('A`)シャーロック・ドクオのようです (674レス)
1-
抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

468: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:48 ID:pFdVep2A0(1/169) AAS
じゃ、七話投下します
469: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:49 ID:pFdVep2A0(2/169) AAS
シャーロック・ドクオの警戒のようです
470: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:49 ID:pFdVep2A0(3/169) AAS
ワカンナイデスは、ドクオを時々『変態』と呼ぶ。

彼がその言葉を使うとき、侮蔑など含んでいないし、深い意味は無いのだろうが、
『変態』という形容詞は、本当にドクオにぴったりと当てはまる言葉だった。

毒田ドクオという人間は、言わば『オタク』と呼んでも差し支えないほど、
著しい興味の偏りがあり、その対象への陶酔を糧として生きていた。
471: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:49 ID:pFdVep2A0(4/169) AAS
例えば、彼の生活は相当奇天烈なものだった。

午前、ワカンナイデスが事務所を訪れれば、彼は大体、
吸い込まれるように、新聞記事を読みふけっている。

その行為自体、さほどの奇抜さはない。

しかし、何故そんなに新聞が好きなのかと気になったワカンナイデスが、
ある日彼に、それを尋ねてみたことがあった。

その返答が『変態』なのである。
472: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:50 ID:pFdVep2A0(5/169) AAS
(><)「ドクオさんは、どうしていつも新聞なんか読んでるんです?」

('A`)「面白いからだよ」

(><)「新聞の何処が面白いんです!目がチカチカする文字の塊なんです!」

('A`)「そうかいそうかい」

と言って、彼はさっきまで夢中になっていた新聞へと視線を戻す。
473: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:50 ID:pFdVep2A0(6/169) AAS
AA省
474: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:51 ID:pFdVep2A0(7/169) AAS
('A`)「じゃ、好きなバンドの新しく出たCDとか買うか?」

(><)「言うまでもなくwinnyでダウンロードするんです!」

(;'A`)「お前、アホか!捕まれ!有害なウィルスに感染しろ!
    まぁいいや、兎に角どうにか手にしたいだろ?」

空気を読まないワカンナイデス。
半ば強引に、ドクオは話を続ける。
475: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:51 ID:pFdVep2A0(8/169) AAS
(><)「うm」

('∀`)「それと同じことなんだよ、ワカンナイデス。
    犯罪学や犯罪史を学ぶと、日夜世に生まれ来る、新たな事件から目が離せなくなる」

(><)「ふむふむ。なんだか分かるようで、分かんないです!!」

('∀`)「そして新しい曲を聞いた時、
   『そういえば、この曲ってあの曲と似てるな』って思ったことはないか?」

(><)「あるんです!怒りの余り、僕は何度、眠れぬ夜を過ごしたことか……」
476: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:52 ID:pFdVep2A0(9/169) AAS
AA省
477: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:52 ID:pFdVep2A0(10/169) AAS
そして彼の生活で、特筆すべきことと言えばもう一つ。

彼は時たま、おかしな時間に爆睡しだすのである。

何せ彼は、

('A`)『昨日は深夜、調べものをして起きてから眠いんだ』

('A`)『探偵に必要なのは頭脳。だからそれを休ませることも仕事の内だ』
省2
478: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:53 ID:pFdVep2A0(11/169) AAS
彼は確かに、しばしば定時を過ぎても、書類やパソコンと睨めっこしている。
彼の興味を刺激し、心を占有している仕事や事件に、夢中になっているのだ。

仕事が好きというのは、何とも素晴らしいことなのだが、
そのツケが昼間に来るのは、褒められたものではないし、
次の日、一緒に仕事をするものに対して、非常に失礼なことである。

彼を慕い信頼する助手のワカンナイデスでさえ、この癖には怒りを感じていた。

最初こそ、そうやって憤っていたワカンナイデスであった。
しかし悪巧みに関しては、かの大悪党モララーもびっくりの彼のことだ。

この自分の上司の寝ている時間を、休憩時間と考えだし、
ドクオにばれぬよう静かに、けれど全力で仕事をサボり始めるようになった。
479: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:53 ID:pFdVep2A0(12/169) AAS
('A`)「今日も寝るわ。マジ眠いわ」

