[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part5 (1002レス)
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557: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga] 2012/01/17(火)22:21 ID:Vig5HR/i0(3/6) AAS
「―――――やあ、過激派の黒服さんだね?」

 男の目の前には一人の黒服が立っていた。

「そういう君は?」

「僕は……穏健派というか、なんというか、強いて言えば良心派
 嘘をつかない過激な黒服さんは今何をしていたんだい?
 ここの家族はそもそも僕の担当で……」

「ああ、そう。仕事は終わったから事後処理を手伝ってもらえると幸いなんだが……」

「あのさあ、こういう勝手な真似をされると困るんだ。君たちみたいな人のせいで組織のイメージが悪くなるんだよね
 そうなるとあちこちでの活動が制限されてしまって……」

 黒服は明らかに怒りに震えていた。
 男はその様を見て笑いが止まらないのだが、それを懸命に抑えようとはする。

「ククク……そうは言うがねえ、こうでもしないとあの女の胎から生まれる娘が世界を滅ぼしていただろうさ」

「だからって平和に暮らしていた家族を惨殺して家に火まで放っちゃう訳?」

 先ほどの火炎放射器による炎がカーテンに登り始めていた。

「ああ、万が一ということがあるからな。徹底的に滅ぼす」

「そうやってありとあらゆる物を傷つけて、殺して、滅ぼしていって、全てを滅ぼしきれると思っているの?」

「さあ?」

「さあって……」

「無一物」

 男は焔を背景にして語る。

「仏に逢うては、仏を殺し、祖に逢うては、祖を殺し、羅漢に逢うては、羅漢を殺し、
 父母に逢うては、父母を殺し、親眷に逢うては、親眷を殺して、始めて解脱を得ん
 何者にも囚われず、振りかかる火の粉をただ無心に潰す
 私はそういうシステムだ、そういう存在として世界に居ることを許されている」

「そういって殺された人間の気持ちになったことは?」

「無い」

「僕の家族はあんた達みたいな人間に殺された
 百のために一を殺す?それを百回繰り返せば百が死ぬんだよ」

「ああ、一万のためなら百程度死ぬさ」

 その言葉と同時に黒服は男に飛びかかる。
 疾い、驚くべき疾さだ。しかし、男の目の前でその黒服はバラバラの肉片へと変化する。

「ちなみに、先ほどの“佛に逢うては〜”という話だが、あれは君を挑発するために言った誤りの解釈だ
 君はなにか勘違いしていたようだが私は嘘をつかないとは言っていない」

 男は話している間に展開していたワイヤーをしまうとそのまま燃え盛る家から脱出してしまった。
 翌日、現場検証に来た黒服は燃え残った家等を調べた結果“罪のない人々を殺すしかないと判断した心優しい黒服が罪の意識から自殺を試みたもの”と判断する。
 こうして“獣の数字”を持った子供を持ってしまった夫婦と、“獣の数字”を持つ子供の対処を任された黒服の事件は終幕を迎えた。
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