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【ひとっ走り】能力者スレ【付き合えよ!】 (1002レス)
【ひとっ走り】能力者スレ【付き合えよ!】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/
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561: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 2015/03/16(月) 18:44:26.29 ID:gV7qcoI0o >>560 ……… 【突如殊勝な態度になった少女に不信感を抱かぬ程男は平和ボケしていない】 【こちらの攻撃の威力を大きく削ぐ何かしらの異能を持つ相手が「殺して下さい」等と、見え透いた罠を仕掛けてきているのだ】 【だから――――】 ふん…… .だからどうしたと言うのだ 【だからどうしたの言うのだ】 【今、自分を踏み躙って見ろと言う挑発をしてきた者が居る】 【安い挑発、そして見え透いた罠。しかしその程度の"児戯"を恐れるものかと男は敢えて挑発に乗って見せた】 最高の技と言ったなァ。良いだろう見せてやるとも 対価は貴様の命を貰うがな―――――! 【朧気ながら相手の力を知っている】 【相手の速度に対応しつつ反撃が難しい事も理解している】 【その"敵"が、自分の首を取って見ろ等と――――】 【手元に集めたのはソフトボール大の水球、それを少女の体目掛けて投げつける】 【当たる瞬間の威力はそこそこ。しかし…その水には「流れ」が有る!】 【水球の体を成しつつも同じ場所を流れ続け、もし当たれば投げつけた際の威力とは別に相手の肉を削ぎ落とし続け様とするものだ】 【手元での精製、手元を離れても十分な威力を出す為の水流水圧等高度な魔翌力操作を以てしての自慢の「技」と言える1つだ】 【単純な水量…力押しでは敵わない―――悔しくとも認めざるを得ないが故の選択である】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/561
562: ルナ ◆/Pbzx9FKd2 [sage] 2015/03/16(月) 19:59:32.19 ID:Bu9V+vzJ0 >>561 【少女の策とは以下のようなものだった。】 【うまく誘いに乗り相手が水を用いた攻撃をしてくるならば、少女は一切のダメージを受けずにその攻撃を『真正面から喰らい』そのまま敵まで駆け】 【大きな力を使った後の疲弊した隙をついて敵を撃ち[ピーーー]。そういう算段であった。】 【水は個体ではないが物質であることに変わりは無い。ウォーターカッターが鉄をも切り裂くことが可能なのは、水という物質が凄まじい速度で運動しているからに他ならない。】 【ゆえに遠距離攻撃の性質上、術者の手元から離れた物質であるならどのようなものでも無力化することができるだろう。少女はそう考えたのだ。】 【少女の敗因は発想が柔軟で無かったせいだろう。少女の生きる異能の溢れかえる世界では、物理法則が常に通用するとは限らないという単純な真理を少女は実感していなかったのだ。】 …ッ!!! 【間一髪、本当に間一髪のところで迫る水球を避ける。『避けなければ死んでいたから』。】 【一度手元から離した物質が速度を失ったとき、念力でも使えなければ再び物質に力は加えられない。ならば念力を使えば良い。それだけの話であった。】 【少女は男が誘いに乗った瞬間勝利を確信したけれど、迫る水球の異変にすんでの所で気づくことができた。】 (あれは…あれは私の能力では止められない!!) 【水のその一滴一滴を静止させようとも、男は手も触れずにまた水の一滴一滴に殺傷力を持たせなおすだろう。】 【そういうことが可能な異能だってある。少女はそれを、この生死の境で認識した。】 【少女はその場に崩れ落ちる。己の浅はかさを恥じた。力不足を痛感した。】 【プライドを捨て敵に謝罪し、だまし討ちの末に殺害しようとして挙句の果てに失敗し。】 【これ以上ないくらい惨めに少女は完敗した。】 ……………… 【少女は動かない。しかし観念したわけではない。】 【少女が真に武人であったならここで潔く殺されることを選んだだろうけど、しかし少女は自身の目的の達成の為ならなんだってする卑怯者であった。】 【こんな所で死ぬわけにはいかなかったから。少女は恥に恥を塗り重ねるかのように。】 …レイヴェンッ!! 【少女は逃亡することを選んだ。叫んだ少女のもとに、夜の闇から一匹の巨大なカラスが舞い降りた。】 【人間の2、3人は背にのせることはできる程の巨躯。頭には脳に電流を流すかの様な機械が装着されている。】 【少女を素早くその背に乗せると、カラスは羽ばたき地上を離れた。】 【背の上で、少女…ルナは、これ以上ないくらいに恨めしそうな顔をしながら、眼下の男に話しかけた。】 二つだけ、貴方に聞きたいことがある。貴方の名前は? そしてもう一つ。 貴方はこの世界を滅ぼしたいと思う? 【さっきまでの殊勝な態度はどこへやら、吐き捨てるようにルナは問うた。】 【狙いはどうあれ潔く少女の誘いにのったあげくこの扱いだ。当然、この問いは無視したところで構わないだろう。】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/562
