イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (967レス)
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830: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2022/04/17(日)02:36 ID:XwueR7TO0(1) AAS
ラーセン「ところで、スウェーデンで何かご存じのことはありますか?」
提督「そうですね……スウェーデンと言うと、サーブの戦闘機に「ヴィズヴィ」級フリゲート、Strv.103(Sタンク)のように、ユニークで優秀な兵器を持っているイメージですね……他に知っている事と言えば、恥ずかしながらグレタ・ガルボやイングリッド・バーグマンのような綺麗な女優が多いことと、警察小説の「刑事マルティン・ベック」シリーズ……そうそう「ニルスの不思議な旅」も子供の頃に読んだことがあります」
…提督は自分でも知識が偏っていることに苦笑いをしながら、運転席でハンドルをさばいているラーセンにそういった…
ラーセン「なるほど、「ニルスの不思議な旅」ですか。 あれは子供のためにスウェーデンの地理と歴史を楽しく学べるよう書かれた児童文学ですから、あれを読めばスウェーデンの大まかなところが理解できますよ……あとでゆかりの場所もご案内しましょう」
(※ニルスの不思議な旅……セルマ・ラーゲルレーヴの児童文学。動物をいじめていたり親の言いつけを守らない悪童ニルスが妖精をいじめたために小さくされてしまい、ガンの群れについて行こうとして飛び立った家のがちょうを捕まえようとして飛び立ってしまい、そこから渡りの中で様々な経験をして成長するお話。スウェーデンの地理や歴史を物語として楽しみながら学べるようになっている)
ラーセン「……それにしても時間の都合でカールスクルーナに寄れないのは残念ですね。私の鎮守府もカールスクルーナにあるので、ぜひご覧になって欲しかったのですが」
(※カールスクルーナ…スウェーデン南部に位置する軍港都市で世界遺産。冷戦中の1981年、ソ連の「ウィスキー」級潜水艦が座礁した「ウィスキー・オン・ザ・ロック」事件が起きた場所でもある。「ニルスのふしぎな旅」ではカール十一世のブロンズ像と、カールスクルーナ提督教会にある有名な老人型の寄付箱「ローゼンボム」の像が出てくる)
提督「ラーセン大佐はカールスクルーナ鎮守府の司令なのですね」
ラーセン「ええ……生まれたのは南部のマルメですが。 マルメはストックホルムよりも暖かですし、住んでいる人も穏やかな良いところですよ。それにコクムスの造船所もあります」
(※コクムス……スウェーデンの造船会社。1840年からあって、所有していたガントリークレーンはマルメの名物だった。潜水艦の建造にたけており「ゴトラント」級を始めとするAIP(非大気依存)システム搭載の通常動力潜水艦では高いノウハウを持つ。海自の「そうりゅう」型にも技術が導入されている)
提督「そうですね」
ラーセン「ええ。夏場は避暑を兼ねて多島海にある小島の別荘に行って、日光浴をしたり冷たいアクヴァヴィットを飲みながらのんびりしたりして時間を過ごすんです」
提督「自分の島があるなんて素敵ですね♪」
ラーセン「まぁ、スウェーデンは島が多いですから……それと先ほどからのお話を伺っている限りでは少将は映画がお好きなようですが、それで言うとマルメはアニタ・エクバーグの出身地でもありますよ」
提督「やっぱりスウェーデンはきれいな人が多いんですね。ラーセン大佐もとてもきれいな方ですし……それもぎらぎらした太陽ではなくて、静寂の中で輝きを放つ月のようです」
ラーセン「お上手ですね……何かお飲み物でもごちそうした方がよろしいですか?」
提督「いいえ、むしろ私からごちそうさせて下さい♪」
フェリーチェ「カンピオーニ少将」ラーセンに色目を使い始めた提督をたしなめるように、事務的な声を出した……
提督「あー、こほん……そう、映画は好きですよ」
ラーセン「そうですか。他にもスウェーデンと言えばイングマール・ベルイマン監督や俳優のマックス・フォン・シドー……イタリアと言えば「ヴェニスに死す」に出演した美少年タジオを演じたビョルン・アンドレセンもスウェーデン人ですよ」
提督「ルキノ・ヴィスコンティの映画ですね……幼い頃に見た時は分かりませんでしたが、ある程度大人になってから見ると感情や描写の奥深さに驚かされます」
ラーセン「そうですね、中年の作曲家が名前も知らない美少年に心を奪われてしまう……それだけで済ませることのできない人間の心や、美しいものに心惹かれる感情の機微というのでしょうか……」
提督「ええ。それにヴィスコンティ自身も美少年が好きだったようですから、一層リアリティがありますね」
ラーセン「たしかにその話は聞いたことがあります……そろそろホテルに着きますよ」
…ストックホルム市街は古き良き石造りの建物も多いが、同時にガラスとコンクリートで出来た現代的なビルディングも数多く立ち並んでいる……どちらにもいい点はあるのかもしれないが、淡い黄色や落ち着いた白色の壁の古い建物の方が好ましく思えた…
提督「きれいな街ですね」
ラーセン「ありがとうございます……ですが、私からすると堅苦しくてよそよそしい感じがしますね。もっとも、それは私がストックホルムの人間でないせいかもしれませんが」
提督「いえ、その気持ちはよく分かります。イタリアでもローマはせわしなくて慌ただしい感じですから……どこでも首都というのはそういうものなのかもしれませんね」
ラーセン「かもしれません……さぁ、着きましたよ」
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