[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part5 (1002レス)
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66: 単発:クリスマスの夜に 2011/12/25(日)00:28 ID:4RK14EzRo(3/4) AAS
 その中にはここへ来る途中に出会った、クラスメイトの父親の姿もあった

「今年も大変ですね、杉田さん」
「なに、大事な子供と、その友達と、友達になるかもしれない世界中の良い子のためですからね」

 このみの父もまたトナカイの牽くソリに乗り込むと、このみに向かって手招きをする

「ほら、おいで」
「……いいの?」
「このみは、サンタさんに会いたかったんだろう?」

 おずおずとソリに近付くと、トナカイ達が鼻先を寄せて、角をぶつけないように気遣いながら頬を突付く

「ほら、乗っていいってさ」

 温かい父の膝の上で
 父と共にトナカイの手綱を握り
 ソリと共に空を舞う少女の視界一杯に
 空一面に広がる闇のヴェールを彩る星々と
 眼下に広がる人々の営みを支える町明かりの海
 サンタクロースと共に過ごすクリスマスの夜は、確かに少女の望むクリスマスプレゼントだった

―――

 新学期の教室で、このみは『クリスマスプレゼントをくれるのは親だ』という話をして、喧嘩をした友達と顔を合わせる

「よう」
「ん」

 ややばつが悪そうに、お互い顔を見合わせて

「クリスマス、どうだった?」
「うん、プレゼントをくれたのはお父さんだった」
「だったろ?」

 クラスメイトの少年は、やれやれといった調子で肩を竦める

「サンタが居ねぇなんて、一言も言ってないのに。話は最後までちゃんと聞けよ」
「ん、ごめんね」

 そう言うと少年は、小さな紙袋をこのみに手渡す

「クリスマスに会えなかったから、今やるよ」
「……わたしに?」
「お、俺、将来は父さんみたいになりたいから! 今のうちにプレゼント渡す練習だよ!」

 少年は少し顔を赤くして、誤魔化すように自分の席へ戻っていき
 このみは紙袋を嬉しそうに、大事そうに
 鞄のポケットにしまい込むのだった
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