[過去ログ] 【ひとっ走り】能力者スレ【付き合えよ!】 (1002レス)
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381: 柳小猿+小狐◆5CR8PxLmeE [sage saga] 2015/03/13(金)20:06 ID:2+lj2K090(3/3) AAS
>>380
「……え?」
そこで漸く異変に気付いた。
なんと、いなかったのだ。あの女性が…クリシュティナが。それも忽然と。
ぽかんと目を丸くなった状態で口から出てきたのはなんとも間抜けで年相応な声。
慌てて周囲を見回すがあの目立つ風貌の女性の姿は何処にも見当たらない。大人一人が隠れられるようなスペースも、なかった。
ただ、微かな甘酸っぱいような香りと未だに残っている抱擁の際の人肌の温もりしか彼女の痕跡はなかった。
「……小狐、あの人は。」
『きゅ?』
恐る恐る足許にいる小狐にクリシュティナの所在を確かめてみるが小狐が簡単に教える訳もない。
首をゆるく捻って少し楽しげに鳴くだけだ。尤も、反応からして彼が造り出した幻覚ではないことは分かったが。
予想しえない別れに思わず溜め息。なんというか、脱力してしまう。呆れて笑いが込み上げてくるくらいだ。
「……ほんとに、いやな人ですね。こんな顔を小狐以外に見られるならあなたの幻覚だったらよかったんですけど。
旅の目的もなんだか潰されてしまった気がします――…ほんとうに、いやな人。」
そう誰が聞くでもない憎まれ口を叩けば小狐をそっと抱き抱える。
そして先程までとは逆方向――即ち宿をとった街へと戻る道へと進み始めた。
これからどうするだの、宿への近道はどこだの、宿での食事は何がいいだの…そんなくだらないことを一人と一匹で話しながら。
少女は再び前を見据える。彼女の言葉の何かを、ひとつでも知ることが出来るように。
/お疲れ様です!こちらこそありがとうございました!とても楽しかったです!
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