イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (965レス)
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803: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/10/11(月)00:44 ID:C29BcpSE0(1) AAS
…午後・鎮守府…

ライモン「それじゃあクリスマス休暇は頂けないんですか?」

提督「いいえ、そう言うわけじゃないけれど…日数が少し減らされちゃったのと、日付を後ろに繰り下げられる形になるってこと…大丈夫、クリスマスの週はちゃんと休めるわ」

ライモン「それなら良かったです…♪」

提督「ええ。まさかその前に出張をねじ込まれるとは思わなかったけれど…もっとも、ミカエラにはお世話になったこともあるから文句も言えないわ……」

エウジェニオ「ふぅん、提督がお世話に…せっかくだから聞かせて欲しいわ」

提督「別にいいわよ…ミカエラと初めて知り合ったのは私が大尉の時で、ちょうどそのときは借りていた部屋に誰も同居していなかったから、しばらくは一緒に過ごしていたりしたのだけれど……」

デルフィーノ「破局しちゃったんですか?」

提督「破局って言うか自然解消ね…二人でいるときはお互いに仲良しだったのだけれど、私は「家にいるときは一緒に夕食を囲みたいし、できるだけ職務は持ち帰りたくない」っていう考えで……その点ミカエラは情報部だから時間は不規則だし、いつ帰ってくるかも分からなかったりして…ちょっとぎくしゃくしちゃったのよね」

エウジェニオ「そういう考えの違いって響くわよね…」

提督「ええ…ある時は「今から帰るわ」って電話をくれたのに、待てど暮らせど帰って来なくて…心配になって電話をしても私用の携帯電話は繋がらないし…すっかり冷めてしまった料理とむなしくカチコチ鳴っている時計を相手に一人ぽつんと夕食を済ませて、冷たいベッドに潜り込んで……結局翌日まで帰って来なかったわ」

ライモン「…それはちょっとさみしいですし、心配になってしまいますよね」

提督「まぁね…別に結婚しているわけでもないし、お互い海軍士官として仕方のない状況があるっていうのも分かるから、とやかくは言わなかったけれど……」

ガリバルディ「そしていつしか冷め切ったコーヒーみたいな関係になっちゃったのね」

提督「うーん「冷め切った」とまではいかないかもしれないわ……お互いに一緒にいれば素敵な時間を過ごせるし、私もミカエラも二人でいたいと思っていたから…ただ、ミカエラの勤務が都合でより一層不規則になって、私も私でそれなりに忙しかったから……」

エウジェニオ「あるわよね、そういうの……でも「お世話になった」っていうのは?」

提督「ええ、それなのだけれど…あれは私が大佐になるかならないかくらいの時で、ローマのスーペルマリーナ(海軍最高司令部)勤めになっていた頃のことよ……」

…数年前・ローマ…

カンピオーニ中佐(提督)「…今日の夕食は何にしようかしら…と♪」

…中佐の肩章もすっかり馴染んでいる提督は勤務終わりに夕食の材料を買い、紺の制服姿で茶色の紙袋を抱えていた…懸案だったとある書類が予想より簡単に片付いてご機嫌の提督は、特に何かを考えるでもなく歩いていた……と、借りている部屋の近くまで来たとき、脇道から一人の女性が出てきた…

黒髪の女性「…あっ!」

提督「きゃ…っ!?」

…お互いに避ける間もあればこそ、かわすことも出来ずに突き当たってしまった提督と黒髪の女性……提督の持っていた紙袋から数個のトマトと玉ねぎが転がり出し、歩道の石畳に転がった…

黒髪「あぁ、ごめんなさい…!」

提督「いえ、私は大丈夫ですから……それより貴女は?」

黒髪「私も大丈夫よ…いけない、貴女のお買い物をダメにしてしまったわ」転がった野菜を拾い集めてくれたが、歩道に落ちたトマトは潰れてしまっている…

提督「いいですよ、トマトの二つや三つくらい…」

黒髪「申し訳ないわね……」そう言っている女性の黒いハイブーツに、跳ねたトマトの果肉と汁が付いてしまっている…

提督「いいえ…それより、ブーツのつま先にトマトの汁が……」

黒髪「このくらい構わないわ…近くの水道で洗えばいいんだから」

提督「いえ、それじゃあせっかくの革が痛んでしまいます……私の部屋は近くですし、ブーツを拭くための雑巾もありますから」

…提督はぶつかってしまった事で少し慌てていたために最初こそ気がつかなかったが、よく見ると相手はセミロングの黒髪にすっきりとした目鼻立ちで、美人とまでは言わなくともローマやミラノにいそうな、きりりとした「大人の女性」タイプだった…

黒髪「そう? それならお言葉に甘えさせていただくわ…」

提督「はい…♪」
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