イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (953レス)
イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/
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814: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/12/26(日) 01:23:16.63 ID:Tlp9xEGX0 …鎮守府までの帰り道… 提督「うーん、それにしてもよく飛ばすわねぇ……」 …先頭をぶっちぎりで走っていくディアナのフィアット850を見て感心したように言った提督……どちらかと言えば運転の得意な提督から見てもディアナの運転は段違いで、コーナーのクリアはまるでラリーでもしているように見える……海沿いの地方道路を感心するような勢いで飛ばしていくさまは、普段のしとやかで落ち着いた「月の女神」ディアナではなく、弓を持って野山を駆け巡る「狩猟の女神」ディアナを表しているようにも見える… アッテンドーロ「あの調子じゃあ無茶苦茶に揺られてるわね、きっと……フルットたちが吐かなきゃいいけど」 提督「そうね」 …先頭を行くディアナのフィアットに続く提督のランチア・フラミニア…そしてその後ろに続くのが鎮守府に配備されている旧式なイヴェコのトラックで、荷台には幌が張ってあり、車体の後端からはクリスマスツリーが突き出している… トゥルビーネ「提督たちは心配し過ぎよ、あの程度で吐いてたんじゃあ沖に出られないでしょ?」 提督「まぁね、でも船酔いと車酔いは違うから……実際にフリゲートの艦長で一人いたもの。ブリッジまで波がかぶりそうな時化の海でも平然とコーヒーをすすっていられるのに、ローマのタクシーで真っ青になっていた人が」 シロッコ「それはローマのタクシーだからじゃないかな?」 提督「まぁね…っと、パトカーだわ。 みんなシートベルトはしているわよね?」 …スタイリッシュな黒と紅に塗り分けられたカラビニエーリのフィアット・プントが鎮守府のトラックと併走し始めると、回転灯を回して停止をうながした… 提督「あら、こっちじゃないみたい……でも私が応対したほうがいいわね」車道の端にランチアを停めると後続車を確認し、それからドアを開けてパトカーの方へと向かった… 提督「……ボンジョルノ、シニョーレ(ミスター)……どうかしましたか?」 カラビニエーリ隊員「ボンジョルノ……ああ、海軍さんですか」 …脇に寄せて停めたイヴェコの運転席から降りてきた「ソルダティ(兵士)」級駆逐艦の「ヴェリーテ(軽歩兵)」と、近寄ってきた提督を交互に眺めるカラビニエーリの隊員… 提督「ええ……どうぞ、身分証です」 カラビニエーリB「はい、どうも」 …有事となれば「第四の軍隊」として治安維持や海外派遣も行うが、同時に警察とカバーし合うように田舎での警察活動も請け負っているカラビニエーリ(軍警察)…もっとも中央の精鋭部隊と違って、地方にいるカラビニエーリは割とのんきで気さくな雰囲気を漂わせている… 提督「それで、うちの娘たちがなにか……?」 カラビニエーリ「ああ、いや。 ただちょっとばかりツリーの先端が大きく荷台からはみ出していたもんで……基地で飾るんですか?」 提督「ええ、そうです」 カラビニエーリB「そりゃあいいですね。とはいえやはり少し気になりますが……」鎮守府の艦娘たちの何人かが持っている、運転できる場所や速度が限定される制限付き免許のような海軍の「許可証」を確認しながらあごをかいた…… 提督「それでしたら一応監視役も乗せてありますから……ね、リットリオ?」 リットリオ「はい♪」提督の声に応えて、荷台からひょっこりと顔を出して笑顔を浮かべるリットリオ… カラビニエーリ「ああ、後ろに乗ってたんですね……それならばっちりですよ。 やあお嬢さん♪」 リットリオ「チャオ♪」 提督「では、大丈夫ですか?」 カラビニエーリ「ええ、問題ありません……お嬢ちゃん、ご協力ありがとう」ヴェリーテに許可証を返すとおどけたように敬礼し、フィアットに乗り込んだ… ヴェリーテ「いいえ」 提督「パトロールご苦労様です」 カラビニエーリB「これはどうも……あぁ、そうそう」 提督「何でしょう?」 カラビニエーリB「良いクリスマスを♪」 提督「グラツィエ♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/814
815: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/12/31(金) 01:39:36.27 ID:ln18LMee0 …しばらくして・鎮守府… カヴール「……それであんなに大きなツリーを買ってきたのですか」 リットリオ「はい♪」 ドリア「確かに立派ですけれど、あれだけのツリーともなるとお値段が張ったでしょう?」 リットリオ「ええ、でも提督が半分出してくれましたから♪」 アオスタ「リットリオったら仕方ないですね……提督にまでお金を出させるだなんて」 リットリオ「でも、せっかくのクリスマスですし……」 アオスタ「そうやって無駄遣いをするのは良くないですよ」 リットリオ「むぅ、アオスタってばそういうことを言うんですか」 アオスタ「だってそうじゃありませんか」 提督「まぁまぁ、アオスタ。 確かに一年に一回のことだから……それにあれを見ると、ね?」 …リットリオは鎮守府に戻ってくるなりいそいそとツリーを下ろして、食堂のフランス窓から見える位置に堂々と立てた……早速ツリーに群がって、きゃあきゃあと歓声を上げながら飾り付けに興じる艦娘たち……すでにツリーのあちこちには星形や球形のオーナメント(飾り物)がぶら下がり、どこかから引っ張り出してきたらしい電飾も巻き付けられている… アオスタ「……それもそうですね、皆があんなに喜んでいるのにお説教もないものですね」生真面目な委員長気質の軽巡アオスタはふっと肩の力を抜いて、提督に向かって苦笑した… 提督「そういうこと♪ さぁリットリオ、トップの星を飾ってきて♪」 リットリオ「はいっ♪」 …リットリオがツリーのてっぺんに飾る銀の星を持っていそいそと駆け寄ると、たちまち駆逐艦たちや潜水艦の娘たちに取り囲まれて歓声を浴びせられ、うんともてはやされている……同時に、何やら楽しげな様子であることを察したルチアもみんなの足元で尻尾を振って駆け回っている… カヴール「……何とも楽しげではありませんか♪」 提督「そうね、小さいのだけじゃなくて大きいのも買ってよかったわ♪」 ドリア「そうですね……それでは飾り付けは元気な駆逐艦や潜水艦の娘たちに任せて、私たちは中に入って温かいワインでもいただくとしましょう♪」 提督「ええ」 …食堂… 提督「まぁ……私たちが出かけている間にここまでやってくれたの?」 デュイリオ「はい♪」 …パチパチと木切れがはぜ、楽しげに火の踊る暖炉が食堂を心地よく暖め、テーブルには新しいテーブルクロスが掛けられている……テーブルの上にはいくつか燭台が置かれ、綺麗に焼き上がったパンドーロやパネットーネは大皿に載せられ、誰でも好きなようにつまみ食いが出来るよう、切り分け用のナイフや小皿と一緒に置いてある……提督たちが買ってきた小さい方のクリスマスツリーにも早速飾り付けが始まっていて、金色や銀色をした玉や木彫りのリンゴ、リボンをかけた箱の形をした飾り物などがあちこちに吊り下げられていく… ペルラ(「真珠」)「提督、お帰りなさい」 トゥルケーゼ(「トルコ石」)「みんな提督のお帰りを待ってましたよ……♪」 ルビノ(「ルビー」)「お帰りなさいっ……はむっ、んっ、ちゅぅ……っ♪」 提督「んむっ、ぷは……もう、ルビノったら積極的なんだから♪ ただいま、みんな」 ドリア「ツリーの飾り付けはいかがですか?」 スメラルド(「エメラルド」)「見ての通り順調です」 ペルラ「スメラルドの言うとおりです……ご覧になってみて、どうでしょうか?」 提督「そうね、とっても綺麗できらきらしていて……って、ちょっと」 オニーチェ(「オニキス」)「どうかしたの?」 提督「いえ、だって……これって貴女たちが持っているネックレスとかじゃない」室内の灯りを受けて輝いているモールや飾りをよく見ると、ペルラたちが持っている装身具のいくつかが交じっている…… ペルラ「どうですか、とても綺麗でしょう?」 提督「いえ、確かに綺麗だけれど……」 アルジェント(「銀」)「ふふ、せっかくのクリスマスですから……ここにはアクセサリーをくすねるような手癖の悪い娘もいませんし」 デュイリオ「あら、それはどうでしょう……わたくしはコルウス(カラス)の使い手ですし、カラスは光り物が好き……もしかして、そーっと持って行ってしまうかもしれませんよ……ね♪」肩に止まらせているペットのカラスの喉を軽くかいてあげるデュイリオ… カラス「アー」 シレーナ(「セイレーン」)「ララ、ラ……ふふ、私も宝石は好き……♪」 提督「もう、せっかく信用してくれているんだからそういうことは言わないの♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/815
