なめなめおじさんに聞いて見るスレ (362レス)
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58: エッチでリッチな なめなめおじさん◆sQELVfrnG. 2014/04/10(木)22:15 ID:lkRblwAA0(1/3) AAS
「お金はね、あるとためておくことができるんですよ。働いても使わずに貯金…ちょきんというのはお金をためておくことなんですが、貯金しておけば、後で必要な時にいつでもおろして使えるんです。たくさんためると贅沢ができます。だから楽しいんですよ」
「ぜいたくって何ですか」
「え、ええと…自分が欲しい物は何でも買ったり、美味しいものをたくさん食べたり…」
「この国では、欲しいと思ったものは、すぐにでも手に入れることができますよ」
「ただ欲しいくらいの物を手に入れたって、贅沢とは言えないんです。もう自分には必要ないくらいたくさんの物とか、値段のすっごく高い物とか…」
紳士は、ぷっと吹き出した。
「そんな、自分が必要もないほどの物を手に入れて何が面白いんですか。それに、そんなとりとめもない欲望を追っていたってきりがないでしょう」
確かにそうだと思った。しかし、負けてはいられない。
「でも、貯金しておくと、年とって働けなくなっても安心でしょう」
「この国では、働けない体の人には、みな喜んで何でも差し上げますよ。あなたの国ではそういう人でもお金というものを持っていなければ、何も手に入れられないのですか」
省7
59: エッチでリッチな なめなめおじさん◆sQELVfrnG. 2014/04/10(木)22:17 ID:lkRblwAA0(2/3) AAS
私は黙ってうなずいた。なんだか自分が子供みたいで、ちょっと恥ずかしかった。
「私の想像では、あなたの国は、そのお金というものを動かさなければならないために、ものすごい時間と労力のロスをしている気がします。言い換えれば、不必要なもののために、無駄な仕事を増やしているということです」
「でも、私の国ではお金がなければ社会が回っていかないんですよ」
「それは分かります。でも、あなたの国でもこの紙きれや金属を食べたり、直接何かに使ったりしている人はいないわけでしょう。要するにこのお金というものは、物の価値を皆が共通して認識するための物差しでしかないわけです。ですから、例えば今あなたの国で、このお金が一斉にパッと消えてしまったとしても、皆そのまま仕事を続けていけば世の中は回っていくはずなのですよ。それに、ちょっと想像してみてください。あなたの国の、お金を扱う仕事に携わっている人が、その業務から一切解放された時のことを。そして、お金を動かすために使っていた時間や労力をもっと世の中のためになる仕事に向けたら…いや、勿論お金の存在する社会においては、そういう仕事が大切なのは分かるんですが、もしそうしたら、ずっとずっと社会は豊かになると思いませんか。いいですか。あなたの国では現在、お金に関わっている仕事の人が全員、その仕事をやめてしまったとしても、皆ちゃんと暮らして行けるだけの豊かさは既にあるのです。そんな、言ってみれば無駄なことに時間や労力を使っていたにも拘らず、あなたの国はやってこられたわけですから。ですから、そういう仕事にかけていた時間や労力を、もっと社会の役に立つ仕事に向ければ、あなたの国の人々の生活はもっと豊かになるはずです」
私は言葉に詰まった。だんだんそんなような気もしてきた。もし、お金というものがなくなったら、お金に関するトラブルも一切なくなるわけだ。脱税だとか、借金苦の自殺だとか、銀行強盗だとか。世の中の「金のため」という矛盾もすべてなくなる。もしかしたら、世界中の、飢えや貧困に苦しんでいる人たちも救えるのではないかという気にもになってきた。しかし、私は紳士に言った。
「でも、今、私の国でお金というものがなくなったら、うまく行くとはとても思えません。きっと誰も仕事をしなくなって、世界が破滅してしまうんじゃないかな」
紳士は笑いながら言った。
「は、は、こんな紙切れや金属の破片のために破滅してしまうなんて、面白い国ですね。まあ、それはどうだか分かりませんが、確かに今すぐは無理でしょうね。私が思うには、あなた方は、まだそこまで魂が進化していません。でも、いずれ私たちのような国が作れるかも知れませんよ。気が遠くなる程、先の話でしょうけれど」
私はもう言葉が出なかった。話のレベルが違い過ぎると思った。紳士はさらに続けた。
「多分、そのお金というものを得ることが仕事の目的だと皆が思っているうちは、あなたの国の、真の意味での進歩はないでしょうね。仕事の目的は世の中の役に立つことです。報酬ではありません。報酬を目的にしていると、必ずどこかに歪みが生じてきます。自分の行なった仕事以上の報酬を得ようとしたり、必要のない仕事を無理に作って、自分の利益だけは確保しようとする動きが出てくるでしょう。そうなると、完全な競争社会になります。それもお互いの向上を目的としたものではない、単なる足の引っ張り合いになるはずです」
省6
60: エッチでリッチな なめなめおじさん◆sQELVfrnG. 2014/04/10(木)22:18 ID:lkRblwAA0(3/3) AAS
あとがき

私はこの物語をつくるに当たり、主人公の行く先を『あの世』にするか、地球の未来に出来るかもしれない『ユートピア』にするかで迷いました。しかし、結果的には、その二つが融合したような世界にせざるを得ませんでした。なぜかと言いますと、『あの世』は、私が行ったわけではないので正確に描写することは不可能であり、昼夜の別や時間の経過を表わすには、どうしても『この世』的表現が必要になりました。また、地球の未来の『ユートピア』にするとなると、どこかに西暦ウン万年、あるいは現在の地球のどこそこみたいな表現を入れなくてはならなくなり、妙に嘘臭くなってしまいます。そんな訳で、都合よく二つが組み合わさったような世界にしたのです。ですから、最後に使った『天国』という言葉は、私としては、そんな二重の意味を込めたつもりです。

私がこの物語で言いたかったのは、皆が、あって当たり前、あるいは、なくては社会が成立しないと思っているお金というものの存在価値、それに関連する、仕事というものの持っている意味、また、日々の生活態度そのものを、私を含めてもう一度考え直してみようではないかということです。お節介と思われる方は、出来の悪いSF小説として読み流して頂けば結構ですし、とやかくいうつもりはありません。しかし私はこの物語のような世界を地球上に実現できる可能性が全くないとは思いませんし、あの世の一つにこういった世界があっても、ちっとも不思議ではないと思っています。主人公が最初に出会い、いろいろと世話を焼いてくれた紳士は、さしづめ守護霊といったところでしょうか。

最後に、ここまで読んでくださったあなたと、私にこの物語を作るヒントを与えてくださったT氏に感謝いたします。

外部リンク[html]:www2u.biglobe.ne.jp
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