【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 (1002レス)
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982: ◆eAA16RTlRw2e [saga] 2024/07/15(月)22:15 ID:biT3SkuF0(15/22) AAS
―絵空の家 ロビー

イリス「そういえばレーティアさんのロスチャイルドって、もしかしてあの有名な――」

レーティア「ゲーッ違います違います! あんな薄穢い悪徳貴族なんか何の関係もない赤の他人ですね!」

イリス「そ、それは失礼しました」

 ガチャッ

執事「レーティアお坊ちゃま、お久しゅうございます」スタスタ

レーティア「ゲーッなんて時に来るんですか!? 帰れ帰れシッシッ!」シッシッ

執事「レーティアお坊ちゃま……。それではまた日を改めさせて頂きます。くれぐれも、火遊びはなさり過ぎぬよう……」スタスタ

 バタン…

イリス「お坊ちゃま……!?」

ミスティ「嘘でしょ……」

クロシュ「わあ……」

 *

レーティア「はあ……見られてしまったものは仕方ありません。そうです、悪徳貴族ロスチャイルドの末席に居座るはこの私、レーティア・フォン・ロスチャイルドという男なのです」

イリス「お、男の人だったんですか……!」

レーティア「別に女装してるつもりはないんですが、勘違いされやすい容姿ではあるかもしれないですね。我ながら声もちょっと高い気がしますし」

ミスティ「完全に騙されてたわ……。でも女だと思われるといろいろ面倒なことに巻き込まれたりしないの?」

レーティア「あるにはありますけど、女と思われた方が便利な場面もありますからね。ケースバイケースですよ」

イリス「器用だなあ……」

レーティア「ま、あのくそったれ貴族への意趣返しみたいな気持ちもなくはないですね。あいつらは私をゴリゴリムキムキの男に仕立てようと必死でしたから。下らないマッチョイズムが蔓延る原始的環境、それが貴族社会ってやつですよ」

イリス「そ、そうなんですね……。貴族ってのもいろいろ大変なんだなあ……」

レーティア「ええ、そりゃもう。人間界の癌ですよあんな奴ら。とっとと滅びれば良いんです」

ミスティ「凄い恨みだわ……」

レーティア「というか私なんかのことよりクロシュちゃんのことですよ! 明日のお絵かき演舞ですが――」

クロシュ「うん……わたし、描ける……」

レーティア「いや……しかし、もしあの絵がうちの妖精さんの言ったような絵だった場合、王族の方々のお気に召さない可能性が……」

イリス「あ、そういうこともあるんだ……」

ミスティ「ええ……じゃあどうするのよ……?」

クロシュ「……えと、じゃあ……人間には、わかんないように……描けば、いい……?」

レーティア「ハッ……! そうか、言われてみれば! 確かに私もあの絵を初めて見た時、その意図を全く読み取れませんでした! しかし強烈なぱわーはしっかり感じられました。なら、同じように描けばそれで問題ないかも……!」

イリス「えと、王族の人たちが理解できなければ問題ないってことですか?」

レーティア「そうです! 理解できないけどすごいぱわーは感じられる……そうなれば問題ないはず! よし、それでいきましょう!」

クロシュ「ん、わかった……」

レーティア「あ、でも……お絵かき演舞では、みんなの見ている前で絵を描くことになるのですが、スライムの姿にならずにもう一度あの絵を描くことは可能ですか?」

クロシュ「一回描けたから、できると思う……」

レーティア「エクセレント! それでは今日のうちに予行練習もしておきましょうか。当日は私もお手伝いいたしますから、何か不安なことがあったら遠慮なく仰ってくださいね」

クロシュ「うん、ありがと……」

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