[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part5 (1002レス)
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57: その女、苛烈につき 2011/12/24(土)23:43 ID:L85LbULd0(1/4) AAS
 ーーーーねぇ、犬鳴村って、知ってる?
 戦前から何らかの事情で一般社会から隔絶されていて、村の入り口には「ここより先、大日本帝国憲法は通用せず。」って書かれた看板があるんだって
 もし、その村に入り込んでしまったら、鎌を持った村の住民達に追い掛け回されてしまうんだって
 ……追い掛け回されて、どうなるのか、って?
 決まってるじゃない

 殺されてしまうんだよ

 …それが、ごくごく一般的に人々の間で伝わっている、都市伝説「犬鳴村」の内容だ
 つまるところ、人殺しが許されている村があり、村の住民は全てが人殺しである、と言うそんな話
 そんな村、実際に日本国内にある訳がない
 ……が
 人々が噂すれば、その都市伝説は生まれてしまう
 それが、この世界の真理である
 故に、この世界の日本国に、犬鳴村は生まれてしまった
 当然、村人も都市伝説「犬鳴村」の一部であり、正確には人間ではない
 ただただ、村を訪れた者を[ピーーー]ためだけに存在する駒でしかない村人達
 それらは、静かに鎌を研ぎ獲物を待つ

 そして、この日
 その村に、久方ぶりに訪問者が現れた

「………」

 訪れたのは、真っ黒なスーツをまとった女だった
 日本人、ではない
 欧米人であろうか、美しい容姿をしている
 すたすたと、その女は「ここより先、日本国憲法は通用せず。」と書かれた看板を素通りし、村へと入り込んできた

「……ふん。看板の内容こそ若干違うが。「犬鳴村」で間違いはないようだな」

 ぼそり、女は呟く
 ずんずんと、村の中央へと向かっていく女
 その女の後をそろり、そろり……と
 鎌を、鉈を、包丁を、斧を、刀を、長刀を、槍を
 ありとあらゆる、刃物がついた凶器を持った村人達が、気配を押し殺してあとをつけ始めた
 人々が噂する通りに、女を[ピーーー]ために
 いつからか、「追いかける」事よりも「[ピーーー]」ことが主流となった村人達は、哀れな犠牲者を見つけたとしか思っていない

 村人達は気づかない
 女が、「組織」所属の黒服であるのだと
 村人達は気づけない
 女が、その中でも「過激」派に所属している存在であり………

「さて」

 ぴたり、と
 女が、足を止めた瞬間
 村人の一人が、興奮を抑えきれなかったのだろう
 雄叫びを上げながら、女に向かって突進していった
 槍を構え、女の無防備な背中に向かって突き立てる

 −−−−どすっ、と

 槍は、女の腹部を、あっさりと貫いて……

「都市伝説「犬鳴村」よ」

 しかし
 女は、苦痛など感じていない様子で、村人に
 否
 都市伝説「犬鳴村」自体に、告げる

「私は「組織」所属、ANo内「過激」派の者だ……私の部下が、貴様らの世話になったらしいな」

 以前に、女と同じような黒いスーツを着た者を殺したことがあることを
 そういえば、と村人が思い出した、直後

 どろり、と
 女の腹部に突き刺さった槍が、溶け始めた

「部下の仇をとらせてもらおう」

 それだけではない
 女の体が、どろり……と
 溶け始めているように、見えた
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