先月末のさいたま水族館の大量死について (191レス)
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35: 2014/04/03(木)20:13 ID:jOen4g2c0(3/4) AAS
全員で目をつむり、花が供えてある場所に向かって両手を合わせ、いち、に、のさんで同情する。
俺はカセットを録音状態にして足元に置いている。
全員両手を合わせ身じろぎもしない。
あたりからは虫の鳴き声と、ときどき吹く風にそよぐ葉の音以外は何も聞こえてこない。
俺は目をつむりながら、
『○○さん(名前は調べてあった)、頼みますから出て来ないでください』と一心不乱になって祈っていた。
俺は、冗談じゃない、幽霊なんて見てたまるか、と思っていた。
あれほど見たがってたのに、いい気なものである。

しばらくそうしていると、(実際は1分も経っていないと思う、今から思えば)一瞬、まわりの空気が変わったような気がした。
なんていうか、密度というか濃さというか・・・
そして、口の中がおかしい。
妙にきな臭いような、錆びくさいような感じになってきて、
これは恐怖でのどがカラカラになったに違いない、あるいは貧血の前触れかも・・などとあれこれ考えていた。
すると、「あぅっ! わわわぁ!」と声にならない叫びがあがった。
「ど、どうした!」
俺は飛び上がり、他の連中を見た。
Kが座り込んで、口を大きく開けたまま前方を凝視している。
見ると、女があお向けに寝転がって、首だけ起こしてこちらを見ている。
俺は頭が真っ白になった。
まるで映画のワンシーンを、スローモーションで見ている感じとでも言おうか。
「あぎゃーっ!!!」
転げるようにその場から逃げ出し、もと来た道をめちゃくちゃに走った。
前方をDとSが走ってるのがわかった。
あれ、Kは?それにカセットを忘れた。
信じてもらえないかもしれないが、俺は大パニックのさなかにそんなことを考えていた。
そして後ろを見ると、さっきの場所にKがまだいるのが見えた。
やばい!
俺は引き返し、カセットをひったくると、座ったままのKの頭をボカッとなぐった。
女のほうを睨みつけるように見ると、さっきの体勢のままだったが、
体の輪郭がきらきらし始めて、体はなんというか、しゃぼん玉がだんだん薄くなって透明になり、
消えていくように、消えてしまった。

俺は呆然としているKを引っ張っていく道すがら、
『出てくるなと言ったのに出てきやがって』という怒りでいっぱいだった。
もちろん、今から思えば非常に身勝手なのだが、その時はそう思ってた。
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