【安価コンマ】能力者を集めて物語を創る (695レス)
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369: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:26 ID:inZCwpe10(1/34) AAS
―― 二年前 ――
その日は女学院高等部進級試験が終わった後の休日で、まゆりと買い物に出かけていた。
綺麗な服や髪留め、背伸び気味なオシャレを楽しんだ帰りの出来事だった。
周囲は暗く、人通りも少ない夜の街。
雰囲気に酔ったまゆりははしゃいで時々先に前に行ってはゆっくりと後ろ歩きで自分が追い付くのを待っていた。
きっかけは、その前方不注意だった。
男A「いってえ!!」
省4
370: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:27 ID:inZCwpe10(2/34) AAS
男A「こっちこいや!!」
男B「あーあ、こいつにぶつかるなんて災難だったね」
男C「気が収まるまでどれくらいかかるか時間計る?」
周囲にいる人たちは怒る人を止めようとしなかった。
むしろ笑っている。この状況を……楽しんでいる。
まゆり「離して!!」
あっという間の出来事だった。
連れ去られる前に誰かいないかと見渡す余裕もない。
見失う前に追わないといけなかった。
371: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:29 ID:inZCwpe10(3/34) AAS
角を曲がって、曲がって、曲がって……。
見失わない。絶対に。
男D「どこまでいくんすか?」
男A「うるせえ!」
女A「いい加減解放してあげなよ。泣きそうじゃん」
しばらくして連中が止まったのは裏路地。
ここはよく痴漢やカツアゲなど、ろくでもない人が現れると学院でよく聞く場所だ。
まゆりも薄々気付いてたのか、途中から大人しくなっていた。
372: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:31 ID:inZCwpe10(4/34) AAS
場所さえ分かれば、誰かを、助けを呼べる。
男A「そんじゃガキの仕置きを始めるか」
……でもイタズラだと思われたら?
そんなことを考えたら一歩も動けなくなった。
男B「ここまで連れてきたことがお仕置きみたいなもんですよ」
男A「っるせえぇ! テメエらはその辺で誰か来ねぇか見張ってろ!!」
女B「はいはい。一番うるさいのは誰だってね」
連中のうち一人がこっちにくる。
だんだん近づいてくるのに動けない。
省2
373: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:33 ID:inZCwpe10(5/34) AAS
女B「あの子の友達?」
首を縦に振る。
女B「面倒な人に会ったなー。このままここで見てるだけなら黙っててあげる」
女B「助けにいくなら……ご勝手に。みんなもこの隙に逃げたろうし、もう帰るわ」
そのまま横を通り過ぎていく。何もなかったように。
省2
374: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:35 ID:inZCwpe10(6/34) AAS
男A「何発で許そうかな〜」
迷ってる時間はない。
早く行かないと……!
男A「倍返しで許してやろう。二発殴るぞ」
頭では分かってるはずなのに、動けない。あしが、動かない。
なんで震えてるんだよ。助けに……いかなくちゃ!!
