SSスレ(萌え)8 (188レス)
SSスレ(萌え)8 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/
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32: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] ナブレスの邸宅にて 実質的な小隊司令部と化したこの屋敷の中で息抜きと称した兵士達の乱痴気騒ぎが始まっていたりするが、その首脳部は既に仕事をはじめていた。 「こちらが航空写真になります」 アンナが航空写真を広げ、それに合わせて作られた簡易地図を机に広げる。 「今回の作戦区域は海岸線上にまで山がせり出しており、その殆どが森林に覆われています。 幸いにも砦の位置は確認できました。山頂に築かれたここです。 いくつかの獣道は確認できたので、これを侵攻ルートの主軸として考えます。 概算ですが、大淀の主砲の射程内ですので、最悪の場合は爆破で片付ける事も可能かと」 ナタリーが地図上にあった砦の位置を丸で囲む。 なお、航空写真と簡易地図に目を丸くしているのがベルだったりする。 その手にはぼったくられたと辰馬が思ったナブレスで買った地図が握られていたり。 「これあるならば、私達の情報収集要らないじゃない!!」 そう言いたくなるのも無理はないと主導権を握られっぱなしだったリールは内心思ったり。 というか、冒険者どころか国の騎士団ですらここまでの下準備をするなんて戦争をするぐらいにしか知らない。 「ちょっと待った! 爆破なんて聞いていないぞ!! あの砦にはかなりのお宝が眠ってるんだ!!!」 爆破の言葉に、ベルと共に偵察をしていた冒険者のティダーロが狼狽する。 この打ち合わせには、ティダーロの他に冒険者のリーダーであるガノンが参加していた。 そのガノンがティダーロを嗜める。 「おい。 これだけ前払いの良い相手を前にして、更にお宝を強請ると信頼を失うぞ。 申し訳ない。 こいつはこういう奴なので」 「シーフなんてやっている奴がお宝の言葉に反応しないようじゃ駄目よ」 ベルからの微妙なフォローが飛ぶあたり、ベルもお宝の言葉には弱いらしい。 その言葉にベルの猫耳がぴくりと動いたのを辰馬は見逃さなかった。 「砦を爆破した跡で掘り返すのは駄目か?」 辰馬の言葉にティダーロがわざとらしく肩をすくめる。 その仕草が様になっているあたり、夜関係の仕事でもやっていたのかと勘ぐりたくなるぐらいだ。 「金銀宝石ならばまだいいさ。 爆破なんてしたら生き物が死んじまう。 あの砦に眠っているお宝は、金銀財宝より価値があるダークエルフをはじめとした奴隷種さ」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/32
33: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] カルタヘナ王国と激しく戦っているロムルス国家連合は、その物資購入をこのバートン大公国経由でカッパドキア共和国に依存していた。 そして、その物資支払いにロムルスは現在カッパドキア共和国で高騰し続けている商品であるダークエルフをはじめとした奴隷種の支払いというバーター取引を行っていたのである。 今回討伐の依頼が来た盗賊団はこれを狙っていた。 それゆえ、過去の襲撃からそんな奴隷種が砦に囚われているのだった。 辰馬、ベル、アンナ、ナタリーの顔に苦渋の色が浮かぶ。 ダークエルフをはじめとした奴隷種の確保は大日本帝国にとって至上命題になっており、その存在が発覚した以上作戦は盗賊の殲滅より優先されかねない。 「何人ぐらい囚われるか分かるか?」 辰馬の言葉に、ティダーロは真顔で答える。 「襲われた商隊は五つで、その時に運んでいた奴隷種の数は合計で三百人。 三分の一しか生き残っていなくても、百人。 砦跡にて王国を作れるだけの財宝があるという訳だ。 事実、奴らはその奴隷種を森に住む、ミノタウロスやオーガに渡して支配下において近隣の村まで襲っている始末。 バートン大公国は騎士団を派遣して討伐をしたい所だが、まずは蟲から街を守らないとならないからこうして冒険者を雇った訳だ」 つまり、辰馬達以外にこの依頼を受けた冒険者達は皆敵に回ると考えていた方が楽という事らしい。 次々に変化する状況に頭を抱えたくなる辰馬だが、頭の中ではまだましかとも過去の経験から判断していたあたり、彼も修羅場をくぐってはいない。 「ベル。 砦の敵の見積もりと敵に回りそうな冒険者の見積もりを頼む」 辰馬の声にベルが即答する。 