('A`)シャーロック・ドクオのようです (674レス)
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532: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:18 ID:pFdVep2A0(65/169) AAS
その突然の奇妙な行動に気付いた館長は、焦りながら彼に話しかける。

(;l v l)「……な、何か分かりましたか!?」

(;><)「……」

沈黙が流れる。
533: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:18 ID:pFdVep2A0(66/169) AAS
(;l v l)「……ど、どうでしょう?」

(;><)「……」

(;l v l)「……」

彼は微動だにしない。
534: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:19 ID:pFdVep2A0(67/169) AAS
(;><)「……」

数秒後、申し訳なさげに口を開いた。

(;><)「……分かんないです」

(;l v l)(……今の感じで、分かんねーのかい!!!)
535: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:19 ID:pFdVep2A0(68/169) AAS
するとワカンナイデスは、休憩室の方から、手を振っているドクオの姿に気付いた。

('A`)ノシ

なんと素晴らしいタイミングだろうか。

(;><)「解明されるべき真実が、今この私を呼んでいる!!」

(;l v l)「……」
省2
536: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:20 ID:pFdVep2A0(69/169) AAS
(><)「どうしたんです?」

('A`)「これを見てくれ」

ドクオが指差した画面上には、黒背景に赤字で『WARNING』と書かれたホームページ。
日本語と英語のごちゃごちゃした文章、そして顔写真が大量に載せられている。

(;><)「なんじゃこりゃ」

('A`)「警視庁の極秘の犯罪者データベースにアクセスした」
537: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:21 ID:pFdVep2A0(70/169) AAS
(;><)「なんでそんなこと出来るんです!?」

('∀`)「俺は元刑事だぜ?そんで、この写真を見てくれ」

若い女性のものらしき後姿が、粗い写真に映っていた。
真っ赤なドレスを身に纏って、マンションの階段らしき場所を下っている。

(><)「……ドクオさんの好きなアイドル?……のプライベート?
    ドクオさん。いくら名探偵だからって、今は仕事中なんです……」

『あらやだ』と口元に手を当て、軽蔑の流し目を送るワカンナイデス。
省1
538: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:21 ID:pFdVep2A0(71/169) AAS
(><)「じゃ、誰なんです?」

('A`)「コイツは、数年ほど前から、警察の間で有名になっていた女だ。
   『大泥棒』と呼ばれ、華麗で完璧な手口でお目当てを盗み、証拠など一切残さない。
   神出鬼没のこの女については、唯一この見辛い写真が姿を捉えたのみで、
   それ以外の情報は全く入っていない。勿論、逮捕などできていない」

(;><)「ふむふむ」

('A`)「そして、この写真も見てくれ。これは今朝、撮影したもの。
   あの『詩絵』と名乗っていた女の後姿だ」

(;><)「ま、まさか……」
省1
539: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:22 ID:pFdVep2A0(72/169) AAS
          *

ここは、人が溢れかえる商店街。
夕日は、目を刺すような紅に輝き、人々に影を作る。

(*゚ー゚)「♪」

鼻歌を歌いながら、女は歩き続けている。
人混みを器用にスルスルと掻き分け、前進していく。
540: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:22 ID:pFdVep2A0(73/169) AAS
「作戦は順調か?」

突然、彼女の背後で声がした。

(;゚ー゚)「はっ!」

必死の形相で、振り返る。
しかし、彼女に話しかけた様子の人間は見当たらない。
541: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:22 ID:pFdVep2A0(74/169) AAS
数えきれない人々の姿が映る。

スーツを身に纏い、気怠そうに進むサラリーマン。
携帯を弄りながら、前も見ずに歩く女子高生。
音楽プレイヤーのイヤホンを耳につけて、自転車を走らす中学生。
赤ん坊を背に抱えて、じゃれ合いながら歩く若い母親。

(;゚ー゚)「……」

きっと気のせいだろう。
知らない誰かが、知らない誰かに放った言葉に、反応してしまっただけだ。

そう言い聞かせ、彼女は再び前を見据え、歩を進める。
省1
542: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:23 ID:pFdVep2A0(75/169) AAS
彼女が去っていった、その道の脇の路地。

