イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (953レス)
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882: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/07/11(火)01:06 ID:0ftPuc1q0(1) AAS
クズネツォワ「例えば、そうだな……フランチェスカ、ちょうどこの窓から広場のクリスマスツリーが見えるが、君はサンタクロースのことを信じているか?」窓の外には控え目だが綺麗に飾りつけられた大きなモミの木がそびえていて、街灯の光を受けて静かに輝いている……
提督「サンタクロースですか?」
クズネツォワ「ダー」
提督「そうですね……うちでは子供の頃から好きなものは買ってもらえましたし、私もあんまり欲しがりな子供ではなかったそうなのでそこまでは……親もそういう存在がいることは教えてくれましたが」
クズネツォワ「そうか……実はな、サンタクロースというのはソ連の具現化だと言ったら、どうだ?」ごくかすかではあるが、笑顔のような表情を浮かべてみせるクズネツォワ……
省33
883: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/07/18(火)01:47 ID:svOXb5PM0(1) AAS
クズネツォワ「ダー……詳細はもはや闇の中になってしまったが、基本的にはそういった経緯でフルシチョフのころに研究が開始されたらしい。そして何十年もかかってソ連崩壊の直前、ようやく実用化の目途がついた」
提督「……ええ」
クズネツォワ「そこで研究所としては誰か被験者を探さなくてはならない……とはいえ大祖国戦争を知る世代も減り、当初の目標だった「生産性のある人口の増加」も人海戦術に頼る時代が過ぎていたことから推進する理由が失われていたし、ソ連末期ということで人材を集める資金もなかった。そこで私の「片方の」母、科学者のユーリアが当時親しくしていたバレエダンサーのマリアを口説いて被験体になってもらったのだ」
提督「実験の被験体だなんて、よく了承してもらえましたね?」
クズネツォワ「ああ……当時のソ連では同性愛は違法だったが、ユーリアとマリアはお互いに愛しあっていたからな。マリアが被験体になることで当局に同性同士での「恋愛」や「結婚」を黙認してもらったらしい……」
省38
884: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/07/31(月)01:57 ID:0v3FzSsN0(1) AAS
………
提督「そして産まれたのが……」
クズネツォワ「ダー。この私だ……もっとも、私が生まれてすぐに「予算の削減」で実験は中止。それから十年もしないうちにソ連が崩壊して、研究所も実験のレポートも失われてしまったから、今では証明のしようもないがな」肩をすくめてみせた……
提督「そうだったのですか……それで、ご両親は?」
クズネツォワ「今でもモスクワで仲むつまじくやっているよ。マリアの方はサワークリームとマヨネーズ、それにウォッカのせいで太り気味だが……どうだ、寝る前のおとぎ話にはちょうどよかっただろう?」
省38
885: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/08/08(火)02:20 ID:0N3qegzU0(1) AAS
…朝…
提督「送って下さってありがとうございます、ユーリア」
クズネツォワ「ああ。ではな」
提督「はい……カサトノヴァ少佐も」
カサトノヴァ「いえ。それでは」
省36
886: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/08/15(火)01:57 ID:i4/jssu/0(1) AAS
提督「それにしてもソ連の方がなくなってGRUが残るだなんて、当のロシア人だって思いもしなかったでしょうね」
(※GRUはソ連崩壊後も「ロシア連邦軍参謀本部情報総局」として名前を変え、ほぼ組織を残している)
フェリーチェ「どこでも組織なんていうのはそういうものよ。そしてその血脈を受け継いでいるのがクズネツォワ少将ってわけ」
提督「なるほどね……ところでさっき「後ろ暗い噂」って言っていたけれど、本当にそんな噂があるの?」
フェリーチェ「断定できるようなものは何も……もっとも、ロシアの情報機関は国内での暗殺をいうほどこっそりはやらないけれど」
省35
887: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/08/20(日)01:38 ID:I2vJbfKD0(1) AAS
…午前中…
ニッカネン「カンピオーニ少将にフェリーチェ大尉、ご機嫌いかがですか」