816: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/12/31(金) 16:12:57.13 ID:ln18LMee0 …今年も残すところ数時間となりましたね。このssを読んで下さった皆様に感謝します… しかし年末近くにも護衛艦「みくま」進水や長きに渡り活躍した「せとゆき」の退役など、新たに生まれる艦がいれば花道を去る艦もあって色々ありましたね……来年も七つの海が穏やかで、海に関わる方々が良い風と波に恵まれますように http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/816
817: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/01/02(日) 00:43:09.25 ID:GgALU43l0 遅くなりましたが明けましておめでとうございます、本年もぼちぼち書いていきたいと思います …そして何故か三日の夜にイタリア・ドイツ・日本と所属を変えるという数奇な運命をたどった大型潜水艦「コマンダンテ・カッペリーニ」を題材にしたドラマが放送されるようで、イタリア王国海軍のファンとしては楽しみです http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/817
818: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/01/14(金) 02:43:48.80 ID:WTxXQ7Hw0 …出張当日・朝… 提督「忘れ物はない? ライモン、ムツィオ」 アッテンドーロ「ないわよ」 ライモン「準備はととのっています」 提督「そう、じゃあ乗って?」 デュイリオ「行ってらっしゃいまし、提督」 提督「ええ、艦隊旗艦として留守は任せたわ」ランチアの運転席から顔を出し、デュイリオの頬に軽くキスをする…… デュイリオ「はい、わたくしとアオスタで切り盛りさせていただきます♪」 提督「お願いするわ……アッチアイーオ、デルフィーノ。よく二人を補佐してあげてね?」 アッチアイーオ「もちろんよ」 デルフィーノ「分かっています」 エウジェニオ「それじゃあ行ってらっしゃい、提督……ライモンド、遠慮しないで好きなことをおねだりするのよ?」 ライモン「もう、エウジェニオってば……分かっていますから///」 アッテンドーロ「姉さんの尻押しはちゃんと私がやるから大丈夫よ」 エウジェニオ「ふふっ、確かにムツィオがいるなら大丈夫よね……それじゃあ行ってらっしゃい♪」 ライモン「ええ、行ってきます」 …グロッタリーエ空軍基地… 提督「では、お願いね」 …愛車の「ランチア・フラミニア」を数日とは言え置き去りにするのは忍びなかったがやむなく基地の駐車スペースに預け、それから本部施設で係の士官に搭乗のための「予約票」を渡した… 空軍士官「お任せ下さい……搭乗するのは閣下と随行する艦娘が二人ですね」 提督「ええ」 士官「確認しました……他に手荷物は?」 提督「今持っているもので全部よ」中くらいのスーツケース一つに礼装の入ったガーメントバッグ(旅行用スーツ袋)を指し示す… 士官「分かりました、それは部下に運ばせます……伍長!」 …少尉は下士官を呼んで提督たちの持ち物を機に積み込むよう指示した……エプロンに駐機しているのはエンテ翼(先尾翼)に、推進式(プロペラが後ろに付いている)双発エンジンと未来的なデザインをしたピアッジォP180「アヴァンティ」で、機付整備員とパイロットが最終チェックを行っている… 操縦士「では、この機でナポリまでお送りいたします……とはいえ通常の輸送型ですからさしたるおもてなしは出来ませんが」 提督「大丈夫よ、大尉。お気遣いなく」シートにゆったりと腰かけ、ベルトをしめた…… …数時間後・ナポリ… アッテンドーロ「うーん、この喧噪にごちゃついた町並み……ナポリ、懐かしいわね」 提督「そうね」 …賑やかでちょっとごみごみした港町でありながら、明るい陽光と家並みのせいか、どこか親しげな雰囲気のナポリ市街……沖には観光名所のカプリ島を望み、山側にはかの高名なヴェスヴィアス(ヴェスヴィオ火山)がそびえている……提督は停泊中の米第六艦隊の艦艇を横目に見ながら、つい短艇の吊り方や整頓の様子を確かめてしまう… アッテンドーロ「……そういえば提督はナポリにもいたことがあるのよね?」 提督「ええ、そこでジェーン(ミッチャー提督)と出会ったの……泊まるところがないっていうから下宿に泊めてあげたのがきっかけでね」 ……… … http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/818
819: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/01/17(月) 00:42:57.09 ID:vjM9YSGV0 …数年前… 米海軍の女性士官「ホーリィ、シッ……こういう時に限ってこうなんだから、タイミングが悪いったらありゃしない」米海軍中佐の制服を着ている一人の女性が舌打ちしながら米兵相手のホテルから出てきた…… 女性士官「ふぅ、参ったわね……」ぼやいている女性はボリュームのある身体をしていて、つやつやした褐色の肌が制服からはち切れそうになっている……と、制服姿の提督を見るとガイドブック片手に歩み寄ってきた…… 女性士官「あー……キューズミー、キャニュウスピーキン、イングリッシュ?(ちょっと失礼、英語は話せる?)」 カンピオーニ少佐(提督)「ええ、ある程度なら……メイ・アイ・ヘルプ・ユー?(何かお手伝いしましょうか?)」 女性士官「そうね、ぜひその「ヘルプ」をお願いするわ……あのね、この辺りでどっか泊まれそうなホテルかなにかないかしら? 実はホテルの予約がしてあったはずなのに部屋が取れてなくってね……別のホテルもいくつかあたってみたんだけど、事もあろうに「アイク(CVN69・原子力空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」)」の入港とかぶっちゃって……どこもいっぱいだって言うのよ」 提督「なるほど、それは大変ですね。 でもホテルと言っても、ここから歩いて行ける距離となると……タクシーを使っても今は観光シーズンですし、空母の入港も重なっていますから、悪くすると(ナポリ湾の対岸にある)ポッツォーリの辺りまで満員かもしれませんよ」 女性士官「オーケイ、それじゃあ基地に戻って内部の宿舎に一晩泊まるわ。消灯時刻はうるさいし、夕食に出るのったら出来損ないの「SOS」だけだろうけど……ま、少なくともベッドだけはあるわけだし……呼び止めて悪かったわね、えーと……」 (※shit on a single…トーストのクリームソース和え。南北戦争の頃にはレシピが生まれていたらしいが、今ひとつな味と鳥の糞に見える見た目の悪さから「屋根の上の糞」という不名誉なあだ名が付いている) 提督「フランチェスカ・カンピオーニ少佐です」 ミッチャー中佐「私はジェーン・ミッチャー中佐。ジェーンでいいわ……とにかくありがとね、カンピオーニ少佐」 提督「私もフランチェスカでいいですよ、ジェーン」 ミッチャー提督「オーケイ、フランチェスカ……それじゃあ私は基地に戻ってシケた晩飯を食べることにするわ……はるばるナポリまで来てキャンベルスープの缶詰か、それとも「テレビ・ディナー(冷凍食品)」か……とにかくアンクル・サム(合衆国)印のヤツをね♪」ニヤリと笑って、大げさに肩をすくめて見せた 提督「あの……もし良かったら、玉ねぎのマリネとスパゲッティ・アッラ・プッタネスカ、それに冷えた赤ワイン、ドルチェに甘いジェラートなんて言うのはいかがですか?」 ミッチャー提督「すごく美味しそうに聞こえるわね……フランチェスカ、それはあなたのフラット(住居)で、ってこと?」 提督「ええ。せっかくナポリに来たのですし……ナポリ料理とまでは言わなくても、イタリア料理を食べないなんてもったいないですから」 ミッチャー提督「そう……まぁせっかくそう言ってくれるのなら、お邪魔しようかしら」 提督「ええ、ぜひ…♪」 …提督の下宿先… 提督「どうぞ、ちょっと手狭ですけれど」 ミッチャー提督「ノー・プロブレム……駆逐艦のバンク(寝台)に比べたらヒルトンのスイートルームみたいよ」 提督「どうします、先にお風呂にしますか? それとも夕食を?」 ミッチャー提督「そうね……それならシャワーをもらおうかしら。何しろ陸(おか)に上がってからというもの「ハリウッドシャワー(使い放題のシャワー)」が楽しみだったのにロクな浴室と出会ってなくってね♪」 提督「分かりました。それじゃあその間にテーブルを整えておきますから、どうぞシャワーを浴びてきて下さい……それから体拭きのタオルと……私の予備ですけれど、着られますか?」白いパイル(タオル)地のバスローブを取り出して渡した… ミッチャー提督「サンクス♪ ちょいとキツめだけど着られるわ……フランチェスカが水道代で目を回さない程度にたっぷり使わせてもらうわね」 提督「ふふっ、遠慮せずにどうぞごゆっくり♪」 …十分ほどして… ミッチャー提督「ふー…さっぱりしたわ。本当にありがとね……っと」 提督「さ、どうぞ座って下さい♪」 …制服を脱いでシンプルなワンピース姿に着替え、その上からエプロンを着けている提督……部屋の灯りは少し暗めにしてあり、テーブルには赤ワインの瓶と皿が並び、ゆらゆらと炎が揺らめくキャンドルが一本立てられている… ミッチャー提督「……ワーオ、まるで素敵なレストランみたいじゃない♪」 提督「いえ……だってせっかくですから、お洒落な方がいいかと思って///」 ミッチャー提督「いいじゃない、これなら干からびたパンとチーズだって美味しく頂けそうよ♪」 提督「きっと干からびたパンよりは美味しいと思います……どうぞ、ボン・アペティート(召し上がれ)♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/819
