のメイドを見て、その命を駆ける事を誓ったのである。 その意味では、辰馬すら凌駕する影響力を握っていたと言ってもいいだろう。 もっとも、同じ実戦経験者である辰馬はこれ幸いと丸投げするつもり満々だったりするのだが。 「冒険者達は?」 辰馬の言葉にベルが答える。 気合が入っているのだろう。 ピンと立った猫耳が凛々しい。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/49
50: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 「私が監視する予定で、使用人の家と裏口を固めさせているわ。 残りで正門と館の警備をお願い」 黒板に書いた館の見取り図の使用人の家にチョークでベルは丸を書いた。 それを見ていたアンナがベルに質問する。 「家畜小屋は?」 「今、腰を振っている家畜(黒長耳族)は館の中だし、残っているのは馬と牛だけよ。 無視して良いんじゃない?」 それを聞いたナタリーが口を挟む。 彼女は考えられる可能性のその上を行かれた事を欧州の戦場で学んでいた。 「館で押さえる防衛線は作ります。 これで黒長耳族を連れ出されたら後悔しきれないから」 それを辰馬は了承する。 「わかった。 第一分隊は門、第三分隊は館で深夜二時に持ち場を交代。 ベル・アンナ・ナタリーの三人は話し合って誰か二人が常に起きている形にしてくれ。 俺とリールも交代で休む。 ベル。 考えられる盗賊で一番やっかいな状況を教えてくれ」 顎に手を置いてベルが考えうる最悪の状況を語る。 「相手がただの盗賊ならいざ知らず、魔術師がいる可能性もあるわ。 眠りの雲で見張り全員夢の中とか、従者形成魔法による囮とか…… とにかく一人魔術師がいるだけで、危険度は格段にあがるのよ」 今度はリールが提案する。 「各分隊にそれぞれ一人ずつメイドを送るから対魔術戦闘用に使ってください。 メイド隊はお二人以外は対魔戦闘経験者です」 「それでいこう。 何も無かったらいいが、多分何かあるぞ」 辰馬のあてのない確信は見事的中する。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/50
51: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 深夜 使用人の家 「来た」 シルドアがかけていた感知魔法に何かが引っかかる。 ガノンがティターロを起こし、ハイラムがフェルナを起こす。 ベルは休んでいた組だったが、シルドアが起こす前に起きて獲物の投げナイフを手に持っていた。 「何処?」 「屋敷の角の所。 多分、ウッドゴーレム。三体」 「相手に魔術師がいるのが確定……っと。 囮の可能性が高いけど放置するわけにはいかないわね……今、テレパスでリールに連絡を取った。 こっちに増援四人が来るから、来たらウッドゴーレムを片付けてくれって」 ベルの言葉にティダーロが肩をすくめる。 「気楽に言うが、館の警備薄くして大丈夫なのか?」 「ま、雇い主のお手並み拝見といきましょ……ふぁ。 私たちは私たちの仕事をするまでよ」 五分もしない内にアンナが兵士二名とメイド一人を連れてやってくる。 その時、正門前にもウッドゴーレムが三体現れて、ナタリーがその排除を命じていた。 「アンナ。 ここお願い。 私は本命の所に行くわ」 ベルが館の中に戻ろうとするので、アンナは一つだけ尋ねた。 「で、本命は何処から来ると思うの?」 「決まっているじゃない。 上か下よ」 ベルの予想したとおり、盗賊ジャミルナは空からやってきた。 彼女の立てたプランはこうだ。 ギルドとは無関係な冒険者から魔術師を雇い、『夜中にウッドゴーレムを館に向かって歩かせてくれ』と頼む。 当然、見張りはそっちに警戒するし、雇った魔術師も捕まるだろう。 で、その隙に空から進入する。 ダークネスの魔法をかけて闇と同化し、飛行魔法で一気に屋敷の中に入り家畜小屋に降りる。 もちろん、ダークエルフ達が使われているのは承知の上だ。 「……ダークエルフは館っと。 不思議なものよね。 この小屋を焼くだけで金貨十枚ってんだから。 牛や馬の焼肉でも御所望なのかしら?」 だったら、空からファイヤーボールでもぶっ放せばいいのだが、街中での攻撃魔法使用は明確な犯罪になる。 衛視だけでなく盗賊ギルド、魔術協会まで敵に回す愚はさけないとナブレスの中での活動は著しく制限されるからだ。 それに、盗賊名乗っているのにダークエルフというお宝をまったく触らないというつもりはない。 小屋を焼くのが依頼であって、ダークエルフについては自由にしていい言質をもらっていたのだった。 「ほう。 こっちの世界では焼肉は高級料理だったのか」 ジャミルナは聞こえてきた声に向けて投げナイフを放つが、当たった音どころか落ちた音すら聞こえないので掴まれたと判断する。 