[過去ログ] 【ひとっ走り】能力者スレ【付き合えよ!】 (1002レス)
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(1): 天野ソラ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/12(木)01:55 ID:RCMo5lcYo(1/6) AAS
>>278
【蹴破った扉から差し込む光が、暗闇に慣れていた目を不意打ち、地下の腐った空気と違う新鮮な肺に入ってくる】
【毒の中からいきなり薬に放り込まれたみたいに、環境の急な変化が体の感覚を狂わせる、しかしそれも時期に慣れるだろう】
【三原色の光球が中を泳ぐ視界で、辺りの様子を改める。まるであの地下空間と繋がっているとは思えない緑溢れる自然の世界】

【だが、それに感嘆の声を表す前に、視界の奥の奥にいる『ソレ』の姿を見た瞬間から、もう他には何も見えない】

───アァァァァァァァァァァァァァァァァーグゥゥゥゥ!!!!

【溜まりに溜まった憎悪が爆発し、慟哭が辺りの空気を震わせる。齢17の少年が出せるとは思えないような怒りの叫びだ】
【挑発に乗った?いや違う。何があろうと彼はこうしていた、叫びながらアーグへと真っ直ぐ駆け出し、両手に鉄紺色の焔を燃やす】
【この瞬間から少年はヒトから獣と成る、憎しみと怒りに囚われた復讐の獣】

【しかし、地下での芋虫による麻痺毒が効いているのか、動きが洗練されているとは言えず、油を注していない機械のようにそれはぎこちない】
省2
287
(1): 天野ソラ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/12(木)02:33 ID:RCMo5lcYo(2/6) AAS
>>282
邪 魔 だ ッ ッ ! !

【両手に燃やす焔を凝縮させ、硬質化させ、作り出すのは元の手より一回り程大きな龍の爪】
【鉄紺色のそれは、心を映し出したかのような禍々しい光を鈍く放ちながら、目の前から襲い掛かる植物達に振るわれる】

【足を止める事は無い、いくら傷使うとも進めれば良いと、小さな傷が幾つ出来ても気にせずに、天野は突き進む】
【取りこぼした植物達が作る傷からは、赤黒い血がネバつき、滴る】
【教会内へと飛び込んだ頃には、決して少ないとは言えないだけの傷がついていた】

アーグ!……アァァァァァァァァーグゥッ!!
テメェは!何であんな事をしたァッ!!何のために皆を殺し、街を壊したァッ!!答えろ!!

俺がテメェを殺す前にッ!!理由を聞かせろォォッ!!
省4
293
(1): 天野ソラ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/12(木)03:09 ID:RCMo5lcYo(3/6) AAS
>>290
【巨大な龍の爪は、本物のそれと同じとは言えなくも、武器としては十分すぎる力を持っている】
【しかし、それだけで敵うのならばアーグという存在が脅威として語られはしない、杖に受け止められたかと思うと、それに対応する間も無く強い衝撃が天野を襲う】

───……ガ…ァッ……!!

【まるで目の前で爆発が起きたかのような衝撃に、天野の体は弾き飛ばされ、呼吸も出来ずに宙を舞う】
【地面に落ちた天野の右手の爪は衝撃で割れて無くなっており、右腕そのものがグシャグシャに折れ曲がってしまっていた】
【度し難い苦痛、叫び声を上げても不思議ではない痛々しいダメージだが、天野は立ち上がり、アーグを睨み付ける】

……『邪魔だから』……だと?

【今更何を言われようと、考えが変わる事は無い───例えばアーグの行動には深い理由があったとしても、それが世界の為だったとしても、一切変わらず彼はアーグを殺しにかかっただろう】
【故に、今更アーグの返答が悪逆非道に塗れていた物だとしても、今更『酷い』だのと宣う事は無い】
省10
297
(1): 天野ソラ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/12(木)03:49 ID:RCMo5lcYo(4/6) AAS
>>295
【空気の層の中に穴を開けながら、何物をもその憎しみで貫く渾身の槍───その筈だった】
【自分の力を過信していたのはあるかもしれない、でも、まさか予想出来ようか?……アーグが作り出したそれは、空間そのものに黒い孔が空いたような存在は、実際に目にした事が無くとも、何であるかを理解する】

───ブラック……ホール……だと?

【目の前でアーグの能力を目にして、体感するのは、実際にはこれが初めてか。天野はそのまさかの規模に、目を丸くする】
【空の星々を、光すらも吸い込み噛み砕く宇宙の暗黒を、こうも簡単そうに呼び出すなどとは予想だにしていなかった】

【そして、続くアーグの言葉、自分が人より上だと、疑いもせずに言い切れるその精神の強さ。ブラックホールの驚きも相俟って返す言葉が詰まる】
【強ち否定し切れないのだ、これだけの力量の差を目の当たりにして、まだ殊勝でいられる精神を育てる時間は天野には無かった】
【そのせいで反撃に対する反応が遅れる───目の前に現れた純白が何を意味しているのか、理解した時にはもう遅い】

【腕、脚、腹───自身の力が牙を剥き、身体中に突き立ち、冷たい冷気が体の内から染み渡る】
省6
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(1): 天野ソラ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/12(木)04:34 ID:RCMo5lcYo(5/6) AAS
>>298
【体中が激痛に苛まれ、まるで動かない、初めて経験したが、これが『死にかける』という事か】
【天野の思考は驚く程にクリアだった、泣き叫ぶほど混乱せず、怒りを撒き散らすほど力無く】
【ただ、自分を舐めるように見るアーグの視線が不快で、それでいて、自分がこれから殺されるのかと思っていた】

【だが、予想は外れる───】

【アーグの持ち掛けた話は、空間の中を散ること無く真っ直ぐ向かってくる様に天野の鼓膜を震わせ、心を突き刺す】
【その通り、自分は弱い、アーグにはまるで叶わない、殺すだなんて以ての外で、逆に今、殺されてしまいそうな程】
【だがここでアーグに助けを求めれば、その力を埋める事が出来るかもしれず、更に何時だって(条件付きだが)アーグを殺すチャンスが生まれると言うではないか】
【わざわざ探す手間もなく、殺せるまで何度も何度も殺しに行ける、そう考えれば、『全てを犠牲にしてでも』と決意したのに比べて条件は緩い】

…………
省19
305
(1): 天野ソラ◆81It1xIT0A [sage saga] 2015/03/12(木)05:12 ID:RCMo5lcYo(6/6) AAS
>>302
…………!

【今、自分は何をやった───?何が起きたのかわからなかった、だが】
【一瞬とても体と心が軽くなったような、『力と一体化した』ような感覚がした】

(今のは……クソ、体が動かねえな……もう一度今のが出来たら…)

【何をどうやって、どうして出来たのかわからないが、しかし、それはアーグに豆鉄砲を食らわす事が出来たらしい】
【だとすれば、それをもっと洗練し、手にすれば───その為には、ここで死ぬ訳には行かない】

【依然として健全なアーグを睨み付けてから、視界の端で出口を探る。記憶の中でそういえば、この空間には空があったと思い出す】
【さすればそこか、天野は再び、先程の感覚を思い出しながら身体中を焔で包む】
省14
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