820: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/01/17(月) 01:03:15.10 ID:vjM9YSGV0 アッテンドーロ「……そうやって引っ張り込んだわけね」 提督「あら「引っ張り込んだ」なんて人聞きが悪いわね……本当に親切でごちそうしてあげたかっただけよ?」 アッテンドーロ「どうだか……♪」 提督「もう……それより二人とも、ここからだとヴェスヴィアスが綺麗に見えるわ♪」 アッテンドーロ「あら、はぐらかしたわね……それにしてもヴェスヴィアスも相変わらずだこと。 ……開戦前までは登山電車があったけれど、今はないのよね」 提督「ええ、今は道路も出来たから車でも頂上近くまで行けるし……残っているのは「フニクリ・フニクラ」の歌だけね」 (※フニクリ・フニクラ…1880年(明治13年)ヴェスヴィアスに観光登山電車(フニコラーレ…「フニクリ・フニクラ」はその愛称)が作られたが、あまりの急勾配に恐れをなした観光客が乗ろうとせず売り上げが振るわないので、イギリスにある世界最古の旅行会社「トーマス・クック旅行社」がテコ入れのため、ナポリの新聞記者「ジュセッペ・トゥルコ」に作詞、ロンドン音大の教授として勤めていたナポリ出身の「ルイージ・デンツァ」に作曲を依頼。出来上がったこのCMソングは大ヒットし、無事に登山電車も人気となった……1944年、連合軍の管理下にあった登山電車そのものはヴェスヴィアス噴火のため閉鎖されたが、歌そのものは今も残っている。日本語訳では「♪〜登山電車ができたので、誰でも、登れる」といかにも登山電車の歌になっているが、原語(ナポリ語)では火山の炎と恋模様をからめたラブソングなのがイタリアらしい) ライモン「フニクリ・フニクラですか……ムツィオは覚えてる?」 アッテンドーロ「ええ、もちろん♪」すっと息を吸い込むと高らかに歌い始めた…… アッテンドーロ「♪〜アイセーラ、ナンニネ、メ・ネ・サリェッテ。 トゥ・サーレ、アディオ」 (♪〜お嬢さん、今宵ぼくは登るんだ。どこだか貴女はわかるかい?) アッテンドーロ「♪〜アドォ、トゥ・コーレ、ンガラァト、チィウ、ディスピェット。 ファルメ、ン・ポ」 (♪〜そこはもう恩知らずの心がぼくをじらさないところ) アッテンドーロ「♪〜アドォ、ロ・フォーコ、コ・セ、マ・シ・フゥイエ。 テ・ラッサ・スタ」 (♪〜そこには火が燃えているが(嫉妬の炎ではないから)貴女を放っておける場所) アッテンドーロ「♪〜エ・ヌン、テ・コォーレ、アプリィエッソ、ヌン・テ・ストゥルィェ。 スロ・ア・グラダ」 (♪〜貴女を追ったり(恋で)苦しめずに、ただ見つめていられる場所) アッテンドーロ「♪〜ヤンモ!ヤンモ!ンコッパ、ヤンモ・ヤ!」 (♪〜行こう!行こう! 上へと行こう!) アッテンドーロ「♪〜フニクリ・フニクラ、フニクリ・フニクラぁぁ!」 (♪〜フニクリ・フニクラ…) アッテンドーロ「♪ンコッパ、ヤンモ・ヤ! フニクリ・フニクラ!」 (♪〜上に行こう! フニクリ・フニクラ!) 提督「あら、お上手♪」 アッテンドーロ「そりゃあね……まぁ、テアトロ・アッラ・スカラ(ミラノ・スカラ座)でプリマ・ドンナをやれるとは言わないけれど♪」 提督「ふふっ……ところで二人とも、そろそろお昼にしましょう? ミカエラも待っているだろうし、ピッツェリーア(ピッツァ店)辺りで手早く…ね?」 アッテンドーロ「そうね、でもせっかくだから地元の名店でマルゲリータを食べなくちゃ……ほら、ついてきて?」 …怪しい裏通り… 提督「……ここ?」 アッテンドーロ「そうよ。 お世辞にも品のいい場所とは言いがたいけれど、この路地の奥にある店で出すマルゲリータは絶品なんだから」 提督「そうなのね……それで、ピストルは準備しておいた方がいいかしら?」 ライモン「大丈夫ですよ、提督。 わたしとムツィオが付いていますから」 アッテンドーロ「そうそう……あとは大金を見せびらかしたりしなければ大丈夫」 提督「……そういうことにしておくわ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/820
821: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/01/28(金) 02:04:18.86 ID:VGjoX0eq0 アッテンドーロ「さ、早く済ませないといけないんでしょ?」 提督「ええ」 …坂の多い港町ナポリの裏通りをすいすいと歩いて行くアッテンドーロとそれに従って付いていく提督、そして提督の横に付いているライモン……路地の道端には壊れた木箱や野菜くずが放り出してあり、お世辞にも柄がいいとは言えない… アッテンドーロ「ほら、ここよ」 提督「……どうやら間違いないみたいね」 …案内された先には薄汚れた黄色の壁をした一軒の小さな店があり、年季の入った小さな木の吊り看板には「ピッツェリーア」の文字が彫り込まれている… アッテンドーロ「チャオ、三人よ」 提督「ごめんください……」 オヤジ「へい、らっしゃい! 注文は!」 …アッテンドーロの後に付き店内へと入った提督とライモン……店の中は全体的に古く薄汚い感じではあるが、テーブルだけは長い年月にわたってずっと拭かれているのか、表面に艶が出てすっかり飴色になっている……威勢のいい店主は丸顔であごに無精ひげをはやし、汚れきったエプロンに台拭きを挟みこんでいる… アッテンドーロ「それぞれにピッツァ・マルゲリータよ」 オヤジ「あいよ! 飲み物は?」 アッテンドーロ「ロッソ(赤)をもらうわ」 オヤジ「ほいさ……士官さん、そっちは?」 提督「それじゃあ同じものを」 オヤジ「そっちのお嬢ちゃんは?」 ライモン「わたしも同じでいいです」 オヤジ「よしきた! ほらおっかあ、聞いただろ!」 おかみさん「ガタガタ言わなくたって聞こえてるよ、あたしにだって耳があるんだからね!」 オヤジ「そうかい! おれはてっきりこの間「オレキエッテ」と一緒に料理しちまったと思ってたぜ!」 (※オレキエッテ…「耳」を意味する丸っこいパスタ。タラント近郊では「小石」を意味する「チァンカレーレ」とも) …勢いのいい店主とおかみさんのやり取りに、数人の客はげらげら笑っている……そのうちの三人は顔なじみらしい爺さんたちで、後は白粉をベタベタと塗った娼婦の「お姉さま」方……彼女たちもきっと数十年前は王室ヨットのようにスマートで綺麗だったのだろうが、すっかり沿岸回りの老朽貨物船のような体型になっていて、サビの上にペイントを塗りたくっているあたりもよく似ている… おかみさん「はい、お待たせ!」編んだ柳のカゴにすっぽりと収まっている丸っこい瓶から、グラスにごぼごぼとワインを注いだ…… オヤジ「おう、とっととしねえか! せっかくのピッツァが冷めっちまうだろうが!」 おかみさん「分かってるよぅ! それにもし冷めたらヴェスーヴィオ(ヴェスヴィアス)にでも突っ込めばいいじゃないか!」 …下町のナポリ人らしく元気にまくし立てながら、さっとピッツァ・マルゲリータの皿を提督たちの前に並べたおかみさん……縁のある丸くて薄い生地にさっとサルサ・ポモドーロ(トマトソース)を塗り、モッツァレラ・チーズとバジリコを散らしてある… 提督「グラツィエ」 おかみさん「はいよ! 冷めないうちに食べな!」 提督「ええ……あむっ」 …パリッとして少し焦げのある香ばしい「耳」の部分と、さっくりとした生地の部分……そこに酸味のあるポモドーロと、ふつふつたぎっているモッツァレラの脂っ気、そしてそれをすっきりと打ち消すバジリコの爽やかな風味……一人に一枚を供するナポリピッツァで、差し渡したっぷり二十四センチはありそうな一枚が来て、提督は少し持て余してしまうかと思ったが、口当たりが軽いので美味しく食べられる… ……… … アッテンドーロ「……ね、美味しかったでしょ?」 提督「はぁ、確かに美味しかったわね……あんなに美味しいピッツァ・マルゲリータを食べたのは初めてかもしれないわ」 アッテンドーロ「でしょう?」 提督「ええ、これで心おきなく出張に出かけられるわ♪」 アッテンドーロ「良かったわね……それじゃあ私と姉さんはこれで♪」 提督「楽しんでいらっしゃいね」 ライモン「提督も楽しんで来て下さいね」 提督「ありがとう、ライモン」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/821
