イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (965レス)
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233(1): ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/05/16(水)03:02 ID:g6SgyiRE0(2/2) AAS
…しばらくして・車内…
グレイ提督「……さてと、わたくしたちの買い物は終わりましたけれど…お父様はまだ時間がかかりそうですわね」
グレイ母「そうね…それではセバスチャンにそう言ってデパートでも見て回りましょう?」後ろから声をかけようとするグレイ伯爵夫人…
グレイ提督「ええ……あら、あの娘は…?」
グレイ母「あの艦娘の子も知り合いなの、メアリ?」
グレイ提督「ええ…車を停めて、セバスチャン?」
褐色の艦娘「困ったナァ……」
グレイ提督「…お久しぶりね、ソマリ?」イギリス海軍士官としての習慣から、つい手を後ろに組んで話しかけるグレイ提督…
ソマリ(トライバル級駆逐艦)「…あ、グレイ戦隊司令!?」休暇らしく色鮮やかな民族衣装に身を包み、霧のロンドンではひどく目立つ褐色の肌をしている「トライバル」(部族)級駆逐艦「ソマリ」が、表通りから少し入った薄暗い道端でしゃがみこみ、困ったような顔をしている……
グレイ提督「ええ、わたくしですよ……こんなところでどうかなさったの?」
ソマリ「あの、それが……」ロンドンの高級な街区にはなはだふさわしくない薄汚れた段ボール箱を持ち上げて中を見せる…
グレイ提督「まぁ、子犬…?」
子犬「クゥーン…」小刻みにぶるぶると震えている小さな犬が数匹、段ボールに入っている…
ソマリ「はい、そーなんです…どーも捨てられているみたいなんですが、お店の人に言っても引き取ってくれる訳もないし……スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)を呼びたくても、電話も持ってなくて……そもそも私の英語じゃあんまり通じないから…」訛のきつい英語で困ったように子犬を見おろす…
グレイ提督「あなたの所属する駆逐隊でも引き取るのは難しいものね……分かりました」
ソマリ「何ですか、司令…?」
グレイ提督「その子犬はわたくしが何とかいたしますわ……あなたは休暇を楽しみなさいな」
ソマリ「でも司令……司令だって休暇中でしょ?」
グレイ提督「…大英帝国海軍のモットーは何かしら、ソマリ?」
ソマリ「『見敵必戦』です、司令」
グレイ提督「そうね…ですからわたくしもここで、この子犬たちを見捨てる訳には参りません……さ、わたくしにその箱をお貸しなさい?」
ソマリ「でも…この箱汚いですよ、司令?」
グレイ提督「構いません……セバスチャン、この箱を後部座席に置いてもらえる?」
セバスチャン「はい、お嬢さま……おや、この子犬はコーギーですね」
グレイ提督「ええ、そのようですわね…お父様と合流したらすぐに獣医の所に連れて行きますから」
セバスチャン「承知いたしました、お嬢さま…」
グレイ提督「ソマリ、よかったら乗っていきますか?」
ソマリ「平気です、司令……それよりその子犬を獣医のせんせーに見せてあげてください」
グレイ提督「ええ、それはわたくしが淑女の名誉にかけて守りますわ」
ソマリ「よかった…♪」
グレイ提督「ええ、わたくしもそう思いますわ」
………
…
グレイ提督「…というわけで、まだ尻尾も切っていなかった数匹のウェルシュ・コーギー・カーディガンを引き取り、里親のなかった一匹をわたくしが飼うことにいたしましたの」
提督「……優しいんですね、メアリは…ぐすっ……」
グレイ提督「まぁ…何も涙ぐむほどの事ではございませんでしょうに……わたくしは淑女としてするべきことをしたまでですわ?」
提督「…いえ、それが出来ない人は大勢いますから……それにしても子犬を捨てるなんて…」
グレイ提督「全くですわ」
提督「……それで、そのコーギーにはどんな名前を付けたのです?」
グレイ提督「ええ…わたくし、その子が立派に育つよう「アーサー」と」
提督「ふふ、それは立派に育ちそうですね…♪」
………
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