異世界に限って言うならば、リールとためを張って戦えるほど有能なベルなだけに、リールと合流後に喧嘩屋こと塩田剛三から手合わせという告白を受けてリールに笑われたり。 で、リールが塩田に負けた事を聞いてベルが唖然としたり。 話がそれた。 「盗賊は過去の襲撃を考えたら百人は超えないと思う。 私達以外の冒険者だけど、ガノンのパーティを除いて依頼を受けたのが四つ。 依頼を確認したのが三つでこいつらは横取りを考える可能性が高いわ。 パーティは四人から六人で構成する事が多いから、六人構成で七つの四十二人。 まあ、この場合はきり良く多く見積もって五十人。 合計で百五十人という所かしら。 ティダーロ。 このあたりのオークやミノタウロスの巣は分かる?」 「流石に巣までは分からない。 やつらも襲撃を恐れて森を移動しているみたいだからな。 ゴブリンを手下にしているから規模では中規模で、それぞれ百人前後はいると思っていた方がいい。 ガサッソニカ王国崩壊によってそのあたりの討伐にまで手が回らないから、奴ら確実に増えている」 シーフ二人の報告に持ち込んだ小型黒板にチョークで敵の規模を書いていたアンナがため息をついた。 「中隊規模ですか。 各個撃破ができるからとはいえ、少しきついかもしれませんね」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/33
34: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] アンナのため息に今度はガノンが重々しく告げる。 それは、この地の知っている者の重みがあった。 「いや、それで終らないんだ。 森にははぐれ蟲がいる。 群れては行動していないが、それゆえに補足ができない。 最近、それゆえに問題になっている蟲がいる。 足音を立てずに忍び寄って自爆するする攻撃型の蟲だ」 その情報は竜州軍の方の報告が無かっただけに辰馬達一同が皆顔を引き締める。 リールなんて自分が立案した作戦がこんな風に転がっていくなんて呆然とするばかり。 そりゃそうだろう。 勇者の従者は勇者に従っていればいいのであって、自ら方針を考えたり修正したりを考える必要は無いからだ。 それが分かるだけでもいい勉強になるだろうとひっそりとアンナとナタリーが互いの顔を見合わせてウインクしていたりするが、この意味を他者が察するには至っていない。 「海軍に連絡をまわした方がいいかもしれんな。 合同作戦にして向こうの陸戦隊の力を借りないとまずいかもしれない。 ナタリー。 海軍は大淀にどれぐらいの陸戦隊を乗せてると?」 辰馬の質問にナタリーがメイド服からメモを取り出して海軍の戦力を報告する。 「今回大淀に乗り込んでいる陸戦隊は谷浦大尉率いる一個中隊。 それと竜州軍製90式四脚歩行砲試作二型(仮称)を二両乗せています。 これは魔法で動く自走砲だそうで」 ナタリーの報告にアンナが口を挟む。 海軍に話をもち掛けると指揮権の問題が発生するからだ。 しかも規模は向こうの方が大きい。 「このままだと色々と問題が出ると思いますが?」 「構わない。 功績ぐらいで向こうが協力してくれるならこちらはいくらでも頭を下げるさ」 このあたり辰馬は良くも悪くも冒険者的な立場を味わっていたので陸軍や海軍のしがらみから開放されていた。 それゆえ、功績というより厄介事の解決に使えるものは何でも使うと開き直っていたりする。 「さて、後は何か決める事はあったか?」 会議の終了のつもりで言った辰馬の言葉にティダーロが厭らしい笑顔で手を上げる。 それが、次の騒動の幕開けであると彼の言葉が物語っていた。 「この屋敷に色々集めているのはナブレス中の話題になっている。 既に、ここに忍び込む不埒物が出るのは避けられないと思うが。 その対策も考えてくれるとありがたいな。 あ、報酬については後ほど相談という事で」 帝国の竜神様 バイオハザードなネタ話 07 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/34
35: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 投下終了。 >30氏ミス指摘感謝 気をつけないと……orz これから別名義の電子書籍の方に本腰を入れるので、投稿は少し遅れます。 では。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/35