563: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 2015/03/16(月) 20:30:05.85 ID:gV7qcoI0o >>562 【荒れ狂う大河を凝縮した様な一投は当然ながら警戒される】 【異物も無く流れ続ける水の塊は投げた当初風を切る音しか発さなかった…しかし】 【少女の代わりにぶち当たった壁が「流される」】 【強大な水流はまるで引力の無いブラックホールの様に当たった物を巻き込んで砕ききってしまって】 ……ほう 【少女が避けたと言う事実に男はまたも笑みを浮かべた】 【そうさせた事が、相手の思惑を打ち砕いたと言う事実が……男にこの上ない喜びを齎した】 【それで「今は」満足だった。故に追撃はしようとせず】 レッドアイ… 世界を見下す赤い月を見る度にこの名前を思い出すが良い 【濁った血を思わせる赤い瞳で、大きなカラスに跨る少女を見上げながら男は答える】 【お前を「踏み躙った」人物を忘れるなと、男は愉快気に言って】 【そして、もう1つの質問には】 「それも面白そうだ」 抗う奴を、正義を振り翳す奴を、世界は自分の物だと言う奴を 片っ端から「踏み躙る」 ああ、俺にピッタリな生き方だろうが…それ程の力を持っている訳では無いんでな 【力さえ有るならすぐにでも】 【それが男の答え。他者の尊厳を、命を踏み躙る事こそが自分の生き甲斐だと…】 それで、お前は名乗らないのか…ヒーロー気取り? http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/563
564: ルナ ◆/Pbzx9FKd2 [sage] 2015/03/16(月) 21:15:37.98 ID:Bu9V+vzJ0 >>563 【カノッサ機関に所属してからの戦闘において、ここまで歯が立たず惨めな思いをしたのは初めてであった。】 【忘れるな、と。そう言われるまでもなく彼女が『レッドアイ』の名を忘れることは無いだろう。】 【大烏は羽ばたき、その高度を上げていく。ギャアギャアと、路地裏のごみを貪り食っていたカラス達が騒ぎ出す。】 【少女は呪うかのように、これ以上ないくらいに悔しそうに、ぎりぎりと歯を食いしばる音さえ聞こえそうなくらいに表情をこわばらせて】】 私はルナ。次は必ず息の根を止める。 【そう言って、黒衣の少女は闇夜に消えた。】 【少女はカラスの背に乗り闇の中を飛ぶ。道中、少女は先のやり取りを思い出していた。】 【『それも面白そうだ』】 【『抗う奴を、正義を振り翳す奴を、世界は自分の物だと言う奴を 片っ端から踏み躙る』】 (質問を、変えるべきだったかもしれない) (貴方は、世界の滅亡と共に自分が死んでも構わないと思っているの?) 【そう思って、ルナはカラスの飛ぶスピードを上げた。】 /以上で〆となります。ありがとうございました! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/564
565: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 2015/03/16(月) 21:27:22.25 ID:VkW4sb7I0 【月夜の街に近い里山の中】 【此処は街からほど近い上に手軽な高さの里山という事もあり、絶好のハイキングコースにもなっている。】 【同時に町から近い上に人気の少ない場所ということもあり軽犯罪も起こりやすく、自警団によるパトロールが重点的に行われている場所でもあり】 【そんな夜の里山で―――】 ――キャッ!? 【がさり、と藪が揺れる。――もっとも、これだけなら野生の動物の所為の可能性もあるが】 【その後に続く軽い悲鳴とドサッという衝撃音が、その音の主が人間である事を示すだろう】 【音のした方を向けば―――変な格好をして転倒した女性の姿が、月に照らされて見えるかもしれない】 ……ッ……うぅ…… ……夜の山の足元は危険です……――― 【月明かりの下に照らされる女性。