イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (953レス)
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337: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/08/19(日)02:34 ID:evLTsUUi0(1) AAS
…別の日・作戦室…

提督「さて、と…いよいようちの鎮守府が持っている建造枠を使い切る時が来たわね」そう言って、厚い布表紙に金文字が入っている立派な「旧王国海軍・艦艇図鑑」をバタンと閉じた…

カヴール「またまた新しい娘がここにやって来るわけですね…ところで提督?」

提督「んー?」

カヴール「イオニア管区司令部から与えられている枠から考えると、最後も潜水艦ということになりますね?」

提督「ええ、その通りよ…何やかやで中型潜は小回りが利いて使い勝手もいいし、ここも最近は「実績がある」とか言って、請け負わされる哨戒範囲が拡大されたから……」

カヴール「提督も大変でいらっしゃいますね?」くすくすと微笑みながら、いたずらっぽく小首を傾けるカヴール…

提督「いいえ…むしろこんなにいい身分だとは思わなかったわ♪」

カヴール「そうですか?」

提督「ええ。可愛い娘たちにかこまれて……って言うのは抜きにしても、フリゲート艦みたいにぺたんこなマットレスの二段ベッドじゃなくて、ぜいたくな個室と立派な天蓋付きベッド…しかも誰かと一緒に昼まで寝ていようが、シーツをしわくちゃにしていようが怒られないし…お風呂も十五分で入らなきゃいけない狭いシャワー室の代わりに古代ローマ風の大浴場……美味しくて「熱いものは熱く、冷たいものは冷たい」式の豪華な食事が三食…それにワインにシャンパン……いいところをあげたらキリがないわ♪」

カヴール「それでは、提督になってよかったですか?」

提督「ええ、もちろんよ。もっとも、最初は私に務まるかどうかは不安だったけれど…みんなが手助けしてくれるおかげで、どうにかこうにかやっているわ」

ライモン「そんなことありません、提督は立派に務めを果たしておられます…っ!」

提督「まぁ、ライモン///」

ライモン「あっ…いえ……その、つい思ったことが口から…///」

提督「いいの。そう言ってくれて嬉しいわ……それに、やっぱり口に出して言ってもらうのが一番好きよ♪」優しく頬を撫でる提督…

ライモン「///」

提督「…あと、将官になったことで気づいた「いいこと」もいくつかあったわ」

ライモン「なんですか?」

提督「それはね……理不尽な上官の言いぐさをもう聞かなくて済むこと♪」

カヴール「ふふっ…まぁまぁ♪」

提督「もちろん同時に、いい人の意見を好きなように取り入れられることもあるわ…やっぱり「言説高邁でも位低ければ通らず」って言うのが軍の基本みたいなものだから……」

カヴール「そうですね」

提督「後は車のダッシュボードに置く「将官用ステッカー」かしらね…たいていの場所ならアレで交通警察とかカラビニエーリが遠慮してくれるもの♪」

カヴール「まぁまぁ、提督ったら権威をかさに着て…いけない方ですね♪」

提督「いいじゃない。そのかわりにお給料はスズメの涙なんだから」

ライモン「あー…この前見せてくれましたけど、わたしより少なかったですものね」

提督「そうなのよ…スーペルマリーナ(海軍最高司令部)いわく、ここ十数年で「深海棲艦」相手に功績を挙げて昇進した士官は多いし、かといってイタリアは財政がアレだから、全員に階級通りのお給料を捻出するのはムリだっていうの…だから形だけ昇進させるけれど、お給料は定期昇給以外「据え置き」ですって」

カヴール「では、失礼を承知で伺いますけれど……提督のお給料はどの階級で据え置きなのですか?」

提督「…中佐」

カヴール「あらまぁ…」

提督「だからここで寝起きして、三食をごちそうになれるのはありがたいわ…♪」冗談めかしてぱちっとウィンクする提督…

カヴール「ふふっ…では今度から提督のお食事を人質にして、うんとワガママを言うことにします♪」

提督「もう、それは困るわね♪」

ライモン「あの…お二人とも、午前中に建造を済ませる予定じゃなかったんですか?」

提督「はいはい」

カヴール「ふふ、分かっております♪」
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