アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/
上
下
前
次
1-
新
通常表示
512バイト分割
レス栞
このスレッドは1000を超えました。
次スレ検索
歴削→次スレ
栞削→次スレ
575: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 遅くなりましたが投下乙でした >これは東ドイツにおける最後の勲章の授与であり、唯一の戦功に基づく勲章の授与となった 未知の侵略者から祖国と人民を守って戦い、その戦功により勲章を授与された人民軍の兵士たち しかし彼らが守った祖国は程なくして消滅…諸行無常、盛者必衰が世の理とはいえ、せつない話ですな 次回の投下も楽しみにお待ちしております http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/575
576: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 新しい作品が投下されているのをついさっき知りました 投下乙です Gateなんかは首都の中心部に門が現れたことで他国の軍を入れない言い訳に使ったと聞きますが こちらでは駐留していた他国の軍隊が思ったよりもたよりなくて自分たちで再び統一へ向かうと言った形でしょうか アメリカよりも内情がヤバイソ連政府のほうが頭を抱えていそうな事件ですね 西ドイツ人「ついでだし戦闘に紛れて西側に飾ってある戦勝記念のT-34を破壊しておこう」 次の投下も待ってます http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/576
577: 名無し三等陸士@F世界 [sage] ご無沙汰しております。 続きが上がったので投下します。 今回は時系列をベルリン事件の直後に設定しなおし、異世界進出の準備を進めて行こうと思います。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/577
578: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 『ごきげんようみなさん。NATO司令部に各加盟国首脳をお迎えすることが出来て光栄でございます。 こういった会議が12ヶ月以内に2回開催されることはNATO結成以来始めての出来事であります。』 12月3日ブリュッセルNATO総司令部でのマンフレート・ヴェルナー事務総長のあいさつ 東ドイツで深刻な政治的混乱が起こっていた頃、主要国の間では「もう1つの問題」についての議論が進められていた。 ブランデンブルク門での騒乱の調査が進むにつれて、この事件が単なる「暴動」ではなく「組織的で計画された攻撃」であること、そしてそれを行ったのは先の見えなくなったブランデンブルク門(後に異世界のよく似た門と入れ替わってしまったことが判明する)の先にあるであろう異世界の軍勢であることが分かってきたからである。(この「非科学的な」現象に科学者たちの間でも大きな論争が起こったがそれは脇においておく) 主要国が「異世界の問題」に対してまず重要視したのは、どの組織が主導権を握るか、という「管轄」の問題であった。ドイツやフランスは「これはヨーロッパの問題でありヨーロッパで解決すべきだ」として(西)ヨーロッパによる解決を望んだ。 一方でアメリカやイギリスは「これは軍事的要素が非常に大きく絡んでおり大規模な軍事行動も視野に含めなければならない」としてNATOによる解決を提案し、東欧諸国などは「これは世界全体で当たるべき問題である」という理由から国連が主導すべきと主張した。 これを象徴するかのように、ブリュッセルでは11月末のNATO理事会にて「11月9日に発生した事態(ブランデンブルク門事件)は(当時ベルリンを占領していた)アメリカ・フランス・イギリスへの攻撃であり、北大西洋条約第5条の適用範囲とみなす」という内容の決議を採択すると、 12月初頭にはワルシャワで東ドイツの代表が欠席する中「ベルリンで発生した事件についてワルシャワ条約第4条を適用することを認める」旨の決議を採択した。 ただしこの決議には「適用についての最終的な判断はドイツ民主共和国政府が行う」という付帯条件が付けられ(しかも判断を下す前に政府が消滅する)、 またソ連はワルシャワにおける決定に賛成を投じた一方で「いかなる組織が解決に当たるとしても、この問題の処理に当たっては十分な透明性を維持しつつ理性的に行わなければならない」と述べるなど国家としての姿勢を明確にはしなかった。 これを受けてポーランドやチェコスロバキアなど東欧諸国はヨーロッパ以外の共産国や反米感情の強い国などと共同で国連にこの問題を提起することを試みたが、 アメリカ・フランス・イギリスの反対を受けたばかりかソ連や中国の支持も取り付けられない有様で到底実現可能なものではなかった。 