822: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/02/04(金) 11:30:35.82 ID:6//l9u1t0 …ナポリ基地「南部ティレニア海」管区司令部… フェリーチェ大尉「来てくれて嬉しいわ、フランカ……それで、この後のスケジュールだけれど」手際よくラップトップコンピューターとメモを用意し、説明に入る… 提督「ええ」 フェリーチェ大尉「まずはローマのスーペルマリーナでいくつか資料を受け取り、それからアリタリアの便でスキポール空港(アムステルダム)に。スキポールにはハーグのオランダ海軍参謀部から士官が来ているから、その士官に二つほど資料を渡す」 提督「それから?」 フェリーチェ大尉「次にスカンジナビア航空の飛行機でオスロに飛んで、私はあちらの情報部と少し情報交換をするわ……それが済んだらノルウェーの海軍士官に基地を案内してもらって、フリゲートや艦娘たちを紹介してもらう予定になっているわ」 提督「ノルウェーのフリゲート……フリチョフ・ナンセン級ね」 フェリーチェ大尉「ええ。それからもう一度スカンジナビアの便に乗ってストックホルムに行って一泊、翌日の夕方にはフィンエアーの飛行機でヘルシンキ入り……細かい時間のスケジュールはこの紙に書いてあるわ。いくつかはぶいてある部分もあるけれど、そこは気にしないで?」 提督「分かっているわ。 それにしても結構なスケジュールね……色々見てみたい名所もあるのに、全然見られそうにないわ」 …公務である事は提督にも分かっているが、ヘルシンキ入りするの前のたった一日か二日の間にオランダ、ノルウェー、スウェーデンと駆け抜けるスケジュールを見て、さすがに愚痴が出る… フェリーチェ大尉「そこは勘弁してちょうだい、フランカ。 やっぱり将官が行くと金モールの威光が働くから、先方が無理解な部類でも話を通しやすくなるのよ……それだけに普段は許可が下りにくい所へも訪問の予定を詰めこませてもらったから、どうしてもね」 提督「ええ、分かっているわ。でもせっかくのフィンランド湾だし、ストックホルムからヘルシンキは流氷クルーズの船で行きたかったなぁ……って」 フェリーチェ大尉「悪いわね、観光旅行って訳じゃないから時間がかかる船便は「うん」って言ってもらえないのよ……いつかみたいに火山が噴火して航空便が軒並み欠航にでもなれば別だけれど。代わりにストックホルムで一泊させてもらえるから、ちょっとだけ観光が出来るわ」 提督「わざわざ掛け合ってくれたのね、ありがとう……ストックホルムは「北欧のヴェネツィア」っていうくらいだし、一度見てみたかったの」 フェリーチェ大尉「いいのよ、私だってたまには観光くらいしたいし……官費とあればなおの事ね」ふっと浮かべた笑みを見ると、提督はフェリーチェとしばし同棲していた時を思い起こした… 提督「そうね……せっかく機会を得られたのだから、出来るだけ楽しまないと♪」 フェリーチェ大尉「だからって羽目は外さないようにね」 提督「分かっているわ♪」 …午後・カポーディキーノ空軍基地… フェリーチェ大尉「それじゃあ、準備はいいわね? パスポートと航空券は持ってる?」 提督「ええ♪」 フェリーチェ大尉「よろしい」 …荷物検査のエリアへ提督を連れて行くと、空軍の係官にパッと何かを提示して見せた… 係官「あっ……確かにうかがっております」 フェリーチェ大尉「結構」係官がチェーンで塞いでいる通り道を開けて、二人をさっと通してくれる…… 提督「……」 …官民共用のカポーディキーノ基地で空軍の「ガルフストリーム」哨戒・連絡機に乗り込み、次々と離着陸するカラフルな旅客機を眺めつつ離陸を待った… 提督「ふー……空港の手続きっていうのはせわしなくって気疲れがするわね」 フェリーチェ大尉「たかが国内でそんなことを言っているようじゃ、途中でへたばっちゃうかもしれないわね」 ……… …数時間後・ローマ… フェリーチェ大尉「それじゃあ今夜はここで一泊するから……明日は0800時にはスーペルマリーナで資料を受け取り、その脚でフィウミチーノ空港に向かうわ。駆け足の行動になるから早めに寝ることね」 提督「ええ、そうするわ……」 …そう言ってビジネスホテルらしいシングルベッドに潜り込むと、軽くため息をついた… フェリーチェ大尉「あ、そうそう」 提督「なぁに?」 フェリーチェ大尉「お休み……♪」提督の唇にさっとキスをすると、隣のベッドに潜り込んで卓上スタンドの灯りを消した…… 提督「///」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/822
823: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/02/19(土) 01:30:56.43 ID:91e2KKf20 …翌朝・フィウミチーノ空港… 出国カウンター職員「ご連絡は承っております、どうぞお通りください」 フェリーチェ大尉「グラツィエ」 提督「……ねぇミカエラ、手荷物検査も搭乗手続きもなしってどうなっているの?」エアバスの座席に腰かけて、シートベルトを締めながら小声で尋ねた…… フェリーチェ「そう、もう言ってもいいわね……私は表向き「オブザーバーとして会議に出席するイタリア海軍将官に随行する士官」って事になっているけれど、ハーグで渡す資料はNATOの「機密」扱いだから、実際は情報部のアタッシェ(伝達吏)扱いなの……まぁていの良いカモフラージュね」 提督「あぁ、それで……」 フェリーチェ「そういうこと……フランカがおしゃべりするとは思わないけれど、知らなければ顔にも出ないし口が滑ることもないもの。とにかくスキポールでオランダ海軍の士官に資料を渡せば、重荷はなくなるから安心して」 …アムステルダム・スキポール空港… オランダ海軍士官「連絡は受け取っております。では資料を……」 フェリーチェ「お願いします」 オランダ士官「確かに……どうもありがとうございました」 フェリーチェ「いいえ、どうもご苦労様でした」トランジット(乗り換え)エリアにやって来たオランダ海軍士官が身分証を見せて資料を受け取り、軽く会釈すると立ち去った…… 提督「……あれだけ?」 フェリーチェ「ええ、あれだけよ……あとはあの士官がハーグにあるオランダ海軍の参謀本部まで運ぶ手はずになっているの。これで最初の用は済んだから、今度はSAS(スカンジナビア航空)の飛行機に乗ってオスロ入りね」 提督「そう……ところでお昼は?」 フェリーチェ「どのみち短時間だし、エコノミーの機内食を食べるよりもオスロでの昼食に期待しましょう。 今のうちにお腹を減らしておけば、より美味しく感じられるでしょうし」 提督「空腹は最良のソースってわけね……」 …オスロ… ノルウェー海軍士官「ようこそおいで下さいました。ノルウェー海軍のビョルゲン・クリステンセン少佐です」 提督「初めまして、少佐……イタリア海軍のフランチェスカ・カンピオーニ少将です。こちらはミカエラ・フェリーチェ大尉」 クリステンセン少佐「初めまして、カンピオーニ少将、フェリーチェ大尉……ノルウェーは初めてですか?」 提督「ええ」 クリステンセン「そうですか。時間があればたくさん案内したい場所があるのですが、残念ですね」 …堂々とした体格に金髪、青い目、あごにそって生えたひげ……と、北欧神話の神トールやエッダ(伝承物語)に出てくる英雄ベーオウルフ、あるいはヴァイキングをほうふつとさせる偉丈夫のクリステンセン少佐は数多くの冒険家と探検家を生み出してきたノルウェー人らしい立派な顔立ちをしている……敬礼のを済ませてから握手を交わすと、そのゴツゴツとした力強い大きな手に驚かされる… 提督「お気遣いありがとうございます、少佐」 クリステンセン「いえ……では早速ですが行きましょう。フェリーチェ大尉は情報部の人間が迎えに来ていますから、その間カンピオーニ少将には大戦中ドイツ艦隊の侵攻を迎え撃った海岸要塞の遺構を案内します……それからベルゲンの「ハーコンスヴァーン海軍基地」に向かい、見学の方をなさって下さい」 提督「分かりました。ところで「要塞」というと……オスロの戦いでブリュッヒャーを沈めた「オスカシボルグ要塞」ですか」 クリステンセン「そうです、よくご存じで」 提督「ええ、ノルウェー軍の奮戦ぶりについては私も以前から尊敬の念を抱いておりましたから……と言いたいところですが、お恥ずかしながら細かいところは映画で知ったのです」はにかんだような笑みを浮かべる提督…… クリステンセン「なるほど……とはいえわざわざ「予習」までして下さったようで嬉しいですね。ところで昼食はお済みですか?」 提督「いえ、それがまだでして」 クリステンセン「そうですか、ではベルゲンへ向かう前に昼食をお召し上がりいただくとしましょう……お客様のために素晴らしい鮭の燻製を用意してありますよ」 提督「まぁ、それは楽しみです♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/823
824: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage] 2022/02/21(月) 07:14:28.18 ID:TKSSFowqo SS速報避難所 https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/824
825: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/02/27(日) 00:42:52.60 ID:RoXNloNK0 >>824 教えて下さってありがとうございます。 ……とはいえさして更新がはかどるわけでもないのでしばらくはここで投下していき、そのうちにそちらへ移ることも考えて行きたいと思います。 それにしてもウクライナはどうなるのか……日本から心配してもどうこうなるわけでもありませんが、せめて気持ちだけでも応援してあげたいですね。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/825
