('A`)シャーロック・ドクオのようです (674レス)
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512: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:08 ID:pFdVep2A0(45/169) AAS
('A`)「後で言う。兎に角、尾けるぞ。支度してくれ」

(;><)「……えええ!?」

変装用の衣装や、盗聴器、小型カメラなどが入った仕事で携帯するリュックサック。
ドクオは乱暴にそれを背にかけると、部屋の電気を消し、飛び出す。
納得がいかないまま、ワカンナイデスも身支度をし、続く。

二人は通りに飛び出し、例の女の姿を探す。
彼女の姿が見えないことを確認し、
二人は事務所の前に停められたドクオの車に乗り込む。
513: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:09 ID:pFdVep2A0(46/169) AAS
('A`)「さ、アイツが何処へ行ったか探さなくちゃな。
   博物館へ向かうフリをしながら。現場に向かうのはその後だ!」

(;><)「状況が全く飲み込めないんです……。さっきのは一体どういうことなんです?」

ドクオは、車庫から通りへと車を出しながら言う。

('A`)「まず、三十五年前に国が博物館を設立したなんて、まったくの嘘だ。
   あの博物館は、世界旅行と古美術収集を愛する富豪、ハンズという男のコレクションを、
   一般に公開する目的で、百年近く前に私費で設立され、
   その運営利権を、国が遺族から買い取ったものだ。
   あの女はそんなことも知らずに、本当に従業員なのか?」

(;><)「なんでドクオさんがそんなこと知ってるんです!?
省1
514: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:09 ID:pFdVep2A0(47/169) AAS
('A`)「それだけじゃない。あの女は自らを史学家だと言ったが、それすらも適当な作り話だ。
   俺が二年前にナイルの西岸で、ヴィッパー二世というミイラが発見されたと言ったが、
   それは俺がとっさに思いついた、まったくのデマカセ。
   そんな存在しもしない架空のニュースに、あの女は『私も驚いた』などと食いついた」

(;><)「そんなことをしてたんです!?でもきっと彼女は、
     知らなかったのが恥ずかしくて、そう言っちゃっただけなんです!」

('A`)「もう一つ。あの女は、最初に『徒歩で遥々きた』などと言ってたが、
   この事務所の近辺までバイクで来ていたこと、
   長年のバイク乗りであること、
   重いヘルメットを被っていたこと、
省4
515: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:09 ID:pFdVep2A0(48/169) AAS
(;><)「一体なんだってそんなことが?」

('A`)「擦り減らしたバイカーブーツで、あの清楚な白い服に、排気の匂いを漂わせて、
   長時間押さえつけられていたんだろう、頭髪にはヘルメットの癖がついていた」

(;><)「なるほどなんです……。でもどうして車種まで分かるんです?」

('A`)「あの女が履いていた靴は、ROUNGE社が出したそのバイクに、
   特典として抱き合わせで売り出されたブーツだ。
   高い確率で、あの女はそのバイクを購入している。
   二、三年前だから、恐らく車種は変わっていないだろう」
516: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:10 ID:pFdVep2A0(49/169) AAS
AA省
517: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:11 ID:pFdVep2A0(50/169) AAS
('A`)「ま、今日俺が車種と博物館の歴史を知ってたのは、どっちも
   いつか暇つぶしで読んでた雑誌に載ってただけで、ただの偶然だけどな」

(;><)「……ふーん、なんです」

('∀`)「しかし間抜けな女め!写真にはしっかり収めさせてもらったよ」

彼がハンドルを片手に取り出したのは、何処かで見たペン型カメラ。

(;><)「ドクオさんって、本当に変態なんです……」
省3
518: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:11 ID:pFdVep2A0(51/169) AAS
('A`)「ま、パッと見たところ、どの文字も筆跡は一致しないようだな」

先程彼女に書かせた契約書を見つめながら、彼は言う。
そしてゆっくりとアクセルを踏み込み、車を進ませる。

('A`)「しかし、アイツは何のつもりなんだ……」

博物館に置かれた盗難予告状。
悪戯にしては不自然な程、巧妙な犯行。
阻止してほしいと現れたのは、嘘吐き女。
519: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:12 ID:pFdVep2A0(52/169) AAS
一体、あの女の目的は何なのか。

そして、誰が例の宝石を奪おうとしているのか。

あの女だろうか。
だとしたら何故、敵であるはずの俺のところにやってきたのか。

とにかく現場に向かおう。
今まで手に入った情報だけでは、犯人やその目的を断定することなどできない。

そう言い聞かせ、ドクオはアクセルを思いっきり踏み、物凄いスピードまで加速させる。
省2
520: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:12 ID:pFdVep2A0(53/169) AAS
AA省
521: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:12 ID:pFdVep2A0(54/169) AAS
           *

