('A`)シャーロック・ドクオのようです (674レス)
上下前次1-新
475: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:51 ID:pFdVep2A0(8/169) AAS
(><)「うm」
('∀`)「それと同じことなんだよ、ワカンナイデス。
犯罪学や犯罪史を学ぶと、日夜世に生まれ来る、新たな事件から目が離せなくなる」
(><)「ふむふむ。なんだか分かるようで、分かんないです!!」
('∀`)「そして新しい曲を聞いた時、
『そういえば、この曲ってあの曲と似てるな』って思ったことはないか?」
(><)「あるんです!怒りの余り、僕は何度、眠れぬ夜を過ごしたことか……」
476: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:52 ID:pFdVep2A0(9/169) AAS
AA省
477: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:52 ID:pFdVep2A0(10/169) AAS
そして彼の生活で、特筆すべきことと言えばもう一つ。
彼は時たま、おかしな時間に爆睡しだすのである。
何せ彼は、
('A`)『昨日は深夜、調べものをして起きてから眠いんだ』
('A`)『探偵に必要なのは頭脳。だからそれを休ませることも仕事の内だ』
省2
478: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:53 ID:pFdVep2A0(11/169) AAS
彼は確かに、しばしば定時を過ぎても、書類やパソコンと睨めっこしている。
彼の興味を刺激し、心を占有している仕事や事件に、夢中になっているのだ。
仕事が好きというのは、何とも素晴らしいことなのだが、
そのツケが昼間に来るのは、褒められたものではないし、
次の日、一緒に仕事をするものに対して、非常に失礼なことである。
彼を慕い信頼する助手のワカンナイデスでさえ、この癖には怒りを感じていた。
最初こそ、そうやって憤っていたワカンナイデスであった。
しかし悪巧みに関しては、かの大悪党モララーもびっくりの彼のことだ。
この自分の上司の寝ている時間を、休憩時間と考えだし、
ドクオにばれぬよう静かに、けれど全力で仕事をサボり始めるようになった。
479: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:53 ID:pFdVep2A0(12/169) AAS
('A`)「今日も寝るわ。マジ眠いわ」
(><)「さささ、どうぞどうぞ、名探偵シャーロック・ドクオ様。
玉座におかけくださいませ。そして安らかな眠りを御堪能くださいませ」
味をしめた小悪党は、このようにして彼に睡眠を催促するまでになっていた。
('A`)「お前、なんか最近優しいな」
ドクオは初め、彼が自分を思いやってくれるようになったのだと、小さな感動を覚えていた。
省2
480: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:54 ID:pFdVep2A0(13/169) AAS
(><)「いえいえ。ワタクシめは『人に優しく、己に厳しく』をモットーに生きておりますので。
普段と何の変わりもない愛すべき探偵助手、ワカンナイデスで御座います」
何だか、妙に怪しい。
ドクオはその日、寝たフリをした。
ソファから薄目を開けて、彼を観察した。
ワカンナイデスは、ドクオが眠りに落ちたか否かを、チラチラと確認し続けた。
結局、彼のダミーのイビキに引っかかり、推測通り見事なまでにサボりだした。
ドクオが愛用している高そうな椅子に座り、乱暴に机に脚をのっける。
そして欠伸をしながら、鞄から取り出した漫画を読み始めたのだ。
481: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:54 ID:pFdVep2A0(14/169) AAS
AA省
482: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:55 ID:pFdVep2A0(15/169) AAS
そして彼の怒りは静まったかに思えた。
しかしその後、ドクオが彼のパソコンをこっそり調べた所に拠ると、
睡眠薬の入手方法、そしてその投与方法の検索履歴があった始末である。
半ば冗談のつもりで減給と言っていたドクオは、この時初めて本当に減給をした。
小悪党の悪事の数々は、こうして日の下に晒されることとなった。
483: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:55 ID:pFdVep2A0(16/169) AAS
そして、毒田ドクオが『変態』というべき、最大の理由。
それは、彼の仕事への情熱であった。
ドクオにとっての探偵職というのは、彫刻家が石を彫り、
小説家が物語を創造し、画家が筆を動かすようなもの。
世のため人のため、というのも勿論ある。
しかし彼にとっては、それ自体に見出される大きな意味があった。
考察のための考察、探究のための探究、推理のための推理。
そういう意味で、彼は芸術家か、教授といった人種と似ていた。
484: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:56 ID:pFdVep2A0(17/169) AAS
生計を立てることなど二の次。
そこが、普通の探偵とは違うところだった。
彼にとって、推理は自らの才能を生かす知的作業。
そして何より、至上の喜び。
昼でも夜でも、その才能を研磨する作業を忘れない。
『好きこそものの上手なれ』という言葉が示すように、
人間の発揮し得る、最大限の力というのは、
技能への最大限の心酔と、最大限の集中力のもとで生まれる。
これこそ、彼が『名探偵』と言われる所以であるのだ。
485: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:56 ID:pFdVep2A0(18/169) AAS
そして同時に、この彼の特徴は短所でもあった。
探偵業は本来、今の彼が行っているように、刑事事件は扱わない。
顧客の依頼する、浮気調査だとか、尾行、世論調査が主な活動だ。