最終的にイタリア、日本、オーストラリア、カナダ等の賛同を取り付けたアメリカとイギリスの提案に決定されることになるが、いずれの場合であれ、「東ドイツ問題」を早急に片付けることが必要である点では一致していた。 そのため「クリスマス決定」を主軸としたいささか強引とも言えるドイツ再統一が実行されたのである。関係各国が外交交渉を重ねていた頃、ベルリンの市内は緊張に包まれていた。 警察署長 「11月以降の西ベルリンは1945年のような雰囲気に包まれていました。崩れた建物があちこちにあって、その前をジープに乗ってライフルを担いだ駐留軍兵士が巡回していました。 市民たちは街角に立つ兵士たちを見て萎縮していました。しかし、今回の事態は警察だけで手に負えるような問題ではないことも事実でした。11月の悲劇を食い止めたのは彼ら自身であることは明白だったからです。 駐留軍がティーアガルテンの森を切り倒し、機関銃や対空砲を据え付け、コンクリートの壁で覆って軍事基地としていく様を我々警察官は遠巻きに見ることしか出来ませんでした。 酒場では、市民たちがそれを指して『鉄のカーテン』だと皮肉っては笑い話にしていました。」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/578
579: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下完了。進行速度が亀のようなものですがね。 引越しの関係でIDが変わりました。数ヵ月後また変更されるかもしれません。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/579
580: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 乙です。着々と異世界進出の準備が整っていますね 先の攻撃で異世界軍側の捕虜はどのくらい獲得できたのか? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/580
581: 名無し三等陸士@F世界 [sage] こんばんは。 異世界側の設定がまとまらないので現代側の政治論争とかを扱っていることは「とある政府機関(OGA)」の機密情報だ、いいね? あと戦勝記念碑のくだりは後で扱うかもしれませんね。 とりあえず投下します。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/581
582: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 警察署長 「11月以降の西ベルリンは1945年のような雰囲気に包まれていました。崩れた建物があちこちにあって、その前をジープに乗ってライフルを担いだ駐留軍兵士が巡回していました。 市民たちは街角に立つ兵士たちを見て萎縮していました。しかし、今回の事態は警察だけで手に負えるような問題ではないことも事実でした。11月の悲劇を食い止めたのは彼ら自身であることは明白だったからです。 駐留軍がティーアガルテンの森を切り倒し、機関銃や対空砲を据え付け、コンクリートの壁で覆って軍事基地としていく様を我々警察官は遠巻きに見ることしか出来ませんでした。 酒場では、市民たちがそれを指して『鉄のカーテン』だと皮肉っては笑い話にしていました。」 西ドイツのフロム将軍はこう語る。 「12月の緊急首脳会議でも、6月の定例首脳会議でも、公式の発表に『共同戦線』という単語を明記することはありませんでした。 ドイツが統一されるまで、いわゆる『西ベルリン問題』はNATOの問題ではありませんでしたし、またドイツの問題でもありませんでした。 あの問題について議論できたのはそこに軍隊を置いていた米英仏の三ヶ国だけで、ドイツ政府がそれに直接関わることができたのは、ドイツが統一されベルリンが正式にドイツの管理下に置かれてからでした。 もっとも、NATOによる解決が採択された時点でドイツ連邦軍を含めた各国の軍隊は『NATO軍の一員として』ブランデンブルク門の問題解決に加わることになりましたが、 他のNATO加盟国はソ連を刺激しかねないような行動に積極的に参加することをよしとしませんでした。」 フランス外務省のクールベ事務官はこう述べる。 「ミッテラン大統領は性急なドイツ統一には反対していましたが、統一が現実的なものになるにつれて統一されたドイツに対して何かしらの影響力を保持することを考えるようになりました。 その中でまず考えたのがブランデンブルク門とベルリンに駐屯するフランス軍の存在でした。 彼はこれを用いることで門の管理を行うという形である程度の影響力を得られると判断し、それをいかに大きくするかを考えていました。 またフランスはブランデンブルク門がヨーロッパ再興の切り札になると考えていました。