[過去ログ] ニコニコMUGEN男女カプ萌えスレ 9 (442レス)
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(4): 節分ネタA 2012/02/03(金)00:03 HOST:121.3.252.109 AAS
 追われることなど怖くはない。恐れられることも怖くはない。
 それが鬼。ただそこに在り、変わらずまつろわぬもの。恐れられることが其の矜持、挑む者を構えて待つがその在方。

 ただ。時折、ひどく切ない。
 誰かと共に笑って呑んで、呑んでは笑う。そんな日々を過ごしている間はまるで思いもしないのに、ふと隣を見て誰もいない時にわき起こる想い。
 忘れられていたと知った時、彼女が抱いたどうしようもないほど孤りだという思い。
 過ぎ去る時に身をよじれども、時は戻らず。
 いずれ皆消える儚いもの。そう知っていても、誰かと共に在り酌み交わしたいと思う想いは止められない。そうして誰かのところへ向かう日々。

 出て行け、と。
 追われるよりもその言葉を怖がっている事実。
 そんな情けなさに腹も立つし、けれどそうなった時の痛みを抱きたくはなくて。

 赤目は照る月を睨み付けてからまぶたを閉じた。

「あーあ。こんなところで一人寝転がってる美人がいるってのに、見てるのは月だけときた。
 まったく見る目がありゃしないね、最近の男共は」

 やけばちになって返る言葉などまるで期待せずに言い放った言葉。

「寝転がった酔っ払いに構うな、ってのは世の常識ったい」

 それに返る言葉があって、思わず彼女―――伊吹萃香は目を見開く。
 逆さに見下ろす顔が見えた。
 色濃い肌は月明かりの下ではなおさら暗く、短いあごひげに頭に巻いたタオル。いつも可愛げのない顔には呆れの色がある。
 指先に挟んだ赤い灯の点る紙煙草から薄く立ち上る白は昇りのぼって月光に融けた。

 かしかし、と頭をかきながら萃香は知己である相手に声をかけた。

「なんだい鉄兵。あんたも避難しにきたのかい?」
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