[過去ログ] 勇者「王様が魔王との戦争の準備をしている?」 (970レス)
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294: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/14(火)10:00 ID:hgvusBa00(7/9) AAS
 狩野が立ち上がった。こちらへ来るのかと思って身構えるが、何のことはない、そのまま教室の外へとぺたぺた歩いていく。

 ぺたぺた?

 狩野は上靴を履いていなかった。
 白い無地のソックスが、細すぎる足首に映えている。色の濃い肌とのコントラストもまた眩しい。
 転校してきたばかりだから指定の上靴がない? いやまさか、そんな。昨日は履いていたはずだろう。大体、それにしたって靴下のままやってくる必要もあるまい。

 熱くなっていく頭を冷ましたのは、背後から投げられた女川の言葉であった。

女川「あんた、ちょっと不自然すぎじゃないの」
省7
295: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/14(火)10:02 ID:hgvusBa00(8/9) AAS
 言葉を濁す女川を見て、ようやく俺も一つの答えに辿り着く。

勇「……マジかよ」

女川「マジもマジ、大マジよ。クラスの女子に昨日メール回ってきたっつーの」

 努めて小声で女川は言う。自らの立場を公言するのは得策ではないのだ。
 学生という身分は、つまり一介の兵士であると同時に首相でもある。時として、自らという領土を守るために銃を取り、指揮を執り、生存を勝ち取らなければならない。そのためには外交努力も当然手段として入ってくる。
 狩野側に回ることは敵対を意味する。せめて中立でいれば、戦火からは逃れられる。物資の提供をすることがあっても、戦争へ加担しているという罪悪感は軽い。

 俺は女川を叱責できなかった。叱責するのならば、今すぐ首謀者をひっぱたいてやらなければならないからだ。
省12
296: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/14(火)10:04 ID:hgvusBa00(9/9) AAS
夢野「なに、そんな大声で。気にしなくていいじゃん。そんなのストレスフルになるだけだって」

勇「お前……!」

夢野「やだなぁ、勇ちゃん。面白けりゃいいんだって。娯楽だよ、娯楽」

 視界が赤熱する錯覚を覚えた。見て見ぬ振りする俺や女川が人間として上等だとは思わない。だが、五十歩百歩、どんぐりの背比べ、目くそ鼻くそを笑うだとしても、夢野の言いぐさはあまりにもあんまりではないか。
 俺のそんな雰囲気を察して、夢野は困ったような顔をした。そんなつもりじゃなかったんだけどなぁ。感情を表すならばこうだろうか。

 肩をすくめて夢野は去っていく。俺はそれを追うことはなかった。俺に一体全体追う権利があるだろうか? 既にまったき加害者だというのに?
省8
297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sagesaga] 2012/08/14(火)12:24 ID:48PfO+u3o(1) AAS
ついてけない
意味不
298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/08/14(火)12:28 ID:PvxQptSso(1) AAS
オラ何がしたいのかわからなくなってきたぞ
299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/14(火)12:52 ID:dD3CJuVd0(1) AAS
昔の[たぬき]映画を思い出すぜ
これはどっちが現実なんだろうな
300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/14(火)18:52 ID:zUdBbNQPo(1) AAS
結構面白いと思うが
301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/14(火)21:37 ID:u197zNZIO携(1) AAS
頭の悪い読者はここで振り落とされるのかめしがうまいな。
302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) 2012/08/14(火)23:51 ID:SevjfQgMo(1) AAS
今のところ理解できるように書かれてないんだから、分からなくて当然だろ・・・
むしろ分かったふりしてる方が・・・
303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) 2012/08/15(水)02:09 ID:XQII9ipPo(1) AAS
理解できないのは思考放棄してるからだろ
1から10まで説明が無いと理解できないとか頭悪すぎ
304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/08/15(水)03:22 ID:k3nvqfQYo(1) AAS
スレが荒れそうな喧嘩腰のレスをする頭のいい読者がいるみたいだな
305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/15(水)04:34 ID:D1ROQJKDO携(1) AAS
とうさん今日もこの板は平和です
306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/08/15(水)06:09 ID:4P7qs/CKo(1) AAS
頑張ってくれ
307: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:47 ID:nCIrDtoE0(1/14) AAS
* * *

 次の日、狩野の机に菊が置かれていた。
 狩野は一瞬目を見開くが、まるで何もなかったかのように椅子を引く。
 せめて花と花瓶くらい除ければいいのに。そのようなこれ見よがしな態度が攻撃を激化させることをわかっていないのだろうか?

 しかし狩野の行動は明らかに不自然だ。俺が今考えたように、本来ならばおとなしくなるべきなのだ、やられている側は。
 性格なのだろうか。やられて黙っていられないほどの。

夢野「全く、転校生もよくわかんないねぇ」

女川「……」
省7
308: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:47 ID:nCIrDtoE0(2/14) AAS
夢野「怖いよねぇ女って」

 女である夢野が言うのはおかしかったが、俺はそれを指摘する元気もない。日がな一日こうなのだ。それでいて病院にかかろうとは全く思えない。
 思えないというのは、単にやる気の問題であり、かつやる気の問題でしかなかった。やる気が根こそぎ奪われているのだ。誰が何の目的で俺のやる気などを奪っているのかはわからない。世界中の恵まれない子供にでもばらまくつもりだろうか?

