イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (953レス)
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924: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 05/06(月)01:48 ID:LBiF/fyO0(1) AAS
…一方・クリスマスのトゥーロン第七鎮守府…

リシュリュー「提督、午後の郵便でまたクリスマスカードが届いておりますよ」

エクレール提督「メルスィ、リシュリュー。ちなみに誰からかしら?」

リシュリュー「読み上げて差し上げましょうか?」

エクレール提督「ウィ、お願い」姿見の前で顔を左右に向けてみたり制服の裾を伸ばしてみたりと、艦娘たちを前に行うクリスマスのあいさつに備えて身支度に余念がない……

ジャンヌ・ダルク「モン・コマンダン(私の司令官)、ぜひ私にもお手伝いさせてください」

エクレール提督「そうね、それではリシュリューと半分ずつ分け合って読み上げてもらおうかしら……構わないわね?」

リシュリュー「無論ですとも……ではこちらの束を」枢機卿のような緋色の生地をした厚手の衣をまとい、丁寧だが表情の読めないリシュリュー……

ジャンヌ・ダルク「ええ、お任せを!」裾に金百合の縫い取りが施された白い清楚なワンピースとふわっとした上着を羽織っている……

エクレール提督「ではリシュリュー、貴女の束からお願いするわ」

リシュリュー「では僭越ながらわたくしめが……まずはパリの海軍省から」

エクレール提督「形式的なものね、後で構いません」

リシュリュー「さようで……地中海艦隊司令部」

エクレール提督「それも後で結構ですわ」

リシュリュー「イギリス地中海艦隊のメアリ・グレイ少将」

エクレール提督「わざわざクリスマスカードを送ってくるだなんて、おおかた皮肉でも書き連ねてきたのでしょうね」

リシュリュー「でしょうな……ドイツ連邦海軍のヴァイス中佐」

エクレール提督「そう」

ジャンヌ・ダルク「では続けて私が……マリアンヌ・サヴォワ少佐」

エクレール提督「ああ、マリアンヌね。パリで一緒だったわ」

ジャンヌ・ダルク「ジュヌヴィエーヴ・フォルバン少佐」

エクレール提督「彼女ならカサブランカですわね。ジャンヌ、続けてもらえる?」

ジャンヌ・ダルク「はい、次は……イタリア海軍、フランチェスカ・カンピオーニ少将」

エクレール提督「フランチェスカから!? ……まぁ、わたくしからもカードを送ったのですし当然ですわね///」

ジャンヌ・ダルク「そうですね」

リシュリュー「おほん……他のカードは後回しにしてもよろしいような物ばかりかと存じますし、司令官も食堂でのあいさつの前にいささか公務が残っておりましょう……私どもは失礼させていただきますゆえ、何かご用の向きがございましたらまた……」

エクレール提督「え、ええ……そうですわね。つまらない書類仕事が少しだけ残っておりますし、二人はそれまで食堂でくつろいでいて構いませんわ」

ジャンヌ・ダルク「あの、モン・コマンダン? よろしければ私もお手伝いを……」

リシュリュー「……ジャンヌ」小さいが含みのある声でたしなめる……

ジャンヌ・ダルク「あっ……いえ、なんでもありません。失礼します///」

エクレール提督「え、ええ……///」

…二人が下がると提督からのクリスマスカードをしげしげと眺め、それから丹念に文を読んだ……提督の柔らかな筆跡で書かれている筆記体のフランス語を読み、二つほどあった小さな文法の誤りを見つけると眉をひそめ肩をすくめたが、読み終えると頬を赤らめてもう一度読み返した…

エクレール提督「それにしてもフランチェスカときたら……本当にこういう事を恥ずかしげもなく書くのですから///」

…提督からのクリスマスカードには「クリスマスおめでとう」の下に添えて「クリスマスには会えないので、私からの愛をプレゼントに込めて送ります……可愛いマリーへ。フランチェスカ」とあり、ほのかに甘い香りのする香水が吹き付けてある…

エクレール提督「……まったく、もう///」時間をかけて「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーヴ風にセットした髪を指先でいじりつつ、口元に笑みを浮かべるとカードを読み直し、それからカードにキスをすると引き出しの大事な場所にしまい込んだ……

エクレール提督「さて……わたくしも食堂へ行くとしましょう」

エクレール提督「フランチェスカ、貴女も良いクリスマスを……♪」一人でつぶやくように言うと、足取りも軽く執務室を出て行った……

………


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