36: 名無し三等陸士@F世界 [] 中の人、投下乙。 盗賊討伐以前に、次々襲い掛かるイレギュラーな事態・・・・ 作戦決行までに、まだまだ紆余曲折ありそう。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/36
37: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下乙ー …巡洋艦による陸戦隊の上陸とか艦砲射撃とか、大公国のお偉いさん方はこれも冒険者の業務の一環だとスルーしてくれるんだろうかw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/37
38: 名無し三等陸士@F世界 [sage] ダークエルフも手に入るし、海軍も活躍するしで、許されるっ! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/38
39: 名無し三等陸士@F世界 [sage] バイオでハザードなネタと聞いていたがこのままではエイリアンなネタで大淀艦内で……という惨劇が起こると思うのは邪推だろうか。 それとも捕食者対異邦人になって帝国軍人は無視とか。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/39
40: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 蟲に囚われたエルフたち…世界樹のあのねを思い出しました http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/40
41: 名無し三等陸士@F世界 [] 世界竜会議について、以下のような事態が発生しないか? オット駐日ドイツ大使「吉田大使、本日は世界竜会議に関して、ヒトラー総統からの訓令をお伝えに参りました」 吉田茂竜担当大使「ほう、総統閣下は何と?」 オット「本日付をもちまして、小官を駐日大使兼任のままドイツ帝国副総理に任ずるとのことです」 吉田「は……(つ、つまりオット大使をチャーチルやルーズベルトと対等に話せる地位に就けて、会議や裏協議からドイツを排除できないようにしようというわけか)」 オット「さらにフランス(ヴィシー政権)のペタン元帥も、世界竜会議にフランス代表を参加させたいとドイツ外務省に申し出てきました。これに関してシャルル・アルセーヌ=アンリー駐日フランス大使をやはり大使兼任のままフランス副首相に任命するとのことです」 吉田「フランスまでもが?」 オット「はい、フランスもアジアに植民地を持っており、この件には重大な利害を有しております。現にフランス領インドシナへの日本軍出兵に際しては、フランスとの了解の上ではありませんでしたか」 吉田「確かにそうですが・・・・・・(くそ、松岡洋右が余計な真似をしてくれたおかげで!)」 オット「さらに独仏両国は、マリアナの竜に対して南洋竜国の国家承認と太平洋宣言の承認式典を開催したいと思います。当然、同盟国としてご協力いただけるでしょうな」 この時期、フランス本国はパリを含む全土の5分の2をドイツに占領され、中部ヴィシーを首都とする対独協力派政権(ヴィシー政権)が成立していました。日本を含む海外駐在フランス外交団の大部分とフランス領インドシナ総督府はヴィシー政権に忠誠を誓っており、日本もヴィシー政権を承認していました。フランス領インドシナへの日本軍への出兵も当時の松岡外相とシャルル・アルセーヌ=アンリー駐日大使との協定に基づくものです。つまり当時のヴィシー政権は(ドイツの傀儡であるにせよ)日本にとって準同盟国に等しい存在であり、無視できない存在でした。ドイツがフランスと一緒になって英米と対等な立場を要求してきたら、外交音痴の日本としてはどうなるのか。撫子とメイヴがどう出るのか、興味がありますがいかがでしょうか。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/41
42: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] >>41さん 凄く面白いネタありがとうございます。 おかげで作業を修羅場からの逃避……げふんげふん。息抜きになりました。 で、気になったのは、これが外交交渉という点でマリアナと同じく元首から信任状が必要になります。 人間運ぶより手間が減りますが、この信任状をめぐって英独の工作員が死闘を演じるとか……運んでいるUボートを撃沈する為に英国駆逐艦が集まるとか……書きたい。凄く書きたい。 