彼女は鳶色の長髪を持ち、頭には白い帽子が被られ】 【目じりの下がったの垂れ目、深いブラウンの瞳は優しく澄み、口元の笑窪が整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】 【薄い桃色のシャツは動きやすさとお洒落を両立させたデザイン。首にはタオルが掛けられている。】 【山歩きに使っているのだろう、ズボンは結構穿き古されている。足元はトレッキングブーツ】 【背には大きなリュックサック。全体的に見て山歩きに慣れた人の格好だ】 【静かな山の中、これだけ大きな音がすれば目立つことは間違いない。物音に驚いた鳥たちが慌てて飛び去ったくらい】 【こんな間抜けな場面で誰かに出くわすなんて事が、あったりするのだろうか……】 //予約です! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/565
566: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage] 2015/03/16(月) 21:32:27.93 ID:/YYmeyJAo 【路地裏】 「今ォ日も大量、っとォ!」 【そこに居たのは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】 【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】 【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】 【その者の足許にあるのは魔法陣、そしてその者が担いでいるのは傷を負い気絶した人間】 【魔法陣に向けて人間を投げれば、それは闇となって吸い込まれてゆき――そして、この場から姿を消した】 「人間は幾ら集めても損はねェからな……どォれ、次の獲ェ物は……」 【黒い服故にわかりづらいが、よく見ると付着したそのシミは――先程の人間に傷を負わせた者が誰かを、証明していた。】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/566
567: 天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/16(月) 22:35:05.61 ID:62ZheUCxo >>566 /まだおりますかー? http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/567
568: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage] 2015/03/16(月) 22:50:40.34 ID:XmFKu9yE0 >>523 あぁ……! 【念押しする様に、青年は大きく頷いて見せた】 【ジョシュアに対して思うところ、そしてその言葉は、全く素直な青年の感想だった】 【ただジョシュアの一面を知っているだけに過ぎなかったが、それでも青年は半ば確信めいたものを持っていたのだ】 【だからこそ、こうも力強く頷く事が出来るのだろう】 ……いや、僕こそ「ありがとう」だよ……君みたいな人の姿を見れた事は、僕にとっても凄くうれしい事だからね…… 【控えめに礼を口にするジョシュアに、青年はそっとそう返す。それは青年にとって久方ぶりの、晴々とした笑顔だった】 【わずかな間の逡巡の意味する所は分からなくても、自分の中に確かめていた事は分かる】 【それもまた、自分の言葉が「受け止められた」と解しても良いだろうと、青年は考えていた】 へぇ……なら、大丈夫そうだねぇ。彼も、そこまで人付き合いが難しいタイプじゃあなかったからね…… 君の方で萎縮してしまう事が無ければ、彼も問題なく接してくれるはずさ 【一応、それとなくジョシュアに認識を促しておいたのだが、既にそうした相手との接触の経験があると言う事なら、問題は無いだろう】 【紹介するにあたって、その壁は何とかしておかなければならないのだが、そこが杞憂で済んで、青年も安心した様だった】 【紹介して、上手く話が纏まらないとなれば、自分にとっても恥ずかしい話になるのだから】 あぁ……それじゃあ、また……! 【目当ての品物を手に入れて、思わぬ嬉しさを胸に抱いて、青年は満足した様子で別れの挨拶を済ませる】 【そうして、踵を返して店の出口へと向かう――――背後から呼び止められたのは、ドアに手を掛けた瞬間だった】 ん? ――――ぉ、良いのかい? …………ありがとう、それじゃあ遠慮なく、頂くよ……! 【振り返ると、そこにはジョシュアが、可愛らしい包み紙を差し出している姿があった】 【初めは何の事かとキョトンとしている青年だったが、すぐにそれがサービスの土産である事に気付く】 【わずかばかり頷く様に頭を下げながら、青年はその包みをそっと受け取った】 それじゃあ今度こそ……失礼……! 【クッキーの包みを受け取って、改めて青年は店から退出する】 【そこで青年は何気なく、外の夕闇を見上げ、そして今出てきたばかりの店を振り返る】 【おとぎ話にでも出てきそうな建物の中にいたのは、とても輝いた生き方をしていた、小さな職人だった】 【――――何故か、手にした品々が、不思議な宝物の様な気がしていた】 /遅くなりましたが、乙でしたー! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/568
