[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part4 (1002レス)
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(1): 三面鏡@ドクター◆W5H6Y5Rl3M [sage saga] 2011/12/05(月)22:46 ID:dJWSDvXyo(1/2) AAS
 こつん、と音を立ててテーブルの上にドミノ牌が立て置かれる
 何の規則性も無く乱雑に並べられたそれは、端の一つを指先で突付いて倒したところで、いくつかの牌を押し倒しただけで止まってしまう
 いつもの薄い笑みすら浮かべずに、ドミノ牌の山をじっと見詰める葉鳥

「そろそろ、ね……逢瀬佳奈美という『牌』を倒すのが、無理になりそうなんだよ」
「どういう事?」

 ソファに転がっていた『友達』が、その言葉に反応してむくりと起き上がる

「今まで僕の『バタフライエフェクト』が、何十何百何千何万の羽ばたきを起こしてきたけど。それはどれも彼女には届かなかった」
「つまりは、今まさにそのテーブルみたいな状況な訳だね」

 テーブルの真ん中には、赤く塗られたドミノ牌が鎮座しているが、その周りには倒れたり倒れなかったりした牌が乱雑に入り乱れ、牌をきちんと並べるようなスペースはほとんど無い

「それで、どうするの? 諦める?」
「そうだね、もう全く余裕が無かったら諦めようと思うんだけど」

 ざらりとテーブルの端に牌の山を押し退けて、中央に佳奈美に見立てた牌を置き直し
 その周囲にいくつもの色に彩られた牌を改めて乱雑に並べていく

「彼女の周りは、彼女を守ろうとする牌が多過ぎる。それらもまた相互に守り合って、そう簡単には倒せない……でも、ね」

 葉鳥の指先が、佳奈美の隣にあった一枚の牌を突き倒すと、それにぶつかった佳奈美の牌がぱたりと倒れた

「逢瀬佳奈美という『牌』ではなく、周りを狙う。この『牌』はとてもとても弱いから、周りの『牌』が倒れてしまえば……その振動だけで倒れてしまうかもしれないからね」

 そう言って葉鳥は、倒れた佳奈美の『牌』をひょいと手に取ると、かきりと音を立ててそれに噛み付いた

「もう立っていられないような傷をつける事ができれば、僕の勝ちって事でさ」

 葉鳥が顎に力を入れて、ぎしりとドミノ牌を噛む
 ごきん、と嫌な音が鳴って

「どうしたの、葉鳥」
「……歯が欠けた」
「日頃の不摂生のお陰だね」

 葉鳥は情けない顔でティッシュを手に取り、もごもごと欠けた歯の一部を吐き出して、丸めてゴミ箱に捨てる

「というわけでさ、折り入って『友達』に頼みがあるんだけど」
「何? 僕が直接介入するの、好きじゃないんじゃなかった? あと逢瀬佳奈美を直接狙うのは無理だよ。僕、あいつの傍に居る黒服が苦手だから」
「いや、逢瀬佳奈美には関らなくていいよ」
「ふうん?」
「そうだねぇ……親友の、宮定繰。とりあえず彼女辺りを殺しておいて」
「両親とか、生まれたばかりの妹とかじゃなくて?」
「この娘、本当なら高校に上がる前に君が殺してたはずなんだから。他の二人はきっちり始末したろ?」
「んー、厳密に死んでるのは一人だけだっけ、そういえば。確かに仕事が中途半端だね」

 洗濯物を取り込んだけど畳むのを忘れた、そんな調子で頬を掻く『友達』

「あとは、そうだなぁ……北区の診療所の連中も縁があるみたいだから、気が向いたら適当に。あと診療所の大元の『第三帝国』と、縁がある『組織』の連中も殺っとく? HナンバーとZナンバー辺り。宮定繰はAナンバーだっけ」
「わぁい、一気に増えた」
「メインは宮定繰でいいよ。他は気が向いたらで」
「うん、まあ殺り残しがあるとすっきりしないからね」

 そう言って『友達』は笑う

「『八尺様』と巡り合せた真田映(さなだ・あきら)」

 ざわりと神経を逆撫でするような気配と共に現れた、赤い服と帽子の女『八尺様』
 そんな彼女に抱き留められた、蒼白い顔をした少女の姿

「『くねくね』と巡り合せた玖柳弥依(くやなぎ・みい)」

 ぎりぎりと脳髄を締め付けるような気配と共に現れた、白い姿の何か『くねくね』
 そんな存在をべったりと身体に絡みつかせ、狂気に満ちた笑顔で小刻みに震えている少女の姿

「君達を裏切って逢瀬佳奈美と縁を結んだ、君達を裏切って一人生き延びた、宮定繰を……君達は、どうしたいかな」

 逢瀬佳奈美、宮定繰の名前に
 二人の少女の顔が、あからさまに歪む

「そうだね、じゃあ話してあげないとね。君達の体験を、君達の恐怖を、君達の無念を、君達の絶望を。君達の『友達』の僕が伝えてあげよう、宮定繰という君達の『友達』に。そして思い出させてあげよう、彼女自身の体験した『人が消えるブティック』というお話を」

 笑い声と共に、『友達』も『八尺様』も『くねくね』も二人の少女も、全てが一瞬で姿を消す
 残された葉鳥は、痛む歯と顎を抑えながら携帯電話を手に取り

「あ、もしもし。診察の予約をお願いします……ええ、明日の昼で。固いもの噛んだら、なんか歯が欠けちゃって」

 歯医者の予約を入れていた
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