[過去ログ] 【ひとっ走り】能力者スレ【付き合えよ!】 (1002レス)
前次1-
抽出解除 レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
549
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)13:46 ID:Bu9V+vzJ0(1/9) AAS
>>546

【暗がりの中から、ひとりの少女がかつかつと足音を鳴らして現れた。】
【闇に溶けるような長い黒髪と同じく黒のワンピース。それと対照的に白い肌。そして腰にさげられた二丁の拳銃。】
【金髪の男といくらかの距離をとって、少女は足を止めた。】

………

【少女は男が一方的に少年に暴行を加えるその光景を目の当たりにして、その顔をひどく不快そうに歪めた。】
【正義の炎に燃え上がったからではない。ただ、目の前の男は彼女が非常に忌み嫌うタイプの人種だったからだ。】
【男は離れた暗がりに立つ少女のそんな表情を読み取れただろうか。】
【そして言葉を発することすらなく、少女は金に光る眼で男をにらみつけながら銃口を一つ向けた。】
551
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)14:21 ID:Bu9V+vzJ0(2/9) AAS
>>550

【男は少年をあまつさえ人質に取り逃走を試みようとしている。男の言葉からそれを読み取ると、少女は小さく溜息をついて】
【そして吐き捨てるように言った。】

…どうしようもない屑ね。
死になさい。

【いつの間に構えていたのか、さげていた拳銃を二丁とも手にした少女はまず少年の首に乗せられた足の膝を狙い弾丸を一発。】
【そしてそれとほぼ同時に男の眉間目がけて正確無比にもう一発の弾丸を発射した。】
【ほぼ音速に近い速度で打ち出された銃弾は、恐らく男が少年の頭を踏みつぶすのに必要な時間を与えないはずだ。】
554
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)15:14 ID:Bu9V+vzJ0(3/9) AAS
>>553

…ッ!

【男が跳び上がった瞬間、少女は危機を察知して男に向かい全速力で駆けた。少女とはいえカノッサの構成員。その身体能力は常人を遥かに凌駕する。】
【この時少女にとって幸運であったのは、まさに目の前の状況が自身の『能力』を用いるのに絶好の機会であったことだった。】
【地面を蹴り、間に体を挟み込むようにして少年に覆いかぶさる。】
【そして男の踵が、いやどこでもいい、その体の一部が少女の体に触れたのならば】
【男に生じている全ての速度は消滅し、その後はただ重力のみに従って少女の上に落下するはずだ。その程度の衝撃ならば少年にダメージを通さず受け流すのは容易い。】
【少女の異能。『ある物体に生じている「速度」を、自身の体に触れた瞬間ゼロにする能力』。】
【攻撃にこそ使うことはできないが、防御の面でならば高い力を発揮することができる。】
556
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)16:09 ID:Bu9V+vzJ0(4/9) AAS
>>555
【目論見が成功し一瞬安堵するも、すかさず男の第二撃がルナを襲わんとする。】
【お荷物を抱えながらの戦闘などあまり経験したことが無い。本来受け流せただろうその掌底はまさにまともに少女の脇腹にめり込んだ。】

ぐっ…!

【その表情が今度は苦痛で歪む。】
【少女は本来その軽い体重ゆえ、遥か後方へ吹き飛ばされるはずであった。しかし少女は、自身で自身の体に触れた。】
【瞬間、生じている全ての速度が消滅し、一メートルほど飛ばされた地点に少女は着地した。彼女の異能にはこのような利用法もあるのだ。】
【そして肩で息をしながら、額に汗を浮かべながら、しかし少女は立っている。飛ばされはせずともまともに掌底を受けたにも関わらずだ。】
【仕組みとしてはこうである。通常ならば、その掌底が標的に到達するまでの間に筋肉を用いて掌は加速され、それが標的に接した後、さらに体を打ち抜くようにして掌底は思い切り腕ごと振りぬかれる。】
【しかし少女の場合、始めの加速分がその異能によって打ち消されるから、このような肉弾戦でのダメージは半減させられるのである。】
省8
558
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)17:15 ID:Bu9V+vzJ0(5/9) AAS
>>557

【打ち出した連弾は捕捉されてしまい、突如現れた水の障壁によって大半が防がれる。】
【それはルナにとって意外な出来事であった。囮を使っての奇襲が失敗したこと、そしてそれに加えて】

(滴らない血液、水の壁。)
(近接タイプじゃなく水使い、か…さっきのあの妙なダメージは私の中の水分を操作したからと、そういうこと?)

