[過去ログ] 東方厨だけど質問ある? [転載禁止]©2ch.net (986レス)
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165: 2015/02/04(水)20:17 ID:0WRMBeQx0(1/15) AAS
月へ行った最後の人間、霊夢が戻って来てから異変が途絶えて久しい。
また、俺が幻想郷に来てからも久しい。
妖怪の山に身を置きながらも、人間の里でちょくちょく働きに出る自分は差し詰め半人半妖の身分か。ただのご都合主義なだけの気もするけど無視。
幻想郷に来てから雛と出会い、雛と色々あり、今がある。
当初の俺が知的好奇心の赴くままに見聞を広め、好きに研究を重ねた結果、なんと魔法使いもどきと呼ばれるまでになった。幻想郷自体が魔法なのに。なんだか嬉しい。
───と、自分の話をすると自慢ばかりになるのは雛が可愛いからだろう。恥ずかしいから口には出さない。
166: 2015/02/04(水)20:18 ID:0WRMBeQx0(2/15) AAS
「今日も可愛いぞ、雛」
口が滑った。恣意的に。
「あら、ありがとう。でも言葉を返しづらいから場合を選んでね」
それも意図的。そしてそれに雛が気付いてるのも意図的、だったらいいなぁ。
偶然を必然と言い張るのには未来予知が要る、後から言ったらよっぽどのカリスマが無い限り信憑性が根こそぎ剥がれ落ちるからね。
「………なら、『今日も死相が見えないわね』とか言ってくれたら嬉しい」
「今日も死相がくっきり見えるわ、だからって死なないでね、行ってらっしゃい」
「ああ、頼まれたのなら死ねないな、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
省2
167: 2015/02/04(水)20:19 ID:0WRMBeQx0(3/15) AAS
博麗神社への道のりは、もし自転車で行くのなら近い。道路を舗装したらどうかと賢者に掛け合おうか、嘘だ。死にたくない。
実は俺だって飛ぼうとすれば簡単に飛べる。ただ、その鳥瞰の下には人里がある。事実として飛べる人間がいても里の人間の認識は俺を妖怪と化してしまうのだ。
俺が人里に関係ないならいいけど関係あるからだめ。杞憂かも知れないけど村八分に遭ったら嫌だ。非常識な人間達が羨ましい。
だから歩くしかない、だるくない、まだ雛からの愛のストックが切れてない。
人里は既に過ぎていて今は獣道。
最近の妖怪はあまり人を殺さないらしいけど、今度は遊べ遊べと絡んでくるようになった。
俺も遊びは嫌いじゃない、嫌いじゃないからこそ手は抜けない。結局博麗神社に着くまでに数人倒した。
168: 2015/02/04(水)20:20 ID:0WRMBeQx0(4/15) AAS
意識せずに鳥居をくぐると、霊夢が両手で箒を持って、無表情で境内を掃いているのが見えた。あの霊夢すら忙しなく動かすのだから習慣というものは恐ろしい。
霊夢が先に俺に気付いたが、俺が先に会話の口火を切る。
「よう清掃員、この神社の巫女に会わせてくれ」
「今日は居ないみたいね、帰れば?」
「じゃあ霊夢でいいよ、………もう他も来てるのか?」
「今日はまだ誰も入れた覚えは無いけど、今頃はもうネズミに煎餅をかじられてるかも」
「スキマネズミか」
「もっと多種類かもしれないわ」
この会話、聞かれてないよな………
「今日は誰が来るんだっけ?事が事だから仰々しい面々が並ぶんだろうなー」
省5
169: 2015/02/04(水)20:20 ID:0WRMBeQx0(5/15) AAS
開目一番、紫と萃香が居た。
「むらさきネズミですわ」
「すいかネズミだよ」
気にしない、全くおかしい所はないから。
「じゃあ俺も仲間に入れてくれよ〜」
まず手近な座布団を確保する。
萃香の近くにある煎餅の入った容器を指で手繰り寄せ、醤油煎餅を頂く。パリッ
旨いなぁ。でも味を形容する語彙も表現力も乏しいのは物悲しい、とりあえずパリッとして普通にうまい。
そんな俺を見てか紫が不敵に笑う。無駄に笑うな、変な癖だなもう。
「ここは妖怪の塒よ?何しに来たの?」
省9
170: 2015/02/04(水)20:22 ID:0WRMBeQx0(6/15) AAS
「なぁ紫、俺はなんでここに呼ばれたんだ?」
疑問としての疑問符。
「煎餅、美味しくないの?」
「パリッとしててうまいぞ」
「うふふ、ありがとう」
だから此奴は苦手なんだ、話が長くなるのは紫が長生きしてるからなのだろうが。
仕方ないから、昼間だというのに寝そべりながら瓢箪の酒を呑んでいる萃香に訊いた。
「………萃香」
「なんだい?」
「………煎餅食うか?」
省13
171: 2015/02/04(水)20:23 ID:0WRMBeQx0(7/15) AAS
「仕方ないわね、近況と現状、これからの予定、即ち対策も含めて」
流石の紫も何かに緊張しているのだろうか、一呼吸置いて、また喋り出した。
「それとそこの鬼っこも仔細までは知らないでしょうから、あなたも寝ずにちゃんと聴きなさいよ」
何言ってんだこいつ
「お?いつから鬼に命令できる妖怪が現れたんだい?」
「幻想郷が出来た辺りから居たわ」