569: ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage] 2015/03/16(月) 23:04:58.54 ID:bCRLU++7o 【街中】 『ウラァ!!ギャング崩れなんぞぶっ殺せぇ!!!』 「ヒャッハー!!自警団崩れが調子にのるんじゃねえぜ!!」 【とある国、とある街。商店が並び、車が走りまあよくありそうな街中なんだが】 【此処はマフィアとかギャングとか自警団とかが日々勢力争いをしていて角のタバコ屋の】 【おばちゃんもどこかの勢力の情報屋なのかもしれないのがこの街。そんな場所だから】 【今日もギャングが車を盾にマシンガンをぶっ放して、それに対抗して自警団がバンを盾に】 【ショットガンをぶっ放すなんていう抗争劇をメインストリートで行っていた】 あーあ…こんなトコで飲んでるんじゃなかった 【両者陣営の間、路端の屋台の影にしゃがんだ人影。手には美しい模様が彫り込まれたリボルバー】 【ダークグリーンのレンズのサングラスをかけた黒い三つボタンのスーツの男。傍らにはビールの缶】 【どちらかの人間というわけではなくて、単純に逃げ遅れたというわけだ。時折、流れ弾が飛んできて】 【彼は身をかがめる。どちらも下手な鉄砲で下手に動くとやられかねない。彼は取り敢えずビールを】 【一口のんだ。看板が銃弾で割れて落ちてくる。段々と銃撃戦は激しくなっているような気配だ】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/569
570: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage] 2015/03/16(月) 23:09:05.52 ID:/YYmeyJAo >>567 /すみません、遅くなりましたがここにおります /しかし今日はもう落ちるので、またの機会にお願いします。ごめんなさい http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/570
571: 熊出 等比 ◆/Pbzx9FKd2 [sage] 2015/03/16(月) 23:12:39.29 ID:Bu9V+vzJ0 >>565 【水の国自警団支部の近くにある里山、夜の中その山道を走る一人の女性の姿があった。】 【自警団員に支給されている長袖のジャージに、水色のランニングシューズを履いている。】 ふー、さすがに一週間以上動いてないと色々きついか… 【彼女は先の地の国における大事件に立ち会っており、その際体中を骨折したせいで入院していた。今はそのリハビリ中である。】 【そんな中、遠くの方で人の悲鳴が聞こえたような気がして彼女の頭は瞬間、自分の時間から仕事の時間へと切り替わった。】 (女性の声…感じからして若そう、多分20代、10代?とにかく急がないと…!) 【彼女は一定のペースを保った走りから、全力疾走に移る。自身が故障中であろうとどうだろうとそんなことは関係が無い。】 【走っているうち、現場が見えてくる。すると予想通りに、倒れている女性の姿が見えた。駆け寄って声を掛ける。】 自警団の者です、どうされましたか! 【倒れている女性は、駆け付けた地元の自警団のその姿を見て何を思うだろうか。】 【ボーイッシュな灰色のショートカットに、やや癖毛が強く所々が外ハネになった髪型。女性にしては高身長で、スレンダーな体躯の持ち主。】 【それは他でもない旧知の人物、熊出 等比その人であった。】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/571