外交関係については外交関係に関するウィーン条約(1961年ですが、その前から国際慣習法として確立しておりそれのとりまとめみたいなものです)のページを発見していたので参考までにアドレスをつけておきます。 ttp://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/mt/19690523.T1J.html 要するに産業でまとめると、 1)竜会議は外交交渉です 2)よって、外交官として元首の信任状持ってこい 3)その妨害でインド洋が熱い しかし、うちの話は兵器や戦闘より産業とか条約とか仮想戦記でもニッチ路線を突っ走っているが大丈夫なんだろうか……? では。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/42
43: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 「フラグが立った」イタリア、どうするんでしょうね。 思いついた可能性は、 1.シチリア竜に同行する形で安全を確保 2.枢軸陣営からの離反工作として、連合国がイタリアを竜問題の当事国として認め、往来の安全を保証する 3.駐日大使を相応の地位に任命して会議に出席させる 1.の場合、シチリア竜の同意が必要。 2.の場合、”誰を”招請するか...ファシスト政権ではなく王室を指定する可能性も。 3.の場合は信任状をどうするか。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/43
44: 名無し三等陸士@F世界 [] 竜会議、竜を反キリストの存在とみなしている教皇庁は看過するのだろうか。 「竜に迎合する信者は破門」とか喚きかねない様な。 竜との対決のため、プロテスタント諸派や正教会、はては異端までとも結ぼうとしているのに。 英国の竜に対する対応を見る限り、英国国教会は教皇庁とは協調しなさそうだけど。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/44
45: 名無し三等陸士@F世界 [] 41です。もうひとつ思いついたので書いてみます。 某日。外務省の一室にて。 クレイギー駐日英大使「吉田大使、本日は私とグルー米大使を呼び出して、どういう御用でしょうか」 吉田茂竜担当大使「実は先日、英米両国が通告されたチャーチル首相とルーズベルト大統領の訪日に関して重大な懸念が生じまして」 グルー駐日米大使「懸念とは何ごとです? よもや両首脳の安全が保障できないと?」 吉田「それとは別件です。グルー大使、外交儀礼抜きでお尋ねしますが、アメリカはハワイの竜に対してマリアナと同じ形での対応を認める意思がありますか?」 グルー「……それはつまり、ハワイをあの人喰い竜の領土として認め、わが国の主権を放棄せよと?」 吉田「おっしゃる通りです」 グルー「あり得ません! かの竜はハワイだけでなく西海岸に何度も侵攻し、多数のアメリカ市民を虐殺しているのですぞ! それを容認せよと日本政府は言うのですか!?」 吉田「これはアメリカのために申し上げているのです。撫子様のお話により、ハワイの竜について恐るべき情報が入ったものですから」 グルー「恐るべき情報?」 吉田「撫子様がハワイの竜を説得できないと言われたのは、かの竜はかつて自分たちの世界にいた当時、たった一匹――いや、一柱でユーラシア大陸の半分にあたる面積を焼き尽くしたほどの力を誇っているためとのことなのです」 グルー、クレイギー「は……(ユ、ユーラシア大陸の半分を一匹で焼き尽くしただと?)」 クレイギー「そ、それは事実なのですか?」 吉田「これまで撫子様が偽りを申されたことはありません。それに、このまま何もせず放置しておけば実証されるでしょう。撫子様の話では、ハワイの竜は売られた喧嘩は千倍にして買う性格で、そう遠くないうちにアメリカ全土を焼き払うだろうとのことでしたので」 グルー「な、な、な……」 吉田「当然、アメリカと他の国々の区別をつけるはずもないでしょうから、カナダやメキシコも含む北米一帯が焦土と化すのは確実と……」 クレイギー「な、な、な……」 吉田「撫子様が今回、東京竜会議を提案されたのも、マリアナで知り合ったアメリカ人に対し悪い感情を抱かれなかったからこそ、調停の労をとろうとしたからです。これに対してアメリカが、一切の譲歩をしないと最初から言明していては、まとまる話もまとまらないのではありませんか」 グルー「し、しかしこれは外交問題であって、いきなりわが国を焼き払うなど許されることではありませんぞ!」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/45
