[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part4 (1002レス)
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171(1): 吸血鬼、拾いました [sage saga] 2011/10/24(月)23:53 ID:uEnCLrHn0(2/3) AAS
呼吸が、乱れている
足がもつれてきている
…だが、立ち止まるな
止まってはいけない
逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ…
月の下、息を切らせて青年は走る
真っ赤な、血のような色の髪をした、西洋人らしき青年だ
瞳の色も、同じように真っ赤
すらりと長い手足をばたつかせるように動かして、何かから逃げるように走っている
…逃げるように、ではない
逃げている
追いつかれたら、殺される
青年の顔には、そんな恐怖が滲んでいた
追いかけてくる
追いかけてくる
それは、クルクル回りながら、クルクル転がりながら、追いかけてきて
「−−−−っ痛!?」
っび!と
それが、青年の足元を駆けた
その瞬間、青年の脚に裂傷が走り……青年は、そのまま足をもつれさせて転んでしまった
…追いつかれた
「……ぁ」
クルクル、クルクル
回るそれは…「蛇」に見えた
己の尾を咥え、フープのような形になって転がる蛇…フープスネーク
猛毒を持っている、と伝えられている
幸いと言うべきか何と言うべきか、青年に与えられた裂傷は、フープ状になって転がるフープスネークが産み出した鎌鼬のような現象で与えられた傷である為、毒は与えられていない
……フープスネークが、鎌鼬を生み出すと言う言い伝えなどあるか?
否、ない
ならば、何故、このフープスネークはそんな事が出来たか?
それは、簡単だ
「追い詰めたよ、黒服さんっ!」
「……っ!」
契約者がいるから
ただ、それだけの理由
「よくやりましたね、倫子」
「えっへへー」
黒服の女に撫でられ、無邪気に笑っている少女
クルクル、フープスネークは転がり、少女の足元に向かった
…この少女が、フープスネークの契約者なのだ
「さぁ、追い詰めたよ、吸血鬼!」
「っひ……」
少女の言葉に、青年は怯えた声を出した
顔に浮かぶのは、ただただ、恐怖
「……っご、ごめん、なさい…………殺さ、ないで………!」
「駄目ですよ」
黒服の女は、静かに告げる
がたがたと震え、体を縮みこませている青年を冷たく見下ろしながら
「貴方は吸血鬼。人にあだ名す存在です…「組織」として、貴方を処罰します」
「ゃ………俺、は、人は、襲わない……っ襲いたく……ない……」
黒服の女の言葉に、青年は震えながら答えた
…確かに、青年は吸血鬼なのだ
人の血を糧とする生き物
……しかし、青年は己のその宿命を否定していた
実際、もう数百年単位で、青年は人間の血を吸っていない…それでも青年が生き続けられているのは、この青年が吸血鬼としてそれなりの力がある証拠なのだろうか
「そんな言葉、信じられるとでも?」
「悪い人は、皆そう言うんだよー!」
…青年の言葉を、黒服の女も、少女も信じない
くるり
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