イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (964レス)
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947: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2024/10/04(金)02:21 ID:xUvHH0un0(1) AAS
百合姫提督「はい、年賀状」

父「それじゃあついでにより分けてくれるかい?」

百合姫提督「分かった……えーと、まずはお父さん宛、これはお母さんの、次が私の……」

…机の端にスペースを作ると太いゴムバンドで束ねられている年賀状の束をほどき、カードの手札を配るようにより分けていく……郵便局からのご挨拶や広告を別にして分けながら、差出人を確かめていく百合姫提督とその家族…

百合姫提督「えーと、次はお父さん宛で……高田さんという人から」

父「あー、タカちゃんか……相変わらず元気にしているみたいだなぁ」

百合姫提督「……次は高崎……下の名前が「たけお」さん?」

父「うわ、武雄さんか……最近ご無沙汰だったから出してないよ」

百合姫提督「次はお母さん、島村さんから」

母「ああ、桜さんね♪」

…積み上がっている年賀状は達筆な筆文字のもの、近況報告の写真を印刷したもの、白地の年賀状にあり合わせのペンで「明けましておめでとう」だけの気楽なものなどさまざまで、差出人の名前も普段から親しい人や近ごろは疎遠になっている人、懐かしく思う人や「どうせ送ってこない」とたかをくくって出さずにいたのに唐突に年賀状を送ってきて慌てさせる人など、こちらも十人十色といった趣がある…

百合姫提督「さてと、私には誰から届いているかしら……ちゃんとお返事を出さないといけないし……」艦娘たちを預かる鎮守府司令官の准将ともなれば、公私問わずさまざまな相手から年賀状が送られてくる……百合姫提督は食卓のテーブルから隣の和室に場所を移し、改めて年賀状を読み始めた……

百合姫提督「……えーと、由紀にはもう出してある……美保にも出した……」

…公務上の付き合いで礼を欠かすことの出来ない相手と、百合姫提督が親しくしている友人・知人たちはリストアップしてあり、届いた年賀状と見比べて確認していく……差出人は海自の知り合いをはじめ、市ヶ谷のお役人のような「エライ人」、そして懐かしい学生時代の友人たち……たいていは都合が合わずに会う機会がめっきり減ってしまったが、中には帰省のたびに顔を合わせ、旧交を温めている親友や可愛がってくれる先輩、慕ってくれる後輩もいる…

百合姫提督「ふふ、春子ったら相変わらず元気いっぱいね……悠も相変わらずのようだし……」

百合姫提督「みんな元気そうで良かった。それじゃあ今度は国際郵便を確認しないと……」

…知り合いたちの近況を読んで微笑ましい気分になっていた百合姫提督だったが、何通か交じっている国際郵便を確認することにした……外国海軍の来訪やレセプションで親しくなった海軍士官の中には、手間はかかるが趣があると手紙を送ってくれる人もいる…

百合姫提督「アメリカのミッチャー提督……わざわざ手紙を送ってくれるなんて、マメな人なのね」

…基地のPXで買ったと思われる新年おめでとうの絵はがきには「ビッグE」こと空母エンタープライズが白波を蹴立てている堂々とした姿が印刷されていて、そこに黒いマジックペンで「A HAPPY NEW YEAR!」と書いてある…

百合姫提督「効率的なミッチャー提督のことだから、てっきり電子メールで送ってくるとばかり思っていたわ……お返事は「富嶽三十六景」の絵はがきにでもしたら喜んでもらえるかしら……」

百合姫提督「それからこれは、フランスのエクレール提督ね……」

…オディロン・ルドンの名画「グラン・ブーケ」をあしらった絵はがきに、筆致も美しい花文字でフランス語の新年のあいさつがつづられている……近づけるとふっとニナリッチの名高い香水「レール・デュ・タン」が香るところも万事フランス流にこだわり、パリジェンヌを気取っているエクレール提督らしい…

百合姫提督「やっぱりエクレール提督の人柄が出ている感じがするわ……♪」

百合姫提督「それから次は……あ、フランチェスカからだわ……///」提督からの絵はがきを手に取ると、少し頬を赤らめつつ文面に目を通す……

…提督からの絵はがきは抜けるように青いイオニア海と白い砂浜を写した風景写真のもので、そこに練習を重ねたらしい「あけましておめでとうございます」のひらがながつづられている……字そのものは丁寧で柔らかい感じだが、慣れない平仮名には苦戦したようで「あけましてお『ぬ』でとうございます」と書いてあるようにも見える…

百合姫提督「フランチェスカったら平仮名を教えてあげたのに、また「め」と「ぬ」があいまいになって……♪」

百合姫提督「あ、下にも何か書いてある……」大きめに書かれた平仮名の下にはイタリア語に英語を添えた文章がつづってある……

百合姫提督「……えーと「ごくありふれたイオニア海の写真だけれど、私にとっては姫と過ごした特別な場所。今年が貴女にとって良い年でありますよう……愛を込めて。フランチェスカ」って……///」

百合姫提督「も、もう……フランチェスカったら///」

………



…さかのぼって・年の瀬のイタリアにて…

提督「……おはよう、お母さま♪」

クラウディア「ええ、おはよう……ちゅっ♪」

シルヴィア「おはよう」

提督「おはよう、シルヴィアおばさま……それにしても早いものね、もう何日もしないうちに新年が来るなんて」

クラウディア「そうね、シルヴィアが隣にいると毎日が幸せだから一年があっという間♪」

シルヴィア「私もよ、クラウディア」

クラウディア「まぁ、嬉しい♪」

提督「朝からごちそうさま……ところで年始だけれど、私はアンナに色々と付き合わされることになるかもしれないわ」

クラウディア「ふふ……いいわよ、お泊まりでもなんでもしていらっしゃい♪」

シルヴィア「そうね。フランカも子供じゃないんだから、どこまでしていいかはわきまえているでしょう」

提督「私がわきまえていてもアンナがわきまえているかは怪しいところね……」
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