(;'A`)「はぁ、はぁ。完全にまかれた……」

(;><)「……神よ。我が命を救いたもうたその慈悲に、深く感謝するんです」

(;'A`)「あの女、暴走しすぎだろ。常識的に考えて」

(;><)(コイツ、人のこと言えんのか、なんです……)
省1
522: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:13 ID:pFdVep2A0(55/169) AAS
予想通り、彼女は何処かに停めてあったのだろう大型バイクに跨って、
街の中をとんでもないスピードで、疾走していった。

彼らの追跡に気付いていたか否かは定かではないが、
彼女は途中から更にスピードを上げ、街の何処かへ姿をくらませた。

ドクオの交通法規を完全に無視する暴走運転で、最初は視界に収めていた。
しかし、彼女が環状線に侵入した後、
そこで渋滞が待ち構えていたのが、彼らの運の尽きだった。
彼女は、車と車の間を通り、華麗に渋滞を抜けていった。

渋滞で完全に足止めを食らったドクオ達は、
無念の表情で環状線をおりて、例の博物館へ向かうことにした。
523: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:13 ID:pFdVep2A0(56/169) AAS
AA省
524: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:13 ID:pFdVep2A0(57/169) AAS
現場へと向かった彼らは、例の犯行予告の紙が示す、
ネフェルタリスジェイドという宝石のもとへと辿り着いた。

展示ケースの中には、ミイラが一体。

土気色に風化してもなお、姿かたちを取り留めるその神秘の姿には、
何千年もの時間の流れの重みと、それに抗おうとする人為の偉大さが感じられた。

骨ばった手に握られていたのは、ただの宝石と呼ぶには、
申し訳なさが残るような、巨大な翡翠の塊。

展示ケース内の照明を反射して、美しいエメラルドグリーンを、燦然と輝かせていた。
省3
525: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:14 ID:pFdVep2A0(58/169) AAS
AA省
526: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:14 ID:pFdVep2A0(59/169) AAS
暫くして、彼は口を開いた。

('A`)「従業員リスト、来訪者リスト、館内の全ての監視カメラの映像、
   それから収集した筆跡の公開に、ご協力いただけますか?」

( l v l)「勿論。しかし、個人情報が含まれています。本来なら公権力以外への公開は、
     法律で禁止されているので、内密にお願いできますか?」

('A`)「それは約束しましょう。
   それからうちの事務所にやってきた『詩絵』という女のことで。
   彼女の写真や履歴書はお持ちですよね?」
527: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:14 ID:pFdVep2A0(60/169) AAS
(;l v l)「はぁ、彼女は事件には無関係だと思いますがね。
     紙が見つかった当初、他の職員と休憩室でお茶を飲んでいたそうですから」

('A`)「お願いできますか?」

(;l v l)「それは勿論」

('A`)「それからこの博物館のwifiを貸して貰えますか?」
528: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:15 ID:pFdVep2A0(61/169) AAS
そして数時間が経過した。

('A`)「……」

ドクオは、管理室で事件時の監視カメラの映像をチェックした後、
従業員、来訪客リストや筆跡などには目もくれず、
休憩室の電源にプラグを差し込んで、パソコンの画面に見入っていた。
529: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:16 ID:pFdVep2A0(62/169) AAS
AA省
530: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:16 ID:pFdVep2A0(63/169) AAS
(;><)「目に飛び込んでくる沢山の情報を、選択するんです……」

彼は、いつだかに聞いたドクオの教訓を思い出していた。

目の前に横たわるのは、遥か西方からやってきたミイラ。
まるで泥の塊を、磨き上げて作った人形のようだ。

その胸に抱かれているのは、少し前にマスメディアが騒いでいた、
噂の大宝玉、ネフェルタリスジェイド。

それらを包むのは、弾丸や鈍器などの衝撃を吸収するのだろう、
見るからに頑丈そうなガラスケース。
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531: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:17 ID:pFdVep2A0(64/169) AAS
ワカンナイデスは、顔を上げ、上方に目を凝らす。

天井の隅から吊るされた、数台の監視カメラ。
それぞれは、このフロアを網羅するように、別々の方向を向いている。

ドクオは言っていた。
正しい情報の糸口を掴み、それを辿っていくんだと。

ワカンナイデスは、再びミイラへと視線を向ける。

(;><)「!!!!!!!!」
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