提督「ええ、おかげさまで元気です」
フェリーチェ「私もです……会議が無事に終わってよかったですね」
ニッカネン「それもお二人がオブザーバーとして参加くれたおかげです。今日はもう話し合うこともありませんし、細かい手続きは事務方のほうで詰めてくれる手はずになっておりますから、お二人の行きたいところがあればご案内しますよ」
省36
888: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/08/28(月)02:50 ID:J4WEynrY0(1) AAS
…軍事博物館…
ニッカネン「……軍人としては光栄ですが、せっかくの自由時間に訪問するのがこのようなお堅い施設で良いのですか?」
提督「ええ。ヘルシンキ旧市街も素敵だけれど、初日にある程度は回ることが出来たから……それに、色々と用意してくれているのでしょう?」
ニッカネン「それはもう……といっても、実銃の試射くらいしか出来ませんが」
提督「それだけ体験できれば充分よ♪」
省38
889: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/09/11(月)01:01 ID:vcNtmlmO0(1) AAS
…昼食後…
提督「はぁ……美味しい」
ニッカネン「……午前中は射撃を楽しんでもらえたようで何よりです」
提督「ええ、おかげでとても貴重な経験が出来たわ♪」ヘルシンキ市内の老舗レストランで昼食をとり、食後のコーヒーを楽しんでいる提督たち……
フェリーチェ「博物館の館長とずいぶん小火器談義に花を咲かせていたものね……」
省38
890: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/09/21(木)01:42 ID:GpOw/6mp0(1) AAS
…出張最終日…
フェリーチェ「今日で帰国だけど、出張はどうだった?」
提督「そうねぇ。短かったようで長かったような、長かったようで短かったような……とにかく今は鎮守府に戻って、ベッドでゆっくりしたいわ」
フェリーチェ「ふっ……相変わらずね、そういうとこ」
提督「仕方ないじゃない、そういうふうに出来ているのよ」
省38
891: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/09/28(木)01:55 ID:fWeSDmOH0(1) AAS
…しばらくして・提督執務室…
デルフィーノ「はい、こちらタラント第六鎮守府です」
提督「チャオ、デルフィーノ♪ 私だけれど、聞こえる?」
デルフィーノ「提督っ♪ もうイタリアですか?」
…提督の留守中、交代で執務室に詰めていた艦娘たち……電話が鳴った時にいたのは現「秘書艦」の片方である中型潜「デルフィーノ」で、イルカの艦名に似つかわしい濃灰色のピッタリとしたセーターと白いスラックスのツートンで、受話器越しに聞こえる提督の甘い声を聞くと喜びのあまり腰を浮かせた…
省35
892: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/10/04(水)01:52 ID:pkZtqh5L0(1) AAS
マエストラーレ「提督、提督っ♪」
オリアーニ「なんだか久しぶりな感じ……ね、キスして?」
ルビノ「早く提督の熱い唇をちょうだい……っ♪」
提督「もう、焦らなくたって私はいなくなったりしないわよ?」そう言いながらも、挨拶代わりにキスをして回る提督……
カラビニエーリ「こら、そんなにまとわりつかれたら提督が歩きにくいでしょうが」
省38
893: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/10/09(月)02:35 ID:T5P3BkAm0(1) AAS
…しばらくして・食堂…
アラジ「……ずいぶん遅かったね?」
アッチアイーオ「///」
提督「そうね、なにしろ髪が長いものだから♪」
…まだ余韻を残しているようなアッチアイーオが顔を赤くしてそっぽを向いたのに対して、にこやかに微笑みながらさらりと言い逃れをする提督……もちろん察しのいい一部の艦娘たちにそんなありきたりな嘘が通用するわけもないが、恥ずかしげなアッチアイーオのためについた言い訳であることを分かってほしいという含みを持たせた…
省38
894: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/10/21(土)01:16 ID:+S+lF9aD0(1) AAS
…その晩・提督寝室…
提督「ねぇライモン、一緒に入る?」
…ワインやカクテルといったお酒、それに暖炉の火ですっかり暖まった提督がぽおっと赤みを帯びた顔に柔和な笑みを浮かべつつ、布団を持ち上げすき間を作った…
ライモン「あ、いえ……わたしは自分の部屋で休みますから///」