572: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 2015/03/16(月) 23:44:13.34 ID:VkW4sb7I0 >>571 【「いてて……」なんて呟きながら腰を摩る彼女。足が引っかかるような形で尻餅をつく形で倒れたから、服が落ち葉と土だらけ】 【なんとも間抜けな恰好で、倒れたまま声をした方を向いて―――ふと視線が合うと、驚いたように少しだけ声を漏らして】 【少しばつが悪そうに微笑むのだった。こんな形で再会することになろうとは……】 あら、貴女は……! ……お久しぶりですね、熊出さん。えへへ……恥ずかしい所を見られてしまいましたね。 木の根っこに足を引っ掛けて、転んでしまったのです。我ながら鈍いというか何というか…… ―――さて、いつまでもこんな恥ずかしい恰好を貴方に見られる訳には行きませんよね。 駆けつけて有難うございます、私は大丈夫ですよ―――ッ……! 【―――少しばかり驚いたのは事実。こんな夜の山の中で誰かと遭遇するなんて事は滅多になかったし】 【その上出会った人が懐かしい顔だったから、驚きもひとしお。―――……出会い方が少々アレだが。】 【さて、女性は直ぐに起きあがろうとする。―――が、右足に力を入れようとした瞬間体がぐらりと揺れて】 【どうやら立ち上がれないようだ。右の足首を手で抑えて顔を顰めているあたり、転倒した際に捻挫したのだろう】 【女性――皐月は「大丈夫です」と言っているが。どう見てもその様子は大丈夫ではなさそうで―――】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/572
573: 熊出 等比 ◆/Pbzx9FKd2 [sage] 2015/03/17(火) 00:21:17.72 ID:UKs8DlJb0 >>572 【目の前で倒れていた女性が神谷皐月であるということに熊出等比が気づくのにはかなりの時間を要した。】 【もちろん等比は眼前の人物を忘れたことなどは一度も無かったし、人生の転機となったその夜のことを忘れたことも無かった。】 【人はあまりに非現実的な出来事が起こると茫然自失としてしまうことがあるというが、それに似ているだろうか。】 【だから彼女が喋っている間にも、それが聞こえているのかいないのかわからないような様子で等比はまくし立てた。】 いや全く危ないところでした、こんな夜の山道で若い女性一人がうろついてちゃあいけませんよ。 この山は人気があるうちは安全ですが、ここ最近夜間の治安が悪いということで地域住民が苦情の申し立てにくるくらいですから。 あ、申し遅れました。私は…熊出さん?え?まだ私名乗ってな… え?師匠ぉお!? 【素っ頓狂な声が夜の山にこだました。】 【等比は皐月と出会って以来、再会したことこそなかったものの彼女を表す時は常に『師匠』という言葉を用いていた。】 【由来は人生の師であったから。そのままであるが、女性に対し『師匠』というごつい響きの形容をするのはいかがなものだろうか。】 マジで!? 【素である。】 え、うそうそ、写メ撮んなきゃ、じゃなかった、師匠!お久しぶりです! 私、こんな所で師匠と再会できるなんて、ぜんぜん、おもって、いなくてぇ…えぐっ…くすん… 【感極まっている。】 はいはい、え?何ですか?ねんざ!ねんざですね!?了解です、さあ私の背中に掴まって!早く! あ、それともお姫様だっこの方が良いですか!?やぁんどっちにしよう、じゃなくてさあ!師匠、お好きな方を!! 【何だかもう、色々とぶち壊しであった。何が壊れたのかはわからないが。】 【等比はまだ何やら騒いでいるが、ともかく自力で立ち上がれそうにない皐月の手助けをしたいのであろうことは確かである。】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/573
574: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2015/03/17(火) 00:25:22.98 ID:r6hpZdR80 【静まりかえった夜の街。この時間に出歩く者と言えば精々旅人だとかその程度】 【――――さて。そんな街の公園に備えられたベンチに一人の姿。緑色のローブを纏った女が座っていて】 「良し……これで下調べも終わったし、今できる事はこれで全部かな……?」 【隣には積み上げられた学術書。見る者が見れば其れは遺跡や遺物に関する事が記されているのだと分かるだろうし】 【そうで無い者が見たとしても少なからず専門的な物であると理解出来る筈で】 【「ん――――」なんて声と共に背伸びをすれば時計を見遣る。時刻は夜更けと言っても差し支えない時間】 【憂鬱げに溜息を吐いたならば積んでいた書物を膝の上に移動させて】 「思ったよりも遅くなっちゃったな……どうせならこのまま直接行っちゃっても良いんだろうけど…… ううん――――まだ宿が空いてるとも限らないし……」 【果たしてこの時間、宿に空きの部屋などあるのだろうか】 【無ければ無いで今からでも己の目的を果たしに行くか、でなければまた別な街へ行って宿を探すか】 【瞬く星々を眺めながらぼうっと考える様は正しく悩める人】 【加えて、ベンチは灯りの下に備えられているのだからその姿もよく目立つのだけれど】 【櫻の国。