【相手の能力への誤算。想像以上に敵の能力は多才であり、少女は何とか目の前の敵に勝利するべく策を考えようとする。】

(…良いわ、敵が強くなければ私が戦う意味は無い。それでこそ私の力は磨かれる。)
(問題なのは、奴の身体能力の程度。先の一撃があれほどの威力を持っていたのが、私の体内の水分操作に由来するのならば)
(術者自体の身体能力はそれほど高くない可能性はありうる。確かめてみるしか無い、わね…)
省3
560
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)18:13 ID:Bu9V+vzJ0(6/9) AAS
>>559

【人間一人を路地裏の外まで吹き飛ばす威力の、手加減無しで放った蹴りを片腕で防がれたことを認識した時、寡黙な少女は明らかに動揺の表情を見せた。】

(…見切られた!?)
(しかもほとんど効いていない、見くびっていたか…!)

【そして伸ばされる邪気を帯びた腕は、明らかに『必殺』に近い危険性を孕んでいることは明らかであり】
【少女は蹴りの反動を利用し、すんでのところでその爪から逃れることに成功した。】
【しかし現状、少女の置かれている戦況はかなり厳しい。少女の攻撃手段は基本的にその拳銃以外に無く、それを撃ち込む隙をなんとか作り出すのが少女の戦法だ。】
【それはたいてい得意の体術から始まるのだが予想は外れ、相手は人外の身体能力を身に付けるべく研鑽を積んできた自身と対等以上の肉体を持っていた。】
【唯一勝るのはスピードか。しかしそれも、動きを見切られてしまうようでは意味が無い。弾丸を届かせるのに必要な隙が生まれない。】
【もはや、残された策はほとんど無いと言って良い。少女は後方へ飛び、男の間合いよりも大きく下がった。】
省7
562
(1): ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)19:59 ID:Bu9V+vzJ0(7/9) AAS
>>561

【少女の策とは以下のようなものだった。】
【うまく誘いに乗り相手が水を用いた攻撃をしてくるならば、少女は一切のダメージを受けずにその攻撃を『真正面から喰らい』そのまま敵まで駆け】
【大きな力を使った後の疲弊した隙をついて敵を撃ち[ピーーー]。そういう算段であった。】
【水は個体ではないが物質であることに変わりは無い。ウォーターカッターが鉄をも切り裂くことが可能なのは、水という物質が凄まじい速度で運動しているからに他ならない。】
【ゆえに遠距離攻撃の性質上、術者の手元から離れた物質であるならどのようなものでも無力化することができるだろう。少女はそう考えたのだ。】
【少女の敗因は発想が柔軟で無かったせいだろう。少女の生きる異能の溢れかえる世界では、物理法則が常に通用するとは限らないという単純な真理を少女は実感していなかったのだ。】

…ッ!!!

【間一髪、本当に間一髪のところで迫る水球を避ける。『避けなければ死んでいたから』。】
【一度手元から離した物質が速度を失ったとき、念力でも使えなければ再び物質に力は加えられない。ならば念力を使えば良い。それだけの話であった。】
省21
564: ルナ◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)21:15 ID:Bu9V+vzJ0(8/9) AAS
>>563

【カノッサ機関に所属してからの戦闘において、ここまで歯が立たず惨めな思いをしたのは初めてであった。】
【忘れるな、と。そう言われるまでもなく彼女が『レッドアイ』の名を忘れることは無いだろう。】
【大烏は羽ばたき、その高度を上げていく。ギャアギャアと、路地裏のごみを貪り食っていたカラス達が騒ぎ出す。】
【少女は呪うかのように、これ以上ないくらいに悔しそうに、ぎりぎりと歯を食いしばる音さえ聞こえそうなくらいに表情をこわばらせて】】

私はルナ。次は必ず息の根を止める。

【そう言って、黒衣の少女は闇夜に消えた。】

【少女はカラスの背に乗り闇の中を飛ぶ。道中、少女は先のやり取りを思い出していた。】
【『それも面白そうだ』】
【『抗う奴を、正義を振り翳す奴を、世界は自分の物だと言う奴を 片っ端から踏み躙る』】
省4
571
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/16(月)23:12 ID:Bu9V+vzJ0(9/9) AAS
>>565

【水の国自警団支部の近くにある里山、夜の中その山道を走る一人の女性の姿があった。】
【自警団員に支給されている長袖のジャージに、水色のランニングシューズを履いている。】

