イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (964レス)
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943: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2024/09/08(日)02:19 ID:Y1Qs1aVy0(1) AAS
…しばらくして…

百合姫提督「ふぅ……」首筋にうっすらと浮いた汗を手拭いで拭う……

父「お腹いっぱいかい?」

百合姫提督「ううん、まだもう少し入りそう」

父「ならよそってあげよう。お祖父ちゃんたちはもう寝に行っちゃったし、いま煮えているお肉は硬くならないうちに食べちゃおう」

百合姫提督「そうね」

父「よし。それじゃあ母さん、菜箸を取ってくれるかい」

母「はい……あ、少しテレビの音を上げるわね」年末特番の歌番組から、百合姫提督の母が好きな「みずいろの雨」が流れている……

父「ああ。それから深雪、せっかくだしお父さんと一杯飲もう」

百合姫提督「うん、それじゃあ……いただきます」

…冷酒の「八海山」を小ぶりなグラスに注いでもらって口に含むと、きりりとした辛みにすっきりとした水のような飲み口が濃くて甘いすき焼きの味付けと肉の脂でべたついた口中をさあっと洗い流してくれる…

百合姫提督「美味しい……」

父「そうだろう? 「八海山」は燗酒で飲むのもいいけれど、冷やでも美味しいんだ……もうちょっと飲むかい?」

百合姫提督「それじゃあ、もう半分くらい」

父「分かった……っとと、すき焼きが煮詰まってきちゃったな」ぐつぐつと煮えているすき焼きに薄割り下を足して沸き立っているのを落ち着かせる……

母「あ、ごめんなさい」

父「大丈夫だよ」

………

母「いっぱい食べた?」

百合姫提督「ええ、もうお腹いっぱい……」

父「そうか、良かった。たくさん買ったかいがあるよ……それから、このよく煮えた焼き豆腐は明日のお酒のお供にしよう」

母「それじゃあ取っておくわね」

父「ああ……さ、年越しそばまではまだ時間もあるし、片付けを手伝うよ」

百合姫提督「ううん、それは私が」

父「いいんだよ、久しぶりのわが家なんだからゆっくりして」

百合姫提督「でもお父さんとお母さんが動いているのに自分だけ座っていると落ち着かなくって……」

母「それじゃあおせちを詰めるのを手伝ってくれる? それならそう大変でもないし、その間にお皿は私が片付けておくから」

百合姫提督「ええ、分かった」

…普段はしまい込んである黒漆の重箱を広げると、それぞれに色味や順番を考えておせち料理を詰めていく……かまぼこは紅白それぞれが順番に並び、黒豆の上には色鮮やかなちょろぎ……厚手に切った伊達巻きに栗きんとん、そしてお煮しめや田作り、コハダの粟漬けといった、地味ながらないと落ち着かない名脇役たち…

母「そうそう、そんな感じ」

百合姫提督「鎮守府でもおせちは食べるし、いつの間にか覚えちゃった……こっちはいつも通りハム?」漆の重箱の隣に出してある樹脂製の小ぶりな重箱はタッパーのような樹脂の中蓋つきで、おせちの時はハムやチーズ、テリーヌのような洋風のオードブルやチャーシューといった肉類が入る……

母「ええ。あなたの好きな物を好きなだけ詰めていいわよ……もちろんつまみ食いもしていいわ♪」

百合姫提督「いい加減、子供じゃないんだけれど……」

母「まぁそう言わずに♪」

百合姫提督「もう……」苦笑いしながらも、母親が切りだしたチャーシューの端っこをつまんだ……

母「ふふ♪ お蕎麦のお出汁はもう引いてあるし、年越し蕎麦まではゆっくりしていてね」

百合姫提督「はい」

………


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