まゆり「ごめん、なさい……」
省2
376: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:38 ID:inZCwpe10(7/34) AAS
まるでそれを待っていたかのように、突然身体が動いた。
男A「? 誰だこいつ」
まゆり「きちゃ、だめ……」
男A「ぁ〜なるほど。友達か。いいねぇ熱い友情だ」
男A「もう一発を自分にしてって言いたいんだろ」
省3
377: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:39 ID:inZCwpe10(8/34) AAS
紅音「……」
男A「何でさっきから黙ってんだ?」
紅音「どうすれば、許してもらえますか?」
男A「は?」
紅音「踏んでしまったこと、謝ります。許して、ください」
省3
378: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:41 ID:inZCwpe10(9/34) AAS
紅音「……え?」
男A「え、じゃない。お前がこいつ殴れ」
男A「やらねぇなら、お前殴るわ。肩代わり分と邪魔された分で二発」
まゆりが殴られないなら、そんなの、もう決まってる。
紅音「分かりました。二発でも三発でも気の済むまで……」
省3
379: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:43 ID:inZCwpe10(10/34) AAS
まゆり「まって。まって、ください」
よろよろと立ち上がり、男の前に立つ。
男A「……おい、いい加減にしろよ。気分下がる」
まゆり「わたしの、責任です。その子は関係ありません」
まゆり「殴るなら、私を……。それで終わりでしょう……?」
省3
380: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:44 ID:inZCwpe10(11/34) AAS
どちらも譲らない姿をみて諦めたように男は言った。
男A「わかった。じゃ、こうしよう」
男A「互いが互いに殴れ。そうすりゃ許してやる」
男A「殴られたい奴はちゃんと殴られてハッピーエンドだ」
男A「不満か?」
省3
381: 132を省略◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:46 ID:inZCwpe10(12/34) AAS
男A「よし、やれ」
まゆりと向き合う。小声で、『やって、あかねさん』 と聞こえた。
イヤだ。
まゆり「いきます」
待ちくたびれたか痺れをきらしたか、まゆりは言った。
ぎゅっと目を閉じる。
暴力男に殴られるよりは痛みはないと思うが、反射的にそうしてしまう。
……頬に軽い感触。
省3
382: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:48 ID:inZCwpe10(13/34) AAS
殴れ。と言われたから殴った。
力の強弱は自分次第。というわけか。
よくこの状況でトンチきかせられるな。
もしかして、最初からそれが目的?
男A「……」
それに気付いたのか、男は口元を緩めた。
何も言ってこないので、どうやらこれでもいいらしい。
紅音「じゃあ、やるよ」
省5
383: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:49 ID:inZCwpe10(14/34) AAS
瞬間、あたりが一瞬明るくなった。
384: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:50 ID:inZCwpe10(15/34) AAS
まゆり「何してるんですか!?」
男A「何って、熱い友情シーンを撮ってあげようとね」
携帯を、向けていた。
もしかして、撮られた?
男A「いやーまるで本当に殴られているかのようだ!」
男A「よし、これで許してやる」
省3
385: 36,37,38,126を省略◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:52 ID:inZCwpe10(16/34) AAS
誰かに見せてやりたい。
女学院に送り付ける気満々の口調だった。
まゆり「そんな……」
紅音「大丈夫。いちから説明すれば分かってもらえるよ」
この時はそう信じていた。
結果は、高等部への進級不可となってしまったが。
まゆり「……いたっ」
省3
386: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)18:56 ID:inZCwpe10(17/34) AAS
―― 現在 裏路地 ――
紅音「守る守られるの問題じゃねえ!」
紅音「お前は昔から危なっかしいんだ! 大人しくしとけ!」
紅音「あの時助けに行ってなかったら、どうなってたと思う!?」
紅音「本当に二発だけで済んでたと思うか!!」
省4
387: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)19:03 ID:inZCwpe10(18/34) AAS
安価↓1〜3 コンマが近いやつ
1.傷ついたのはまゆりだ
2.自分のことはどうでもいい
3.そこまで言うなら
392: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)20:09 ID:inZCwpe10(19/34) AAS
紅音「傷ついたのはまゆりだ!」
まゆり「ならどうして! どうして」
まゆり「一番の被害者だっていう私の隣に一番の友達はいないんですか……?」
……。
紅音「一番の加害者を誤解しているからだ。分かってることだろ」
省5
393: ◆ak8RAT8nZ62z [saga] 2020/02/01(土)20:28 ID:inZCwpe10(20/34) AAS
まゆり「……前から思ってたんですけど、その暴力的口調はあの人の真似ですか?」
紅音「あぁ。一種の戒めみたいなもんだ。あいつみたいになるな。でも忘れるな。そういう」
元からこういう口調だった気がしないでもないが。
もう二年も経つ。昔の口調なんか覚えていない。
まゆり「紅音さんは強い人です。私は早く忘れたいのに」
まゆり「早く強くなって、あんな過去、忘れたいのに」
省8
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