一人の男がいた。

煉瓦の壁にもたれかかり、空を見上げて、煙草をふかしている。

爪'ー`)y-「……」

闇に包まれていて、はっきりと見えない。
543: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:23 ID:pFdVep2A0(76/169) AAS
つい先程まで、燃えるように輝いていた夕日は、もう殆ど沈んでいた。

代わりに現れていたのは、欠けた月。
そのふんわりと柔らかい光が、地上に降り注ぐ。
それに寄り添って、夜空には星々が輝き始めていた。

路地には、もう男の姿はない。

いつの間に消えたのだろうか。
544: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:25 ID:pFdVep2A0(77/169) AAS
          *

(;'A`)「履歴書も偽造。名前や年齢、学歴もきっと偽造だ。
    そして勤務しはじめたのも、つい最近のことじゃないか」

(;><)「きっとあの女が、宝石を狙ってるに違いないんです!」

('A`)「おい、パニックになるから、あの女のことは絶対内密にしておけよ。
   それに、まだ犯人だと確定したわけじゃない」

(;><)「……分かったんです」
省1
545: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:25 ID:pFdVep2A0(78/169) AAS
時刻は、十九時二十五分。
予告犯行時間まで、あと三十五分。

雇われている警備員たちは、総動員で警備に配置についていた。

しばらくして、館長が合図をする。

フロアへと繋がる階段、廊下へと繋がる通路は封鎖される。
そして『関係者以外立ち入り禁止』のマークのある扉、
非常口までもが完全にロックされ、警備員たちはその前に張り付いた。

協力する従業員たちも、不安そうな顔でその様子を見守る。
省1
546: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:26 ID:pFdVep2A0(79/169) AAS
(;l v l)「あと少し……か。犯人は結局断定できず……。
     もうこれは、犯行が起きないことを祈るしかない」

焦燥を見せる館長の横で、空手の型のように、
パンチやキックの演習を始めるワカンナイデス。

それだけだったら許せるのだが、時たま『アチョー』だとか、
『アタタタ』といった、ブルース・リー顔負けの叫び声を上げるので、
張りつめた空気を完全にぶち壊し、周囲の注目を集めていた。

(;l v l)「……」
547: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:27 ID:pFdVep2A0(80/169) AAS
(;><)「あれ、そういえばドクオさんがいないんです……。
     こんな時に、何処で油売ってるんです……」

彼は周囲を念入りに見回したが、やはりドクオの姿はなかった。

しかし思い当たる節があったようで、ワカンナイデスは手をポンと叩いて呟く。

(;><)「おしっこならペットボトルでしなさいって、あれほどママ言ったでしょう」

(;l v l)(……この人さっきから、何言ってるんだ?)
548: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:27 ID:pFdVep2A0(81/169) AAS
予定の時間は、刻一刻と迫ってくる。

このフロアに集まった人々は皆、胸の鼓動を高鳴らせ、その時を待った。
真ん中で寝転がって、寝技のようなもの(?)の予行演習をしながら、
息を荒げる一人の大馬鹿野郎を除いて。
549: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:28 ID:pFdVep2A0(82/169) AAS
(><)「こうなったら僕一人でも、絶対捕まえてやるんです!!」

(;l v l)「……頼みましたよ」

(><)「僕はやるときはやる男なんです!!」

(;l v l)(あれ、この人……。心なしか格好良く思えてきたぞ?)

(><)「見た目は大人!頭脳も大人!その名も名探偵ワカンナイデス!」
省2
550: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:28 ID:pFdVep2A0(83/169) AAS
時刻は十九時五十七分。
予告時間までは、残り三分。

全ての入り口は封鎖されている。

抜け道や裏口、隠れるスペースもない。
非常口ですら鍵をかけられ、閉ざされた。

この場にいるのは、警備員と職員と探偵のみ。
彼らの内は、怪しい人物は見受けられない。
551: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)04:29 ID:pFdVep2A0(84/169) AAS
その時。

(;l v l)「……あ!」

(;><)「え!!!!????」

突然の出来事だった。

今までフロアを照らしていた照明が、一斉に落ちた。
突如現れた暗闇が、この部屋の全ての人間の視界を覆い隠した。
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