そのためこの問題を処理に海の向こうの超大国を介在させることは避けなければならないと考えていました。 アメリカが主導権を握ればフランスにとって門を維持する理由が失われる可能性があったからです。しかしながら、それらを実現するのは元々から困難でした。 アメリカが主張していたように、西欧諸国の軍隊はアメリカの支援無しに大規模な軍事行動を展開することは困難であったことはもちろんですし、 わが国の提案を支持してくれるだろうと我々が予想していたイギリスとイタリアがアメリカに付いたという誤算もありましたが、 そもそもとして当時のヨーロッパは経済面での統合が進んでいた一方で、外交や安全保障の面では明確な進展が無かったことが最大の理由でした。 当時のヨーロッパでは超大国と対等に交渉することなど最初から不可能だったのです。」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/582
583: 名無し三等陸士@F世界 [sage] ジェイコブ補佐官 「大統領はNATOに解決させることによって自分が主導権を握ると同時にソ連の介入を最小限に抑えられると考えていました。しかし私はソ連の介入する余地は十分にあると思っていました。 東ドイツには多くのソ連軍が駐留しており、そこに西側諸国の軍隊が多数駐留すれば情勢が不安定になると考えていました。 またソ連がベルリンへ向かう道をいつでも押さえられる立場にあることはドイツ統一後も変わりませんでした。しかしだからといってソ連に対し速やかに軍隊を撤収させることを求めるのは非現実的でした。 東ドイツを含め、東欧に展開するソ連軍の数は膨大なものであり、それを短期間で撤収させるのはたとえ我々が全面的に援助したとしても不可能で、 ましてや今から大規模な戦争を始めるであろう我々にはソ連に対する大規模な援助は難しいと考えていたからです。 そのため私は大統領にベルリンへの軍隊の移動と展開はソ連の情勢を踏まえたうえで慎重に行うべきだ、と助言しました。」 ルビノフ副外相 「国内体制の立て直しに集中するあまり、ソビエトの対外的な影響力について軽視しすぎているのではないかという批判が存在していましたが、それは守旧派の意見であり政治局では主流ではありませんでした。 当時のソビエトには他所の喧嘩に口出しするだけの余裕はありませんでしたし、ゴルバチョフ書記長もそれについて全く考えていませんでした。 しかし、ブランデンブルク門を含めた東ドイツ問題の彼の態度は政治局の改革派の面々にも疑念を抱かせるものでした。 疑念を抱いた彼らはゴルバチョフが東欧諸国をアメリカに売ろうとしていると考え、守旧派の意見に共感を覚えるようになっていきました。」 ジェイコブ補佐官 「CIAはゴルバチョフが東欧に介入する意思がないことを報告しており、それを元に軍部は東ドイツでの自由な行動を要求していました。 しかし国務省はそれが現地における偶発的な事態を招くことになると懸念し一定の歯止めを利かせるように進言しました。こういったホワイトハウス内でのいざこざはよくあることです。 最終的に大統領はソ連との交渉の結果を見て決定すると判断し、私に交渉するように命じました。 細かい内容は機密ですが、クレムリンで行われた交渉の結果、ソ連はベルリン内での軍隊の自由な活動を認めることとベルリン周辺のソ連軍を最優先で撤収させること、 それらの代わりに我々はそれ以外の東ドイツ地域では軍隊を駐留させないこと、地上からのベルリンへの移動ルートは東西分断前に西側が使っていたルートに制限し軍隊の移動をソ連側に事前に通告すること、 指定されたソ連軍部隊の撤収にかかる費用の半分をアメリカが負担することを約束しました。これらから分かるとおり、偶発的な事態を可能な限り避けるという点をソ連の指導者は非常に重視していました。」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/583
584: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下終了。 そびえと の おすみつき を てにいれたぞ !! 今気付いたけど警察署長の台詞がダブってる・・・ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/584