826: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/02/27(日) 01:56:01.40 ID:RoXNloNK0 …数時間後・ハーコンスヴァーン海軍基地… 基地司令「ようこそハーコンスヴァーン海軍基地へ」 …曇り空の下に広がるベルゲン沖の海は冬の北欧らしく荒々しく冷たい灰色に白い波頭を散らしていて、切り立った崖やフィヨルドが天候とも戦わなければならないスカンジナビアの荒々しい自然の雰囲気を感じさせる……基地には小型ながらイージス・システムを備え「ミニ・イージス艦」とあだ名されるノルウェー海軍の「フリチョフ・ナンセン」級フリゲートや、まるで陸戦兵器のようにグレイとグリーン系の色でスプリッター迷彩を施した「シェル(盾)」級ミサイル艇が数隻停泊していて、隣接する区域には艦娘たちの居住施設がある… 提督「とても大きな基地ですね……それに崖の中にドックがあったりと、実に興味深いです」 基地司令「そうでしょうね。我が国が地政学的の観点から、かなり独特な兵器体系を構築してきていることは自認しております」 …映画館やジムといった各種の娯楽施設まで備えた、まるで一つの町のような基地を案内してくれているのは基地司令の大佐で、ダンディな金褐色の口ひげを生やしている… 提督「いえ、国情に合った見事なものだと思います……それにノルウェーの「コングスベルグ」といえばペンギン・ミサイルを初め有名ですし、ぜひ色々と勉強させていただきたいと思っております」 (※コングスベルグ…ノルウェーの総合軍需メーカー。IR(赤外線)誘導の短距離対艦ミサイル「ペンギン」はベストセラーSSM(対艦ミサイル)で、発展型の「NSM」は「JSM」としてF-35戦闘機の兵装としても採用された) 基地司令「恐縮です……まぁ陸軍にはかの有名な名誉連隊長「ニルス・オーラヴ」がおりますが、その分我々海軍にはペンギン・ミサイルがありますからね……ところで昼食がまだでしょう? どうぞ食堂の方へ」 (※ニルス・オーラヴ准将…イギリス、スコットランド動物園にいるキングペンギン。現在は「三世」で階級はノルウェー近衛部隊の准将。1961年、各国軍隊の音楽隊によるイベント「ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥー」でノルウェー軍の中尉が交流を持ち、そののち隊のマスコットとして認めてもらうよう働きかけたもの。当初は上等兵だったが昇進を重ね、代替わりを続けながらとうとう准将となった。名前は当時の国王オーラヴ五世にあやかったもの) 提督「これはどうも、わざわざありがとうございます」オスロでも軽い昼食を食べてはいたものの、むげにもてなしを断るのも悪いのでそっと制服のベルトを緩めながらついていく…… …基地の食堂では艦娘担当の中佐一人と艦娘二人が提督たちを出迎えてくれた……白いテーブルクロスをかけた長テーブルには、さまざまな取り合わせの具材を載せたノルウェー式オープンサンドウィッチ「スモーブロー」や綺麗なスモークド・サーモンの皿が並んでいる… 艦娘担当官「では、こちらの艦娘たちを紹介いたします……「スレイプニール」級駆逐艦の「スレイプニール」と「オーディン」です」 艦娘「スレイプニール級駆逐艦、スレイプニールです」 …神話と同じく脚が八本あるかどうかはテーブルクロスに隠れていて見えないが、たてがみのような銀髪にしっかりした表情は水雷艇クラスの小さな駆逐艦とは思えないほど大人びている… 艦娘「同じくスレイプニール級、オーディンです」 …こちらも北欧神話の主神オーディンと同じく片目がないかどうかは顔にかかっている髪で定かではないが、やはり神話にあやかっているのか、左右の耳にはオーディンへと世界中の情報を伝えるカラス「フギン(思考)」と「ムニン(記憶)」をあしらったイヤリングをし、足元をそっとのぞくと狼の「ゲリ」と「フレキ」(二匹とも「貪欲」「大食らい」といった意味)をモチーフにしたアンクレット(脚飾り)を付けている… 提督「初めまして」 基地司令「……さぁどうぞ、遠慮せずに召し上がって下さい」 提督「では、いただきます」具をこぼさないよう、お上品にスモーブローを口に運ぶ提督……北欧風の薄くしっかりとした固めのパンに、それぞれ塩漬けニシンや味の濃いハム、酸味の利いたピクルスなどが載せてある…… 基地司令「いかがですかな?」 提督「ええ、とてもおいしいです……ニシンというのはピクルスとも合うものですね」 艦娘担当官「お気に召していただいたようで何よりです」 提督「ええ。それにこの燻製サーモンも絶品ですし」ほどよく脂が乗っていてしっとりしているサーモンに、さっぱりしたサワークリームが添えてある…… 基地司令「それはよかった……深海棲艦が出現した当初は出漁も出来ず、養殖場も被害を受けたりしたものですからね。 当時はしばらくサーモンとお別れでしたよ」 提督「そうでしょうね……イタリアでも海産物の価格が跳ね上がって大変でしたから」 オーディン「あの時はゲリとフレキの食べものに苦労しました」 提督「ふふ、何しろ名前からが「貪欲」ですものね♪」 オーディン「……北欧神話をご存じですか」 提督「ええ、一応は……きっと貴女はミーミルの泉の一口と引き換えに、片目をあげてしまったのね」 オーディン「その代わり世界で一番賢くなったので……」そう言いながらスモーブローを食べているが、片目のせいで目算を誤ってしまうのか、ちょくちょく足元の「ゲリ」と「フレキ」のあたりにこぼしている…… スレイプニール「……」 オーディン「何か?」 スレイプニール「いいえ、私はオーディンの馬ですから」 オーディン「ならよし……それにしてもハチミツ酒(ミード)が飲みたいものだ」 基地司令「こらこら、昼からはいかんぞ」真面目そうな表情をふっと崩すと、軽く叱りつけた…… 提督「ふふっ……♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/826
827: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/03/25(金) 11:03:21.07 ID:PjuYs/Jb0 提督「……ところでここの戦隊司令はどちらに?」 …食後のコーヒーをカップに注いでもらい、灰色の海を眺めながら担当官に聞いた……当然ながら各国で「艦娘」の運用制度は異なるので、ノルウェーの担当官がどういう立ち位置にあるのかは少し分かりにくかったが、どうやら艦隊の運用に当たる「提督」とは別に、艦娘たちのメンタルや広報活動を受け持つ、マネージャー兼カウンセラーのような扱いであるらしい… 基地司令「いやはや申し訳ない。 本当ならばここの戦隊司令も少将をお出迎えする予定だったのですが、哨戒中に潜水艦らしきコンタクトを発見しまして……先ほど帰投したので、すぐこちらに参ります」 提督「ああ、そういうことでしたか。では「どうぞ焦らずにおいで下さい」とお伝え願えれば……」そう言いかけたところで一人の少尉が入って来て、基地司令になにか耳打ちした…… 海軍士官「……」 基地司令「ん、そうか。では格好を整えたらすぐ来るようにと……戦隊司令ですがもうすぐ来ますので、どうぞコーヒーのお代わりでも」 提督「そうですか、では半分ほど……」 …数分後… 海軍士官「遅くなりました。ノルウェー海軍のビョルン・ダニエルソン中佐です……少将どの、はるばるイタリアからようこそお越し下さいました」 提督「初めまして、ダニエルソン中佐。イタリア海軍のフランチェスカ・カンピオーニ少将です。お会い出来て光栄です」 …急いで正装に着替えてきたらしい中佐は荒波などものともしないようながっしりした体型をしていて、まるでファンタジーに出てくるドワーフのような金茶色のヒゲが顔の下半分を覆うほどにたっぷりと生えている……声は低いが良く通り、そのゴツゴツした手はコーヒーカップが小さく見える… スレイプニール「お帰りなさい、司令」 オーディン「帰投を待っていました」 ダニエルソン中佐「ああ……ちゃんといい子にしてたか?」 スレイプニール「もちろんです」 ダニエルソン中佐「よし、偉いぞ」そう言うと大きな手で頭を撫でた……お客様である提督の前だからか遠慮しているように見えるが、普段は親子のように仲良くしているらしいことがうかがえる…… 基地司令「それじゃあダニエルソン中佐……そろそろ少将に我々の活動を説明するから、君も同席して実際にはどんな様子だとかを解説してもらいたい」 ダニエルソン中佐「了解」 …しばらくして… 基地司令「いかがでしたか?」 提督「ええ、とても参考になりました」 …ノルウェー海軍製作のごく短い映画と、直近の活動中に撮影した写真を使ったプレゼンテーションを見せてもらい、それから様々な説明を受けた提督……手持ちのノートには聞き留めた大事な単語や肝心な所を要約した短文があれこれと書き込まれ、そこからあちこちに矢印が飛び出して他の単語や言い換えとつながっている… ダニエルソン中佐「残念な事に我々ノルウェーの艦娘はあまり数が多くないうえ、大型艦がほとんどおりませんから、沿岸防衛が主任務となっております。夏場は夏場でユンカースJu−88やハインケルHe−111による空襲がありますし、冬場はひどく時化るので、活動が難しいという面では苦労します……それに最近は見かけなくなりましたが、一時期は重巡クラスの深海棲艦も確認されていたので、必要なときはシェットランド諸島に展開している英海軍と協力しています」 提督「なるほど」 ダニエルソン中佐「オスロからノルウェー南端のクリスチャンサンはスウェーデン、デンマーク、ドイツ海軍と協力しつつスカゲラク海峡とカテガット海峡の安全を確保してバルト海への入り口を維持し、ここベルゲンを始めとした西海岸のノルウェー海沿いには、スタヴァンゲル、オーレスンド、トロンヘイム、ナムソス等に鎮守府があってロフォーテン諸島やノール岬への海路を確保しています……そしてナルヴィクから北、トロムセの鎮守府から先のヴァランゲル半島、ノール岬(ノールカップ)を経由し、ロシアのムルマンスク港へと向かうバレンツ海の極北航路を維持するのは主にキルケネスの鎮守府となっています」 (※スカゲラク海峡、カテガット海峡…スカンジナビア半島とデンマークのあるユーラン半島に挟まれた海峡で、スウェーデン東岸やフィンランド南部、ポーランド北部やバルト三国に面しているバルト海やフィンランド湾へ入るための出入り口にあたる要衝。