【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」 (328レス)
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1: ◆DAC.3Z2hLk [saga] 2019/06/14(金)00:33 ID:DTY4fa360(1/49) AAS
モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所と高垣楓さんのSSです。
独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。
シリーズの一作ですが、時系列的に最初のお話なので、これから読むorこれだけ読むのでもお楽しみいただけます。
前作です↓
【たぬき】鷺沢文香「ばくばくふみか」
vip2chスレ:news4ssnip
最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
vip2chスレ:news4ssnip
SSWiki : 外部リンク:ss.vip2ch.com
309: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:30 ID:9I+qLSeE0(20/32) AAS
◆◆◆◆
―― 鹿児島 とある離島
「……ふむー?」
「今、因果のよじれが、どこかにー……」
「……ああ。なつかしき風を感じましてー」
310: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:30 ID:9I+qLSeE0(21/32) AAS
◆◆◆◆
―― ゆめのなか
「んー…………」
「おうた……ゆらゆら……ぽわぽわ……」
「ふわー……」
311: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:32 ID:9I+qLSeE0(22/32) AAS
◆◆◆◆
―― ???
「あら? この気配……」
「わぁ……♪ 幸せの流れが、下に注いでますね〜」
「う〜ん……ちょっと遊びに行っちゃおうかしら。ふふっ♪」
312: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:33 ID:9I+qLSeE0(23/32) AAS
◆◆◆◆
裏方まで届く歓声は、小さなハコにはまるで見合わないものだった。
人はとっくに席を溢れ、フロアを埋め尽くすほどに集まっている。客も、店員も、その音に釘付けだった。
渦中の歌姫は挨拶もそこそこに、逃げるように舞台を後にした。
引き止める声もあっただろう。彼女が何者なのか知らない客も多かっただろう。
この出来事は、後に「高垣楓の歌い逃げ」として伝説化することとなる。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ」
帰ってきて息を切らす彼女は、決して嫌だからそうしたのではない。
省3
313: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:34 ID:9I+qLSeE0(24/32) AAS
「Pさ――」
ふらっ――
「……! 高垣さん!」
咄嗟に、よろけた体を受け止める。
彼女の体は熱かった。
汗ばむ肌に、熱を帯びた息。けれど辛そうではない、むしろ力強い息吹を感じさせる。
省11
314: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:35 ID:9I+qLSeE0(25/32) AAS
そして彼女は、優しく笑った。
「私を見つけてくれて、ありがとう」
そんなの。
それを言うなら、あべこべだ。
順序が違う。そのすれ違いがなんとなく「らしい」なと思って、笑ってしまった。
俺から言わせてもらえば、だってそれは。
「……君が、俺を見つけてくれたんじゃないか」
あの「人形の夢」は、もう見ない。
何よりも救い出されるべきだったのは、自分だったのだと思う。
省1
315: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:36 ID:9I+qLSeE0(26/32) AAS
◆◆◆◆
この事務所は、そういう風にして始まった。
最初は殺風景だったオフィスルームも、徐々に物が増えてきて。
俺と楓さん、ちひろさんの三人だったのが、新しいアイドルもどんどん加わってきて。
どこからか、失せ物探しが得意な少女がやって来て。
やたらツキのいいお茶目なお姉さんが舞い込んで。
努力家のカリスマハーフ悪魔が加わって。
省8
316: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:38 ID:9I+qLSeE0(27/32) AAS
〇
言っちゃなんだがお上りさん丸出しだった。
新宿駅の東口広場でデカいリュックを背負い、人ごみに惑う女の子を見つけた。
最初は親切心からだった。外回りで見かけてしまい、なんか放っておくのも憚られて。
あの、お困りですか――などとお決まりの声をかけようとして。
「ぽこっ!? ななな、なんでしょうかっ!?」
あ。
省4
317: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:39 ID:9I+qLSeE0(28/32) AAS
「君、アイドルになってみないか?」
いつも、いつでも、誰かのそばにいるように。
〜はじまり〜
318: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:56 ID:9I+qLSeE0(29/32) AAS
〇おまけ 〜 現在:エピローグ
部署は大きくなった。
それなりに自信もついた。
これ以上は無い。と思う。
頃合いだ。この機を逃してなんとするか。
決戦の時は近い。おれはやるぜおれはやるぜ。よし今だ、行け今こそ、男を見せろさあさあさあ。
「それで、電柱の陰に20分ですか」
「心の準備をしてるんですよ!」
「そうですか。あら、向こうからおいしそうなもつ焼きの香りが……」
省8
319: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)01:57 ID:9I+qLSeE0(30/32) AAS
「ずっと、スカウトしたかったんでしょう?」
「……はい」
「それなら迷う必要はないじゃないですか。今がその時、ですよ」
「…………はい」
「私の時みたいに、ぐわーっと行っちゃえばいいんです。とーこさんに、とっこーですよ」
そうか! ……ん? 特攻?
「特攻ってそれ玉砕するやつじゃ」
「あ、赤のれんが私を呼んでます。ちょっと行ってきますね♪」
「ちょおおおおおいおいおいおいそんな殺生な!! マジで一人で行けってんですか!?」
省4
320: ◆DAC.3Z2hLk [sage saga] 2019/09/05(木)02:01 ID:9I+qLSeE0(31/32) AAS
「ふぅぅ〜〜〜〜っ…………」
何度目かもわからない深呼吸。
彼女の店は、一応わかっている。教えてもらったから。
けど入るのはこれが初めてだ。
俺が店を訪れる時は、彼女に名刺を渡す時だと。そう決意していたから。
今更何を怖がる。熊本で空を飛んだり、京都でみょうちくりんな結界に閉じ込められたりしたんだ。
そういうスチャラカなプロデューサー業を越えての今だろう。
省4
321: ◆DAC.3Z2hLk [saga] 2019/09/05(木)02:07 ID:9I+qLSeE0(32/32) AAS
これにて完結です。
字数&期間ともにクソ長いところをお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
かなり独自色が強く、これまでのものとも違ったノリのお話でしたが、少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
各登場人物につきましては、この世界線でのひとつの創作とユルくお考えください。
ありがとうございました。
322: 2019/09/05(木)02:39 ID:ZyQXyL8Vo(1) AAS
乙ゥ〜
素晴らしいですわね
323: 2019/09/05(木)04:50 ID:e6rEtLfqo(1) AAS
乙でした!
PがアイドルLOVEになるまでの成長物語、楽しませて頂きました
やはり服部さんもスカウトですか。繭娘さんが色々とヤキモキしそう
元OLの人や元秘書の人も来たりするんでしょうかねえw
324: 2019/09/05(木)06:55 ID:gi5oBT4o0(1) AAS
乙でした。
責任者はどこか⁉︎
(タイトル的に)
325: 2019/09/05(木)07:02 ID:VUZbe63mo(1) AAS
どこから来たんだこずえと茄子は
瞳子さんのその後も気になるねえ
乙でした
326: 2019/09/05(木)10:04 ID:4LfM9L6XO携(1) AAS
長編お疲れ様でした!
よーし、一気読みじゃあ
327: 2019/09/05(木)10:41 ID:eOXwM1jDO携(1) AAS
乙
さて、こっひを凌辱してきますか
蛇足ですが、特攻と玉砕は似て非なるものですぜ
328: 2019/09/05(木)20:08 ID:OZ6PI646o(1) AAS
名作たぬき劇場にまた新たな一ページが刻まれたな
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