[過去ログ] 読まれなくなった作家、読まれ続ける作家 (1002レス)
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771(2): 08/13(火)06:57 ID:zcWRJhV6(2/2) AAS
ドナルド・キーンが『日本文学史』で第二次世界大戦中の日本は文学不毛の時代というような趣旨のことを書いているが
戦争中はそんなに日本文学暗黒時代だったかな?
772: 08/13(火)07:21 ID:XnstEzzX(3/5) AAS
>>770
文芸作品(特に小説)と映画シナリオ(脚色も含む)は全然違うものだし違った文法、方法論を要求されるからあえて書かない(書けない)ケースも多いのではないかと思う。川端の場合は新感覚派映画聯盟という背景があったし(結局作ったのはこの映画だけだが)、フォークナーの場合は金のためだった(フィッツジェラルドも同じ。ただ前者は単純に本が売れなかったこと、後者は浪費の補填という違いはあるが)。寺山の場合は『天井桟敷』を主催して台本書いていたからシナリオも親和性があったのかもしれない(資金稼ぎもあると思うが)。あとは作家自身が自分の小説を自ら映画化するケース。三島の『憂国』とか村上龍の諸作品とか
773(1): 08/13(火)07:41 ID:ftMkZnek(1/2) AAS
>>771
実は今が暗黒時代。本を読まない。とりわけ純文学なんて読まれない。求められていない。
スマホが心を満たしてくれる。
芥川賞なんて無数の売れずに消えて行った作家達の屍で累々としている。
好きな人には申し訳ないが、村上春樹なんてのもファッションだろう。
774: 08/13(火)07:59 ID:XnstEzzX(4/5) AAS
>>773
第二次世界大戦中は書きたい物を書けない、書きたくない物を書かないといけないという作家、出版社を取り巻く状況があった。翻って現代はスマホの発達それを踏まえてのSNSの普及によるメディアの多様化が背景にある。そこのあたりの違いを押さえた上で深耕して考察しないと単に表層的な見方に終わってしまう
775: 08/13(火)08:38 ID:ftMkZnek(2/2) AAS
文芸で何かを表現する。検閲やら風潮、何やらで思う通りに書けなくても、「小説を書く行為」に向かっていた時代は、何かしら文学に力があったのは確かだったのではないか?
社会、個人、人生の苦悩や摩擦、価値観の模索が作家達の手によって行われていて代弁され、渇望する、共感したい読み手も多かったのだろう。何より紙媒体しかない時代だったから。
今の時代はより各個人の情報、価値観、娯楽、学ぶ事柄、取捨選択の自由が圧倒的で、旗振り役の大作家、芸術家、思想家の現れる余地が無くなっているのが現状であろう。
776(2): 08/13(火)10:28 ID:bIQN/9Fi(1) AAS
>>771
戦争中に文学が停滞していたと言われても正直「当たり前だろう…」としか思えないんだが、諸外国ではそうとも言えないのかな
確かに一億火の球、欲しがりません勝つまでは、兵隊さんが闘ってるのに小説なんて云々の同調圧力は日本特有のものかもしれない
その代わりに抑圧と価値観の逆転を経験した戦争体験者が戦後日本文学を飛躍させている
777: 08/13(火)11:10 ID:KnpaxXv+(1/2) AAS
抑圧、規制、締め付けは厳しい側面もあるけど、何らかの表現の促進、新しい価値観の台頭を生み出す土壌にもなるからね。
学校の校則を全て取っ払うと、実は子供の多くが「没個性」になるのと似ている。
今はニュートラルでLGBTだのが騒がれ、かつての様にゲイやレズ、変質者、マイノリティの特殊性も一般的になってしまい、文学や芸術の十八番であったが、刺激は少ない。
引きこもりやニートもありふれた社会になり、堕落者を看板に文学を書くのも、目新しさは無いだろう。
各々娯楽が豊富で事足りてしまう。
今後強いて言えば、日本の場合は年々増えてくる移民との文化摩擦、自国のアイデンティティを模索する多国籍の人が書く文学が出て来るのではないか?