毒をナイフに塗っているのでそれにひっかかったらとも思うが、そんな甘い考えは淡々と続く声によって否定せざるを得ない。 「一手、ご教授願おうか」 「断る」 眠りの雲を発動させてその場を離れると、さっきジャミルナが投げたナイフがジャミルナが居た場所に刺さる。 眠りの雲から飛び出る拳をかわしたジャミルナが家畜小屋から飛び出る。 「侵入者だ!」 「家畜小屋で誰かが暴れているぞ!」 館の入り口に眠りの雲を打ち込み、出てきた兵士が銃を手放して次々と倒れこむ。 その隙にファイヤーボールを家畜小屋に叩き込み、その結果を見る事無くジャミルナは飛行魔法を使って二階のガラスを割って二階に飛び込んだ。 「家畜小屋に火がついたぞ!消せ!」 「賊は何処に行った!」 「二階のガラスが割れてる!」 「逃がすな!」 ジャミルナは最初からこの館の見取り図を入手しており、この高級娼婦用の部屋には隠し通路が地下水道まで繋がっているのを知っていた。 もちろん、この隠し通路は相手も知っているだろうが、この通路を安全に使う為に仲間がいるはずなのだが…… http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/51
52: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 「悪い。 しくじった」 「はい。 良かったらおとなしくしてくれないかな」 ベルのショートソードが首筋に当てられて仲間のタハールが両手をあげている。 「なにやっているのよ……まったく……」 ジャミルナもナイフを落として両手をあげる。 こうして捕り物は終わり、家畜小屋は一部が焼けたが馬と牛の火傷は治癒魔法で治るレベルに収まった。 なお、女も抱かずに戦闘を楽しみにしていた塩田先生がなんであの場所に居たかというと、 「何、空気が違っていた所があったから追っていったまで」 という理由に辰馬一同はじめとして呆然。 それを聞いたジャミルナすら、 「勇者が居るなんて聞いてない!」 と叫んだとかなんとか。 一方、その勇者の従者として前に出たがったリールは今回の一件で、辰馬に前に出る事を押さえられてついに前に出なかった。 「大将が前に出て討ち死にしたら元も子もないだろ。 おとなしくみんなの成果を期待しろ」 という辰馬の理屈を一応聞いたらしいが、尻尾がえらくぱたぱたして内心丸分かりだったらしい。 「家畜小屋を焼きに来たという事は、足を奪いに来た訳だ」 「この盗賊討伐、もう一枚ぐらい裏がありそうですよね」 「まぁ、考えれば最後の一枚の裏なんて見当がつきますけど」 尋問でジャミルナから得た情報をまとめて頭を抱える辰馬とアンナとナタリー。 どう考えても、盗賊退治の妨害行為であり、背後にカルタヘナ王国の影がちらつくからである。 カルタヘナから見ると、この街道の安定はロムルス国家連合に入る物資の安定供給に繋がる訳で、それを頭に入れると目標の盗賊すらカルタヘナの人間の可能性も考えねばならない。 「これ、本当に進めていいのか?」 竜神様 バイオハザードなネタ話 08 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/52
53: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 投下終了。 レス返しはまた今度。 では。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/53
54: 名無し三等陸士@F世界 [age] 中の人、投下乙です! 質問なんですが水源はどうなっているんでしょうか? 将来的には2000万人が使う飲料水は莫大なものになりますが、撫子様に水源地を探してもらうか エルフの森の水脈(将来虫退治などで荒野を緑地化し森林の面積拡大等)に余裕がうまれそこから確保するのでしょうか。 人魚さんはがんばって帝國に勧誘して魚類貝類の大量養殖できたら面白そうですね。 執筆活動など忙しいようですが応援してます! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/54
55: 名無し三等陸士@F世界 [] 中の人、投下乙です。 なんか、美味しい所だだもらいの塩田先生。 勇者とは違うんですが・・・・ 達人クラスともなると、勇者と勘違いの粋になるのですね。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/55
56: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下乙。 外交を考慮した戦闘。 日本にとって一番苦手な分野じゃないだろうか。 英独メイドの苦労が続きますね。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/56
