紀州【中上健次】熊野 2 (440レス)
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89(1): 2022/07/01(金)10:54 ID:hR+P1VHj(1/10) AAS
中上健次は、戦後生まれとしては、
研究論文の数が圧倒的に多い作家だ。
精神分析、民俗学、記号論、コスコロ、カルスタ、フェミニズム(肯定的なものはオバの語りなどが対象になる)、
ほとんどすべての批評理論でもって論じられている。
研究論文を読めば十分だろう。
90: 2022/07/01(金)12:35 ID:hR+P1VHj(2/10) AAS
>>67
の方がいうような政策の対象から漏れるような連中がいる。
グラムシのいう「サバルタン」にあたるような者たちだ。
「その土地のもっとも不毛な空き地の、定住を忌む思いの直接的表現としてのテント、バラックに
拠り、どのような定職にもつかず、自由な結婚をいとなみ、体制をゆすり、近親者にくらいついて
――水への馮依を拒否する一群は、事態の深部において、火に馮依する者である」
「今日もしプロレタリアートの純粋な心情というものがありうるとすれば、
(谷川雁「馮依の分裂を知る者――中上文学・二泊三日の旅から」
(『国文学 解釈と教材の研究』(一九八五年三月号))
91: 2022/07/01(金)12:39 ID:hR+P1VHj(3/10) AAS
×「今日もしプロレタリアートの純粋な心情というものがありうるとすれば、
〇「今日もしプロレタリアートの純粋な心情というものがありうるとすれば、
その最大公約数のごときものがここに示されている」
94: 2022/07/01(金)17:54 ID:hR+P1VHj(4/10) AAS
89訂正
×コスコロ
〇ポスコロ
96: 2022/07/01(金)18:23 ID:hR+P1VHj(5/10) AAS
わたしは、ユリイカや國文学のような準学術誌に載るような批評のほうがレベルが高く、
文芸誌に載るようなものよりも面白かったと思う。
100: 2022/07/01(金)21:25 ID:hR+P1VHj(6/10) AAS
「地の果て…」などではとくに、
「路地」の跡地にたてたバラックなどに仮住まいしているような
流動的な日雇い下層労総者からの略取・詐取といったものが、
社会的再生産の過程において、重要な資本蓄積の機会として描かれている。
「熊野集」でも、同和対策事業に乗って儲けるためには、
いかに上手にその種の下層労働者を「奴隷化」するかが肝心、
みたいなことが作者の姉夫婦の例を挙げて示されている。
中上文学にあっては、本源的蓄積は、資本主義の成立時にあった一過性のものではなく、
今現在も継続しているプロセスとして理解されているといえる。
上で引用した谷川雁の批評文にしても、そうしたことを踏まえて中上文学を論じたわけだ。
省3
101: 2022/07/01(金)21:25 ID:hR+P1VHj(7/10) AAS
×おいて、
〇おける
102: 2022/07/01(金)22:23 ID:hR+P1VHj(8/10) AAS
「本源的蓄積」について何も共産党的マルクス主義のように理解しなくてもよい。
中上文学的な「路地の消滅」にしても、共同体の慣行としてのコモンズが
収奪され解体していく過程なのだと考えられる。
不払い労働、家事労働、ジェンダーによる役割分業、あるいは、義理人情がらみの貸し借り、
こういうものは、コモンズが相互扶助的な働きを失ってしまうと、
たんなる因習的な桎梏や収奪のための道具になる。
「階級」ではなく「身分」の観念によって維持されていた「路地」のコモンズが収奪され解体していく過程が、
資本主義社会において継続するプロセスとしての本源的蓄積の過程だったといえる。
105: 2022/07/01(金)23:31 ID:hR+P1VHj(9/10) AAS
中上健次の部落青年文化会は、部落解放同盟の新宮支部とは仲が悪かっただろう。
熊野大学も部落解放同盟からは迷惑がられていたのではないか。
とくに石原慎太郎を講師にして催したときは、
右翼反動を講師に招くとは、なんたること、みたいな非難があったと思う。
106: 2022/07/01(金)23:34 ID:hR+P1VHj(10/10) AAS
中上健次と共産党系の全解連や自民党系の全国自由同和会との関係については、
どうなのか知らない。知っている人がいたら、それに関して教えてほしい。
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