46: 名無し三等陸士@F世界 [] 上の続きです。 吉田「人間が相手ならそうでしょう。しかし、竜に人間の常識や外交交渉が通用しないのは、両国ともマリアナで痛感されたのではありませんかな?」 グルー、クレイギー「う……」 吉田「まして最高責任者である大統領が同じ東京にいながら、自分たちは譲歩しない、さっさとハワイから出て行け、損害賠償を要求するなどと主張したら――アメリカ国民は喜ぶでしょうが、その先はあまり想像したくない事態になりかねません」 グルー「だが吉田大使、ハワイ譲渡などを認めたら、ルーズベルト政権は即退陣です。それほどアメリカ国民の、竜に対する怒りは強いのです」 吉田「わかっています。それでもあえて訪日されるのなら、相当な覚悟と決断を求められることになるだろうとルーズベルト大統領にお伝えいただきたい。これは日本政府からの友情による忠告ですから」 グルー「(友情だと? よくも白々しく……しかし、話半分だとしてもとんでもない事態だ。これはもはや外交問題ではなく、最高指導者の政治決断にかかわることだ)」 吉田「クレイギー大使。カナダの安全を守るためにも、アメリカ政府とよく協議されるようチャーチル首相に申し上げてください」 クレイギー「(つまりわが国に対し、アメリカにハワイ独立を認めろと説得しろと? そうなれば英米両国に決定的な亀裂をもたらしかねない。この難問を解決するには、いったいどうしたら……)」 グルー「……すると以前、マリアナでわが国のケネディ代表に対して、日本の竜が『アトランティスを海に沈めた』と言われたのは事実だったのですな?」 吉田「さあ、その件は何も聞いておりません。しかし、日本政府としては英米両国に対し、積極的に情報を開示したのです。わが国の善意を信用していただきたいですな」 英米大使退出後、メイヴが入室してくる。 吉田「あれでよかったのですか、メイヴ殿」 メイヴ「はい。英米両政府は東京竜会議への対応をめぐって大混乱に陥るでしょう。会議はあくまでも撫子様が主催して、この地にやってきた竜たちの立場を固めるためのもの。われらを勝手に利用しようとする外国政府など、ご遠慮願いたいのです」 吉田「しかし、日本はすでにあなた方を相当利用していますが?」 メイヴ「それでも大日本帝国とわれわれは、英米に比べてはるかに利害の一致する面が多い。それに撫子様と真田少佐の結びつきもあります。いわば共存共栄なので」 吉田「ここで英米に威しつけておけば、あちらは竜に対しておとなしくなる。その間に竜は日本の力を利用して、竜の存在を各国に認めさせるようもっていくわけですか。地球規模の砲艦外交というわけですな」 メイヴ「あら、竜には人間の常識や外交交渉は通用しないのではなかったのですか?」 吉田「ということにしておきましょうか、お互いのために(汗)」 メイヴ「おほほほほ……」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/46
47: 名無し三等陸士@F世界 [] さらに上の続きです。 吉田「まあ、チャーチルとルーズベルトが来日するのは、日本政府にとっても好ましい話ではありませんからね。小磯首相が彼らに伍して国際外交を展開するなど期待するだけ無駄ですし、親独派のクーデター計画も大詰めの段階でしょうし」 メイヴ「はい、私の得た情報では両首脳を人質にしての対英米宣戦布告を主張する過激派も一部にあったそうです。さすがにそれは『日本の武士の名を辱めるやり方だ』との反対意見が出て、引っ込められましたが」 吉田「どうも軍人というのは基本的に理系人間なので。物事を白か黒か明確に判断しないと気がすまない者が多い。人間の思惑に満ちた政治や外交の世界などは、それこそ常に変わりやすい渦のようなものだと理解できないのです。困ったものだ」 メイヴ「ならばクーデター鎮圧後は士官学校でしたか、そこの教育を根本的に改める必要がありますね。もっと軍人に人間について教えるようにしなければ。時間はかかりますが、必要なことです」 吉田「耳の痛いご意見ですな。とにかくクーデター鎮圧後に東京竜会議開催と、竜州本格進出による日本が枢軸にも連合国にも属さない第三極を事実上宣言するという政治日程は、これで確定したわけですか」 メイヴ「はい。クーデター派には私の手の者が潜入しておりますので、決行日時を誤ることはありません。石原閣下が用意された後藤田警部指揮下の警察特殊部隊に、いつでも対応できるよう指示を出しておいてください」 吉田「わかりました……これからが本当の昭和維新ですな」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/47