最早誰も訪れる事が無くなる程に朽ちた神社】 【普段ならば一つの気配も無い筈なのだけれど――――今宵は、其処から妖気を感じ取る事が出来て】 【石畳の階段を上ったならば、見えるのは風化した鳥居と小さな社であろうか】 【――――社の前に立つのは、巫女装束を纏い翡翠の首飾りを下げた一匹の妖狐】 【目を瞑り、手を合わせている所からして参りでもしているのだろう。然れど、廃れた場所に神も残るのかは疑問だが】 「…………」 【其れも終えれば、神社から去ろうとして――――新たにこの場に訪れた者と出会うとすれば、そのタイミング】 【耳と尾を立てて居る事から余程驚いている事も知れるだろうか。抱くのは敵意だとかでは無く、怯えた様な――と表すのが適切で】 【元より害意を抱いた者がこの場に訪れたのだとすれば少女にとっての不幸】 【或いは、漂って居た妖気に疑問に思って訪れた者だとすれば――――話はどの様に転がるか】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/574
575: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 2015/03/17(火) 01:15:41.31 ID:z3UYJr4G0 >>573 ふふっ……マジです、皐月ですよ!久しぶりに会うというのに、こんな恰好で御免なさいね。 貴女に会える日を楽しみにしていたんですよ!いつかバッタリ何処かで出会うんじゃないかって…… ……まさかコケてる時に出会うとは思ってませんでしたけど。 【驚いたような大きな声を上げられれば、皐月はばつの悪そうな気恥ずかしそうな表情を見せる。】 【こんな恥ずかしい場面を見られては、師匠としての面目が立たないというか何というか……】 【何だか此方が恥ずかしくなってくる。こんな恰好を写メ撮られたりしたらたまったもんじゃない、マジで】 【ともあれ、間抜けな格好だけれど再会できたのは嬉しい。こうやってまた会える日を楽しみににしていたのだから】 【……流石に感動のあまり泣かれたりするとは思っていなかったけれど。でも、皐月だって思わず笑みが零れるほどには嬉しかったりする】 【実は、皐月もずっと彼女の事を気に掛けていた。彼女があの後立派になったのを心の中で喜んでいた】 【先日の彼女が活躍した事件なんて、わざわざ彼女の名前の載った新聞の切り抜きを作ったくらい。……それ程までに、気に掛けていた】 【師匠と言われるのには慣れてなくて、少し落ち着かない。勤め先では散々「先生」やら「教授」やらと言われまくってるのだけれど】 【……でも、悪い気分ではない。自分は師と仰がれる程の人物なんて思っていないが、自分ことをそんな風に思ってくれるのは嬉しい】 【―――さて、立ち上がれない皐月は彼女の背中を借りることになるだろう。捻った足は骨折とは行かないまでもそれなりに痛むらしく】 【「すみませんが、お願いしますね」と一言掛けて、背負ってもらう。皐月も成人女性だし、リュックの重さもあってそれなりに重い筈だが……】 ……重くはありませんか? ―――まさかこうやって貴女に背負って貰う日が来るなんて、思っていませんでした。 ふふっ……何だか今は、貴女の背中がとても広く感じられます。―――立派になったのですね、貴女は。顔つきも見違えましたよ! 【背負って貰って、皐月の口から零れた一言。―――彼女の背中が、随分と頼もしくなった気がするのだ】 【きっと、其れは彼女の成長の証だろう。見違えるほどに立派になった彼女の姿が、今はとても頼もしい―――】 【さて、皐月を背負った彼女は何処に向かうのだろうか?どこに向かうか決めていないのなら皐月は行き先を頼むだろう】 さて……こんなお願いをするのは申し訳ありませんが、家まで背負ってくれますか? 此処からはそう近くはありません、数分もすれば着く筈です!家に着いたら夕飯を御馳走してあげますから! 貴女ともっと沢山お話ししたいですし…… 【……メシで釣るとは卑怯なり皐月。―――本音は、一緒に食事でもしてもっと沢山彼女と話したいのだ。】 【もし彼女が自警団としての勤務中なら駄目だけれど……積もる話もあるし、もっと彼女と一緒に居たい】 【ちなみに皐月の家は山を下りてすぐ。街に近い里山という事もあって、家にまでそう時間は掛からないだろう】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/575
