アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
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556: 2016/02/02(火)05:01 ID:NIxThEz.0(17/29) AAS
>>549 の続き。早く起きて目がさえてしまった。
欧米諸国の軍隊が異世界に行くまでかなり時間がかかりそうです。

匿名希望の東ドイツ人民警察機動隊隊員
「ポーランドの社会改革が始まった頃から大小のデモが頻発していましたが、11月からは『ベルリンの治安すら守れない政府はいらない』という掛け声の下、
それは急速に大規模化、過激化していきました。人民警察はデモに圧倒されつつありました。
市内各所や周辺村落からひっきりなしに出動要請がありましたが、我々機動隊はライプツィヒ中心部の治安維持で精一杯でした。
それでもあちこちで散発的に起こる大小のデモを鎮圧するために出動を繰り返した我々は時間とともに消耗していきました。
規定ならば、警察力で治安を維持できない場合、人民軍が投入されることになっていましたが、
我々の出動要請に対し近くの基地の司令は『命令がない限り我々は動けない』という返事しかしませんでした。
指示を出すべき政府が自分たちの居るベルリンを『完全に』封鎖したために、命令を出すことも出来なくなって指揮系統は混乱しつつありました。
省1
557
(1): 2016/02/02(火)05:02 ID:NIxThEz.0(18/29) AAS
ジェイコブ大統領補佐官は当時のことをこう振り返る。
「東ドイツはその統治機構を全てベルリンに集約していました。
そのため、ベルリンが極度に混乱するような事態があった場合、政府が機能不全に陥る可能性があったことはホワイトハウスの我々も承知していました。
あの事件とその後の封鎖措置はその事態を引き起こすのに十分なものでした。あの頃の東ドイツは火がついた状態でしたが、それが原因で火を小さい段階で食い止めることに完全に失敗しました。
CIAは東ドイツ当局がすでにデモを統制しきれていないことを報告していましたが、その頃には情勢は日に日に悪化していく一方であったことを西ドイツの一般市民は知っていました。
東ドイツから流れているラジオやテレビといった各種放送が、1つまた1つと届かなくなっていたからです。東ドイツがすでに崩壊へと進んでいたのは明らかでした。」

ソ連副外相だったルビノフは回想する。
「隣の家が火事になった時、それを黙ってみている人はそういないでしょう。なぜならそれを放っておけばいずれ自分の家も燃えるからです。
東ドイツは外交機関も麻痺状態に陥っていたため、かの国の政情不安に対して、最初にわが国に対応を求めたのはポーランドでした。
それに応じる形で我々は対応策を協議していました。その中でいくつかのプランが出ました。
省7
558: 2016/02/02(火)05:05 ID:NIxThEz.0(19/29) AAS
投下終了。
先生助けて!東ドイツ君が息をしていないの!
先生が出した処方箋とは・・・?
559: 2016/02/04(木)19:46 ID:RdMeM99M0(11/21) AAS
乙でした
統治機構を首都に集中させてる国家が首都を封鎖…確かにあの状況下では必要な措置なのでしょうが
それが混乱する東独にとどめを刺してしまったようですね
そして西ドイツの提案とは……次の話が楽しみです
560: 2016/02/18(木)07:49 ID:NIxThEz.0(20/29) AAS
>>557の続き投稿します。
題名を決めたいと思う今日この頃。
561: 2016/02/18(木)07:50 ID:NIxThEz.0(21/29) AAS
ジェイコブ補佐官
「我々は西ドイツ首相の訪米は東ドイツにソ連軍が展開した時に我々が対応することを要請するためのものだと考えていました。
ですから東ドイツ問題を討議するためにホワイトハウスにやってきたコール首相が言い出したことに我々は驚愕しました。
東ドイツが単独で事態を収拾することができないことは我々も認識していましたが、まさかその解決法に
『東西ドイツを統一しボン政府の元で秩序を回復させる』なんてことを提案するとは思ってもいませんでした。ブッシュ大統領は私にどう思うか尋ねました。
その時私は、我々が東ドイツに対しできることは非常に限られていることは事実であり、その中で西ドイツの提案は考えられる限りでわが国が最も制御しやすい方法である、と答えました。
そこで大統領は、ソ連の同意を得ること、統一後もNATOに留まり軍をその指揮下に置くことを条件にその提案の準備を進めることに同意しました。」

