「素敵詩的すくりぷと」の終盤に流れる歌って? (675レス)
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304: 2013/09/24(火)19:28 ID:vwBs38RF(5/8) AAS
・透明な主人公
この作品は世界のファンタジーを鮮やかに提示する。けれど、この主人公、とても透明感がある。
ずばねけた特技や行動力もなく、旅人ならではの朗らかな陽気さや静かな陰気さもない。さりげない、何だろう、アクが薄い。
一人旅の目的自体、伏せられたままだし、目的地も曖昧だ。個人的には、ずっと旅をし続ける人なのかな、との思いがある。
トルタニアという世界は不意に、大きなファンタジーを旅人に与えるのだけど、旅人はとても受動的。
ファンタジーは世界にあって、主人公にはない。
そしてそれに出会うとき、主人公はさり気ない驚き方をするのだけど、体でジェスチャーしたり、動揺してどなったり等、感情を表に出さない。
能動的に行動したのは、雨の街での悪夢を焼却しようとする部分くらいだ。
だからこそ、感情移入しやすい。
共に一人旅をしているような一体感が気持ちを覆い、着心地のいいセーターのようなナジム感じ、一体感がある。
彼も僕たちもトルタニアの旅人なのだ。
DVDでのエピソードに今ひとつ共感できなかったのは世界観の色合いなどよりも、陽気に踊ってしまった彼に、とても残念な思いをしたからだと思う。
・二話
具体的に最もお気に入りの二話目を見ていこう。
真夜中のコーヒー。喫茶店。ここでもうドラマがある。眠れなくなるコーヒーを深夜に飲む主人公、なぜか営まれるコーヒー店、ほかに客はいない。
これだけでワクワクさせる舞台設定が、溢れている。
きっと、です。目新しさや独特といったような世界観もいいけど、こんな感じに組み合わせの妙な世界の表現の仕方が、僕は好きだった、んだと思う。
さて、この作品。間の使い方が自然で丁寧。
3分にも満たない全体の尺にも関わらず、旅人がコーヒーの砂糖をツボからだし、コーヒーに入れるまで、かなりの時間をとっている。
けれど、この精緻で現実的な描写があるから、その次に起こる日常的なファンタジーにどきりとする。
そして、オチの独白の何ともいない不思議さと寂しさ。それに優しさ。
観る人によって、感じる印象はたくさんあると思う。でも、多くの場合、少しほろ苦く、気持ちいいものになるんじゃないかな。コーヒーのように。
なんだろう。この作品は折に触れて輪廻でまだ何回も触れていくことになると思う。観る栄養剤。
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