576: 熊出 等比 ◆/Pbzx9FKd2 [sage] 2015/03/17(火) 02:07:52.44 ID:UKs8DlJb0 >>575 【ばっちこい!と快くおんぶと帰宅の要求を引き受け皐月を背負ってからも、しばらく等比の危険な雰囲気の興奮状態は続いていた。】 【下山を続けているうちに、ようやく等比は日常会話ができるところまで回復(?)したようで、背中から聞こえてくる声に応じて答えた。】 重くなんてないですよ!日々鍛えてますからね。ここ一週間くらいは入院してましたけど… それにしても師匠軽いですねー。私なんかより全然…ごほっごほっ。 【急に咳き込んで、等比は話題を変えた。】 私だって師匠にこうして褒めてもらえる時が来るなんて思っていませんでした。 あれから私は修行の日々でしたから…自由な時間、ありませんでしたし。楽しかったですけどね! 当時は師匠がこの自警団支部の近くに住んでるなんて知りませんでしたし、野外訓練の最中にばったり会うなんてこともありえないですし。 だから、私は本当に二度と会えないかもなって思ってて… でも、ご近所さんだったんですね!私自警団支部に基本的に住み込みでいますから。休日ができたら是非訪ねさせてください! 【そう言って彼女は笑う。至福のひと時、そんな表情だった。】 【そのうち、等比は先程から気にしていたことを尋ねた。本来ならばその現場を見たときに真っ先に聞くべきことだったのだが。】 そう言えば師匠、こんな夜に山中で何をされていたんです? 私は上層部(うえ)から、退院後は体のなまりを直すことを最優先するように、という通達がありましたからリハビリとしてランニング中だったんですけども。 【そんなことを話しながら、二人は夜の山を下っていく。】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/576
577: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 2015/03/17(火) 02:53:37.46 ID:z3UYJr4G0 >>576 まあ、嬉しい事を言ってくれるのですね!ふふっ……私もまだまだ若いでしょう? 太らないように、食生活には気を付けてるんです。若さの秘訣は食事からです! でも、貴女の体が重いのはそれだけ貴女が私なんかの素人より鍛えてるという事ですよ。そうでしょう? ……そうですか、あれからずっと努力を積み重ねていたのですね?―――本当に、立派になりましたね。 何時でもいらっしゃい。貴女なら、いつでも大歓迎しますよ! 【重い、のはそれだけ彼女が鍛えているからなのだろう。怠惰で増えた体重とは違う、努力の証なのだ】 【彼女のスレンダーな体には、余計な脂肪は付いていない様子。それで重いのは、細身の体に筋肉が詰まっているから】 【決して恥ずかしがる必要なんて無くて、むしろ誇れる事だ。……本当に、どれ程努力したのだろう】 【因みに皐月も重くはない。もうすぐ40歳の女性としては奇跡的な程に若い見た目は、体重にも表れているようで】 【もうオバサンだけれど、太る悩みには無縁のようだ。たまに同世代の友人から羨ましがられるのだとか……】 【続いて語られるのは彼女の事。近くに住んでいるという事、訓練を積み重ねていたという事……】 【そんなに近くにいるとは知らなかった。もっと遠い所にいると思っていたが、これなら気軽に尋ねる事もできそうだ】 【こんな夜に山の中で何をやっていたのか尋ねられる。当然と言えば当然の疑問だろう、こんな時間にハイキングなどあり得ない】 【では何をしていたかと言うと―――自然学者としての研究だ】 ああ……フイールドワークです。平たく言えば、生態調査ですね!里山に居る生き物がどうやって生きているかを調べるんです。 山近隣の環境開発に伴う生態への影響とか、山に住み着いた外来種の及ぼす在来種への影響とか……そんな事ですね。 でも、夜にならないと活動しない生き物も多くて……こうやって、時々夜の山を出歩いて観察していくんです。 ま、要するにお仕事ですね。楽しいから良いんですけど…… 仕事と言えば、今の貴女はSCARLETに所属しているそうですね! この間新聞で貴女の名前を見かけてビックリしました!地の国の事件でしたっけ……あなたを含めた十数人が活躍した、って! ……という事は、今やっているのはその時に負った怪我のリハビリですか?ごめんなさいね、貴女も怪我をしていたというのに背負わせてしまって…… 今の仕事はどんな感じですか?どんな所にやりがいを感じていますか? http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/577