48: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] バイオな竜神様投下 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/48
49: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 辰馬達が拠点として使っている館は元が貴族の別邸だった事もあって、この屋敷は壁に囲まれた正門から入って中央の庭には噴水があり、水音が雰囲気を醸し出している。 その庭の先に館があり、右には馬などの家畜小屋、左には使用人の家があり、壁と一体になっている使用人の家には裏口がついている。 館は三階建てで、中央に吹き抜けの広間があり、一階は浴室に食堂など生活空間以外は娼館として使用された名残で個室が並び、二階は高級娼婦用の生活空間兼仕事場となっていた。 で、館の主人兼娼館主人の空間は三階に作られ、辰馬達の司令部はその三階におかれている。 「で、第二便も来て物資の搬入が終った今夜が一番狙われるという事なんだが、準備はどうなっている?」 辰馬の言葉にリールが即座に答える。 「今日やってきた第二分隊は女達と遊んでいる最中。 同じく今日やってきた第三分隊は警戒に入る代わりにここに残らせて予備とする予定」 このあたりのさじ加減はさすがメイドと言った所。 とはいえ、なんで盗賊が来るのがわかっているのに男達が女と遊んでいるかというと、その盗賊達の狙いが遊んでいる女達に他ならないからである。 何しろ数少ない娯楽である女だけに、遊ばせないと士気が下がるという理由もあったり。 話がそれた。 リールの報告を補う形でアンナが口を挟む。 「今日の捕り物に使えるのはメイド隊および第一と第三分隊に冒険者達です。 リール様のメイド隊は本部つきで控え、第一分隊と第三分隊は私とナタリーが率います」 指揮系統から壮絶にまずい一言が飛び出るが、この二人の能力は間違いないのでリールも含めて野戦任官の形でこの訓練時に限り特務曹長にしていた。 それもこれも、今回のピクニック……もとい盗賊討伐の実務を取り仕切っていた二人の影響力がでか過ぎた結果である。 手配に準備に兵の選抜、あげくにその選抜時に体を使った面接という形できっちり兵のほとんどを穴兄弟にしているあたり、抜かりはないというかそこまでするか君達はというか。 なお、メイド二人は表に出たら『戦死』か『行方不明』という事で話がちゃんとついている。 何しろ、彼女達を狙っていたのは海軍も同じであり、竜神様とその眷属のメイヴと竿姉妹の契りで結ばれている彼女達は人を辞めて人権が無いくせにその地位は高かったからである。 色々駄目な理由以外にも兵達がこの二人の英独メイドを認めたのが、この二人が欧州大戦の実戦経験者というのもある。 兵にとって上官が馬鹿だと己の生死に関わる。 だからこそ、この選抜に来た兵は実務を掌握するこの二人のメイドを見て、その命を駆ける事を誓ったのである。 その意味では、辰馬すら凌駕する影響力を握っていたと言ってもいいだろう。 もっとも、同じ実戦経験者である辰馬はこれ幸いと丸投げするつもり満々だったりするのだが。 「冒険者達は?」 辰馬の言葉にベルが答える。 気合が入っているのだろう。 ピンと立った猫耳が凛々しい。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/49
50: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 「私が監視する予定で、使用人の家と裏口を固めさせているわ。 残りで正門と館の警備をお願い」 黒板に書いた館の見取り図の使用人の家にチョークでベルは丸を書いた。 それを見ていたアンナがベルに質問する。 「家畜小屋は?」 「今、腰を振っている家畜(黒長耳族)は館の中だし、残っているのは馬と牛だけよ。 無視して良いんじゃない?」 それを聞いたナタリーが口を挟む。 彼女は考えられる可能性のその上を行かれた事を欧州の戦場で学んでいた。 「館で押さえる防衛線は作ります。 これで黒長耳族を連れ出されたら後悔しきれないから」 それを辰馬は了承する。 「わかった。 第一分隊は門、第三分隊は館で深夜二時に持ち場を交代。 ベル・アンナ・ナタリーの三人は話し合って誰か二人が常に起きている形にしてくれ。 俺とリールも交代で休む。 ベル。 考えられる盗賊で一番やっかいな状況を教えてくれ」 顎に手を置いてベルが考えうる最悪の状況を語る。 「相手がただの盗賊ならいざ知らず、魔術師がいる可能性もあるわ。 眠りの雲で見張り全員夢の中とか、従者形成魔法による囮とか…… とにかく一人魔術師がいるだけで、危険度は格段にあがるのよ」 今度はリールが提案する。 「各分隊にそれぞれ一人ずつメイドを送るから対魔術戦闘用に使ってください。 メイド隊はお二人以外は対魔戦闘経験者です」 「それでいこう。 何も無かったらいいが、多分何かあるぞ」 辰馬のあてのない確信は見事的中する。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/50