ルビノフ副外相
「西ドイツ主導によるドイツ統一に対して政治局は大きく割れることになりました。
西側主導のドイツ統一は東欧における政情不安をさらに煽る結果となり、結果としてソビエトの勢力圏が大幅に後退するとして保守派は頑なに拒絶しました。
省4
562
(1): 2016/02/18(木)07:50 ID:NIxThEz.0(22/29) AAS
西ドイツの外交官だったバーデンはこう語る。
「西ドイツからすれば、この一連の出来事は、言い方は不適切かもしれませんが、絶好のタイミングでした。
事実として東ドイツは急速に崩壊して統治能力を喪失しつつありましたし、ブランデンブルク門事件によってベルリンを守る駐留軍が十分な能力を持っていなかった、と西ドイツ国民がみなすようになり、結果として東西ドイツ市民の間で『責任ある政府による』西ベルリンを含めた統一への機運を急速に膨らませることになりました。
コール首相の決断は、現実的なものよりも、そういった民意や機会に後押しされた政治的な選択だったと思います。
首相は、米ソのどちらかが統一に反対することで、『外圧に屈する』形でこの決断を撤回できると考えていました。
しかし、両国の承認が得られた以上、我々は『実行されることは無いであろう計画』にのっとって事を進めることになりました。
そして事態は我々の想像をはるかに上回る速度で展開していきました。」

1989年12月、西ドイツとアメリカ、ソ連、フランス、イギリスの外交官が秘密裏に会合を開き、ドイツ統一に関する合意を行った。
この秘密合意は、「クリスマス決定」と呼ばれており、西ドイツによる東ドイツの編入、統一ドイツのNATO加盟が合意されたとされる。
会合が行われている頃、ライプツィヒ市役所がデモ隊に占拠されると東ドイツ政府はデモ隊の要求を呑む形で憲法の第1条前文を停止する決議を議決。
省5
563: 2016/02/18(木)08:01 ID:NIxThEz.0(23/29) AAS
投下終了。
まあ無難な解決に。というよりアメリカ様が一番自由に動いてもらうにはこうするのが手っ取り早かったわけで。

どんな題名をつけるか悩み中。今のところ思い浮かぶのは

Another Escalation
World in conflict (ともにゲームが元ネタ)
War between the worlds (宇宙戦争の原題のもじり)

あたり。意味は各自でぐぐるなりしてください。
564: 2016/02/18(木)13:00 ID:N4LGwyBQ0(1) AAS
乙です
史実では東独市民が自由と豊かさを求めたことによる影響が大きいドイツ再統一ですが、
こちらの世界では西独が東独及び市民を防衛するという形での再統一となりましたね
本事件の解決後も、ドイツ国民の東西間の意識は大きく変わりそうです
ソ連も多額の資金援助が貰えるし、経済的には一息つくかな?
本事件に上手く対処できず、西ドイツ及びアメリカに丸投げしてしまったのは超大国ソ連の終焉と冷戦の終結を意味するでしょうね
565: 2016/03/05(土)19:21 ID:NIxThEz.0(24/29) AAS
ご無沙汰してます。年度明けから忙しくなりそうです。
今回は>>562の続き・・・ではなく試験的に「小説」を意識して書いた番外編を投下します。
試験的な意味合いが強いので今回は米軍ではなく東独軍がメインです。万一「なかったこと」にしても今後に響かないと判断したためです。
というわけでベルリン防衛線まで時計は巻き戻ります。
566: 2016/03/05(土)19:26 ID:NIxThEz.0(25/29) AAS
1989年11月14日未明、アレクサンダー広場

事件発生後、市街地からの民間人の退避とともに必要な建物の接収が進められ、ベルリンテレビ塔は双眼鏡を持った兵士が上から敵の様子を監視し、
そのふもとにあるアレクサンダー広場はシュプレー川に近いこともあり臨時の前線指揮所、物資集積所となっていた。

「第40航空突撃連隊第1大隊第2中隊、ディートリッヒ大尉、ただいま参りました。」
既に他の中隊長は席についていた。指揮所のテントに入った彼を出迎えたのは大隊長のハイマー中佐である。
「大尉、忙しいところよく来てくれた。時間が無いから早速始めよう。事件発生から3日間が過ぎた。
暴徒たちの詳しい情報は未だに不明だがその破壊活動をシュプレー川で押しとどめ、その間に中心街から民間人を避難する時間を稼ぐことが出来たのは不幸中の幸いだろう。
しかし我々とて守ってばかりはいられない。暴徒たちを鎮圧し川の向こうの秩序を取り戻さなければならない。我々はこれから反撃に転ずる。」
そう前置きを述べたハイマーは作戦の概要と各部隊の動きを説明していく。
「我々航空突撃連隊第1大隊は最も重要なウンター・デン・リンデン通りを進んでもらう。
省3
567: 2016/03/05(土)19:28 ID:NIxThEz.0(26/29) AAS
1989年11月14日 0600時 シュプレー島共和国人民宮殿前
一国の首都で軍隊が戦っているにもかかわらずその日の朝は静けさに満ちていた。西側で銃撃戦が繰り広げられているのか遠方からの銃声がやや耳に障る程度である。
エンジンをうならせ準備を整える軍を警察官や労働者階級戦闘団の民兵達は頼もしそうに見つめていた。
防衛線を張っていたが飛び道具は弓矢や投石のたぐいがほとんどで、しかも地面は石やセメントで舗装されていたのもあり、
地面を掘る上に天井のない塹壕やたこつぼの類は少なく、土嚢や木、鉄板で作った簡単な屋根のある掩体が主力で、
放棄されたトラバントを敵に向けて配置し、タイヤを外して天井に縛り付け、シートやハンドルを外してスペースを広げてボンネットに機関銃を取り付けた簡易トーチカなんてものもある。
『暴徒』は前の戦争でのソ連軍のように機関銃に対して正面から突撃してくるのが常であったが、夜間は休養のためか行動をほとんど起こさなかった。
そのため守備隊は夜間に必要な装備や弾薬の補給を得ることが出来た。そんな夜中に打ち合わせを行い、攻勢の準備を整え、今、夜明けとともに反攻に打って出ようとしているのである。