57: 陸士長 [sage] 投下乙です。 指揮を振ったり腰を振ったり大忙しですねビッチメイド達。 そしていよいよ焦臭くなるバイオハザード。国家が後ろに居りゃ面倒臭い展開にもなりますよねぇ。 つか、冒険者達も雇用金額に合わない仕事になりそう。やはり上手い話には裏があるw 久し振りに投下ー。 投入時期幾らなんでも早すぎねぇとかは自分も想います。 だけど、新型機に無茶苦茶蹂躙されるのが大好きなのは誰か理解してくれると信じて。 尚、中の人の二次創作ですので直接の関与はございません悪しからず。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/57
58: 陸士長 [sage] 東部ドイツの飛行場 コンクリートで構成された長大な滑走路から一機の邀撃機が飛び立とうとしていた。 他の迎撃機は既に離陸済みで、こちらに向かっている英国空軍重爆撃機隊への邀撃に向かっているだろう。 滑走路に誘導された邀撃機が、速度を上げながら滑るように前へ進んでいく。 しかし、プロペラの音は聞こえない。代わりに劈くような甲高い音が響くのみだ。 滑走路脇に積まれたコンクリートブロックと土嚢の向こう側で、メッサーシュミット社の技術員や空軍将校達が息を飲んで見守る。 彼らの思いは1つだった。幾ら何でも早すぎないか。まだ、試験が足りなすぎないか。そして、あのパイロットで大丈夫なのかと。 そんな、不安と不審の視線しか向けられない事も気にならないとばかりに、機体が発する音が高まり速度も急速に高まっていく。 機体はフワリと宙に浮き、見る間に飛行場から遠離っていく。 『こちらハーゼⅠ、離陸に成功。機体やエンジンに異常なし。このまま邀撃任務へと向かう』 ほっとした空気が辺りを覆う。 だが、まだ始まりをクリアしただけに過ぎない。 本来であれば、まだ試験飛行も充分に行ってない機体、しかも新型エンジンで邀撃任務を行うなど無謀極まりないのだ。 戦闘飛行中の過負荷、エンジンの異常などで戦闘終了前に機体が発火するかバラバラになっても全くおかしくない。 だが、命令である以上、それこそこの帝国での最高位からの命令である以上、実行する以外にないのだ。 「頼む……無事に帰って来てくれよ」 機体にも、そしてパイロットにも。 『東部の黒鬱金香、西部の黒兎』 その日、ルール工業地帯を戦略爆撃すべく英国本土から飛び立った英国空軍重爆撃機隊は、密集体型で防御を組みつつドイツ内陸へと侵攻していた。 量産が開始された期待の新型爆撃機であるアブロ・ランカスター爆撃機を中核とした百機近くの大編隊だ。 否、だった。沿岸で警戒網に引っ掛かった彼らは進む先々で高射砲と邀撃機(bf109f)の歓迎を受け、十機が撃墜され五機がトラブルを起こし投弾して引き返した。 行きの段階で既に一割超えの損耗はかなり深刻であったが、それでも任務は続行された。 1942年の段階で英国はドイツ本土への戦略爆撃において任務を必ず達成させる必要があった。 米国は当てに成らず来るはずだった米国産爆撃機は滞り、Uボートの妨害で航空機用燃料の貯蔵も思うように集まらなかった。 基本、戦略爆撃を実行すれば数十機から数百機の大型爆撃機は燃料を馬鹿食いする。 一機落ちれば新しく生産するのに資材と機材を多大に消費し、ランカスターで言えば七人の乗員が喪われる。 今の所英国がドイツに効果的な打撃を与えられるとすれば、ドイツ本土、もしくは占領地に対する戦略爆撃しかない。 例え、それが戦時における英国の国力と国民と兵士に対する多大な負担となってもだ。 ランカスター隊を誘導する編隊指揮機の指揮官は嘆息した。 ああ、米国が参戦していてくれりゃあなぁ。と。 今頃連中が馬鹿みたいに送ってくれる機材でガンガン爆撃機を作り、タップリの燃料でタップリ訓練し。 ナチ野郎共の本土に爆弾の雨を存分に降らして連中の首を良い具合に締め上げてやれたのにと。 だが、現実は常に無情である。漸く最後までへばり付いていた五機のBf109fが高度を下げて去っていく。 恐らく次の高射砲の陣地群に入るからだろう。だが、もう少しでライン工業地帯へたどり着ける。 そうすればドイツの心臓部に爆弾を思うさまぶち込み、身軽になったら即座に英国へと戻ればいい。 基地に帰ったらギネスでも飲んで、フィリップスの野郎から今度こそ負けた分のポーカーを取り返してやる……。 「編隊後部より敵機接近! 一機です!!」 無線からの報告を受け、考え事を中断させられた編隊指揮官は不愉快そうに呟いた。 「密集体型で集中射撃し撃退せよ。どうせ遅れてきた間抜けなキャベツ野郎だろう。たった一機だ。どうとにでもなるさ」 そう編隊指揮官が言い終わった瞬間、けたたましい飛行音と共に何かが重爆撃機編隊の真下を緩降下で降下していった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/58
