世界や常識がエロくなる話 part9 (758レス)
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323: 2023/02/12(日)13:00 ID:tUoNxxRY(1/7) AAS
中肉中背。
ごくごく普通の紺の背広とネクタイ。
そして黒縁眼鏡と七三分けと、いかにもな営業スマイル。
どこから見ても、どこにでも居る平凡な小役人。
こんな男の面会は、初めてだった。
「……お前、サツじゃねぇな?」
常にこちらの腹の内を探ろうとする警察官特有の鋭さも威勢も全く感じない。
こいつは、明らかに違う。
「おお、流石は名立たる灰田さんですね。実は私、厚生労働省の入江省三と申しまして」
とテーブル越しに両手で名刺を手渡してくる。
「厚生労働省?」手に取った名刺に眺める「名前しか書いてねぇじゃねえか」
厚生労働省、とは書いてあるが、部署も電話番号すら無い。
裏返しても白紙。
「まぁ色々ありまして、その辺りは追々ということで」
最初に見たときと全く同じ笑みを能面みたいに貼り付けたまま、入江と名乗った小役人は平然と受け答えをする。
その自然さが、灰田にとっては明らかに不自然だ。
「お前……」
灰田は受刑者だ。
しかも舐められないようにと、それなりに威圧感も出している。
だというのに、刑務官の同席も無いタイマンだというのに入江はまるで臆する様子が無い。
これが只の厚生労働省の下っ端役人とは思えない思えるはずも無い。
「まぁ私のことはどうでもいいじゃないですか。それよりも灰田さん?」
「んだよ?」
「いやぁ中々に立派なご経歴をお持ちのようで、これ全部本当なんすでか?」
脇に置いてあった鞄から書類の束を取り出し、ペラペラと捲り始める入江。
「……………」
「初めて補導されたのは十四歳の時で、最初の収容(収監)が二十一才で……それから、えぇと……今回で四回目ですか。それも全て夜通しの婦女暴行で被害者の人数は訴えられただけ都合八人。いやぁ同じ男として灰田さんの絶倫さは羨ましい限りですなぁ」
ああ勿論今のはオフレコと言うことで、と笑い続ける入江。
その朗らかさが、胡散臭くて仕方が無い。
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