(><)「さささ、どうぞどうぞ、名探偵シャーロック・ドクオ様。
    玉座におかけくださいませ。そして安らかな眠りを御堪能くださいませ」

味をしめた小悪党は、このようにして彼に睡眠を催促するまでになっていた。

('A`)「お前、なんか最近優しいな」

ドクオは初め、彼が自分を思いやってくれるようになったのだと、小さな感動を覚えていた。
省2
480: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:54 ID:pFdVep2A0(13/169) AAS
(><)「いえいえ。ワタクシめは『人に優しく、己に厳しく』をモットーに生きておりますので。
    普段と何の変わりもない愛すべき探偵助手、ワカンナイデスで御座います」

何だか、妙に怪しい。
ドクオはその日、寝たフリをした。
ソファから薄目を開けて、彼を観察した。

ワカンナイデスは、ドクオが眠りに落ちたか否かを、チラチラと確認し続けた。
結局、彼のダミーのイビキに引っかかり、推測通り見事なまでにサボりだした。

ドクオが愛用している高そうな椅子に座り、乱暴に机に脚をのっける。
そして欠伸をしながら、鞄から取り出した漫画を読み始めたのだ。
481: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:54 ID:pFdVep2A0(14/169) AAS
AA省
482: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:55 ID:pFdVep2A0(15/169) AAS
そして彼の怒りは静まったかに思えた。

しかしその後、ドクオが彼のパソコンをこっそり調べた所に拠ると、
睡眠薬の入手方法、そしてその投与方法の検索履歴があった始末である。

半ば冗談のつもりで減給と言っていたドクオは、この時初めて本当に減給をした。

小悪党の悪事の数々は、こうして日の下に晒されることとなった。
483: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:55 ID:pFdVep2A0(16/169) AAS
そして、毒田ドクオが『変態』というべき、最大の理由。

それは、彼の仕事への情熱であった。

ドクオにとっての探偵職というのは、彫刻家が石を彫り、
小説家が物語を創造し、画家が筆を動かすようなもの。

世のため人のため、というのも勿論ある。
しかし彼にとっては、それ自体に見出される大きな意味があった。

考察のための考察、探究のための探究、推理のための推理。
そういう意味で、彼は芸術家か、教授といった人種と似ていた。
484: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:56 ID:pFdVep2A0(17/169) AAS
生計を立てることなど二の次。
そこが、普通の探偵とは違うところだった。

彼にとって、推理は自らの才能を生かす知的作業。

そして何より、至上の喜び。
昼でも夜でも、その才能を研磨する作業を忘れない。

『好きこそものの上手なれ』という言葉が示すように、
人間の発揮し得る、最大限の力というのは、
技能への最大限の心酔と、最大限の集中力のもとで生まれる。

これこそ、彼が『名探偵』と言われる所以であるのだ。
485: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:56 ID:pFdVep2A0(18/169) AAS
そして同時に、この彼の特徴は短所でもあった。

探偵業は本来、今の彼が行っているように、刑事事件は扱わない。
顧客の依頼する、浮気調査だとか、尾行、世論調査が主な活動だ。

患者の面倒を見るのが、医者であるように、
事件の面倒を見るのは、探偵ではなく刑事である。
486: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:56 ID:pFdVep2A0(19/169) AAS
しかし、彼は元刑事ということもある。
そのコネクションで繋がっているモナー警部が、
助言を求め、刑事事件を持ち込んでくるようになる。

ドクオは、警視庁で腕を奮っていた昔の日々の、懐かしさが蘇ったのだろうか。
夜も眠らない勢いで、その推理に没頭し、
現場へ向かうため、たびたび事務所を空けるようになる。

その間は、本来探偵が応えるべき、一般人の持ち込む依頼など興味すら示さない。

彼は、助手のワカンナイデスに投げるか、ブツブツと文句を垂れながら引き受けるか、
最悪の場合、忙しいなどと嘘をついて、顧客を追い返すのだ。
487: x◆3C8zs.ICS6 2011/08/04(木)03:57 ID:pFdVep2A0(20/169) AAS
ドクオがやる気のない間に、ワカンナイデスがちょっとだけ頑張っていた。

『名探偵ワカンナイデス』などと、救いようのない名前を掲げ、
名声を手に入れようと奮闘しだしたのだ。

そうして内に秘められた脅威の才能を、発掘しようと試みていた時期もあったが、
燃えたぎっていた野望は、ほどなく彼の飽き性によって潰えた。

結局、彼もドクオと一緒にグレ始めることになった。
1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.127s*