51: 竜神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [sage] 深夜 使用人の家 「来た」 シルドアがかけていた感知魔法に何かが引っかかる。 ガノンがティターロを起こし、ハイラムがフェルナを起こす。 ベルは休んでいた組だったが、シルドアが起こす前に起きて獲物の投げナイフを手に持っていた。 「何処?」 「屋敷の角の所。 多分、ウッドゴーレム。三体」 「相手に魔術師がいるのが確定……っと。 囮の可能性が高いけど放置するわけにはいかないわね……今、テレパスでリールに連絡を取った。 こっちに増援四人が来るから、来たらウッドゴーレムを片付けてくれって」 ベルの言葉にティダーロが肩をすくめる。 「気楽に言うが、館の警備薄くして大丈夫なのか?」 「ま、雇い主のお手並み拝見といきましょ……ふぁ。 私たちは私たちの仕事をするまでよ」 五分もしない内にアンナが兵士二名とメイド一人を連れてやってくる。 その時、正門前にもウッドゴーレムが三体現れて、ナタリーがその排除を命じていた。 「アンナ。 ここお願い。 私は本命の所に行くわ」 ベルが館の中に戻ろうとするので、アンナは一つだけ尋ねた。 「で、本命は何処から来ると思うの?」 「決まっているじゃない。 上か下よ」 ベルの予想したとおり、盗賊ジャミルナは空からやってきた。 彼女の立てたプランはこうだ。 ギルドとは無関係な冒険者から魔術師を雇い、『夜中にウッドゴーレムを館に向かって歩かせてくれ』と頼む。 当然、見張りはそっちに警戒するし、雇った魔術師も捕まるだろう。 で、その隙に空から進入する。 ダークネスの魔法をかけて闇と同化し、飛行魔法で一気に屋敷の中に入り家畜小屋に降りる。 もちろん、ダークエルフ達が使われているのは承知の上だ。 「……ダークエルフは館っと。 不思議なものよね。 この小屋を焼くだけで金貨十枚ってんだから。 牛や馬の焼肉でも御所望なのかしら?」 だったら、空からファイヤーボールでもぶっ放せばいいのだが、街中での攻撃魔法使用は明確な犯罪になる。 衛視だけでなく盗賊ギルド、魔術協会まで敵に回す愚はさけないとナブレスの中での活動は著しく制限されるからだ。 それに、盗賊名乗っているのにダークエルフというお宝をまったく触らないというつもりはない。 小屋を焼くのが依頼であって、ダークエルフについては自由にしていい言質をもらっていたのだった。 「ほう。 こっちの世界では焼肉は高級料理だったのか」 ジャミルナは聞こえてきた声に向けて投げナイフを放つが、当たった音どころか落ちた音すら聞こえないので掴まれたと判断する。 毒をナイフに塗っているのでそれにひっかかったらとも思うが、そんな甘い考えは淡々と続く声によって否定せざるを得ない。 「一手、ご教授願おうか」 「断る」 眠りの雲を発動させてその場を離れると、さっきジャミルナが投げたナイフがジャミルナが居た場所に刺さる。 眠りの雲から飛び出る拳をかわしたジャミルナが家畜小屋から飛び出る。 「侵入者だ!」 「家畜小屋で誰かが暴れているぞ!」 館の入り口に眠りの雲を打ち込み、出てきた兵士が銃を手放して次々と倒れこむ。 その隙にファイヤーボールを家畜小屋に叩き込み、その結果を見る事無くジャミルナは飛行魔法を使って二階のガラスを割って二階に飛び込んだ。 「家畜小屋に火がついたぞ!消せ!」 「賊は何処に行った!」 「二階のガラスが割れてる!」 「逃がすな!」 ジャミルナは最初からこの館の見取り図を入手しており、この高級娼婦用の部屋には隠し通路が地下水道まで繋がっているのを知っていた。 もちろん、この隠し通路は相手も知っているだろうが、この通路を安全に使う為に仲間がいるはずなのだが…… http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/51
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