[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part5 (1002レス)
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662: 笛@エロは気にするな!◆2PnxfuTa8. [saga ] 2012/01/22(日)21:18 ID:4mTGWzNH0(4/9) AAS
「……はい、大体そういう感じです。状況が状況だったので勝手に契約させていただきました」

「先に飯食っておいて良かったぜ。腹いっぱいじゃ怒ったり泣いたりもできないし
 かなり追い詰められた状況だからその術で生き返らされてこうして意識と記憶と身体がしっかりしているだけでもラッキーだ」

「……ごめんなさい」

「構わないよ、元々父さんには“組織に関わるな”と釘を刺されてたのに俺がでしゃばったんだ
 男が目の前で追われている女の子を助けられないなら死んだのと一緒だよ
 それが俺の心意気」

「はぁ……」

「だからあれだ、気にするな。俺が悪いんだ」

 そう言って九郎は立ち上がってベランダに出る。
 何も言わずに星を眺めてる。

「馬鹿だなあ、俺」

 そう言ってから頬をパチンと張る九郎。

「さて、寝るか」

「あ、あの九郎さん!今の状態だと無理矢理な契約だったので……」

「明日で頼む!俺は寝るぜ!」

 押し入れから布団を出してトトに投げつける九郎。

「自分で引いて寝てね!毎朝六時起きだからうるさくても文句言うなよ!」

「きゃいん!」

 布団を頭から被って悲鳴をあげるトト。
 しかし構わずに自分だけさっさと布団を敷いて九郎は電気を消す。

「……寝ちゃった」
 
 寝息を立てて眠る九郎。
 トトはため息を吐く。

「契約の回路をしっかりつないでおかないと何時暴走するか分からないんだけどなあ……」

 揺すっても起きない。
 呼んでも起きない。
 彼女はまだ解っていない。
 彼なりの流儀としてトトの前では九郎はできるだけ平気そうに振舞っているが、自分が一度死んだと聞いて落ち着いていられるわけがないのだ。
 たとえ己が愚かであったと解っていても、それでもなお突如として命を奪われた理不尽に怯えているのだ。
 
「……仕方ないか」

 トトは静かに呟いて布団を敷く。
 宵闇の中でも人外である彼女の視力は衰えない。
 九郎から流れこんでくる心の力のおかげで回復した魔力で彼女はマンションの一角を防御用の要塞に改造することにした。
 神霊クラスの都市伝説であるトトは最低限の心の力さえあれば大規模な魔術的改装を一瞬で行える。
 作業自体はほぼ一瞬で済み、マンションにおいて彼の部屋の周りだけは組織や彼女と同じレベルの都市伝説が入ってこれないように強固且つ気づかれづらい結界が張られた。

「あとは……これだけだね」

 眠る九郎の前で難しそうな顔をするトト。
 寝苦しそうな顔をしているところから考えるに、契約の負担が重たいのだろう。

「……こればかりは本当にごめんなさい」

 静かにトトは呟いた。
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