アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
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684: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)15:56 ID:263ZQ54w0(81/225) AAS
(敵の使っている爆弾の威力は……今までに使ったものと同じではないからです)
近くにいた女性士官の言葉が、脳裏に浮かび上がる。
「……ヴェルティンルは新兵器だが……敵も同じように、新兵器を用意していた、と言う事か……!」
ハヴォンソが悔し気に呟いた時、更なる被弾の衝撃が、立て続けにヴェルティンルを襲った。
新たに4発の爆弾を後部付近、並びに後部艦橋付近に浴びたヴェルティンルは、後部付近の火災を更に拡大させられた。
そして、悪夢のような報告が立て続けに舞い込んできた。
「艦長!後部機関部に敵弾命中!機関室内の総員、戦死の模様!」
「艦の高度が下がっています……!まずい、落ちる!!」
省17
685: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)15:56 ID:263ZQ54w0(82/225) AAS
カズヒロは、高度2000まで上がった所でもう1度、爆撃した秘密工場に目を向ける。
秘密工場では、相次ぐ被弾で地上に叩き落とされ、工場を巻き込みながら横転した敵砲艦が黒煙を噴き上げている。
その奥では、工場の中に隠れた母艦が同様に黒煙を吹いているが、吐き出す黒煙の量は母艦の方が多かった。
「やった……ようだな……」
カズヒロは、途切れ途切れの言葉を吐いた。
彼は、今までにない緊張と興奮で体を震わせていたが、操縦桿だけはしっかりと握りしめ、愛機を操縦し続けている。
「2000ポンド爆弾を積んでいたから、あの固い敵艦を撃破する事が出来たのだろうか……」
TG38.3より発艦したスカイレイダー隊は、全機が通常の1000ポンド爆弾ではなく、新開発の2000ポンド爆弾を搭載していた。
この爆弾は、従来の1000ポンド爆弾と比べて2倍もの重量を持ち、威力も大幅に上がるだけでなく、装甲貫徹力も向上していた。
TG38.3司令官であるドナルド・ダンカン少将は、秘密工場爆撃を命じられた時、迷わず2000ポンド爆弾での攻撃を提案した。
省16
686: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)15:58 ID:263ZQ54w0(83/225) AAS
このあたりの指示は、第3艦隊司令部からは何も通達されていなかった。
ダンカンの命令で搭載された2000ポンド爆弾は、初陣で未知の空中軍艦2隻を撃破するという戦果を挙げたのである。
後の歴史家はこう語っていた。
「もし、ダンカン提督が1000ポンド爆弾の搭載を命じていたら、あそこで空中軍艦を叩く事はできても、脱出を阻止するには至らなかった
でしょう。ですが、2000ポンド爆弾だから、空中軍艦を撃破できた。それが、歴史の歯車を大きく動かしたのです」
艦体に爆弾が命中した時、ツンとした匂いが艦橋に伝わる。
直後、殊更に強い衝撃が艦橋を揺さぶる。
艦橋のスリットガラスが音たてて砕け散り、内部に入り込んだ無数の破片が乗員を殺傷した。
次に目を開けるときは、唐突に感じた浮遊感と、直後に伝わる大地震のような強い振動……
人が宙に浮き、また床に叩き伏せられる。
省10
687: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)15:58 ID:263ZQ54w0(84/225) AAS
耳にも、鈍い声のようなものが響くが、籠っていてそれが声なのかも正確に判別できない。
暗い視界の中で、壁に手をついた時は、ぬるりという感触がし、鼻腔にありとあらゆる物の悪臭がこびりつき、何度もむせる。
口からしばしの間、何かを吐き出したようだが、何故だか体が理解しない。
ここは地獄か?
いや、地獄に行く前の果てしない道のりか?
そこに辿り着くまでに要する時間は1時間か、1日か……それとも、10年か?