ふー、さすがに一週間以上動いてないと色々きついか…

【彼女は先の地の国における大事件に立ち会っており、その際体中を骨折したせいで入院していた。今はそのリハビリ中である。】
【そんな中、遠くの方で人の悲鳴が聞こえたような気がして彼女の頭は瞬間、自分の時間から仕事の時間へと切り替わった。】

(女性の声…感じからして若そう、多分20代、10代?とにかく急がないと…!)
省6
573
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/17(火)00:21 ID:UKs8DlJb0(1/2) AAS
>>572
【目の前で倒れていた女性が神谷皐月であるということに熊出等比が気づくのにはかなりの時間を要した。】
【もちろん等比は眼前の人物を忘れたことなどは一度も無かったし、人生の転機となったその夜のことを忘れたことも無かった。】
【人はあまりに非現実的な出来事が起こると茫然自失としてしまうことがあるというが、それに似ているだろうか。】
【だから彼女が喋っている間にも、それが聞こえているのかいないのかわからないような様子で等比はまくし立てた。】

いや全く危ないところでした、こんな夜の山道で若い女性一人がうろついてちゃあいけませんよ。
この山は人気があるうちは安全ですが、ここ最近夜間の治安が悪いということで地域住民が苦情の申し立てにくるくらいですから。
あ、申し遅れました。私は…熊出さん?え?まだ私名乗ってな…

え?師匠ぉお!?

【素っ頓狂な声が夜の山にこだました。】
省11
576
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/17(火)02:07 ID:UKs8DlJb0(2/2) AAS
>>575

【ばっちこい!と快くおんぶと帰宅の要求を引き受け皐月を背負ってからも、しばらく等比の危険な雰囲気の興奮状態は続いていた。】
【下山を続けているうちに、ようやく等比は日常会話ができるところまで回復(?)したようで、背中から聞こえてくる声に応じて答えた。】

重くなんてないですよ!日々鍛えてますからね。ここ一週間くらいは入院してましたけど…
それにしても師匠軽いですねー。私なんかより全然…ごほっごほっ。

【急に咳き込んで、等比は話題を変えた。】

私だって師匠にこうして褒めてもらえる時が来るなんて思っていませんでした。
あれから私は修行の日々でしたから…自由な時間、ありませんでしたし。楽しかったですけどね!
当時は師匠がこの自警団支部の近くに住んでるなんて知りませんでしたし、野外訓練の最中にばったり会うなんてこともありえないですし。
だから、私は本当に二度と会えないかもなって思ってて…
省6
666
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/19(木)18:05 ID:4TgCPI4C0(1/3) AAS
>>577

【夜の山中での談話は続く。人づてにしか聞いたことのない恩師の情報は、まさに本人の口から語られることによって等比の中で確実なものとなっていく。】

ははあ、やっぱり師匠って学者さんだったんですね!確かあの超名門のレイリスフィード大学の!
38歳の若さでレイリス大の教授にまで上り詰めた才媛中の才媛!というお噂でしたが、…凄すぎます。
私も一応自警団として座学の勉強はしたんです。レベルとしては高卒程度の学力があれば通れたらしいんですが…本当にギリ合格って感じでして…。
ううっ、眩しい!師匠に後光が射して見える!

【熊出等比の学力レベルは高くない。常人ならば15分で理解できる理屈を理解するのに、彼女の場合40分は掛かる。日頃からどこか間抜けな言動が多いのもそのせいか。】
【とはいえ何とか必要とされる最低限の知識を得ることに成功したのは本人の努力ゆえだろう。】
【そこで等比はふと何かを思い出したように言った。】

そういえば私のお父さんもこの国のどこかの大学で教授をやっているんです。私とはエラい出来の違いですよねー。
省12
669
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/19(木)20:41 ID:4TgCPI4C0(2/3) AAS
>>668
【熊出等比は物事を深く考えることが苦手である。思考はいつも単純で行動は常に衝動的だ。】
【だから自身の才能のことをそれほど真剣に考えたとは無く、これまで積み重ねてきた尋常ならぬ努力に関しても、『私頑張ったなー』程度にしか思っていなかった。】
【つまり彼女には自身に努力の才能がある、ということの自覚が無かったのである。】
【自身の才能、能力、限界。それらを正しく認識しているか否かはその人の成長を大きく左右する。すなわち】

努力を続けられるのも才能のひとつ…あまり考えたこと無かったですけど、確かにそうかもしれません。
努力が才能…。なら私、今よりもっともっと強くなれる…!!

