紀州【中上健次】熊野 2 (442ﾚｽ)
上下前次1-新
415: 09/20(金)19:40 ID:lV89dbjH(2/2) AAS
いつか新宿の飲み屋で能役者におまえの手は牛殺しの手ではないから能な
ど演じたところで幽玄も表われやしないと絡んだのを思い出し
（中上健次 熊野集 蝶鳥）
喜んで掘って根づくまで畑須の家に置いていて、たたりにあったと言う。
双親はすでに五年前、大雨が元で地崩れが起こり家ごと土砂に埋まり死ん
でいた。
（中上健次 熊野集 蝶鳥）
立派に盆栽に仕立てたサツキも地力が落ちたせいか淡く輝くような紫に咲
いたりんどうも性の記号のように見えた。花はいたるところにひきも切ら
ずに次つぎ咲いていた。
（中上健次 熊野集 蝶鳥）
吉野から伯母峰の向こうにある熊野の新宮にダル新聞の二枚腰の社長も極
楽トンボを絵に書いたような息子も嬉しげな新米記者も居るというなら、
将来小説の中に思いっきり虚構化されて登場する権利があるとうそぶく。
（中上健次 熊野集 桜川）
人が思いつめ考えつめた小説の舞台を読者だという理由でことわりもなし
にやってきてよく平気でハシャいで廻れるものだと独りごちた。
(中上健次 熊野集 桜川）
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