目の前に現れる白い視界。そして、耳に突き刺さる大きな音。そこでぼやけた意識が途切れる。
省4
688: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)15:59 ID:263ZQ54w0(85/225) AAS
「司令官!」
唐突にハッキリとした声音が響くと、それに反応したハヴォンソは目を見開いた。
「は……グッ!」
彼は右の脇腹のあたりに激痛を感じ、思わず顔をしかめる。
「動かないでください。肋骨をやられています」
「肋骨を……か……」
省13
689: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)16:00 ID:263ZQ54w0(86/225) AAS
女性士官、へミス・フレギル大尉は、ハヴォンソに名前を教えたが、直後に腹を抑えて蹲ってしまった。
「大尉……フレギル大尉……!」
「こっちだ!急げぇ!もたもたするんじゃない!!」
別の方向から声が聞こえると、2、3人の兵士達が彼らを取り囲んだ。
「提督!遅くなり申し訳ありません!今すぐ診療所にお運びいたします!」
「あ…あぁ……よろしく頼む。彼女も……運んでやってくれ。酷い手傷を追っている」
「勿論お運びいたします……おい!こっちだ!担架をおけ!!」
兵士は手招きすると、ハヴォンソの隣に担架を置かせた。
彼はがその間、ハヴォンソの手の汚れを持っていた布で吹いていくが、途中で血の気を引かせる。
省9
690: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)16:00 ID:263ZQ54w0(87/225) AAS
午前9時20分 ウェルバンル東地区
ウェルバンルでは、第1次攻撃隊の襲撃直前から、ひっきりなしに空襲警報が鳴り響いていた。
市内の住民は、シギアル港が空襲されているらしいとの知らせを受けるや、最初こそは冷静であったものの、第2次攻撃隊が首都から
北西にあるスティンヒントルを攻撃した後は、市内各所で避難を始める市民が続出し始めた。
そんな中、通信妨害魔法を起動したレイリー・グリンゲルは、術式を展開した後、重度の疲労でその場に倒れてしまった。
ハヴィス・クシンクが慌てて室内に入ると、レイリーを別室に連れて介抱した。
レイリーと共に首都へ潜入したサミリャ・クサンドゥス中尉は、床に横たわるレイリーの頭に自らの手をかざしていた。
「さっきと比べて、熱は下がっているようです」
「レイリーさん、相当無茶していたようだな。ここに運んだ時は、体は凄く熱かったぞ。まるで、火を付けられていたようだった……」
クシンクは物憂げな表情でクサンドゥスに言う。
省12
691: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)16:01 ID:263ZQ54w0(88/225) AAS
仲間が生と死の間を彷徨っているのを見ると、自分も何かできたのではないかと思ってしまう。
レイリーは1人で術式展開はできるから、クサンドゥスの助力は大丈夫と言っていたが、あの時、強引にでもいいから術式展開を
手伝った方が良かったのではないか?
あるいは、レイリーの血ではなく、自分の血も加えていたら、水晶の効用も良くなり、レイリーも術式展開をやり易くなったのではないか?
あらゆる考えが頭の中を巡ってしまう。
だが、今となっては遅い事である。
「……待つしかないよ」
省11
692: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)16:02 ID:263ZQ54w0(89/225) AAS
「俺としては、無事に終わらせる予定だったが……無様な醜態を晒してしまった。だが、皆には本当に感謝している。ありがとう」
「……レイリーさん!」
いきなり、サミリャがレイリーの体に抱き着いてきた。
「お…おい!クサンドゥス中尉……」
「本当に、心配したんですよ?レイリーさんの熱い体を引きずり出したとき、もう死んでいるかもしれないと思ったほどでしたぜ」
クシンクは腕を組みつつ、苦笑しながらレイリーに言うが、その口調には感謝してくれよ、という気持ちも含まれていた。
「はは……どうも、俺はなぁ。昔から人に迷惑をかける癖が付いちまってな」
省10
693: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)16:03 ID:263ZQ54w0(90/225) AAS
午前9時25分 第3艦隊旗艦 空母エンタープライズ
エンタープライズの艦橋内では、第2次攻撃隊指揮官機より伝えられた報告が、通信参謀のアラン・レイバック中佐によって読み上げられていた。
「攻撃終了。敵港湾施設、並びに、艦船多数を撃沈。敵秘密工場より発進準備中であった新兵器に甚大なる損害を与えたり。
また、湾口の閉塞も完了。敵新兵器の撃破は成功するも、残りの秘密工場は未だに建材なり。敵の迎撃熾烈、第3次攻撃の要ありと認む」
「第3次攻撃の要あり、か」