「よし、準備はいいな!」
ディートリッヒは大声で部下と自分自身に言い聞かせる。すでにSPW装甲車は暖機運転を済ませ機関銃も補給部隊が用意した新品の弾薬ベルトが付けられている。
省15
568: 2016/03/05(土)19:33 ID:NIxThEz.0(27/29) AAS
前半部分投下終了。

航空突撃連隊って名前は降下猟兵よりもかっこいいですよね。
正直な話東独で書いた理由のひとつはこの単語を使いたかったことだったりします。
569: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/03/06(日)00:28 ID:xxTn6KSs0(1) AAS
SS投下お疲れさまであります!

東独軍は装甲部隊を主力に大反撃に転じるようですが、そのあとの末路が以前出ていただけに、
何とも言えない気持ちになりますね。
とはいえ、曲がりなりにも統一できたからまだマシ・・・と言えるのかな。

>航空突撃連隊
自分もこの響きは良いと思いますね。立ちはだかる障害は何もかも蹴散らしてくれそう。
そして、精鋭部隊も含めた彼ら東独軍の活躍は如何に・・・次の投稿もお待ちしております!
570: 2016/03/06(日)19:43 ID:RdMeM99M0(12/21) AAS
投下お疲れ様でした
航空突撃連隊(ルフトシュトゥルムレギメント)……原語でもかっこいい響きですね
そして後半ではついに敵である異世界の軍勢の具体的な姿が明らかになるのかな?
次回の投下、楽しみにお待ちしております
571: 2016/03/14(月)03:46 ID:HqZOk9Ts0(1/2) AAS
しくじり先生
urx.mobi/sCIF
572: へへ 2016/03/15(火)04:09 ID:HqZOk9Ts0(2/2) AAS
HUNTER×HUNTER
irohaya.xyz/ieae
573: 2016/03/20(日)17:56 ID:NIxThEz.0(28/29) AAS
ベルリン市街戦、後半部分投下。

銃声が一段落し第3中隊長から橋を確保した旨の連絡が入ると車列は一挙に動き始める。
敵戦線に開けた穴に多数の戦力を注ぎ込み傷口を広げるかのごとく浸透することはドイツ人民軍及びその模範となったソビエト連邦軍の基本である。
当然ながら自分の背後には自動車化狙撃兵連隊のSPz-BMP-2が列を成し、突破口となるウンター・デン・リンデン通りから横に広がる準備を整えている。
そして車列が動き出した頃合を見計らってか上空を複数のMi-8ヘリコプターが通過していく。
Mi-8には我々の仲間である第4中隊が搭乗し、彼らをフンボルト大学などの重要な建物に降下させ、地上部隊がその建物に取り付くまで側面に配した機関銃で支援する手はずになっている。

人や怪物の死体や破片が折り重なり血が川となってシュプレー川に注ぐ橋を越える。
フンボルト大学は渡河地点から200m弱の所にあるので、敵と交戦しながらといっても到着までそれほど時間はかからない。
到着した頃には第4中隊はすでに降下を完了し大学の天井を何箇所か爆破して中に入ろうとしていた。

「こちら第2中隊、大学に到着、これより生存者の捜索と内部の掃討を行う!」
省21
574: 2016/03/20(日)18:00 ID:NIxThEz.0(29/29) AAS
投下終了。東ドイツ軍に申し訳ばかりの光を当てておきます。
次からは異世界へ進出する諸々の準備のお話を予定。
575: 2016/03/25(金)19:58 ID:RdMeM99M0(13/21) AAS
遅くなりましたが投下乙でした

>これは東ドイツにおける最後の勲章の授与であり、唯一の戦功に基づく勲章の授与となった
未知の侵略者から祖国と人民を守って戦い、その戦功により勲章を授与された人民軍の兵士たち
しかし彼らが守った祖国は程なくして消滅…諸行無常、盛者必衰が世の理とはいえ、せつない話ですな
次回の投下も楽しみにお待ちしております
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