いわば北欧のジブラルタルかダーダネルス海峡といった場所) 提督「なるほど……それにしても長い半島西側は制海権を維持するのが大変ですね」 ダニエルソン中佐「その通りです。南部はデンマークやスウェーデンの海軍に任せておけますが、西にはアイスランドしかありませんからね……そのため我々ノルウェー海軍は西岸の基地に多く展開しているのです」 提督「良く理解できました、ありがとうございます」 ダニエルソン中佐「いえ、何かの参考になれば嬉しいですよ……そういえばオスロからは列車で?」 提督「いえ、飛行機でした」 ダニエルソン中佐「それは残念です。何しろ「ベルゲン鉄道」と言えばすばらしい景色で有名な観光列車ですから、ぜひ乗ってほしかったですね」 提督「私も時間さえあればそうしたかったのですが、なにぶん出張ですから……」 ダニエルソン中佐「どうやら小うるさくてけちな主計部というのはどこの海軍も変わらないようですね」 提督「ふふ、同感です♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/827
828: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/04/03(日) 02:06:33.27 ID:LWsM42WL0 提督「……ところでダニエルソン中佐はどうして海軍に?」 …海軍士官がお互いに出会うと、話は自然と今まで航海した海や港で出会った興味深いものや珍しいもの、変わったこと……そして(当人が話してくれるようなら)海軍に入った理由もよく話題になる… ダニエルソン「私ですか……私はうちが代々クジラ取りの漁師でしてね」 提督「クジラですか」 ダニエルソン「ええ。ノルウェーじゃ伝統的に食べていたんですが、昨今は保護団体からの風当たりが強いもんですからね……それに深海棲艦のこともあってクジラ漁が立ち行かなくなったので、サーモンやカニ漁に切り替えようとしたんですが、それもダメでしてね……結局、海のことならどうにかなるだろうと海軍予備士官に志願したんです」 提督「そうだったんですね」 ダニエルソン「ええ……カンピオーニ少将はクジラを食べたことがありますか?」 提督「いいえ、一度も」 ダニエルソン「……少将もやはりクジラは保護するべき生き物で、猟の対象にするべきではないとお考えで?」 提督「どうでしょうか……同族の哺乳類を食べていると嫌悪感を抱く人がいることは知っていますが、それでいけば牛や豚も食べられませんし……実家では時々、猟で仕留めたイノシシやウサギ、シカを食べていましたから……絶滅危惧種なのに見境なく乱獲するとか、あるいは遊び半分に殺すのでなければそういう文化があっても良いと思いますよ」 ダニエルソン「そう言ってくれると嬉しいですね。ノルウェーでもいまやクジラを食べる人はごく少なくなってきてしまいましたから……たいていは日本に輸出されるんですよ」 提督「なるほど」 ダニエルソン「これが昔持っていたうちの船です」 …ダニエルソンは胸ポケットから軍隊手帳を取り出すと、折り返しの透明窓の所に挟んでいる写真を見せてくれた……ふちが少しよれている年季の入った写真には、北欧らしいずんぐりむっくりとした寸詰まりの船体に、やたら乾舷の高い船首をもった一隻の漁船が写っている……舷側は鮮やかな赤色で、埠頭に横付けした船の前でダニエルソンとその家族と思われる数人が笑顔で収まっている…… 提督「素敵な写真ですね」 ダニエルソン「いや、どうも……」ぼりぼりと頭をかきながら、少し恥ずかしげに照れ笑いを浮かべた…… 提督「……ところでダニエルソン中佐、ノルウェー海軍も深海棲艦が出現してからは「提督」として任官する士官が多いのでしょうか?」 ダニエルソン「ええ、多いですね……私のような予備士官を始め、他兵種からの転属や若手士官の起用、士官学校の拡充も続いていますよ」 基地司令「とはいえ、どうしても他兵種からの転属組は「艦娘」の運用となると難しい所がありましてね……何しろレーダーやミサイルに慣れている今どきの士官に、大戦中の兵器について学び直してもらうのでは時間がかかりすぎますから」 提督「そうですね」 基地司令「それに「艦娘」たちは戦う軍艦としての存在であると同時に、一人の女の子でもありますし……その心のケアや体調管理には気を遣っています」 提督「たしかに、専門のカウンセラーや医療施設、ジムや温水プール、美容室……艦娘たちの福利厚生にとても気を配っている印象を受けました」 基地司令「ええ……我々は彼女たちに高いパフォーマンスを発揮、維持してもらうためにはそういった施設が必要だと考えていますし、同時に「深海棲艦」による制海権の喪失や、それをイージス艦や戦闘機といった既存の兵器で奪い返すコストを考えれば、それだけしても充分にお釣りが来ると考えております」 提督「同感です」 ダニエルソン「それに、彼女たちはみな良い娘ばかりです……そりゃあ時には叱りつける事もありますが、よく頑張ってくれていますよ」 提督「ふふ、それは私の所でも同じです……♪」お互いに提督として理解し合い、話が盛り上がってきた所でそっとフェリーチェが耳打ちした…… フェリーチェ「フランカ、そろそろ空港に行かないと……」 提督「ええ……色々なお話を聞くことが出来てとても有意義な時間でしたが、そろそろ空港に向かわないとならないので……本当はもっとお話をしたいのですが」 ダニエルソン「それは残念です……カンピオーニ少将は例のヘルシンキで行う会議に出席なさるのですね?」 提督「ええ」 ダニエルソン「そうでしたか……私は参加しませんが、ノルウェー海軍からは別の士官が出席する予定ですから、カンピオーニ少将のことをお伝えしておきます」 提督「ありがとうございます」 基地司令「では、送迎車を玄関に回しておきましたので……有意義な時間を過ごしていただけたようなら本官としても幸いです」 提督「ええ、大変に学ぶところがありました……大佐の心のこもったもてなしについては、ノルウェー海軍本部にも御礼を伝えておきます」 基地司令「いや、これはどうも……では、また機会がありましたらぜひ当基地へいらしてください」 スレイプニール「では、いつかまた来て下さいね。カンピオーニ少将……ちゅっ♪」敬礼を交わした後、つま先立ちをすると頬に口づけをした…… 提督「あら……♪」 …司令部の入り口で基地司令とダニエルソン、それに「スレイプニール」を始めとする艦娘たちが見送ってくれる中、いそいそと車に乗り込んだ… フェリーチェ「……どうやら良い思い出ができたようね」 提督「そうね……♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/828
829: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/04/10(日) 02:20:06.56 ID:j7Yli54l0 …ストックホルム… 提督「うーん、やっと着いたわね……肩と腰がすっかりこわばっちゃった」 フェリーチェ「慣れてないでしょうし無理もないわ……でも、情報部だったら一泊で五カ国を巡ったりなんていう弾丸旅行みたいな出張もよくあるのよ?」 提督「頭が下がるわ……でも、今夜はちゃんとしたホテルに泊まれるのよね?」 フェリーチェ「ええ」 提督「助かったわ」 …空港ビル… 美人の女性士官「……ようこそストックホルムへ。お二人を案内することになりました、スウェーデン王国海軍のイングリッド・ラーセン大佐です」 …アーランダ国際空港のターミナル5で二人を出迎えてくれたのは、大佐の制服もビシッと決まっている海軍士官で、きりりとした典型的な北欧美人といった顔立ちもあいまって、銀幕を彩った往年の名女優「グレタ・ガルボ」を彷彿とさせる…… 提督「初めまして、ラーセン大佐……「タラント第六鎮守府」司令のフランチェスカ・カンピオーニ少将です(それにしても目が覚めるような美人ね……)」敬礼を交わし、握手をしながらごくりと生唾を飲み込む…… フェリーチェ「ミカエラ・フェリーチェ大尉です」 ラーセン大佐「スウェーデン訪問を歓迎します。少将閣下、それと大尉……ここからストックホルムのホテルまでは私が車でお送りします。 ところで、お二人はこれまでストックホルムにおいでになったことは?」 提督「いえ、まだです」 ラーセン「そうですか、では「ガムラスターン(旧市街)」や王宮での衛兵交代は見たことがないわけですね?」 提督「ええ」 ラーセン「分かりました。せっかくストックホルムに来たのですから、ぜひご覧になってもらいたいですね……衛兵交代は正午ですから、明日ご案内しましょう」 提督「ありがとうございます」 ラーセン「いいえ。さぁ、どうぞ乗って下さい……ちょっと狭いかもしれませんが」駐車しているのは丸みを帯びた流線型で構成された2ドアの自動車で、銀色の塗装が空力を意識した滑らかで美しいラインを際立たせている…… 提督「サーブですか、今どき珍しいですね……」 (※サーブ…1937年に国営の航空機メーカーとして設立された。「SAAB」は「スヴェンスカ・アエロプラン・AB(スウェーデン航空機製造会社)」の頭文字から。