夢野「ま、転校生も付き合いが悪かったしね。ね、ね、聞いてよ。あの娘、クラスのリーダー格の○○さんに、『存在が臭いからどっか行って』って言ったんだってさ!」

勇「あぁ……あぁ、そう……」

夢野「もう、もっと頑張ってよ! 張り合いがないなぁ!」
省7
309: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:48 ID:nCIrDtoE0(3/14) AAS
* * *

 また次の日、トイレから戻ってきた狩野は、なぜかびしょ濡れだった。まさかトイレの中で夕立にでも降られたのだろうか? だとしたら運の悪いことである。
 朝にやっている教育番組のように、狩野に対するソーユーコトは、手を変え品を変えバリエーションが豊富だ。ゲームでチーププレイを拒む心理に通じるものがある。変なことに熱意を燃やす人間もいるものだ。
 最近、頭は痛くなくなってきた。代わりと言ってはなんだが、視界の端がうっすらと桃色に染まり始めている気がする。

 俺は女川の席を見た。彼女は本日欠席である。体調が悪そうだったから、家で安静にでもしているのだろう。

夢野「ねーねー、勇ちゃん。転校生がまたやられてるよ。あんなに頑張って意味あるのかな。どうせうまくいきっこないんだしね」

 何がうまくいきっこないんだろう。夢野は何を知っているんだろう。
省7
310: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:49 ID:nCIrDtoE0(4/14) AAS
夢野「あ、もしかしたらマゾなのかもね。それならよかったな」

そうなのか?

夢野「うん。ちょーっと登場人物のパターン弄って、みんな転校生をいじめるようにしといたんだ」

夢野「折角みんなに喧嘩売ってるみたいだったからさ」

 そんなこともできるのか。
省7
311: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:50 ID:nCIrDtoE0(5/14) AAS
 脳髄へと伸ばされた誰かの手を振り払い、教室を後にする。無節操に解剖されるのは好きではない。だのに、誰かが違法行為をおかしているのだ。ぞわりぞわり這い登ってくる悪寒の主はその誰かに決まっている。

 部室へ行って、夢野と駄弁る必要がある。そしてそのあと本屋に寄って、女川の見舞いに行こう。そうしたら明日は学校で、それさえ乗り切ってしまえば土日の連休。
 そこで頭をゆっくりリフレッシュすればいい。夢だの現実だのに振り回される必要はない。

 もうすぐ終わるのだ。
 なにが? ――学校が。平日が。

 だけれど本当にそうだろうか? もっと大事な何かが終わりを迎えるのではないだろうか?
 心がぎしぎしと軋んで悲鳴を上げる。経年劣化した輪ゴムが千切れるように、心もまた、劣化は早い。

 体中を掻き毟りたくなる感覚をなんとか押さえつけ、俺は部室を目指す。
省1
312: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:51 ID:nCIrDtoE0(6/14) AAS
* * *

 さらに次の日、狩野の机の中身が丸ごと避妊具に置き換えられていた。ご丁寧に中身が入った状態で。

 誰が何のためにやっているのか。そんなことは最早どうでもいい。戦争はすでに包囲戦へと突入している。諦めて退くか、兵糧が尽きて陥落するか、どちらか一つしか結末は存在しない。
 生きるということは戦争である。学校ならば、それに拍車をかける。

 吐き気がする。頭痛がする。倦怠感。眩暈。幻聴に幻覚。病んでいるのは周囲なのか、それとも俺の精神なのか。
 現実は加速し、とどまるところを知らない。ブレーキはすでにどこかへ吹っ飛んで行ってしまったのだろう。手を伸ばしたとしても、それより早く遠ざかってしまっては、行為をするだけ無駄というものだ。

 そしてまた、夢もとどまらなかった。あの日を境に現れた仮想現実は、俺の安眠を妨害こそしないまでも、着実に現実を蝕み始めている。
 目を覚ませば、明日にも俺は俺であって俺でない俺になっているのかもしれない。その考えは何度振り払ってもこびりついて黒ずんでいく。
313: ◆yufVJNsZ3s [saga] 2012/08/15(水)08:54 ID:nCIrDtoE0(7/14) AAS
 ぐぉおおおん。ぐぉおおおん。ぐぉおおおん。

 鐘の音で気が付けば、すでに放課後であった。昼食はどうしたのか、板書は書き留めたのか――その辺りの記憶がまるでない。霞がかかった中で、正確な事実を引き出せない。引き出すほどの事実が本当にあったのだろうか。

 苛立ちは焦燥感を引き寄せ、精神を不安定にさせる。
 何かをしなければいけない強迫観念だけがあった。けれど、何を強迫されているのかがまるでわからないのだ。目的の欠如は方向感覚を乱して大いに俺を惑わせる。

 自然と手に力が入ってしまっていた。爪は加工された机の天板の上を滑っていくだけで、何にも引っかかることはない。力すら籠めさせてくれないのは、俺に対しての罰のつもりだろうか。だとすればなんと効果的な。

勇「部室……いかなきゃ」
省2
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