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【瀬尾公治】風夏37【マガジン】 [無断転載禁止]©2ch.net (1002レス)
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996
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@無断転載は禁止
2016/06/10(金)11:55
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996: @無断転載は禁止 [sage] 2016/06/10(金) 11:55:10.00 ー私の何処にこんな精力が・・ー 何度でも愛し合いたい。 身体の髄から、欲求が湧き上がってくる。 それは形となって、越中の前袋を突いた。 「すぅーー、すぅーー、すぅーー」 腕の中の『愛しさ』は、規則的な寝息で、私に身を委ねている。 寝顔をじっと眺めた。 その寝顔が我が子のそれと重なった。 慟哭が襲った。 「くっつっっっ」 堪え切れず嗚咽を漏らす。 ーなんで俺一人だけが・・ー 今まで何十回何百回となく、繰り返した思いが、再び堰を切って溢れた。 並べられた二人の遺体を前に、私の頭の中は、妻との出会いから今日までを、繰り返し再生していた。 激しく求め合った若い日々、妻のはじける肌が、私を虜にしたあのころ。 やがて二人の愛が形となり、授かったひとつの命。 二人で慈しみ育てた命は、もう時期自分の力で、羽ばたき始めるはずだった。 ー電車で出かけていたなら・・ー 一週間待っていた新車が、その日の朝納車された。 就職祝いに横浜まで食事に行った。 前日まで得意先への、納品に追われ、少し睡眠不足がちであった。 「おやじ、俺が運転しようか?」 帰りしな息子がそう言った。 そうすべきだった。 「いいえ、おぼっちゃまわたくしめが」 妻と息子の笑顔がはじけた。 それが最後の笑顔になろうとは・・・ 事故処理が訪れた時、私は物言わぬ二人に、必死に話し掛けていたらしい。 二人の骸を抱き締めながら・・・ 全てを始末し、思い出のマンションを、あとにした日。 もう私には愛する者とてない。 こころに大きく開いた傷は、容易に塞げそうもなかった。 でも、今私の腕の中に、新しい出会いが・・・ 私の涙が彼の瞼に落ちた。 何度か瞬きをして、彼の目が開いた。 愛しかった。 たまらなく。 代償としての愛かもしれない。 「宏一・・・」 「はい・・」 新しい愛は確かに、存在した。 宏一を送り出し、再び一人になった。 昨日までの寂しさは、 少しなりを潜めた。 http://hanabi.5ch.net/test/read.cgi/wcomic/1461674206/996
ー私の何処にこんな精力がー 何度でも愛し合いたい 身体の髄から欲求が湧き上がってくる それは形となって越中の前袋を突いた すぅーーすぅーーすぅーー 腕の中の愛しさは規則的な寝息で私に身を委ねている 寝顔をじっと眺めた その寝顔が我が子のそれと重なった が襲った くっつっっっ 堪え切れず咽を漏らす ーなんで俺一人だけがー 今まで何十回何百回となく繰り返した思いが再び堰を切って溢れた 並べられた二人の遺体を前に私の頭の中は妻との出会いから今日までを繰り返し再生していた 激しく求め合った若い日妻のはじける肌が私を虜にしたあのころ やがて二人の愛が形となり授かったひとつの命 二人で慈しみ育てた命はもう時期自分の力で羽ばたき始めるはずだった ー電車で出かけていたならー 一週間待っていた新車がその日の朝納車された 就職祝いに横浜まで食事に行った 前日まで得意先への納品に追われ少し睡眠不足がちであった おやじ俺が運転しようか 帰りしな息子がそう言った そうすべきだった いいえおぼっちゃまわたくしめが 妻と息子の笑顔がはじけた それが最後の笑顔になろうとは 事故処理が訪れた時私は物言わぬ二人に必死に話し掛けていたらしい 二人の骸を抱き締めながら 全てを始末し思い出のマンションをあとにした日 もう私には愛する者とてない こころに大きく開いた傷は容易に塞げそうもなかった でも今私の腕の中に新しい出会いが 私の涙が彼のに落ちた 何度か瞬きをして彼の目が開いた 愛しかった たまらなく 代償としての愛かもしれない 宏一 はい 新しい愛は確かに存在した 宏一を送り出し再び一人になった 昨日までの寂しさは 少しなりを潜めた
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