778: 08/13(火)11:24 ID:XnstEzzX(5/5) AAS
>>776
その反面火野葦平のような作家や藤田嗣治のような画家もいる。あの戦争は何だったんだろう
779(1): 08/13(火)13:14 ID:gEcoOxQl(1) AAS
>>776
でも太宰治は戦時中が作家としての全盛期じゃない?戦後は逆に肉体・精神ともにボロボロで小説の完成度が低くなった
谷崎潤一郎は代表作のひとつ『細雪』わ完成させている
横光利一は『旅愁』を執筆していて、小説への検閲は厳しかっただろうが全体的に戦時中が日本文学の停滞期とは思えないんだよな
780: 08/13(火)13:19 ID:R4Qk/Eb5(1) AAS
>>770
第三の新人たちは売れてない若い頃ラジオドラマの脚本を書いているよ
庄野潤三の紹介だったかで
シナリオじゃないけどモスラの原作もそうだな
781(1): 08/13(火)21:41 ID:6WbaEpOS(1) AAS
>>770
安部公房は「砂の女」「他人の顔」「燃えつきた地図」などの脚本を書いて、映画になっている
782: 08/13(火)21:49 ID:KnpaxXv+(2/2) AAS
学校の教科書に載る事も、読まれ続ける為には、やはり有利だね。
芥川の「羅生門」や梶井の「檸檬」、漱石の「こころ」等で思春期に洗礼を受けて、そのまま文芸読みになって行った人も多いだろう。
783: 08/14(水)06:43 ID:EtibNe1/(1/2) AAS
>>781
勅使河原とのコンビで日本映画界に確かな足跡を残した
784(1): 08/14(水)06:53 ID:wTe9fJv2(1) AAS
吉川英治は国民的作家と呼ばれたのに最近ではあまり読まれていないような
読まれても『宮本武蔵』『三国志』あたりだけで
関係ないけど三島由紀夫が吉川英治のことを日本語が出鱈目と猛烈に嫌っていたね
785: 08/14(水)07:16 ID:EtibNe1/(2/2) AAS
>>779
『旅愁』の執筆は日本と友好的な関係にあったドイツがプロパガンダの意味も込めて何があっても成功させたかった1936年のベルリンオリンピックへ取材記者として派遣されたことがもとになっている。また『旅愁』は戦後GHQから検閲を受けて多くの箇所が削除されていることからも分かるように戦時中は体制よりで文芸銃後運動に関わってきた。作家の心中を察することは出来ないが横光にとってこの時期は環境的には「書きやすかった」時代であったのかもさんしれない
786(1): 08/14(水)07:29 ID:egWpyIoz(1) AAS
岩波文庫版『旅愁』はGHQによる削除箇所を復元したテクストで貴重だね
それより前に出た新潮文庫や講談社文芸文庫は削除版だが
787: 08/14(水)09:09 ID:xPdCS7x5(1) AAS
>>784
漫画家のみなもと太郎が言ってたが
高度経済成長期以前と以後で何が違うかというと「格好良い」概念
戦前の大衆小説の主人公は二枚目であって格好良くはない
そこがちょっと厳しいね
吉川英治でも「宮本武蔵」だけは長く残ったんだが、あれはチャンバラ小説に教養小説のフォーマットを持ち込んだのが斬新だったから、と指摘されている
788: 08/14(水)10:55 ID:nt4aZ1XO(1/2) AAS
横光も吉川も今時誰が読んでるんだ?
789: 08/14(水)12:46 ID:Fkf9DSVM(1) AAS
今では読まれていないが高橋和巳が中国文学の教養を持った最後の日本の文学者というのはもっと強調されていい
その後登場した世代で漢籍をアカデミックに学び血肉にした作家はいそうでいない
790: 08/14(水)13:19 ID:nt4aZ1XO(2/2) AAS
本は読まれてナンボだろうに。
時間の流れに忘れ去られずに、とどまるのは難しい。
流行、価値観の変動にも負けずに色褪せない作品を残せれば作家の本望だろう。
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