【今この時ようやく『それ』を自覚した、させてもらった彼女は、以降更に飛躍的に成長して行くこととなるのだが、それはもう少し先の話である。】
【そして二人は皐月の自宅に到着する。動けない皐月の代わりに等比がドアを開けると、そこには困惑した様子の少女が立っていた。】
【一瞬当惑したが、等比はその頭脳によって瞬時に状況を把握して言った。】
省6
675
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/19(木)22:52 ID:4TgCPI4C0(3/3) AAS
>>670

【一悶着あったのちに熊出等比は神谷親子に対して土下座していた。当然顔面は真っ赤である。】
【誤解も解け、礼を述べる少女・衣織に対し等比は改めて深々と頭を下げる。】
【そして衣織とも仕事上でなく個人的に親交を持ちたいと思った等比は、そうこうするうちに年の離れた少女に話しかけるに相応しい口調となっていた。】

ごめんね衣織ちゃん。危ないことじゃなくても何でもいいから、何か困ったことがあったら私達自警団を頼ってね。
支部の周りは怖い顔のおじさんでいっぱいかもしれないけどみんな親切な良い人ばっかりだから。気軽に訪ねて、ね?

【優しい笑みで語り掛ける。話しながら、やっぱり明るい印象が師匠似だなあと等比は思った。】
【『衣織ちゃんは可愛いから夜に出歩いてると変なおじちゃんに×××で●●●が…』というような冗談をついでに言おうと思ったが、急に後ろに凄まじい殺気を感じたのでやめた。】
【ところで等比は急にばつの悪そうな顔をして皐月の方を向く。恰好良いところだけを見せたかったのだが、事はそう上手くは運ばなかったのだ。】
【拝むように両手を合わせ、またも皐月に頭を勢い良く下げる。】
省4
686
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/20(金)00:35 ID:Y9UvJ46j0(1/2) AAS
>>679

【少女・衣織が心を許してくれたことを感じると等比はとても嬉しそうに笑った。子供に頼られるかっこいいお姉さんというのは昔からの彼女の夢であったから。】
【衣織が望めば自警団支部内の見学は簡単だろう。等比の勤める職場の男性は皆可愛い女の子に甘い。】
【もっとも大抵の場合彼女は職場にはおらず、近辺で悪党と戦っているか修行に打ち込んでいるかのどちらかである。】
【彼女が支部にいる時はほぼデスクに向かわされ始末書を書かされているときだ。】
【そして皐月から許可を得ると、等比はありがとうございますありがとうございますと再三に渡り感謝した。】
【食事を待つ間彼女は、お母さんの手料理楽しみだねー、などと衣織に向けて楽しげに話しかける。熊出等比の精神年齢は基本的に幼いのである。】
【間もなく皐月の作ったカレーが運ばれて、等比は神谷親子と共に食前感謝の祈りを捧げる。そしてその一口目を口に含んで咀嚼し、皐月の問いに答えた。】

…おいしい!!おいしいです師匠!ううっ、生きててよかった!!

【当初の仕事モードはどこへ行ったのかがつがつと皐月お手製のカレーに喰らいつく。彼女の目にはうっすら涙が浮かんでいた。】
省13
701
(1): 熊出 等比◆/Pbzx9FKd2 2015/03/20(金)02:09 ID:Y9UvJ46j0(2/2) AAS
>>691

【おぼろげながら皐月は熊出等比の父のことを知っていたようだ。昔は一悶着あったが彼女にとって父は父である。】
【人生の師と自身の父親が近しい場所に存在する、という事実は彼女にとって恥ずかしくもあり嬉しくもあった。】

うあ、恥ずかしいです…あんまり私の失態とかこっそり教えないで下さいね。
あと講義の内容を考えてるときに話しかけると、集中できない、静かにしてくれたまえ、とか言って機嫌を悪くするので気を付けて下さい。
私と違って変わり者ですからねー。お父さんは。

【そんなことを話しているうちに、等比にとってのいわゆる門限がやってきた。彼女も働く身、当分は忙しい時期が続くのだ。】
【楽しい時間を自らの都合により終わらせねばならない理不尽を神谷親子に詫び、彼女は帰り支度を始めた。】
【現在世界を取り巻く情勢は不穏である。動き出す二人の六罪王、現れた過去の記憶の眠る島。彼女達SCARLETはそれら脅威に立ち向かわねばならない宿命を背負っている。】
【等比は全ての片づけを終えた後、玄関口に立つ。制服ではなくジャージ姿なので少し不格好に見えた。】
省13
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.054s