[過去ログ] 読まれなくなった作家、読まれ続ける作家 (1002レス)
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552(1): 07/17(水)19:59 ID:qyv2dwaw(4/5) AAS
>>547
俺の中で評価が定まらず結論が出ていないのが『虞美人草』。非常に深いテーマで考えさせられることも多いが、初めての新聞連載小説ということもあったのか書き込んだ地の文とどちらかというと軽妙に進む会話が交互に展開されて構成的にも宙ぶらりんな気がして作品を軽くしているように感じる。このスレに集う泰斗の見方を聞いてみたいものだ
553(2): 07/17(水)22:30 ID:pDIM47iM(1) AAS
太宰は内面に抱える弱さをしたたかに利用して、自分だけに囁きかける様に読者が感じる文章で、自堕落な人間の底に自ら沈んで共感を集めて読者、支持者を得ていた感じですね。最後はエスカレートしてその泥沼から這い上がれなくなり、玉川上水から脇の土手に、互いに紐で結んだ女と醜く水死体として上げられましたが。
思春期を過ぎると青臭く恥ずかしい感じがして、読者で離れる人が多いのも、その様な面に一因があると思います。
荷風は世捨て人の流儀と言うか、人生への潔い諦観と言うか、育ちの良さか、人間の弱さ醜さに一定の距離を最後まで保ちつつ、そこから拾える美しさや悲しさ、やり切れなさを生涯愛でていた感じがあります。
自らも放蕩者と自認しながらも、溝に溺れて女と死ぬ事などは許されない矜持を持っていた大人の姿勢でした。
厭世観も十人十色ですね。
554: 07/17(水)22:42 ID:qyv2dwaw(5/5) AAS
>>553
太宰についてはやけに厳しいな
555(1): 07/18(木)17:21 ID:p+S1zfNc(1) AAS
>>540
映画好きの俺からすると花田清輝の「クロード・シャブロルは芸術家だが、ヒッチコックは『娯楽専門の無思想人』」という批評がズレまくってるなあ……と
556(1): 07/18(木)17:28 ID:Ebe9x18C(1) AAS
>>552
『虞美人草』読んだが覚えていない。申し訳ないが、印象に残らなかった
あと漱石では『門』が傑作だと思う。
『三四郎』『それから』より『門』というくらい
>>553
荷風は文学としてどうかだなあ
どの話も似たような人物しか出てこないし、漱石のような深刻なテーマはなさそうだし
557(1): 07/18(木)19:12 ID:yGNLuGwu(1) AAS
>>555
俺はその本を読んでいないから何とも言えないがどういう文脈でシャブロルとヒッチコックがならんで比較されているのだ?
558: 07/18(木)19:14 ID:f1JEdyfz(1) AAS
>>556
荷風は漱石みたいに明確で深刻なテーマは一見見当たらないが、書かれた小説そのものが深い人生の機微を表している
559(1): 07/18(木)21:43 ID:Un+20lol(1) AAS
>>557
シャブロルはヒッチコック論を書くほどヒッチコックに心酔していて
小林信彦がシャブロルの映画におけるヒッチコックの影響を論じたところ、花田清輝が芸術家のシャブロルと「娯楽専門の無思想人」であるヒッチコックを一緒に語るなと小林信彦の論を批判した
そういう文脈
560(1): 07/18(木)22:57 ID:m/4OSqki(1) AAS
漱石の評価に困るのは、肝心の話、語りが杓子定規でつまらない作品の多さだと思う。好きな人はすみません。
人生苦、娑婆苦、煩悩、エゴ、、苦悩の扱い方、それら表現が行儀が良いと言うか、日本人の品位から決して足を踏み出さない美しさ。
そんな所以か日本文学史における模範的な定点になってしまい、評価の範疇からある意味外れてしまった所に難しさがある。
そして、だからこそ文学者の中でお札に顔が載ってしまった夏目漱石。日本人が尊ぶ中庸の気品ゆえだと思いますが、誰もが知る、アイコンの様な、当たり障りの無い立ち位置になってしまった。
鴎外では軍人臭がするし、三島では皇国万歳の玉砕臭がするので、とてもお札には載りません。
でもこれらの人の方が癖があって面白い。
561(1): 07/18(木)23:30 ID:NRpLlmdj(1) AAS
日本人は漱石が好きなんだよ。漱石の「坊ちゃん」「我輩は猫である」「こころ」は100年後も熱心に読まれると思う。漱石以外の作家については、ここまで断定的に書けない。