小国でありながら高い技術力をもち、戦中にエンテ翼、双ブーム、推進式エンジンという独特なデザインを持つJ21を完成させるなど意欲的な機種を次々と開発。戦後も50年代には米ソよりも早くダブルデルタ翼を採用したJ35「ドラケン(ドラゴン)」やJマルチロール機として好調なJAS39「グリペン(グリフォン)」を送り出すなど、優れた設計と高い技術力を誇る。一時期は航空機設計の技術を応用して自動車分野にも参入し、技術力に裏打ちされた優れた自動車をリリースしていた) ラーセン「ええ、サーブ96です。父の代から乗っていて愛着があるものですから……年代物ですし運転には少し慣れが必要ですが、よく走りますよ」 提督「それでは……よいしょ、と」助手席の椅子を前のめりに倒してもらい、そこから後席に潜り込む……大柄な車ではないので少しせせこましいが、それでもそこまで居心地が悪くないのはシートやルーフ(屋根)のデザインがよく出来ているからだろうと提督は思った…… フェリーチェ「じゃあ私は助手席で」 ラーセン「ええ。それでは行きましょう」 …ストックホルム市街への道… 提督「……それにしても、コンパクトなのによく走りますね」 ラーセン「そうですね……乗り心地はいかがですか?」 …アンダーパワー気味のエンジンしか積んでいないため加速はそれなりだが、空力設計が上手いからかコーナーではかなり機敏なサーブ96……提督も車の運転は得意な方なのでしげしげと観察していたが、ラリーカーとして活躍するだけのことはあると思わせる… 提督「そうですね、かなり面白いです」 ラーセン「ちゃんとした自動車でお迎えできなくて済みません……本当は運転手付きの黒塗りでお出迎えする予定だったのですが、たまたま黒塗りの使用日時がかぶってしまいまして」 提督「構いませんよ。それにこちらの方がスウェーデンの自動車らしくて楽しいです」 ラーセン「そう言ってもらえると助かります」 提督「いえいえ」 ラーセン「……ストックホルムに着きましたら市街の案内や通訳は私が行いますので、必要な事があればどうぞご遠慮なく」 提督「ありがとうございます」 ラーセン「いいえ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/829
830: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/04/17(日) 02:36:41.50 ID:XwueR7TO0 ラーセン「ところで、スウェーデンで何かご存じのことはありますか?」 提督「そうですね……スウェーデンと言うと、サーブの戦闘機に「ヴィズヴィ」級フリゲート、Strv.103(Sタンク)のように、ユニークで優秀な兵器を持っているイメージですね……他に知っている事と言えば、恥ずかしながらグレタ・ガルボやイングリッド・バーグマンのような綺麗な女優が多いことと、警察小説の「刑事マルティン・ベック」シリーズ……そうそう「ニルスの不思議な旅」も子供の頃に読んだことがあります」 …提督は自分でも知識が偏っていることに苦笑いをしながら、運転席でハンドルをさばいているラーセンにそういった… ラーセン「なるほど、「ニルスの不思議な旅」ですか。 あれは子供のためにスウェーデンの地理と歴史を楽しく学べるよう書かれた児童文学ですから、あれを読めばスウェーデンの大まかなところが理解できますよ……あとでゆかりの場所もご案内しましょう」 (※ニルスの不思議な旅……セルマ・ラーゲルレーヴの児童文学。動物をいじめていたり親の言いつけを守らない悪童ニルスが妖精をいじめたために小さくされてしまい、ガンの群れについて行こうとして飛び立った家のがちょうを捕まえようとして飛び立ってしまい、そこから渡りの中で様々な経験をして成長するお話。スウェーデンの地理や歴史を物語として楽しみながら学べるようになっている) ラーセン「……それにしても時間の都合でカールスクルーナに寄れないのは残念ですね。私の鎮守府もカールスクルーナにあるので、ぜひご覧になって欲しかったのですが」 (※カールスクルーナ…スウェーデン南部に位置する軍港都市で世界遺産。冷戦中の1981年、ソ連の「ウィスキー」級潜水艦が座礁した「ウィスキー・オン・ザ・ロック」事件が起きた場所でもある。「ニルスのふしぎな旅」ではカール十一世のブロンズ像と、カールスクルーナ提督教会にある有名な老人型の寄付箱「ローゼンボム」の像が出てくる) 提督「ラーセン大佐はカールスクルーナ鎮守府の司令なのですね」 ラーセン「ええ……生まれたのは南部のマルメですが。 マルメはストックホルムよりも暖かですし、住んでいる人も穏やかな良いところですよ。それにコクムスの造船所もあります」 (※コクムス……スウェーデンの造船会社。1840年からあって、所有していたガントリークレーンはマルメの名物だった。潜水艦の建造にたけており「ゴトラント」級を始めとするAIP(非大気依存)システム搭載の通常動力潜水艦では高いノウハウを持つ。海自の「そうりゅう」型にも技術が導入されている) 提督「そうですね」 ラーセン「ええ。夏場は避暑を兼ねて多島海にある小島の別荘に行って、日光浴をしたり冷たいアクヴァヴィットを飲みながらのんびりしたりして時間を過ごすんです」 提督「自分の島があるなんて素敵ですね♪」 ラーセン「まぁ、スウェーデンは島が多いですから……それと先ほどからのお話を伺っている限りでは少将は映画がお好きなようですが、それで言うとマルメはアニタ・エクバーグの出身地でもありますよ」 提督「やっぱりスウェーデンはきれいな人が多いんですね。ラーセン大佐もとてもきれいな方ですし……それもぎらぎらした太陽ではなくて、静寂の中で輝きを放つ月のようです」 ラーセン「お上手ですね……何かお飲み物でもごちそうした方がよろしいですか?」 提督「いいえ、むしろ私からごちそうさせて下さい♪」 フェリーチェ「カンピオーニ少将」ラーセンに色目を使い始めた提督をたしなめるように、事務的な声を出した…… 提督「あー、こほん……そう、映画は好きですよ」 ラーセン「そうですか。他にもスウェーデンと言えばイングマール・ベルイマン監督や俳優のマックス・フォン・シドー……イタリアと言えば「ヴェニスに死す」に出演した美少年タジオを演じたビョルン・アンドレセンもスウェーデン人ですよ」 提督「ルキノ・ヴィスコンティの映画ですね……幼い頃に見た時は分かりませんでしたが、ある程度大人になってから見ると感情や描写の奥深さに驚かされます」 ラーセン「そうですね、中年の作曲家が名前も知らない美少年に心を奪われてしまう……それだけで済ませることのできない人間の心や、美しいものに心惹かれる感情の機微というのでしょうか……」 提督「ええ。それにヴィスコンティ自身も美少年が好きだったようですから、一層リアリティがありますね」 ラーセン「たしかにその話は聞いたことがあります……そろそろホテルに着きますよ」 …ストックホルム市街は古き良き石造りの建物も多いが、同時にガラスとコンクリートで出来た現代的なビルディングも数多く立ち並んでいる……どちらにもいい点はあるのかもしれないが、淡い黄色や落ち着いた白色の壁の古い建物の方が好ましく思えた… 提督「きれいな街ですね」 ラーセン「ありがとうございます……ですが、私からすると堅苦しくてよそよそしい感じがしますね。もっとも、それは私がストックホルムの人間でないせいかもしれませんが」 提督「いえ、その気持ちはよく分かります。イタリアでもローマはせわしなくて慌ただしい感じですから……どこでも首都というのはそういうものなのかもしれませんね」 ラーセン「かもしれません……さぁ、着きましたよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/830
831: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/04/18(月) 01:42:06.03 ID:5ZxYdCGc0 …翌日… ラーセン「さてと、手荷物は大丈夫ですか?」 提督「ええ」 ラーセン「分かりました、それでは行きましょう……王宮周辺は車が乗り入れられないので近くで車を停めて、あとは歩きです」 …ガムラスターン(旧市街)と王宮は、ストックホルム市街の周辺に広がる多島海の一つ「スターズホルメン島」に集中している……周囲はクリスマス前とあってバザールが開かれていたりと賑やかで、灰色の冬の空を押し戻そうとしているかのように、あちこちに鮮やかな青と黄色のスウェーデン国旗が翻っている……ラーセンは旧市街の入り口でサーブを停めると、提督とフェリーチェを案内して旧市街を連れ立って歩いた… …ストックホルム宮殿前… 提督「あ、始まったわ……」 …王宮前の広場で行われる衛兵交代式を見学する提督一行……青を基調にした凜々しい礼装姿のスウェーデン近衛兵達が、白馬にまたがり石畳の広場で見事な行進を披露する……およそ半時間あまりにわたる式典を見終えると、周囲の観光客と同じように惜しみない拍手を送った… …しばらくして… ラーセン「……いかがでしたか?」 提督「とても素晴らしかったです、まるで物語に出てくる騎士達のようですね」 ラーセン「気に入ってもらえて何よりです……失礼、少々よろしいですか」 …新市街に戻ってくる途中で広告のついた青色のトラックを見かけると、いささか唐突に車を停めたラーセン大佐… 提督「どうかしましたか?」 ラーセン「いえ……つかぬ事をお尋ねしますが、少将はアイスクリームがお好きですか?」 