「ほぉーう威勢がいいねぇ、じゃああんたの長話の前に、表で弾幕ごっこでもやるかい?」
売り言葉に買い言葉だ。意外と賢者たる古参の妖怪にもアホっぽい所があるみたいだ。
無駄に時間を潰されたくないので、俺が割って入る。
「待ってくれ萃香、弾幕ごっこなら後で俺がやってやるから、今は話の腰を折らないでくれ」
省4
175: 2015/02/04(水)21:28 ID:0WRMBeQx0(8/15) AAS
「簡単な話なのよねぇ。幻想郷の結界を解いて、すぐに私と霊夢で幻想郷の各地を回ってより強い結界を張る」
「面倒くさいけど、何も心配ないわね」
「あら本当に?何も心配ないのかしら?」
なら自分で簡単な話とか言うな。
紫が謎の念を押すと、博麗としての霊夢はそれに思い至った。
『龍神、ね』
それは
姿は巨大荘厳。意志は不明。
幻想郷の妖怪も人間も全てが崇拝しているという神。
何でも博麗大結界が完成したときに現れ、何を考えているのか、何も考えていないのか、幻想郷を未曾有の危機に陥れた恐い神様。
省7
176: 2015/02/04(水)21:29 ID:0WRMBeQx0(9/15) AAS
座談会もとい傍聴役は終わった。気分の低迷にトワイライトも美しくない。
結局紫に押し切られてしまって、大掛かりな結界作戦は決定されてしまった。
龍神は俺も知っている、求聞史紀読んだから。だから事の恐ろしさに寒気が止まらない。
天変と災害を約束されているようなものなのだから。
家路の上の時間は思考と感想で埋められ、妖怪の山へ着いたのもいつの間にかだった。
「ただいま、雛」
「ただいま?いつでも雛よ。……おかえり」
ギャグで自爆する雛も可愛い。
「ちょっと『中』に入ってくる」
妖怪の山中枢を即興で隠語。
省5
177: 2015/02/04(水)21:30 ID:0WRMBeQx0(10/15) AAS
神様、狗、河童、鴉、鼻が高いの、体が大きいの。
妖怪の山に人間は自分だけ。
──妖怪の山内部
文字通り、山の中の洞穴に入るとすぐそこには狗みたいな天狗、白狼天狗がいた。
「何をしに来た、人間風情」
「悩み事があってね、相談したいんだ。お偉いさんに」
全く嘘じゃない。
「そうか……なら、眠れば懊悩も消えよう、くたばれ」
白狼が剣を引き抜く
「待て待て、幻想郷には美しい戦い方がだな」
省12
178: 2015/02/04(水)21:31 ID:0WRMBeQx0(11/15) AAS
引きずられる痛みに顔をしかめていても、俺の事は意にも介さず哨戒の犬天狗は楽しそうに談笑している。
仕方もなく、追ってくる犬を颯爽と撒いて中へ侵入していく妄想をしていると、不意に犬の口数が減り、俺は大きい影のもとに放り投げられた。
大きい影の正体は背丈が三尋ほどもありそうな、鼻の高い大天狗だった。
大天狗が白髭の口を開く。姿に違わず爺さんの声だ。
「厄介者め」
「こんにちは!あなたの様な目上の方にアポなしで会う事が出来て光栄です!」
目上過ぎて首が痛い。
「帰れ。妖怪は人を喰う」
「俺は人間じゃありません!」
「弱い者は皆人間だ……」
省12
179: 2015/02/04(水)21:32 ID:0WRMBeQx0(12/15) AAS
わなわなと怒り震えているのが脅しということは俺にも分かる。でも神の権現をも感じられる巨体の怒りは、すごく怖いー
「落ち着いて下さい、今のは嘘です」
嘘だ。嘘に付け加える。
「今ここで俺をアレしても意味はありません、どうか怒りの矛を納めて下さい」
「………」
「じゃあ、言うことは言いましたので、これにて!」
そそくさと最高速で飛んで脱出を図る。
そういえば哨戒天狗がいない。
「待て」
巨体が追ってくる。
省14
180: 2015/02/04(水)21:33 ID:0WRMBeQx0(13/15) AAS
「わっ」
「おおっ!」
霊夢が居た。厳密には自分が霊夢の前の畳に突っ込んだ。
「びっくりさせないでよ」
「ごめん」
「あんたもスキマ妖怪だったのね、どうして黙っていたのよ」
「そんなことはないからだ。紫はどこ?」
「……そこ」
181: 2015/02/04(水)21:33 ID:0WRMBeQx0(14/15) AAS
霊夢が指さす先には何もなかった、強いていえば箪笥があった。
空間から声が響く
「はぁい」
「どうしてわざわざ助けてくれたんだ」
「伝えたい事があったの」
「そうか」
「やっぱり止めにしたわ、大結界を張り直すの」
「はぁぁ!?」
「どうして止めにするか知りたい?」
「えー?」
省13
182: 2015/02/04(水)21:35 ID:0WRMBeQx0(15/15) AAS
おまけ
別に、人間社会に必要とされなくなったから幻想郷に来た訳ではない。
私はただ、自分の持つ気質の正体を確かめたかっただけだった……。
言わば時空を越えた小旅行のつもりだった。
今私が住んでいる都会の喧噪、好きなのだが、ここに居ては準備が出来ない。
鈍行電車で都から下り下る。長い道のり、……嫌でも物思いに耽る。
――何故幻想郷に行くのか
自分の気質を確かめたいから。
――それだけか
……。
省8
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