【小説版】提督「鎮守府一般公開?」 (32レス)
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: 2022/02/24(木)23:52
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22: [sage] 2022/02/24(木) 23:52:21.92 ID:er2aAZLw0 鎮守府近くの防波堤で、重雷装巡洋艦の木曾が、腰を下ろしていた。身にまとうマントが、穏やかな潮風に揺れている。 「暇だな…」 鎮守府の雷巡ファミリーの末妹である彼女は、非番のときはよくこの防波堤に来て海を眺める。大井や北上、球磨や多摩といった姉達とはまた異なる性格を持つ彼女は、少女の年相応に騒いだりはしゃいだり、はたまた誰かへの憧れを持つこともなく、一歩下がって周りの幸せを眺めている方が性に合っていた。 沖合を見ると、午前中の哨戒を終えた大井と北上が、波頭を上げて入港してくる。木曾に気づいて手を振ってくれる二人の姉に手を振り返しながら、木曾はぼんやりと考え事をしていた。 ……これじゃ、鋼鉄の頃と何も変わんないな。 やや自嘲気味にそう思いつつ、木曾は、出港時以外は波止場に繋留されていた半世紀以上前の自分の姿を思い返していた。 今の自分に不満を持っているわけではない。少女の身体を与えられて生まれ変わった運命を迷惑に思っているわけでもない。青臭いが人として信頼し得る提督のもと、姉妹達を始め、軍艦旗を背負って共に戦った少女達との再会、新たに課せられた役割……一度は海に没して朽ち果てた己自身に、再び陽の光が当たるようになったのは本当に幸せな事だと思う。 だが、鋼鉄としてではなく、少女として第二の生を与えられたということに、木曾が戸惑いを感じ続けているのは、木曾自身が否定しようのない事実でもあった。 重油の代わりに食事とパフェ。防弾装甲の代わりにセーラー服とマント。電探の代わりに……透き通る翠色の瞳。 持て余しているんだろうか、俺は。この身体を。この新たな運命を。 照り付ける陽光に、木曾の白い胸元を一筋の汗が流れた。 ……何を迷っている、いや何を戸惑っている。とりあえず、今は敵をやっつけるだけだ。あの戦争で、米艦船がどれだけの我が艦艇や輸送船、そして日本の人々を傷つけた?そして今、深海棲艦とかいう化け物どもが、どれだけの人々を今なお苦しめている? 俺の本質は兵器だ。たとえ生身の少女の身体を持たされていようとも、俺は、俺の運命は……!! 不意に湧きあがった思いに、木曾は衝動的に手元に転がっていた石ころを掴み、海に向かって放り投げた。白い腕から放たれた石は、沖合200メートルほど彼方にある浮標の傍らに、小さな水柱を作った。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1642429012/22
鎮守府近くの防波堤で重雷装巡洋艦の木曾が腰を下ろしていた身にまとうマントが穏やかな潮風に揺れている 暇だな 鎮守府の雷巡ファミリーの末妹である彼女は非番のときはよくこの防波堤に来て海を眺める大井や北上球磨や多摩といった姉達とはまた異なる性格を持つ彼女は少女の年相応に騒いだりはしゃいだりはたまた誰かへの憧れを持つこともなく一歩下がって周りの幸せを眺めている方が性に合っていた 沖合を見ると午前中の哨戒を終えた大井と北上が波頭を上げて入港してくる木曾に気づいて手を振ってくれる二人の姉に手を振り返しながら木曾はぼんやりと考え事をしていた これじゃ鋼鉄の頃と何も変わんないな やや自気味にそう思いつつ木曾は出港時以外は波止場に繋留されていた半世紀以上前の自分の姿を思い返していた 今の自分に不満を持っているわけではない少女の身体を与えられて生まれ変わった運命を迷惑に思っているわけでもない青臭いが人として信頼し得る提督のもと姉妹達を始め軍艦旗を背負って共に戦った少女達との再会新たに課せられた役割一度は海に没して朽ち果てた己自身に再び陽の光が当たるようになったのは本当に幸せな事だと思う だが鋼鉄としてではなく少女として第二の生を与えられたということに木曾が戸惑いを感じ続けているのは木曾自身が否定しようのない事実でもあった 重油の代わりに食事とパフェ防弾装甲の代わりにセーラー服とマント電探の代わりに透き通る翠色の瞳 持て余しているんだろうか俺はこの身体をこの新たな運命を 照り付ける陽光に木曾の白い胸元を一筋の汗が流れた 何を迷っているいや何を戸惑っているとりあえず今は敵をやっつけるだけだあの戦争で米艦船がどれだけの我が艦艇や輸送船そして日本の人を傷つけた?そして今深海棲艦とかいう化け物どもがどれだけの人を今なお苦しめている? 俺の本質は兵器だたとえ生身の少女の身体を持たされていようとも俺は俺の運命は!! 不意に湧きあがった思いに木曾は衝動的に手元に転がっていた石ころを掴み海に向かって放り投げた白い腕から放たれた石は沖合200メートルほど彼方にある浮標の傍らに小さな水柱を作った
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