【小説版】提督「鎮守府一般公開?」 (32レス)
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19: 2022/02/24(木)23:47 ID:er2aAZLw0(4/9) AAS
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 その頃、港町憲兵分遣隊。珍しく鳴った外線を、分遣隊長がタイミングよく受けた。
「はい、こちら港町憲兵分遣隊です……は?鎮守府?」
 鎮守府、と聞こえた瞬間、この分遣隊の副官を務める憲兵中尉は事務机から顔を上げ、分遣隊長を務める憲兵大佐は受話器を置いて通話を終えた。
「隊長、今のは鎮守府からですか?」
「提督おん自らだ。あまりにも畏れ多くて切っちまった」
「あの提督が?まったく、どの面を下げて…」
 この二人にとって、例の鎮守府とのトラブルは苦い記憶となっていた。あの後、実際に海軍大臣次官から陸軍大臣次官を通じて東北憲兵隊司令官へ、非公式にではあるが遺憾の意が伝えられ、それを受けた憲兵司令官から訓告処分がなされたからだ。……怒りの矛先を向ける先を誤ったと言われれば自分達も立つ瀬がないのは自覚しているが、それでもあの後、鎮守府との関わりは無意識に避けるようになったというのが憲兵分遣隊の実情であった。
 「……それにしても、一体何の用だったんでしょうね」
 「分からん。……ただ、えらいへりくだった物腰だったな」
 「何かの頼み事……でしょうか?」
 「海軍が我々に?そんなことあるか?第一、逆の立場なら、何か頼み事をしようと思うか?」
 「いや、さすがに……」
 そこまで言った時、分遣隊の扉がノックされた。
「失礼します!」
 入ってきたのは、白いスクール水着を着た小さな少女が一人。
「はいはい……ん?君は?」
 憲兵中尉が立ち上がりかけて、少女の姿に面食らって固まった。
「あ、あの、すみません道に迷っちゃって…」
 申し訳なさそうにする少女。憲兵大佐も立ち上がる。
「ん?その恰好は海水浴かな?ごめんねお嬢ちゃん、この辺りの海岸は、まだ立ち入り規制が解けてないんだよ……」
「むっ、失礼な!私は子供じゃなくて、陸軍の軍属です!」
 可愛らしく憤慨するスク水少女。
「え……?我が軍の軍属?」
 いよいよ立ち尽くす二人の憲兵に、少女は気を取り直して口を開いた。
「実は、お願いがあるんです……」
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