562: 07/18(木)23:56 ID:Ra20Pxct(1) AAS
>>561
アメリカ人にとってのマーク・トウェインの様な感じですかね。
ある意味、日本人らしさを体現した作家なんだと思います。
ただ文学はある種の怒りや諦観、頽廃、タブー、社会への痛烈な一撃、、そんな毒を含んだ作品がやはり魅力的です。
三島が言った「文学はお薬では無い」と言う様に、危険な麻薬みたいな作品が好まれる面が確実にあります。
そして話が面白い事もやはり大事。セルバンテスが波瀾万丈の休まる所の無かったゴミクズみたいな人生、クソみたいな当時の社会の人間達へ、騎士道精神を逆手に取って、当て擦りのように書いた、「ドン・キホーテ」のヤケッパチ感の面白さ。
そう言った事を考えると、漱石の様な愛され方は稀有だと思いますね。
563(1): 07/19(金)00:10 ID:C2umvQzZ(1/2) AAS
漱石の「行人」にセルバンテスの「ドン・キホーテ」の一挿話に似たエピソードがあるね。
「ドン・キホーテ」を読んだことがある人ならすぐ分ると思うけど、あれはたまたま
セルバンテスと発想が似ていたと言うより、漱石が「ドン・キホーテ」を読んで深い感銘を
受けたからだと思う。
564: マグナ 警備員[Lv.39] 07/19(金)00:35 ID:ulb3y6fJ(1/3) AAS
ジュール・ロマンは彼我ともに忘れられた作家だな
ペーパーバックなどでの入手も難しいようだ
565(1): 07/19(金)00:45 ID:Vouc/RdG(1/5) AAS
>>563
あのドストエフスキーも「ドン・キホーテ」を世界最高の小説と言ってるのが興味深いです。
ドン・キホーテとそれと関わる市井の人間達のどちらが愚かで滑稽である意味狂っているのか?
セルバンテスの皮肉が刺さります。
娑婆苦の中を人間が真っ当に清く生きて行くには、頭のネジがぶっ飛んだ狂人にならなければ、やってられない。聖人と狂人は紙一重である。
人間の苦悩は社会常識、理性、道徳、生存本能、諸々の欲、それらへの意識そのものに由来してます。
漱石の志向した「則天去私」の心中は如何に。ですね。
566: 07/19(金)01:06 ID:C2umvQzZ(2/2) AAS
>>565
「ドン・キホーテ」には近代小説の全ての源があるとも言われているからね。上に書いた「行人」との似たエピソードというのは、自分の妻の不貞を疑った夫が妻が貞節かどうか調べるために妻を誘惑して欲しいと信頼の置ける男に依頼するというもの。「行人」の場合は依頼された男が依頼人の弟だった。
「ドン・キホーテ」にはその他にも思い当たるエピソードがたくさんある。例えば「不思議の国のアリス」に実によく似た場面もある。凄い小説だよ。
567(2): 07/19(金)05:29 ID:jAPu1aQ2(1) AAS
>>549
言い出しっペのFランがよく言うわ
568(3): 07/19(金)06:23 ID:fw25zFM+(1) AAS
>>567
東大卒作家にイキってみたかったFランなんだから許してやれよw
569: 07/19(金)09:56 ID:7u7kLkeQ(1) AAS
作家なんだから俳人・歌人も入るわけでしょ
ずっと読み続けられてる俳人・歌人は誰なの
正岡子規?高浜虚子?斎藤茂吉?原石鼎?杉田久女?
570: 07/19(金)12:46 ID:mIACOEY9(1/5) AAS
>>567
スレの流れを断ち切るばかりか全くついて来れないならせめて出来ることは黙っておくことだ
571(3): 07/19(金)12:52 ID:Vouc/RdG(2/5) AAS
泉鏡花も若い人には読んで欲しいが、もはや同じ日本語とはとても思えないだろうし、文章そのものが読めないだろうな。
只管に美しく哀しい。妖怪と人間を扱った、お得意のマンネリ話が多いけど、文章の連なりや漢字の視覚的な印象そのものにも拘った変質狂的で異質な作風は幽玄、優美。
傑作として誉高い「高野聖」や「天守物語」の世界観は今のアニメにも通じていて魅力的だと思う。
特にヒロインの描き方。鏡花が愛するのは常に悲劇を内に抱えた母性と妖艶さを待つ幽霊の様な女性。
鏡花は常に妖怪側に鍾愛を抱き、人間の軽薄さを嘆いていた。
今読んでも斬新で、創作者の自負を感じさせる「天守物語」のラストには驚く。
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