提督「ええ、どちらかと言えば好きな方ですよ」 ラーセン「そうですか、それはよかった……では行きましょう!」 提督「ラーセン大佐?」 ラーセン「ああ、そういえば少将はご存じないですね……あの車は「ヘムグラス(Hemglass)」のアイスクリーム販売車ですよ」 …妙にのんきなオルゴールのようなメロディを響かせながら道端に停まった青色のトラック……と、たちまちあどけない子供たちから、ネクタイを締めた生真面目そうな会社員、杖をついたお年寄りまで、ありとあらゆる年齢層の人がトラックの周りに集まってくる……どちらかと言えば落ち着いていてあたふたすることの少ないスウェーデン人が、我先にとトラックの周りに集まってくるのに何とも言えない違和感を覚えた提督… 提督「えーと……」 ラーセン「あぁ、スウェーデン語で書かれているからどれがどの味が分かりませんか? 英語でよろしければ翻訳しますよ?」言うよりも早く自分のアイスクリームを注文しているラーセン…… 提督「そうではなくて……」 ラーセン「では何か……もしかしてお好みの味がありませんか?」 提督「いえ、そういうわけでも……」 フェリーチェ「……噂は本当だったようね」提督の横に立っているフェリーチェが小声でつぶやいた 提督「どういう事?」 フェリーチェ「あぁ……北欧やロシアの人間はアイスクリームが大好きだって話よ。空気が乾燥しているから、飲み物よりも時間をかけて舐めることが出来るアイスクリームが好まれる……って」 提督「そういうこと……それにしてもこの気温でアイスクリームね。まぁいい経験かもしれないわ」財布からアストリッド・リンドグレーンが描かれた20クローナ札を取り出すと、ラーセンに通訳を頼んでアイスを買おうとする…… (※アストリッド・リンドグレーン……「長くつ下のピッピ」の作者。それ以前の20クローナ札は「ニルスの不思議な旅」と作者のラーゲルレーヴだった) ラーセン「あの、カンピオーニ少将……」 提督「何でしょう、ラーセン大佐」 ラーセン「いえ……スウェーデンのたいていのお店では現金が通じないので。電子マネーかカードの類はお持ちですか?」 提督「あぁ、そういえばそうでしたね……逆にイタリアでは現金以外は信用されないものですから、つい♪」額に手を当てて少しおどけたような身振りをすると、改めて財布からプリペイドカードを取り出した…… …数分後… 提督「……ミカエラは何味にしたの?」 フェリーチェ「普通のバニラ味ね、フランカは?」 提督「キイチゴ味ね……普通のイチゴよりも甘酸っぱいわ」 ラーセン「無事に買えたようで何よりです……出遅れるとすぐなくなってしまいますから」 提督「ふふ……スウェーデンの方はアイスクリームが好きなんですね」整っていて「格調高い」とも言えそうな顔立ちのラーセンが、子供のようにアイスクリームをなめている姿を見ると、何となくおかしさがこみ上げてくる…… ラーセン「ええ、子供の頃から家にはアイスクリームがたくさんありましたよ……どうかしましたか?」 提督「いえ、何でもありません♪」ある意味で面白い体験が出来たと、気温がひとケタの寒空の下で暖かいコートにくるまってアイスをなめた…… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/831
832: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/04/26(火) 11:35:50.37 ID:t2dgCduN0 …しばらくして… ラーセン「カンピオーニ少将、フェリーチェ大尉。よろしかったら「フィーカ」をご一緒しませんか?」 提督「フィーカ……たしかコーヒー休憩のことでしたっけ」 ラーセン「ええ、よくご存じですね……いかがですか?」 提督「そうですね、ぜひ♪」 …前日にスウェーデン入りしたばかりだと言うのに、すでにコーヒーを飲み続けている気がしている提督……フィンランド人の次にコーヒーを消費し、EU(欧州連合)平均の倍はコーヒーを飲んでいるとされるスウェーデンだけあって「フィーカ(コーヒー休憩)」というと、もはや息をするのと変わらないほど生活に染みついている… …カフェ… ラーセン「カンピオーニ少将、マザリン・ケーキをどうぞ」 提督「ありがとうございます」 …濃く淹れた苦くて熱いコーヒーにたっぷりと牛乳を入れたミルクコーヒーに、小さいタルトのような台にアーモンドのペーストを詰めて、上から粉砂糖でコーティングした甘い「マザリン・ケーキ」を添えた提督……フェリーチェもマザリン・ケーキを取り、ラーセンはしばし考えてスイートロールを取った……カフェとペストリーを売る菓子店を兼ねている「コンディトリー」は、ガラス張りの陳列棚に甘い菓子がいくつも並び、コーヒーの香ばしい香りが漂っている… ラーセン「ええ……ふぅ、やはりこれがないと落ち着きません」きりりとした表情を少しゆるめて、満足げなため息をついたラーセン…… 提督「スウェーデンの方はコーヒーがお好きですね」 ラーセン「そうですね。同じように牛乳も好きですが……ところで昨夜の夕食はいかがでした?」 提督「ええ、美味しかったですよ」 ラーセン「それは何よりです」 …前夜・レストラン… 提督「……わざわざありがとうございます」 ラーセン「いえ、どのみち私も夕食を取りに出かけようと思っていたところでしたから」 …提督たちをホテルに送ってくれた後で「夕食でもいかがですか」と誘いに来てくれたラーセン……提督としては美しいラーセンにそう言われて一瞬わくわくしたが、ラーセンとしては他意はなく、単に外国の将官に気を遣ってそう言ってくれたのだと思い、少しがっかりすると同時に、その気配りを嬉しく感じた……制服から私服に着替えてきたラーセンは淡いグレーのスカートとクリーム色のセーター、それとライトグレイのコートに合わせて、袖口に白い毛皮の縁取りを施したライトグレイの手袋をしていて、脱いだコートと手袋は横に置いてある… 提督「そうだとしても、わざわざ誘って下さるなんて嬉しいです♪」 …いかにもスウェーデンらしいゆでジャガイモとベリーソース添えのミートボールを食べながら、にっこりと微笑みかけた提督……ストックホルムのぴりっと冷たい寒さに対抗して、黒いウサギの毛皮帽に黒革の手袋、それに暖かなクリーム色のラップコートで、下にはふんわりした淡い桃色のセーターとひざ丈のスカートをまとい、ストッキングに黒革のニーハイブーツで足元を固めている……フェリーチェは黒のハイネックセーターに控え目な金のネックレス、割とぴっちりした地味なスラックスを合わせていて、カブのピューレをそえた小ぶりなヒレステーキを味わっている… フェリーチェ「私もスウェーデン語はおぼつかないので、助かりました」 ラーセン「いえ、どうぞお気になさらず……後でクリスマス前のマーケットも寄ってみましょう」 ……… … 提督「……それにしても、うちの艦娘たちも、スウェーデン海軍の「プシランデル」級や「ロムルス」級に会えれば良かったのですが」 ラーセン「そういえば、もともとそちらの艦(フネ)でしたね」 提督「ええ。プシランデル級がもとのセラ級駆逐艦、ロムルス級がスピカ級の水雷艇です……あとは戦後の「トレ・クロノール」級軽巡もアンサルド社のデザインですし、親近感があります」 ラーセン「当時、ソ連やドイツに備えるために艦艇を整備していた我が国にとってみれば、必要な性能があって固いことを言わずに売却してくれるイタリア艦は貴重な戦力でしたからね……何しろ軍艦を建造すると言っても、造船所には限りがありますから」 提督「それに、長い半島と陸地に囲まれた穏やかな海という部分でもイタリアに似ていますし、スペックや性格の部分でも扱いやすかったのではないかと思います」 ラーセン「おっしゃるとおりです……それに数隻とは言え、独ソ両方から中立を守るという意味ではいい時期に艦隊へ編入することが出来ました」 提督「スウェーデンの中立維持は今も昔もなかなか舵取りが難しいですね」 ラーセン「ええ。とはいえ、バルト海の深海棲艦も活動がかなり下火になりましたから……失礼」 提督「……そういえば、スウェーデンの人って歯磨きの後にうがいをしないわよね」化粧室に向かったラーセンの後ろ姿を見送りながら、ふと気になったことを口に出した…… フェリーチェ「ええ……なんでもフッ素の成分をうがいで流してしまわないためだそうだけど。キシリトールガムがやたら多いのもそのためだって聞いたわ」 提督「なるほどね……理屈は分かるけれど、私は遠慮しておくとするわ」 ……… … http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/832
833: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/04/27(水) 17:09:45.16 ID:EOgtssco0 …そういえば4月26日は「海上自衛隊の日」で、海自の創設70周年でしたね。近年ますます世界の情勢が混迷を深める中、活躍している海自の皆さまには頭が下がります……平和で海難事故もなく、金曜カレーの味を競うような穏やかな日々が続けば良いのですが… …それにしても旧帝国海軍の駆逐艦や海防艦、米軍のお下がりといった寄せ集めの艦艇群だった当時に比べ立派な護衛艦を持つようになって、本当に隔世の感がありますね… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/833
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