[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part5 (1002レス)
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691: プラモデルの人◆GsddUUzoJw 2012/01/23(月)23:08 ID:W9kjmnvD0(3/4) AAS
「…………………………は」
 
      ・・・・
脳裏に浮かぶはあの女性。かつて自分の心を喰らい、この身を食べ残した【ショゴス】の契約者。
いつか必ず、あの人の全てを食べ尽くす……あの時固くそう誓ったハズの、我が人生のメインディッシュ。
           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それを私は――――――我が身可愛さに、諦めようとしていたのか?

「…………あは…………ははは」

『……精神が耐え切れずに壊れたか……哀れな。』
『所詮こやつも其処らの有象無象と変わらんというわけか』

【スター・ゼリー】では敵わない。だが【ショゴス】ならわからない。
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それはつまり――――――今の私ではあの人に届かないと言う意味か?

「…………るな」

腹立たしい。何よりも誰よりも、先程までの情けない自分自身が。
目の前に用意されたご馳走に手を付ける事無く、あろうことかその食材に―――全ての始まりの思いまで、奪われそうになったのか。

「…………ざけ、るな」

自分の身体など知った事か。あの人を超えるためだけに、人である事などとっくに捨てた。
自分の精神など知った事か。あの人を喰らい尽くしたい、そのたった一つの思いがあればいい。
自分の限界など知った事か。あの人を『愛する』為ならば――――――

「ふざ、ける、なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

――――――限界なんて、バラバラにして胃袋に放りこんでしまえ!

『馬鹿な、まだ言葉を発する気力が…………グッ!?』
『こ、これは!』

呻き声を上げるとほぼ同じく、【ル・ラグ】の身体にも変化が訪れていた。
まるでお湯に漬けられた氷のように、身体の表面が剥がれては崩れ溶けていく。
これは―――まさか。

『馬鹿な……そんな馬鹿な!我が、この我が!』
『いくら戦闘面で他の化身に劣るとは言え【這い寄る混沌】の一部たる我が……!?』

余りの出来事に狼狽し、今まで以上に暴れ回る【ル・ラグ】。だが、いかに否定したくともそれは揺るぎない事実。
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
有り得ない事に、彼女は今―――この邪神の化身たるコウモリを、消化しつつあった。

「私は超える!あの人を超える!這い寄る混沌か何か知らないが、お前程度なんて前菜以下だぁぁぁぁ!」

『『馬鹿な…………バカナァァァァ!』』

【ル・ラグ】の全身が完全に崩壊し、周囲に混じり消えていく。最後に残った双頭も、また……。

『『オボエテイロ……ワレガホロボウトモ、イズレダイニダイサンノワレガガガガガガガガ…………』』

捨て台詞を残し、半透明の闇の中へと姿を消した。

「……はい……化身の一つと思われるコウモリを、ぐぅっ!失礼しまし……消化、に……成功……至急、迎えを」ピッ

ο-No.0への連絡を済ませたο-No.2は、ようやく意識を手放した。
その顔は、疲れきっているように見えて…………どこか、やり遂げたような表情をしていたそうだ。
(終わり)
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