585: 名無し三等陸士@F世界 [] ゲリラ的に投下 『記者のみなさん、合衆国大統領です。』 『質問をお受けいたします。』 『大統領、ベルリンで起こった惨劇は異世界との戦争を意味するのでしょうか?』 『我々はあらゆる可能性を探っておりますが、ベルリンで起こっていることは全く未知の現象であり、それに関する情報が致命的なまでに不足している現在、我々は最悪の事態を想定して行動しております。 これはヨーロッパの防衛に関わる重要な事態を引き起こしかねないため、NATO各国はそれに対応するために限定的な動員をかけております。』 『それに対してソビエトが反応する可能性についてどう思われますか?』 『すでにクレムリンとは話をつけておりベルリン問題に対応している点についてはソ連の確認を取ったうえで行っております。 強調しますが、動員は必要最低限のものであり、これにより核戦争に発展することは無く、また市民生活に影響を与えることは無いことを保障いたします。 多少道路が混雑するかもしれませんがね。』 (異世界との戦争についてどう思われますか? マインツでの街頭調査) 『彼らは我々を攻撃したんだ、それに対して報復するのは当然だ。』 『軍事的解決は必ずしもいい事じゃない。他の手段も考えるべきだ。ワシントンは将軍たちの言いなりになっているんじゃないか?』 『ブッシュは生活に影響はないといったが、現に軍が買い占めてるせいで今年はワクチンの値段が明らかに高いんだ。 このままじゃ今年の冬はインフルエンザが流行るかもしれない。あと妻は卵が値上がりしたとぼやいていたぞ。』 フロム将軍 「アメリカとイギリスの特殊部隊が先んじて情報を収集した結果、2月ごろには門の向こうでも人間の生存やその造形物が機能することに問題がないことが確認されました。 それを受けてNATOでは門の向こうにおける軍事行動の計画を本格的に進めることを決定し、それに応じた部隊の動員と編成を始めました。 これにおいて一番重要とされたのは何よりも感染症対策でした。ガスマスクを常備させ訓練を徹底することはもちろんのこと、部隊における医療関係者の比率を通常より多くし、 手に入るワクチンを可能な限り接種させるとともに、消毒用の消石灰を大量に用意の上、焼却処理のための火炎放射器も各国で調達しました。 我々連邦軍は東ドイツ軍の工兵隊がソ連製の火炎放射器を装備していたためそれを編成に組み込み、一部は小規模な同盟国軍にも貸与しました。 フランスは自軍の武器庫の在庫から必要数を用意しました。自軍の装備にないイギリスとアメリカは外国から調達しました。 大半はカナダやオーストラリアのものだったようですが、アメリカ兵の一部は日本語が記されたものを使う部隊もありました。」 ジェイコブ補佐官 「全く未知の世界に進出するのですからその活動においては病原体の抑え込み、特に持ち帰らないことは最重要事項になります。 消石灰や焼却処理用の装備や燃料は民間市場や同盟国などから購入する形で簡単に用意できましたが、人間の免疫はそうはいきません。 そのため軍隊の準備において一番手間と時間がかかったのは大量のワクチンの用意とその投与でした。 特にワクチンの接種は基本的に一回に1つずつしかできませんし、しかも次の投与まで2週間前後の間を空けなければなりません。 そのため大統領を含めNATO主要国の間では異世界に派兵するのは1991年になってからだと考えていました。 それまでは、偵察も兼ねて少数の特殊部隊を投入する程度でしたが、門を越える際は極めて厳重な検疫が施されました。」 フロム将軍 「NATO軍の動きとして、1990年の3月にはすでにどういった部隊を送るかについて計画はまとまっていましたし、 5月からドイツ南部で共同演習を繰り返して様々な段取りのすり合わせも行われていました。 軍隊として見るならば、ドイツ統一が行われた時点で、すでに我々は命令さえあれば異世界に進出して最低限の活動が出来る段階にあったといえます。 進出することへの問題があるとすれば予定された予防接種が遅々として進まなかったことぐらいだと皆は言っていました。」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/585
586: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下終了。 ようやくNATOが本格的に動き出しました。 これ読んでる人は相当少ないだろうなあと今日この頃。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/586
587: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下乙でした 派遣部隊の編成と合同演習に情報収集のための特殊部隊の投入、そして防疫体制の構築… 華々しい戦闘シーンも良いものですが、戦いの準備が着々と整えられていく様子もまた良いものですね 次の投下も楽しみに待ってます http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/587
588: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下乙 描かれることは少ないですが、やはり未知の場所へ行くのには防疫は欠かせませんよね こっそりDDTを持ち込もう まとめwikiとかに転載されれば見てくれる人も増えるのかな 板まで来ないでまとめwikiのコメント欄にコメントするだけ人も多いみたいだし http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/588
