岡田独甫 (80レス)
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76: 2022/05/01(日)22:09 AAS
22年05月01日(日)朝日新聞朝刊「天声人語」

〈核兵器持つ大国も0.1ミクロンの敵にあたふたしをり〉。広島県三原市の僧侶、
岡田独甫さんの短歌には、ひょうひょうとした味わいがあった。おととし76歳で
亡くなり、きょうが三回忌である

本紙歌壇に掲載された最初の歌は〈ばあさんが孫にと作るとうきびを猪めらが夜に
来て喰う〉。55歳の夏だった。時事問題を詠んでも独特のユーモアが漂う。
〈スケールはゴーンに比して微々たれど我が心にも強欲存す〉

仏門に生きる自分の姿もしばしば題材に。〈呆けたる爺が葬儀後僧われに
「儲けたのう」と声を掛けくる〉(歌壇の番外編に掲載)。贈答品の話題も
あっけらかんと詠む。〈檀徒よりしばしば魚を貰ふためホームセンターで
「ウロコ取り」買ふ〉

命日を前にご遺族を訪ねた。「文学青年でもなく、短歌の結社に属したこともない。
我流でしたが、紙面に載ると上機嫌でした」。お寺を継いだ長男博道さん(45)に
よれば、がんと長く闘った。〈今宵また風呂から上がり酒を飲み身に宿るガン
ともどもに酔う〉

短歌の講演依頼は「素人ですから」と固辞。師をもたず、弟子もとらず、生涯に
一冊の歌集も残さなかった。初夏に並ぶ短歌の本が入門書ばかりであることに驚く。
線が引かれ、ページは折られ、読み込んだ跡が濃い

〈葬式のお布施の包みが空っぽで待ってほしいと紙片がありぬ〉。瀬戸内海の
春のような穏やかな独甫和尚の歌にどれほど励まされたことか。二十余年の
投稿に感謝したい。
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