報告に聞き入っていた第3艦隊司令長官、ウィリアム・ハルゼー大将は、ゆっくりと頷きながら、航空参謀のホレスト・モルン大佐に顔を向ける。
「第1次攻撃隊はもうすぐ帰還だったな?」
「はい。あと5分ほどで機動部隊に到達予定です。攻撃隊の収容には1時間程かかる見込みです。それから……」
省16
694: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/07/26(火)16:03 ID:263ZQ54w0(91/225) AAS
SS投下終了です。
695(1): 2016/07/26(火)20:39 ID:RdMeM99M0(16/21) AAS
ヨークタウン氏、投下乙です
今回も前回に負けず劣らずの内容ですね
巡洋艦撃沈による湾口封鎖、ついにベールを脱いだ秘密兵器とそれをめぐる攻防戦
そしてそのあえない最期…見どころが盛り沢山だ
とどめがハルゼーの「一波乱来るかもしれんぞ」という言葉
次の話が待ち遠しくて仕方ありません
696(1): 2016/07/27(水)00:40 ID:9R7ffzTs0(17/29) AAS
投下乙です
ついに登場した空中艦隊
いや~強敵でしたね(棒)
猛威を振るった2000ポンド爆弾
もし空中に逃げていたらドイツの戦艦ティルピッツのように
デカイ爆弾を戦略爆撃機を使って当てなきゃいけない
みたいな自体にもなりかませんでしたね
攻撃時間的にオールフェスが目にする空中艦隊の姿はもはや鉄くずとなった後の姿
こんな特殊な船を作るのに割りを食った他の部門もあっただろうに
首都ウェルバンルに響くアメリカ艦載機のエンジン音
省8
697(1): 2016/07/27(水)12:15 ID:Xo64bPlI0(1/2) AAS
お膝元を奇襲され新兵器も破壊され....
さて、皇帝がどう判断するか....
徹底抗戦か、講話か。
698(1): 2016/07/27(水)23:32 ID:9/HsxjMw0(3/4) AAS
うおおおおおまた更新きてたぁぁぁぁあああああ
新兵器が逃げ切るのではないかと思いハラハラしてみていました
流石AD-1
しかし全てが上手く行く物でもないですね
次回も期待しております
699(1): 2016/07/28(木)01:15 ID:Pbx6.li60(1/6) AAS
更新お疲れ様です!
こっちの攻撃ターンばっかりでしたがとうとう相手のターンも来るのかな?
しかし秘密兵器もやられちゃったし帝都ももう安全圏ではないし皇帝はこっからどうするのだろうか
そういえば、P-80やB-36の出番が…!
700(1): 2016/07/29(金)19:42 ID:09HlkyNU0(2/2) AAS
青く澄んだ美しい色の魔法石を使った空中戦艦・・・見てみたいもんだ
701(1): 2016/07/31(日)08:03 ID:oJQZp5P60(1) AAS
仮に全隻無事に就航したとしても、アメリカ相手に如何運用するつもりだったんだ?
現状の戦力差じゃゲリラ的に出没して襲撃かける位しか使い様が思いつかんのだが
702: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/08/01(月)19:39 ID:263ZQ54w0(92/225) AAS
皆さまレスありがとうございます。
>>695氏 ありがとうございます。空中軍艦の戦闘シーンはどう展開しようか迷いましたが、このような感じになりました。
初飛行が1日早ければ、難を逃れたんですが……運はアメリカ側についてしまいましたね。
>次の投下
目下、準備中です。今週中には行けそうです
>>696氏 空中艦隊は、その真価を発揮する前にドッグごと爆砕されてしまいましたね……
一応、1000ポンド爆弾で爆撃していたら、確実に高かったんですが、まさかの2000ポンド爆弾でしたので、本当に不運
としか言いようがないです
>国民のパニックはむしろここから始まりそうな感じもあります
その通りですね。大空襲の結果、首都の人口流出は一気に加速するでしょう
省13
703: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/08/01(月)19:41 ID:263ZQ54w0(93/225) AAS
そういえば、ツイッターの方でも報告いたしましたが、自分のpixivに外国の方からファンアートが送られてきました。
それから、韓国のサイトでも、自分のSSがナムウィキという所で大々的に紹介されていたり、韓国のSSサイトでも転載されて
いたりと、海外の方にも読まれているようです
こちらがそのサイトですね。韓国語なので、グーグル翻訳を使った方が読みやすいです。
外部リンク:namu.wiki
(韓国語で、グーグル翻訳でそこそこ分かるようになっています)
無論、色々言われていたりしますが、それでも国内のみならず、外国の方にこのしがないSSが読まれている事に、自分は深く
感謝しております。
省3
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