59: 陸士長 [sage] 「た、大変です! 三番機がやられました、右翼から炎上……ああ、右翼が、折れた!!」 後部銃座の乗員は見た。物凄いスピードで通過した敵戦闘機(双発だった?)が通り抜け様に八番機のランカスターに銃撃を浴びせ、右翼をへし折ったのを。 彼には与り知らぬ事だが、機首に集中配備されたMG 151/20機関砲3門の弾幕は頑丈極まりない筈のランカスターの右翼を軽々と穴だらけにしてへし折ったのだ。 翼を喪ったランカスターは高度を下げながら雲の下へと消えていった。パラシュートは……見えなかった。 「なんだあれは!」 「Bf109でも、Fw190でもない……」 「双発だった、Bf110か!?」 「バカヤロウ、Bf110があんな速度で飛ぶわけねぇだろ!!」 あまりの事態に混乱した各機の無線が悪戯に飛び交う。 普通なら叱責して落ち着かせる役割である編隊長も、未だ状況に追いついていない。 だが、その未確認機は爆撃機群の混乱が落ち着くのを親切に待つつもりはないようだ。 大きく旋回して浮上、再び編隊の背後に回り込み始めた。 「うわ、また後ろから来るぞ気をつけろ!!」 「撃ちまくれ、後ろを撃てる銃座は全部撃て、いいから撃つんだ!!」 機体上部の回転銃座も後方を向き、迫り来る敵機に向かって撃ちまくる。 当たらずともいい、せめて敵機の進行方向を逸らすことが出来れば……。 数十機の密集した爆撃機の防御射撃は凄まじかった。レシプロ戦闘機であれば落ちていただろう……そう、レシプロならば。 弾幕など気にもした様子もなく、敵機は突っ込んできた。 凄まじい加速により銃座は捕捉も連携も取れず、ただ闇雲に機銃弾をばらまくだけだった。 そして再度の敵機通過。編隊機指揮機の前方を飛んでいた11番機に機関砲弾が縫い付くように撃ち込まれエンジンから火が噴いた。 胴体にも重大な損傷を受けたのだろうか。11番機は見る間に高度を下げ編隊から脱落していく。 「今度は11番機が喰われた、畜生!!」 「銃座は何をやってるんだ!!」 「早すぎて敵機を捕捉できません!!」 「11番機より通信、我操舵不能、我操舵不能!!」 もはや爆撃機隊は、パニック状態になりつつあった。 同じ被害でも相手が良く知る戦闘機なら、これ程混乱は起きないだろう。 だが、あれは一体何者だ? あまりにも圧倒的すぎる速度に防御射撃すらもままならない。 「くそ、くそ、ナチの化けものめ、お前は一体なんなんだ!?」 「て、敵機、前方に……ひ、こ、こっちに来ます!!」 「う、撃て、撃て、撃てぇ!!」 機長は上擦った声で叫びながら何とか機体を回避させようした。 しかし……その瞬間、ランカスター内部の搭乗員は自失呆然となった。 彼らが撃ちまくっていた機銃弾が……敵機の傍で停止したのだ。 機銃弾の速度と敵機の異常な速度の為、何が起こったのか一瞬しか解らなかった。 他者が観測すれば何とか解ったかもしれないが、爆撃機隊は混乱状態であり落ち着いているものなどいなかった。 気付かなかった。敵機の進行上に這入り込もうとした機銃弾が悉く停止し、敵機通過後にまた動き始めた事に。 その為に幾ら撃ち込もうが、一発たりとも有効打を敵機に与えられない事も。 「一体、お前はなにm」 迫り来る敵機……黒い双発機に向かって機長は問うた。 返事は20mm砲弾の雨だった。 機首をボロボロに破壊された編隊指揮官機は胴体から火を噴きながら高度を落としていく。 しかし、誰も知ることもないが機長は死ぬ直前に確かに見た。 迫り来る二機のプロペラが付いてないエンジンを搭載した漆黒の機体を。 赤く塗られた尾翼に浮かぶ隻眼の黒うさぎを。 そして―――操縦席。 フィールド・グレーのパイロットスーツに身を包んだ小柄な人影。 人影の眼部を覆うスモークゴーグル。 その左側から、黄金の光が漏れ出ていた……。 パイロットの口元に冷ややかな笑みが浮かび、そして20mm機関砲弾が機長の視界を永遠に奪った。 彼が最後に見たもの、それは人為らざる黄金の煌めきだった。 三機のランカスター重爆撃機を撃墜した黒い戦闘機は、それ以上攻撃を行わず高度を下げ去っていった。 「ランカスター重爆撃機を三機撃墜……燃料の残量僅か。これより帰投する」 凛とした、冷たく可憐な言葉が発せられた後。 黒い戦闘機は切り裂くような音を立てて基地へと帰投していった。 後に本土爆撃を行う英国空軍のパイロット達から死に神の如く恐れられる、『黒兎』の初陣であった。 おわり http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/59