589: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 投下乙です。 これを読んでる少ない人wの一人ですが、こう着々と準備を整えるのはいいものですな~。 ただ、本家ゲートでも触れられていない問題がありまして、 やはり都市部に「門」が開くと兵站等の構築に問題が生じてしまう点があるんですよね・・・ その都市の物流や経済にも悪影響もたらしますし、「門」を移動できないものかと考えてしまうものです。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/589
590: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] こんばんは。お久しぶりであります。 >>581氏 SS投下お疲れさまです! 遂に・・・遂にNATOが動き出しましたか。 異世界側は、次々と現れるNATO軍に対して何を思うのか・・・ それでは、長い間お待たせしてしまいました。 SSを投下いたします。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/590
591: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 第274話 暁から来たる刺客 1485年(1945年)12月9日 午前4時 シギアル沖北東312マイル地点 北洋の海は、本格化した冬によって氷点下近くにまで達していた。 海上をなびく風は弱く無く、波は風に煽られてやや高くなっている。 時折ふぶく突風は、極低温にまで達した冷たい海水を宙高く吹き散らしていく。 そこを、唐突に現れた巨大な物体が腹に応える音を立てながら、鋭い切っ先で冷たい海水を難無くかき分けていく。 物体はその巨体を上下させながら、早いスピードで海上を驀進していく。 真っ平らな甲板に、中央部に纏まった艦上構造物を持つ物体…… もとい、第3艦隊旗艦である正規空母エンタープライズは、周囲の正規空母、護衛艦艇群を率いながら、北洋の海を一路、 西に向かって進み続けていた。 夜闇に包まれた、殺風景な外界から離れたエンタープライズ艦内の一室。 同艦の奥深くにある調理室では、艦橋や艦の張り出し通路で防寒服を着ながら当直任務を行う水兵とは打って変わった光景が 繰り広げられていた。 「チーフ!間もなく最初の奴がアガリます!」 「OK!すぐに第2陣を突っ込めよ!!」 ブリック・サムナー1等兵曹は、部下に指示を飛ばしながら、眼前にある鍋をレードル(お玉)で掻き回していた。 調理室内には熱気が籠っており、サムナーを始めとする炊事兵達は汗みずくとなりながら、朝食作りに没頭している。 エンタープライズの乗員数は、空母航空団のパイロット等も含めて計2800名以上に上るため、朝食を作るだけでもかなりの重労働である。 しかし、そこは場数を踏んでいる事もあり、サムナー兵曹ら炊事兵達は、慣れた手つきで調理を続けている。 調理室内には、一種の刺激臭のような匂いが立ち込め始めていたが、彼らは別に気にする事もない。 サムナー兵曹は無言で掻き回していたレードルを上げ、小皿に少量を付け、それを口に入れた。 「ふむ……いい出来だ」 サムナーは味に満足しながら、再び鍋を掻き回していく。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/591
592: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 調理室内はしばしの間静かだったが、別の炊事兵が油の入った大鍋に、何かを続々と入れていく。 直後に、油がはぜる音が鳴って、室内が再び喧騒に包まれた。 「チーフ!ライスが炊けました!」 サムナーは別の部下からそう伝えられると、彼はその部下に顔を向けてから新たな指示を飛ばし始める。 「ようし、後はいつも通りの要領で頼む。本命も丁度出来上がった。後は……」 そこへ、スピーカーから総員起床の号令が流れ始めた。 艦内アナウンスを聞いたサムナーはニヤリと笑ってから、続きを口にする。 「ヴィクトリーを、腹を空かした皆さん方に召し上がって貰おう。本物のヴィクトリー(勝利)を得て貰うためにもな」 午前4時30分 エンタープライズ艦内士官食堂 エンタープライズでは、午前4時20分に総員起こしの号令がかかり、当直員以外の、眠りに付いていた将兵全員がベッドから飛び起きた。 午前4時30分には幾分早い朝食の支度が艦内の食堂で整えられつつあり、ある士官食堂内でもその準備は着々と進んでいた。 第3艦隊司令長官ウィリアム・ハルゼー大将は、エンタープライズの艦橋で、第3艦隊司令部幕僚達と朝の挨拶を交わした後、 軽い冗談を吐きつつ、朝食を摂るために士官食堂に足を運んだ。 先頭を進んでいた第3艦隊作戦参謀、ラルフ・ウィルソン大佐がドアをノックしてから開く。 室内で準備していた主計兵達は、彼らが入室すると一斉に直立不動の態勢を取った。 「おはよう諸君」 「おはようございます!」 ウィルソン大佐の挨拶に、主計兵達を代表して1等兵曹の階級章を付けた下士官が返答する。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/592
