[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part4 (1002レス)
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951: さよなら  、また    ◆W5H6Y5Rl3M 2011/12/21(水)23:46 ID:XAAGwKPNo(2/6) AAS
「さてまずは手を落とすか足を落とすか」
「喉を焼くのが先ではないのか」
「瞼を縫い合わせるのはどうだ」
「縫い合わせるなら孕ませてから膣をではないのか」
「それは仕込みに時間が掛かる、やるにしても後だろう」
「そもそも売るのか、見世物にするのか、客を取らせるのかを先に決めなければいかんだろうに」

 剥き出しになったコンクリートの上に、ぐったりと転がった繰を囲み
 男とも女ともつかない人型の群れが、あれやこれやと意見を交わす

「内臓を摘出して売るという意見は無いのか?」
「あいつは今、現実に食われ気味で力が弱くて駄目だ」
「『本当にある』と、それは『都市伝説』ではなくただの『事件』だからな」
「それはともかくとして、だ。やはり基本は手足の切断だろう」
「やはりそうだな。追加要素は後々で加えれば良い」

 ずるり、と
 虚空から引き抜かれる、包丁、斧、鉈、鋸

「まずは足だな」
「逃げられないようにしなくてはな」
「三年前のように、邪魔が現れたりはしないだろうな」
「今はまだその気配は無い」
「『くねくね』と『八尺様』が足止めをしてくれるそうだ」
「そうだとしても早めに済ませた方が良さそうだな」

 そう言って足元に転がる繰に視線を落とした人影の顔面に、一抱えほどもある大きさの拳がめり込んだ
 腰を屈めてくの字になった身体が、一気に反対向きに折れ曲がって宙を舞い、コンクリートの床にぐちゃりと叩き付けられた

「……黙って聞いてりゃ、好き放題言って、くれるわね」

 震える身体で、辛うじて寝返りを打つように身を捩り、手術台のような何かを背にして身を起こす繰
 その身に受けた『八尺様』の呪詛はそのままに
 その心に刻まれた恐怖という傷もそのままに

「いつまでも……黙って、大人しく震えてるだけと、思うんじゃないわ、よ」

 きり、と唇を噛み
 鋭い視線で自分を取り囲む集団を睨みつける

「虚勢だな」
「言葉とは裏腹に、震えは止まってはいないぞ」
「『八尺様』の呪詛もその身を蝕んだままのようではないか」

 様々な刃物を手にして繰を取り囲んだ集団は
 じり、じりとその包囲の輪を縮めていった

―――

 繰を攫ったカーテンがふわりと虚空に消えて、周囲をきょろきょろと見回している菊花を尻目に、弥依はくすくすと笑う

「あとはこの子を始末しとけば、『客が消えるブティック』に任せておけるわね」

『八尺様』を背負った映が、ぬらりと視線を中央高校の方へと向けると、弥依は思い出したように苦々しく顔を歪めた

「そうね。これを片付けたら、逢瀬の奴も……殺しちゃおうか」

 弥依の手が、小さな菊花の背中に伸ばされる
 その手が菊花の着物の襟を掴もうとした、その時
 横から飛び込んできた影が、弥依の手をすり抜けて菊花だけを奪い去る

「……っ! 映!」

 駆け抜けようとした影の行く手を塞ぐように、滑るような動きで行く手に立ちはだかる映と『八尺様』
 菊花の着物の襟を咥えたまま、『八尺様』を警戒し足を止める猫、ダミア
 襟を引っ張られた勢いで着物がずれ、膝上近くまで上がった裾を直そうとわたわたしている菊花を他所に、ダミアはすうっと目を細めてふんと鼻で笑う
 随分と大柄で丸いダミアではあるが、それでも人間の姿形をしたものから見ればかなり小さい
 それを捕えようと身を屈めていては、素早い動きなど出来るはずもない
 首をひょいと巡らせて菊花を背中に放り上げると、身の丈が大きな『八尺様』の足元を容易にすり抜けて、あっさりとその背後に回り込んでしまった
 そのままとっととその場を離れようとするダミアの頭を、背中にしがみついてぺしぺしと叩く菊花
 声を出す事のできない菊花だが、契約者との意思の疎通は可能な他、察しの良い人や動物などは彼女の言いたい事がなんとなく伝わる事もある
 ダミアは面倒臭そうに踵を返すと、着物を正した菊花を背に乗せて
 映と『八尺様』、弥依と『くねくね』と向かい合う

「逃げないの? こっちにとっては好都合だけど」

 弥依に貼り付いていた紐のような手足を解き、ぬるりと地面に這わせる『くねくね』が
 捻れ、うねり、のたうつように地面を叩き、跳ねるように菊花とダミアに躍り掛かった

―――
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