60: 陸士長 [sage] 投下終了。 試作3号機であるMe262Vは42年の7月に試験飛行を終了させているし、武装なども基本的に搭載が行われてるので大丈夫だと思った。 本当ならガーランドさんが乗って賞賛する試作4号機まで待ちたかったけどすみません早漏で。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/60
61: 陸士長 [sage] あ、Jumo004エンジンが不安定で戦闘なんて出来ないだろうって問題ですが。 この機体に積まれるエンジンだけ特注品で、何処かから回収してきた不思議な金属を混ぜて作った部品を使用したらすげぇ耐久力が上がったって事にしておいてください。 ミスリルとかオルハリコンとか便利だよね。謎っぽいからw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/61
62: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 本編投下。 そろそろ本気で保管庫を何とかしないと…… http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/62
63: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 疲れきった顔を隠さずに山本五十六軍令部総長が友人である堀悌吉中将の所に顔を出した時、彼の副官である遠藤大尉とその自称性奴隷のフィンダヴェアと共にする事もなくお茶を飲んでいた。 で、山本の口から出てきた一言を無碍もなく断る。 「防空、対潜改造した5500トン四隻回すから、海上保安庁長官を受けてくれ」 「だが、断る」 本当になり手のいない海上保安庁長官職就任を断られてがっくりする山本軍令部総長だが、ある意味自業自得である。 まぁ、それを散々煽っていた堀中将にも責任が無い訳ではないが、彼自身はこれを機会に徹底的に膿出しをするつもりだったから首を縦に振るつもりはない。 「どうしてだ? 海上保安庁には二等駆逐艦だけでなく睦月型から前の船まで回して、5500トン四隻つけたのに何がたりないんだ!」 「空母と基地航空隊」 「出せるか! 馬鹿野郎!!」 まぁ、叫びたくなるのは当然だが、仮にもインド洋や大西洋でお仕事をすると考えたならばそれでも足りないのは目に見えている。 なお、戦争が回避されたのを良いことに、この回した船を穴埋めする過程で『量産型駆逐艦でそろえてコストを抑えよう派』と『島風いっぱい作ろう派』と『面倒だから夕雲でよくね?派』の三派に分かれて醜い暗闘が繰り広げられているのは言わぬが花である。 ちなみに、同じく内閣直轄で作られた航空自衛隊はその出仕からして海の物とも山の物ともつかない組織だったのだが、それゆえに、航空自衛隊長官として山下奉文という稀有の人材を得た事で急速にその組織を整えていた。 彼が最初に手をつけたのが、同盟国独逸を手本にした帝都防空網の整備と帝都周辺の高射砲部隊の空自化だった。 竜会議という外交イベントを控えて本土防空網についての議論が始まる前に提唱されたこの提案に小磯首相が乗っかったのも、己が自由に動かせる戦力の確保と同時に対竜対策としての防衛整備を考えていたからに他ならない。 万一、どこぞの馬鹿竜のお仲間がまた帝都に無断進入なんぞしようものならば、今度腹を切るのは小磯首相なのだからある意味当然だろう。 対英米戦争突入寸前までに整備が進められていた高射砲部隊は、内閣直属の航空自衛隊という上部組織によって統一運用される事で急速に本土防空網の整備に邁進する事ができた。 なお、高射砲部隊を取られる形になった陸軍だが、そこは山下長官の説得と部隊の移管が本土限定(つまり何かあったら腹を切るのは山下長官だという事)という所から最後は折れたという。 このあたり、馬鹿竜の帝都侵入未遂は陸海軍に深刻なトラウマを植えつけたのだから罪深い。 そのため、英独にとも良い顔をしている帝国が双方に求めた軍事技術は防空関連技術が多く、中立国という皮をかぶった資源輸出という手札を持っている独逸からかなり高度な技術情報を仕入れる事に成功していたのである。 帝都を四方八方に取り囲むレーダー網の整備に着手し高射砲塔の建設を進め、羽田に帝都防空司令部と名づけた戦闘オペラハウスの建設など、話がまったく進んでいない海上保安隊とくらべるのも失礼なぐらい。 一方、警察予備隊の方も東京を中心に関東各地に部隊を配置しだしており、組織としての立ち上げは海上保安隊よりはるかに先に進んでいる。 話がそれるが、現状における航空自衛隊の最大の功績は帝都防空に限り、陸海軍航空隊の指揮権を無視して関東在住の基地航空隊に命令を出すことができるという破格のものだった。 当然、この決定に陸海軍共に激しく抵抗したが、山下長官の、 「竜神様に陸軍と海軍の違いがわかるのか?」 という当たり前の質問にあえなく撃沈。 馬鹿竜帝都進入未遂事件では関東各地の基地指令や航空隊指令の首が飛んだ前例があるだけに、ついに抵抗する事をあきらめたという経緯がある。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/63