593: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「諸君、続けていいぞ」 ウィルソン大佐がそう言うと、1等兵曹はやや頷き、部下の主計兵達に目配せしてから作業を続けさせた。 司令部の幕僚達がテーブルの側に用意された席に付くと、主計兵達は置かれた皿に朝食を盛りつけ始めた。 「ほう。今日はヴィクトリーカレーか」 ハルゼーは、目の前に置かれた朝食を見るなり、上機嫌な声で主計兵に話しかけた。 「はっ。自分達が気合を入れて作ったカレーであります」 その若い白人主計兵は自信満々といった表情を浮かべながら、ハルゼーにそう答えた。 「ふむ……サムナー兵曹もすっかり成長した物だな」 名前を呼ばれた1等兵曹……サムナー1等兵曹は、ハルゼーに体を向けた。 「長官。お褒めの言葉、ありがとうございます」 「君の発案したカレーライスは、今や合衆国海軍にとって必要不可欠な物となりつつある。今や、このヴィクトリーカレーは、 このエンタープライズのみならず、第3艦隊の艦艇全ての食堂で、将兵達の腹を満たしつつあるだろう」 この時、ちょうど司令部幕僚全員への配膳が終わった。 ハルゼーは、スプーンにライスとカレーを乗せ、それを口元まで近付けてから止めた。 「諸君。このヴィクトリーカレーのように、我々は勝ち取ろうではないか。来たる、今日の勝利(ヴィクトリー)をな!」 彼は快活な声でそう言い放った後、スプーンを口に入れた。 カレー独特のツンとした味わいが広がる。それは咀嚼するごとにより深みを増し、白いライスがその辛さと見事に調和する。 空調が効いているとはいえ、冬の冷気に幾分冷やされていた室内が、ほんのりと暖かくなったようにも感じられた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/593
594: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「うむ、やはり美味い!」 「ええ。これぞまさにカレーライス。頭の中の眠気も打ち消してくれますな」 参謀長のロバート・カーニー中将も口元に笑みを浮かべながらハルゼーに言う。 「このフライされた豚肉も美味いぞ」 ハルゼーはスプーンで切ったカツを頬張りながらカーニーに返す。 揚げた豚肉……日系人からはカツと呼ばれる揚げ物もカレールーとライスに絶妙にマッチしており、口の中で感じる程良い柔らかさと サクサクとした食感は、誰が食べても満足できる美味さであった。 「朝から食べるヴィクトリーカレーか……いやぁ、この艦に乗れて本当に良かったと思いますね」 やや場違いな声音で言う若い青年の声に、ハルゼーも深く頷く。 「うむ。俺もそう思うぞ。ラウスも幸せ物だな!」 第3艦隊魔道参謀としてバルランド軍より派遣されたラウス・クレーゲル少佐は、ハルゼーに言われるなり、まんざらでもなさそうに頭を掻いた。 「しかし。よく実行できましたな……出撃前のカツカレー」 航空参謀のホレスト・モルン大佐は、冷静な声音でハルゼーに言う。 「それほど。各艦の料理長も勝利を掴んでほしいと思っているのだよ。じゃなけりゃ、大は戦艦、空母から、小は駆逐艦まで…… 103人の料理長が集まって計画する事は無かった筈さ」 「個人的には、カレーの知識も多く有している元英海軍艦の料理長達までもが、サムナー兵曹と接触している事に驚いております。 彼らはなかなかプライドが高い筈ですが……」 「サムナー兵曹の料理のセンスはかなりの物らしい。彼らも、サムナー兵曹の腕前に興味があったのだろう」 モルン大佐に対して、ハルゼーはそう答えながら、再び食を進める。 「……予定通り行けば、あと1時間後には第1次攻撃隊の発艦が始まりますな」 「ああ……遂に始まるぞ」 ハルゼーは言葉を区切り、残ったカツカレーを完食すると、幕僚達を見回しながらゆっくりと喋り始めた。 「第3艦隊にとって。そして、シホット共にとって、最も長い1日が」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/594
上
下
前
次
1-
新
書
関
写
板
覧
索
設
栞
歴
あと 406 レスあります
スレ情報
赤レス抽出
画像レス抽出
歴の未読スレ
AAサムネイル
Google検索
Wikipedia
ぬこの手
ぬこTOP
0.529s*