患者の面倒を見るのが、医者であるように、
事件の面倒を見るのは、探偵ではなく刑事である。
486: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:56 ID:pFdVep2A0(19/169) AAS
しかし、彼は元刑事ということもある。
そのコネクションで繋がっているモナー警部が、
助言を求め、刑事事件を持ち込んでくるようになる。
ドクオは、警視庁で腕を奮っていた昔の日々の、懐かしさが蘇ったのだろうか。
夜も眠らない勢いで、その推理に没頭し、
現場へ向かうため、たびたび事務所を空けるようになる。
その間は、本来探偵が応えるべき、一般人の持ち込む依頼など興味すら示さない。
彼は、助手のワカンナイデスに投げるか、ブツブツと文句を垂れながら引き受けるか、
最悪の場合、忙しいなどと嘘をついて、顧客を追い返すのだ。
487: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:57 ID:pFdVep2A0(20/169) AAS
ドクオがやる気のない間に、ワカンナイデスがちょっとだけ頑張っていた。
『名探偵ワカンナイデス』などと、救いようのない名前を掲げ、
名声を手に入れようと奮闘しだしたのだ。
そうして内に秘められた脅威の才能を、発掘しようと試みていた時期もあったが、
燃えたぎっていた野望は、ほどなく彼の飽き性によって潰えた。
結局、彼もドクオと一緒にグレ始めることになった。
488: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:57 ID:pFdVep2A0(21/169) AAS
ドクオの『名探偵』の評判に対して、毒田探偵事務所の客や収入が少ないのは、
こんなとんでもない二人がいるからに違いなかった。
所詮は探偵業など、需要の少ない業界でしかない。
彼らの収入は、本当に雀の涙ほどだった。
しかしその少なさに反比例して、彼らの顔は、どういう訳か毎日生き生きとしていた。
以上が、毒田探偵事務所の名探偵シャーロック・ドクオ、
ついでにその助手ワカンナイデスの、『変態』性を説明する物語である。
489: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:58 ID:pFdVep2A0(22/169) AAS
時は現在に戻り、毒田探偵事務所には、モナー氏が訪れていた。
今日彼が訪れているのは、事件を持ち込むためではなかった。
事件解決への助言と協力をしたドクオへ、警視庁からの報酬を手渡しにきたのだ。
( ´∀`)「助かったモナ。君は本当に、刑事の方が向いているモナ」
('∀`)「すいませんねぇ。いつもいつも」
(><)「ぶひひ、ぶひ、ぶひひひひ」
省2
490: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:58 ID:pFdVep2A0(23/169) AAS
その事件とは、九月の半ばに起こった、シベリア銀行の強盗事件。
覆面の男たちが銀行に押し入り、数千万円の現金を奪ってトラックで逃走。
犯人たちは、パトカーの追跡を逃れ、近隣の山の中に姿をくらませた。
そのまま数週間が過ぎて、完全に犯人の身元が確認できなくなった。
現場に証拠として残されていたのは、犯人の頭髪と、靴の裏についていた多量の泥の塊。
その限られた証拠では、導き出される犯人像もぼやけ過ぎていたため、
DNA捜査も、一致するものを見つけられていなかった。
491: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:58 ID:pFdVep2A0(24/169) AAS
しかしドクオはその犯人像を、これらの少ない証拠から浮かび上がらせたのだ。
彼の後輩にあたる新米刑事たちは、その早すぎる断定に呆気に取られていた。
だが彼のその推理は、とても理に適ったものだった。
犯人の頭髪に、シンナーが層を成して付着していたことから、
日常的にそれを扱う塗装業者や清掃員、もしくは画家か何かのものであると推測した。
そして現場に落ちていた泥は、通常よりも硫黄が多めに含まれる独特なものだった。
都内の地理と地質を、大まかに把握していたドクオは、この土の出所を探しに駆け回った。
最終的にその特徴的な泥を、シベリア区の、ある地域のものと酷似していると考えた。
省3
492: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:59 ID:pFdVep2A0(25/169) AAS
( ´∀`)「それにしても、君が現役に復帰してくれれば、一番助かるんだモナ」
('∀`)「俺はこのまま探偵を続けますよ。犯罪捜査は、何より好きですけどね」
( ´∀`)「君のような新人が入ってきてくれることを願うモナ」
ふとドクオの脳内に、ある人物が浮かぶ。
('A`)「俺より能力と経験があって、見識も広い人がいるじゃないですか」
省1
493: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:59 ID:pFdVep2A0(26/169) AAS
(;'A`)「え、誰って。じぃちゃん……」
(;´∀`)「……それは最終手段だモナ。この前、あの方が警視庁に訪れた時は、
職員全員整列させられて、その後大変なことになったモナ……」
ワカンナイデスは、数年間ドクオと仕事をしていたが、
ドクオの親族ついての話は、これっぽっちも聞いたことがなかった。
そして唐突に、こんな質問をする。
(><)「え、じぃちゃん!ドクオさんのじぃちゃんってどんな人なんです!?」
494: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:59 ID:pFdVep2A0(27/169) AAS
(;'A`)「あー……」
(;´∀`)「……」
沈黙する二人。
一体どうしたというのだろう。
普段から涼しげな顔のモナー警部でさえ、額に汗を浮かべていた。
ワカンナイデスは、場の空気を読まずに続ける。
(><)「きっとドクオさんの家族だから、とんでもない変態に決まってるんです!」
省3
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