578: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 2015/03/17(火) 16:22:00.96 ID:nczrpv0co 【路地裏】 【暗がりの中にある影は2つだけ】 【1つはジャンクの淵に腰掛けてもう1つを眺めている】 【暗がりの中ではその全容は定かにならず】 【もう1つは剃刀を手にした女性】 【その女性は涙を流しながら「頭皮ごと」その艶やかな長い髪を削ぎ落としている】 【手は止まらない。涙より多くの血が頭から流れても彼女はその頭髪を削ぎ落とし続ける】 【と…其処でようやく最初の1人が声を発した】 髪は女性の命と言われるそうだ…ああ君がそれを大切にしていた事も知っている だから教えて欲しい「自らの手でそれを落とす気持ちはどうだ?」 【女性へと声をかけつつ近づく最初の影…濁った血を思わせる赤い目と、金の髪が特徴的な上半身裸の男】 【女性は答えれない。何故こうなってしまったのか、何故自分がこんな目に合っているのか。後悔や怨嗟、様々な感情が頭の中でグチャグチャと混じりあっていて】 ――――興味深かったのだが、な。時間切れだ。 【しかしそれを整理する暇を与える程、彼の気は長くは無かった】 【露わになった彼女の頭皮の「中身」を叩き潰そうと、鋭い手刀を振り被って――――】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/578
579: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2015/03/17(火) 19:45:16.67 ID:B3MkDIk60 【街外れ――廃墟になった洋館の庭園、】 【細い三日月がしんと庭を照らしこむ、すっかりと野生化した庭木が黒く照らされて】 【ごちゃごちゃに絡まりあった薔薇の枝、自然と偶然でドームのようになった空間に、人影が揺れた】 よい、しょ……、よいしょ。 【見ればふわふわに膨らんだスカートのお尻、上半身はすっかりと薔薇の棘の中に隠れてしまって】 【時折棘でも引っ掛けるのか短い悲鳴のようなものも聞こえてくる、――しばらく見ていれば、ようやっと身体を起こし】 【小さく吐息なんてしながら崩れた前髪を整える手は、すっかりと土に汚れていて。顔に一筋茶色い線を描き】 【真っ黒の髪は腰の長さまで伸びて、今は三つ編みに編みこんだハーフアップ。ヘッドドレスの飾りがひらりと揺れて】 【黒赤のオッドアイはどこか蛇の目に似る丸目、右耳にだけ付けたピアスは、月白色の宝玉の欠片をはめ込んで】 【生成りの布に赤糸で縫い取った刺繍の柄、姫袖のワンピース、袖の下のほうは、うっすらと土に汚れて】 【ふっくらとしたスカートも地面に膝をついて何かしていたせいで微妙に汚れている。足は踵の厚いパンプス】 ここなら、きっと、野犬も掘りに来ないし……。 【そんな少女の傍らにはひどく古びた鳥篭が置いてあって、呟きながら取り上げれば、ぎぎいとそれだけで軋む】 【さび付いた蓋を苦労しながら開ければ、中から白く欠片のようなものをいくつもいくつも取り出して、】 【薔薇の空間の中、どうやら埋めて――手が汚れていたのは、穴でも掘っていたらしい、と、知れ――】 【埋めているのも小鳥か何かの骨らしいというのもなんとなく分かる、かもしれないけれど】 【ひとまずは廃墟の庭で何かしている怪しい人影、であるのには変わりなく。古びた鳥篭の軋む音も夜に響くなら】 【誰かの目や耳に入ってしまってもおかしくなくて、――ひととおり埋めてやると、彼女は満足げに息をついた】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/579
580: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage] 2015/03/17(火) 21:09:17.16 ID:Vg8elWBjo 【路地裏】 「今ォ日も大量、っとォ!」 【そこに居たのは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】 【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】 【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】 【その者の足許にあるのは魔法陣、そしてその者が担いでいるのは傷を負い気絶した人間】 【魔法陣に向けて人間を投げれば、それは闇となって吸い込まれてゆき――そして、この場から姿を消した】 「人間は幾ら集めても損はねェからな……どォれ、次の獲ェ物は……」 【黒い服故にわかりづらいが、よく見ると付着したそのシミは――先程の人間に傷を負わせた者が誰かを、証明していた。】 /22時前頃までおいておきます http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1425741001/580
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