くーちゃん「しょくぶつさんとおはなししてたらびょういんにつれていかれました」 (425レス)
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274: [saga] 02/13(火)19:18 ID:RYXcxsNH0(16/34) AAS
ゴロゴロ
ポツンポツン
くーちゃん「…あめ、ですね」
くーちゃん「別にもう関係ありません」
くーちゃん「くーちゃんの目的に、天気なんてどうでもよいです」
省5
275: [saga] 02/13(火)19:19 ID:RYXcxsNH0(17/34) AAS
じんわり、じんわり、暗闇だらけの瞼の裏に、うっすらと世界が広がってゆきます。
トンネル独特の風の音。土の香り。
トンネルの中のくーちゃんは、トンネルを見るために、ゆっくりと目を開きました。
そこは、ハナちゃんが描いていた世界に、とても似てました。
少しだけ違いはありますが、匂いや温度は、とても近いです。
省2
276: [saga] 02/13(火)19:35 ID:RYXcxsNH0(18/34) AAS
くーちゃん「何千年も、大楠さんは見てきたんですね」
くーちゃん「たくさんの植物さんとの出会いと別れ」
くーちゃん「土砂崩れで埋まってしまった、たくさんのお友達。
くーちゃん「そして」
くーちゃん「大楠さんを、切る、切らないかの人の争いです」
省2
277: [saga] 02/13(火)19:37 ID:RYXcxsNH0(19/34) AAS
くーちゃん「ながくいきてたから、勝手にされたんです」
くーちゃん「とても、とても長い時間です」
くーちゃん「それは、きっとくーちゃんたち人間には、想像できないほど」
くーちゃん「くるしかったですよね。神様、しんどいです」
くーちゃん「いつも、勝手に期待されます。願い事なんて叶えられないのに、勝手に願われます」
省2
278: [saga] 02/13(火)19:39 ID:RYXcxsNH0(20/34) AAS
くーちゃんは、トンネルにいる意識の中
いつもならそこにとどまって、そのトンネルを全身に感じてました。
でも、同じ場所にとどまってては、大楠さんの芯に触れられません。
今まで知らなかったトンネルの深淵へ向かって、くーちゃんは進むことにしました。
足に力を入れてみました。
省8
279: [saga] 02/13(火)19:44 ID:RYXcxsNH0(21/34) AAS
くーちゃん「誰にも、わかってもらえないですね」
くーちゃん「人間に、あなたの言葉、聴こえませんもん」
くーちゃん「くーちゃんにも、大楠さんの言葉、わかりませんけど」
トンネルの奥まで、くーちゃんは進むことにしました。
一歩一歩、重たくて、苦しくて、その場で何度もうずくまりたくなりました。
省3
280: [saga] 02/13(火)20:06 ID:RYXcxsNH0(22/34) AAS
くーちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
くーちゃん「そですよね。こたえられませんよね」
キラッ
ポチャ、ポチャッ
くーちゃん「なにかみえます」
省8
281: [saga] 02/13(火)20:08 ID:RYXcxsNH0(23/34) AAS
くーちゃんは、沼に濡れた指先を見つめながら、顔を上げました。
その沼の中に、一本の木が生えています。
茶色くすすけてて、幹からいくつも、皮が剥がれています。
他には、茶色だったり緑色だったり、様々な葉っぱも、幹に張り付いてます。
胸の奥が切なくなるような、どことなく焦げた香りもしました。
省4
282: [saga] 02/13(火)20:11 ID:RYXcxsNH0(24/34) AAS
くーちゃん「大楠さん」
くーちゃん「くーちゃん、旅に出るとき、感じてました」
くーちゃん「この旅は片道切符です」
くーちゃん「この沼に入ったら、もう戻れません」
くーちゃん「でも、それでよいです」
省2
283: [saga] 02/13(火)20:14 ID:RYXcxsNH0(25/34) AAS
くーちゃんは、沼に、一歩足を踏み入れます。
冷たく、ぬめっとした感触が伝わり、今にも全身が飲み込まれてしまいそうです。
足もずぶずぶと、深く沈んでゆきます。
きっと、両足を突っ込んでしまえば、しばらくしないうちに、完全にくーちゃんは沈んでしまうでしょう。
一歩、一歩、歩きます。
省5
284: [saga] 02/13(火)20:16 ID:RYXcxsNH0(26/34) AAS
くーちゃん「大楠さん。これで、さみしくないです」
ずぶずぶ
くーちゃん「…ちから、ぬけてきました」
くーちゃん「あ、大楠さんも沈んでますね」
くーちゃん「そですよねっと、沼から体を浮かし続けるのは、難しいですよね」
省6
285: [saga] 02/13(火)20:20 ID:RYXcxsNH0(27/34) AAS
くーちゃん(そういえば、トンネルに入ってから)
くーちゃん(一度もハナちゃんの声、聴いてないです」
くーちゃん「ハナちゃん」
くーちゃん「ほったらかしてごめんなさい」
くーちゃん「一緒に沼の底、行きましょう」
省7
286: [saga] 02/13(火)20:25 ID:RYXcxsNH0(28/34) AAS
くーちゃん(…ずいぶん、ハナちゃん、振り回してしまいました)
くーちゃん(もうしわけないです)
くーちゃん「大楠さん。しゃべりたいこと、あります」
くーちゃん「くーちゃん、ここまで来るのに、いろいろな人、助けてくれました」
287: [saga] 02/13(火)20:26 ID:RYXcxsNH0(29/34) AAS
くーちゃん「くーちゃんのこと、最初にわかってくれた校長先生だったり」
くーちゃん「木で鹿さん、作る変わったお兄さんだったり」
くーちゃん「海の男、自称してる変わった人だったり」
くーちゃん「そんな人たちの力、なかったら、大楠さんに出会えなかったと思います」
くーちゃん「でも、ずっとずっと一緒に来てくれたハナちゃんとゆう友達、いるです」
省2
288: [saga] 02/13(火)20:28 ID:RYXcxsNH0(30/34) AAS
くーちゃん「でも、くーちゃんだけでも、よいですよね」
くーちゃん「もう一人いたほうが、にぎやかだったかもしれませんが」
くーちゃん「沼に沈めるの、くーちゃんだけみたいですし」
気が付けば体はずぶずぶと沈んでて、沼の水はあごまで迫ってました。
どうせならハナちゃんも一緒がよかったですけど、だいぶ振り回してしまいましたからね。
省3
289: [saga] 02/13(火)20:31 ID:RYXcxsNH0(31/34) AAS
くーちゃん「それに、ハナちゃんは元の世界に残った方がよいです」
くーちゃん「大楠さん、ハナちゃんは、とても絵が上手です」
くーちゃん「きっと、世界中に絵を見てもらったほうがよいです」
くーちゃん「あと、ハナちゃん、めちゃくちゃかわいいんです」
くーちゃん「きっと素敵な人と出会って、愛し合うこともあるかもしれません」
省6
290: [saga] 02/13(火)20:32 ID:RYXcxsNH0(32/34) AAS
だから、沼に一人で沈む決心がつきました。
気が付けば頭の先まで沼に沈んでて、
目の前はどんどん茶色く染まってゆきます。
体のどこもいたくなかったです。苦しかったはずの冷たさは、心地よさにかわってました。
291: [saga] 02/13(火)20:34 ID:RYXcxsNH0(33/34) AAS
AA省
292: [saga] 02/13(火)20:35 ID:RYXcxsNH0(34/34) AAS
また明日ノシ
293: 02/13(火)20:54 ID:fDCpKnGDO携(2/2) AAS
うわああああ…
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