提督「……いいの?」
省38
895: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/10/26(木)01:19 ID:fR+tjxd80(1) AAS
…翌朝…
デルフィーノ「おはようございます、提督」
提督「おはよう、デルフィーノ。 ちょっとだけ声を落としてもらえるかしら……ね?」ベッドのふくらみを指し示して、パチリとウィンクをした……
デルフィーノ「……あ、はいっ///」
提督「ふふ、ありがと♪」デルフィーノの頬におはようのキスをするとガウンを羽織り、浴室へ行って洗面台で顔を洗い、それからきっちりと歯を磨く……北欧出張の際に現地で買った、キシリトール入りだという歯磨き粉をさっそく使ってみる……
省38
896: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/10/31(火)01:53 ID:YYE93CNN0(1) AAS
…しばらくして…
提督「これでみんな配り終わったかしらね」
リットリオ「こんなにいいものをもらえて私は幸せですっ♪」
バリラ「ええ、本当に……お礼に提督の事をぎゅーってしてあげます♪」旧型の潜水艦ゆえに出撃の機会は少ないが、そのぶん鎮守府の潜水隊にとってのよきお母さんでもあるバリラ級のネームシップ「バリラ」が、その母性を存分に発揮して提督を抱きしめる……
提督「あんっ……♪」たわわな胸元に顔を埋めて、ミルクのような甘い匂いを吸い込みながら甘い表情を浮かべている提督……
省38
897: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/09(木)01:56 ID:mtb5KQ5Y0(1) AAS
…翌日…
提督「さてと、昨日はゆっくり休めたのだから……今日は書類を片付けないと」
デルフィーノ「私もお手伝いしますよ、提督」
アッチアイーオ「遠慮しないで任せておきなさい」
カヴール「事務書類の処理は得意ですから、任せて下さいな♪」
省36
898: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/18(土)02:13 ID:gqvE9Z1O0(1) AAS
…翌朝…
ライモン「おはようございます、提督……今日はタラントの管区司令部までお出かけだそうですね」
提督「ええ。北欧出張の時に話をした例のロシア軍将官について情報部の聞き取り調査があるの。ついでにみんなのクリスマス休暇の申請書を提出してくるわ」きちんと冬用の制服に身を包み、片手には金属のアタッシュケースをぶら下げている……
ライモン「気を付けて行ってきて下さいね?」
提督「ありがとう……どう、一緒に行く?」ランチアのキーをつまんでゆらゆらさせつつ尋ねた……
省38
899: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/23(木)01:09 ID:Gz1NGPh50(1) AAS
…管区司令部…
提督「おはよう」
受付の下士官「おはようございます、少将……数日前もいらっしゃったのに、また呼び出しとは大変ですね」
提督「本当にね……そうそう、ちょっと早いけれどクリスマスプレゼントをどうぞ。当直のみんなに分けてあげて?」フィンランドの免税店で仕入れてきたチョコレートやキャンディが詰め合わせになった大袋を受付の伍長に渡す……
受付「わざわざありがとうございます」
省37
900: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/30(木)01:58 ID:tFe17jz30(1) AAS
提督「……誰にも口外しない?」
フェリーチェ「ええ、情報源は秘匿する」
提督「そう……ミカエラ、貴女の事を信じるわ」
フェリーチェ「ありがとう、フランチェスカ」
提督「いまさらお礼なんていらないわ……それで、どんなことを聞きたいの?」
省38
901: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/12/07(木)02:15 ID:v0j/RYhV0(1) AAS
フェリーチェ「……お祖母さんの持っていたトカレフだなんて、ああ見えてセンチメンタルなところがあるのね」
提督「ええ。もちろん部品は取り替えたりしているとは言っていたけれど」
フェリーチェ「お飾りの銃を持っているようなタイプではないものね」
提督「そう思うわ。それと二人きりになると…たいていは皮肉なブラックユーモアだったけれど…意外と冗談も言うし、少なくとも無感情なロボットみたいではなかったわ」
フェリーチェ「なるほどね……続けて?」メモすら取らずに、手を組んで話を聞いている……
省37
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