64: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] なお、この話を聞いた当の本人が、 「馬鹿にするでない! 赤い丸のついた飛行機を落とさぬぐらいわかっておるわ!!!」 と憤慨して図らずも山下長官の疑問が的中した事を露呈。 あげくに馬鹿竜様の飼い主が確認の為に差し出した英国航空機の写真を見て、 「落としてはいけないのであろう。 ほら、ここに赤い丸がついておる」 と予想の斜め下ぶりを見せた結果、間違いなくこれは何かやらかすと確信した陸海軍が己の保身の為に権限を差し出したという。 『俺が腹を切る』と責任を明示した結果、横紙破りを可能とする権限を得てしまう日本官僚機構の構造的欠陥に山本と堀は頭を痛めるが、実は山本についてはある種自業自得な故に怒るにも怒れない。 何しろ、対英米戦開戦寸前までハワイ作戦という博打を強引に推し進め、馬鹿竜様飛来と共にいち早く囲い込んだ結果現在の軍令部総長の地位がある訳で。 第二第三の山本が現れないとも限らないし、連合艦隊司令部という現場の権限が強くなりすぎた結果、軍令部との間で摩擦が絶えなかっただから笑うに笑えないのが実情である。 「仮にも地球の裏側で戦争しようというのに、必要なものがなくて戦争なんてできないだろうが」 堀の当たり前の正論に山本も言葉を濁す。 このあたり、山本は己の組織である海軍軍令部を守らねばならないのだから、すさまじきは宮仕え。 「想像以上に抵抗が強いんだ。 困った事に頭のいい馬鹿が多すぎる」 海上護衛については本来軍令部下で海上護衛総隊が設立される予定だったが、連合艦隊はこれを己の下に入れようと画策しており、あげくに内閣直下の海上保安隊がお目見えしてから完全に収集がつかないようになっていた。 海軍からすれば、近海航路の護衛任務を丸投げ出来る組織が別に作られる事で戦時の護衛任務に充当する艦を考慮しなくてもよく、正面装備の充実に予算を回せるというのが多分最大の利点になるのだが、その相手組織がインド洋や大西洋まで出張って護衛任務に充当された場合、海軍そのものの存在意義にまで踏み込まれると判断していたのである。 それはまったく正しく、警察予備隊・海上保安隊・航空自衛隊の三組織が内閣直下に置かれた事は『陸海軍、つまり大本営抜きで戦争をする』と宣言しているのに等しいのだから。 これも大陸政策で事態収拾に動きながら戦火は拡大し続け、ついには対英米戦突入寸前という所にまで追い込まれていた内閣側の強い危機感から出ていたのだが、その喧嘩に関係していないと思っている海軍側は、はっきりと内閣が喧嘩を売っているのにその内閣に従うという方がおかしいというのが空気が主流を占めていたのである。 こんな状況を独逸側が見逃すはすがなかった。 出しうる最大の切り札を持って海軍を篭絡しようと動いたのである。 「人造石油……ねぇ……」 「魅力ではあるな。 東南アジアに出張らなくてすむ」 石油なしでは戦えないこの世界大戦において、独逸がここので奮戦しているのはルーマニアの油田だけでなく、独逸国内にて作られていた人造石油によっても賄われていた。 石油資源の乏しいが石炭についてはある程度確保できる帝国にとってこの技術は喉から手が出るほど欲しい技術であり、人造石油製造事業法を制定して昭和15年に福岡県の大牟田と北海道の滝川に工場が建設、生産が開始されたが期待される量を生産できていなかったのである。 ちなみに、開戦を回避した帝国の石油備蓄量はマリアナの竜捜索やインド洋全域の対潜護衛活動などで消費量は急上昇しているが、シンガポールにて英国やオランダ経由で購入できた事で収支はとんとんか僅かに上向いているという所。 これに、対ソ人道支援の代金として北樺太油田の石油が入りだした事によって石油備蓄量は上昇に転じ、竜神様によって発見された北満州油田も試掘が始められている。 独逸がこの技術を出すとしたら今が最後のかつ最大の売り時なのだろう。 実際に、インド洋まで出向いた事で石油消費量の急拡大に目を丸くし、英国からある意味ぼったくりに近い価格で石油を買わされている事に怒りの声を上げていた海軍関係者には技術にぐらついた者が多かったのである。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/64
65: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 「馬鹿な奴らだ。 そのほったくりすらついこの間まで買えなかった事を綺麗に忘れてやがる」 山本のぼやきに堀は苦笑するしかないが、その後で出てきた堀の言葉に山本の顔が驚愕にゆがむ。 「だが、人造石油関連の技術、たいした物が出てくる事はないぞ」 と。 実に、居心地の悪い時間が流れるが、先に沈黙を破ったのは山本だった。 「説明、してくれるんだろうな?」 「まぁ、とあるご友人という事にしておこう。 そのご友人からのありがたいお言葉だ。 人造石油関連技術を持つIGファルベン社なんだが、ここと米国スタンダード石油がカルテルを結んでいるらしい」 その時の山本の顔は驚愕どころか殴られてもそんな顔をしないだろうというぐらいに歪んでいた。 まぁ、最初に聞いた時に堀も同じ顔をしていたのは内緒である。 「考えてみれば当たり前の話だな。 人造石油が広がれば、わが国よろしく自前でなんとかすると考えるやからが出てくる訳で。 それは現在油田を持っている会社からすると面白い訳がない。 おまけに、アメさんから見るとナチスというのは『反共の砦』として財界に支持者が多かった。 何のことはない。 わが国が今英独にやっているような事をはるか前に米国がやっていたという話さ」 「『欧州情勢は複雑怪奇』。 俺も軍令部総長を辞めたくなってきたよ」 今までの会話を黙って聞いていた副官である遠藤が疑問の声をあげる。 「よろしいでしょうか? 米国が英国について参戦するというのは欺瞞なのでしょうか?」 「それは間違いないが、これも簡単な話でな。 独逸につくより英国についた方が金が分捕れるからだ」 一同堀の言葉に呆れるばかり。 世の中金かよと言いたくなるが、まったくそのとおりなのだから返す言葉もない。 かつての超大国であった英国はその超大国であった時に築いていた資産を湯水のように消費してこの戦いを続けていた。 そして、その湯水のように消費した金のほとんどが米国の懐に収まっていた結果、独逸を切り捨ててもおつりが来るまで膨らんでいたのである。 「もう少し補足をするとだ。 独逸が欧州を取りすぎたせいで反共の砦の役割が小さくなっている。 モスクワを奪われ、苦戦を続ける共産勢力が勢力回復するのに時間がかかるという判断だ。 で、これもまた石油がらみなんだが、米国はソ連の油田が独逸に取られるのを恐れている」 基本は同じ。 カルテル外に大規模な油田の存在を許したくないのだ。 そして、ある事に気付いた山本が堀に問いただす。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/65
66: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 「ちょっと待て。 その論理で行くと、満州の油田も邪魔されると?」 「だから、とあるご友人曰く、『うちのカルテルに入りませんか?』だそうな。 『そちらの面子を考えて、資本関係は49%で構わない』だと」 きっと、とあるご友人というのは英国在住の人なのだろう。間違いなく。 で、こんな話を漏らすという事は、米国参戦に向けて米国内の反対勢力を切り崩す腹に違いない。 竜会議でハワイの竜の事が解決できるならば、米国の対独参戦は限りなく近くなる。 そういう意味でも、竜会議という馬鹿げたイベントは、間違いなくこの戦争の何かを変えたのだ。 それをこの場の一同は嫌でも感じざるを得なかった。 「もう一つ、そのとあるご友人から面白い話があるんだが聞くかい?」 「まだあるのかよ。 そのご友人は物知りだな」 ここまで来てそのとあるご友人というのが、ロイター通信社の特派員という皮をかぶった英国情報部のイアン・フレミング氏だというのは皆気付いている。 何しろマリアナまで撫子と一緒についていった仲で、海軍内部の撫子閥のトップと思われる堀に接触する事で、海軍の親独傾向を抑える腹積もりなのだろう。 「そのご友人のご友人にバンコクに勤める商社の方がいらして、試しで出していた金剛級四隻の派遣について面白い話が出た。 『金剛級二隻に一個水雷戦隊をつけてアレキサンドリアに派遣して頂けたなら、英国とオランダは対日経済制裁の全面解除解除を約束し、米国の対日制裁解除に協力する』だと」 その言葉の意味を理解するのに堀以外の皆は少しの時間を要した。 それでも皆の頭の中でその意味を理解する事を拒否するぐらいの英国が持てる最大のかつ最強のカードを提示してきたのである。 「何でも、ニューヨーク在住のご友人のご友人からのお話だと、ルーマニアからの石油の流れが不自然なぐらいフランスとイタリアに流れているそうな。 それも艦船を動かす重油が」 その言葉に山本がぴんと来る。 竜会議は『全ての竜』が東京に集まる。 では、その間シチリアで睨みを効かせていた地中海はどうなるか? 「クレタ島を英国が奪還して、ルーマニアの油田に爆撃機が飛び出して独逸の足を地味に引っ張っている。 で、このクレタの爆撃機を排除したいが、独逸の航空勢力でクレタを叩き潰すのは無理だ。 上陸するにもアレキサンドリアの英国地中海艦隊が邪魔だ。 ならば、手は一つしかないだろう。 幸いな事に、何かやらかしかねない竜神様はこの帝都に来ているはずだからな」 「伊・仏海軍によるクレタ島砲撃か、英艦隊排除の後のクレタ島上陸作戦……」 遠藤の言葉に堀も頷いた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/66
67: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 「艦隊一個アレキサンドリアに来いというのは、体の良い見せ金だろうよ。 英国とてまだ同盟国であるフランスやイタリアの艦隊と当てたらこちらの感情が悪化するのは分っている。 それに、今から地中海なんて間に合わないからな。 だが、見せ金だからこそたとえ海戦が勝とうが負けようが、戦艦がアレキサンドリアで鎮座している状況はさぞ居心地が悪いだろうね。 誰でも日本海海戦ができる訳が無い以上、それだけの規模で潰しあいをすれば確実に伊・仏海軍の方が先に音をあげる」 それが分かっているからこそ、英国はそれを受けて立つつもりなのだ。 だからこそ、その後の話をほらでもいいから膨らませる必要があった。 「で、ほらというのは大きければ大きいほどいい。 他にも、ハワイの竜対策では微妙に使い所の悪い太平洋艦隊の戦艦を買い取るとかなかなか剛毅な話もあるそうな。 このほらを信じるのはたった一人だけ、第三帝国総統閣下だけでいい。 あのお方、大きなものには浪漫があるらしく、こちらが流した陸上巡洋艦とかに目を輝かせていたじゃないか。 そして、これを発表するだけで、独逸以下向こうの海軍は混乱するだろうよ。 ちなみに、何でそのあたりの話がだだ漏れなのかはご友人いわく『秘密』だそうな」 さいころが蓋の中にあるからこそ、丁半の賭けは成立する。 間違いなく、英国は自国の勝利という博打に乗るかどうがで帝国を追い詰めようとしていた。 「おい。 この話、誰かに……」 山本の真顔な忠告に堀も苦笑で返す。 「言えるか。こんな事。 俺だって命は惜しいからな。 だが、この一件は海上保安隊にとっては避けては通れんぞ。 地中海の状況はこの一戦にありだからな」 掘は苦笑するが、相変わらず海上保安隊長官職を受けるとは言わなかった。 そりゃそうだ。 もう一省庁の役職どころではない帝国の将来がかかっている役職になりかねないからだ。 ならばこそ、それに相応しい戦力と権限を寄越せと暗に言っていると山本は理解したのである。 「地中海の状況はこの海戦にありですか……」 フィンダヴェアが遠藤に対してぽつりと呟く。 その後に続く質問に遠藤だけでなく山本も堀も固まろうとはフィンダヴェアはまったく思っていなかった。 「けど、それってこちらの言葉で言う『決戦』と言いませんか?」 帝国の竜神様 ナンバー未定 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/67
68: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [] 投下終了。 という訳で、レス返し。 >>「フラグが立った」イタリア、どうするんでしょうね。 という訳で、帝国以上に切羽詰まっていましたという話。 ここで地中海の制海権が握れれば……なんか半世紀ほど前に太平洋で聞こえたような言葉が(苦笑) >>41さん 投下乙です。 このあたりの会話、こちらの設定と合わせた上で使わせていただいてよろしいでしょうか? 凄く面白かったので。 >>質問なんですが水源はどうなっているんでしょうか? とりあえず、アマゾン川をイメージしてください。 でそれを河口から本流を線に半分でぶったぎると、北半分がエルフの森、南半分が虚無の平原になります。 虚無の平原そのものには水が流れていますが、その多くは地下水脈としてです。 >>なんか、美味しい所だだもらいの塩田先生。 けど、実話の方がしゃれになっていないのがこの人。 実際に合気道を教えてもらって、これ凄いと実感しまくりです。 >>英独メイドの苦労が続きますね。 大丈夫。苦労する人が辰馬と海軍陸戦隊の谷浦大尉と二倍に。 あれ?リールは?www >>陸士長さん 投下乙です。 欧州方面でついに決戦が発生しますよ〜。 こんな新鋭機が飛ぶ空のはるか洋上にて、 ソードフィッシュを追い回す仏伊水上機>その仏伊水上機を追い掛け回す英フルマー複座艦上戦闘偵察爆撃機 あれ?何か時代が違う…… では。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/68
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